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アンフェによる「バキュフェラお電話性交再開事件」の解釈には性犯罪者の思考が詰まっている

割引あり

 本題に入る前に、極めて下品なタイトルを使用したことを謝りたい。記事タイトルで使用されている名称は、この記事で扱う事件がSNSで言及される際に(下劣なことに)広く用いられている名称であるが、特定の事件について不確かな情報をもとに虚偽告訴であるかのように決めつける下品な名称を貼り付けて呼称することが不当な振る舞いであることは論を待たない。

 ただし、今回扱う事件についてこれ以外に共通理解を図れる名称が存在しないことと、こうした名称を嬉々として使うタイプの連中にこそ記事を届ける必要があるということから、あえて記事のタイトルに名称を使用した。記事中でも使用することがあるが、使用に際し名称は鍵括弧で括り「いわゆる」という意味合いを付与しておく。

 さて本題である。最近SNSで、とりわけアンチフェミニスト界隈を騒がせている事件がある。それが「バキュフェラお電話性交再開事件」と彼らが呼称している事件だ。

 本件は不同意性交罪として有罪判決が下った事件である。被害者と加害者は会社の同僚であり、被害者は望んで性行為を行ったにもかかわらず行為後に加害者を訴え、有罪となってしまった……というのが広く信じられている事件の概要だ。

 しかしながら、SNS上で広く信じられている解釈にはかなりの問題があり、かつ、その問題の現れ方は性犯罪者の思考回路を象徴するようにすら見える。そこで、今回の記事は事件の解釈の問題をとりあげ、なぜそれが性犯罪者の思考を象徴していると言えるのかを解説する。

事実がどこにもない

 本件を扱うにあたって、私の立場を述べておく。本件は有罪判決が出ているが、その判決の妥当性はわからない、というのが私の立場だ。

 なぜなら、本件に関する信頼できる情報はどこにも存在しないからだ。情報が存在しないなら判断することは当然できない。

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なんかうまく埋め込めなかったのでスクショもいれときます

 SNS上で流布されている情報は基本的にこれである。どこのだれが作ったかもわからない、正確性の担保も何もない謎の画像がSNSを駆け巡り、アンチフェミニストはこれをもとに好き勝手に被害者を誹謗中傷している、というのが現状だ。

 加えて、被害者の知人を自称する者の証言なるものも流布している。だが、こちらも信頼性の保障はない。とにかく、この事件は信頼できる情報が一切ないまま、アンフェの妄想だけが加速しているという異様な様相を呈している。正直、実は事件そのものが存在せず最初からすべてアンフェの捏造でしたと言われてもあまり驚かないレベルだ。

 現状がこのありさまであるため、最も妥当な態度を取るのであれば「何も言うことができない」というほかない。ただ、それだと話が終わってしまうため、SNS上で流布している情報を一定程度真実を反映しているとあえて前提したうえで、それでもなお彼らの解釈や態度に重大な問題があることを指摘するというかたちでこの記事は進める。アンフェの主張する事件の事実関係を鵜呑みにしているわけでも、彼らの主張を信用しているわけでもないことは重ねて書いておく。

アンフェの妄想

本当に「自発的」なのか?

 本件が「バキュフェラお電話性交再開事件」などという下劣な呼称で呼ばれている大きな原因のひとつは、被害者は実は自発的に性行為に及んでいたにもかかわらず後から気が変わって訴えたということに、少なくともアンフェの脳内ではなっていることだ。つまり、被害者の行為には自発性があったという理解を彼らはしている。

 だが、この解釈には大きな問題が2つある。

 第一に、本当に自発性があったのか確たる証拠はない、ということだ。
 自発性の証拠として本件で取り上げられている主要な証拠のひとつは個々の性行為である。例えば呼称の由来となっている「バキュームフェラ」もそうだが、彼らの解釈では被害者が性行為を自発的かつ能動的に行っており、かつ動画内でも笑顔だったとしている。

 だが、この自発性はあくまで、動画を見てそう思ったという被告側の主張であり、それを信用できると考えたアンフェたちの解釈に過ぎない。本当に自発性があったのか、動画を見る限りその推認が妥当だったのかは、彼らが依拠している情報からですら定かではないし、妥当ではないと裁判官が考えたことがまさに有罪の一因になったのだろう。にもかかわらず、なぜかアンフェたちは被害者の自発性を自明視している。

 もうひとつの問題は、仮に動画から確かに自発的に見えたとして、それが真に自発性の発露だったのか定かではないということだ。性犯罪被害者が加害者に迎合することで被害を抑えようとすることは広く知られており、この場合、被害者の振る舞いは外面上自発的に見えるだろう。そのため、(加害者から)自発的に見えたということは合意があったことを必ずしも意味しない。また、被害者は泥酔状態にあったという主張がされているが、その通りだとすれば、被害の最中にみられた自発性は泥酔状態が作り出したものに過ぎず、誤ったないしは偽の自発性と言うべきものだとなる。

 自発性の証拠とされているもうひとつの状況に、被害者が一旦電話をするために中座して戻ってきたことも挙げられている。アンフェたちが事件の名称にこの要素も入れていることから、彼らの中で決定的な証拠として扱われていることが伺える。しかし、この状況も自発性があったと断定するには限界がある。先に述べたように被害者が加害者に迎合することは珍しくなく、また動画を撮影されていることを考えると途中で逃亡したときの動画の扱いを懸念したという可能性も十分ある。

 このような理由から、アンフェたちが主張している自発性には十分疑いを差し挟む余地がある。

泥酔状態ではないという決めつけ

 不同意性交罪は同意を形成できない状態のひとつとして、同意が形成できないほどアルコールの影響を受けていることを挙げている。そのため、本件でも被害者がどの程度アルコールの影響を受けていたかが争点となっているようだ。

 アンフェたちの解釈では、被害者たちは泥酔していなかったことになっている。だが、証拠は被害者の状態について、泥酔しているともしていないとも言えるものが混在している。確かに、被害者は店を出た後で会話をするなど、意識がはっきりしていることをうかがわせる様子がある。

 一方、警察で測定された呼気に0.48mg/Lのアルコールが検出されたとする情報は無視できない。飲酒運転の基準では0.25mg/Lで免許の取り消しという処分になるが、この処分の下には免許停止になる一段軽い基準がある。言い換えれば、一発免停が妥当という程度には酩酊状態にあると判断される基準が0.25mg/Lであり、被害者の呼気にはその倍程度のアルコールが含まれていたことになる。しかも、これは被害後に警察で測定された値だから、被害の直前や最中ではさらに酩酊状態が強かった可能性もある。

 無論、アルコールの人に対する影響は人によって異なるため、呼気の値は状態を推定する手掛かりに過ぎない。だが、酩酊状態になかったと一方的に否定するにはあまりにも気がかりな客観的事実と言えるだろう。アンフェたちもそう思ったのか、自分で作った画像では「遺伝的にアルコール耐性が強いためか」などと適当な理由をでっちあげずにはいられなかったようだ。

 なお、余談だが、彼らが作成した謎画像のひとつでは、被害者の呼気から検出されたアルコールが48gとなっている。0.25mgで免停なのに、単位も違えば小数点の位置も違う量が検出されたら恐らく人は死ぬだろう。彼らの事実関係に対する理解の荒さが垣間見える。

 もうひとつ余談だが、酩酊状態をもって不同意性交罪になり得るということをもって、「なら酒を飲んだ女性に物は売れないな!」というよくわからない屁理屈が生み出され、アンフェたちがコピペしてドヤ顔という悲惨な事態が起きている。しかし、不同意性交罪の条文を読めばわかるように、不同意性交罪となるのはアルコールの影響で同意しない意思を形成したり表明したりするのが難しくなった場合である。ただ酒を飲んでいるだけで同意できないと見なされるわけではないし、だからこそ酩酊だったかが争点になっているのだ。単に酒を飲んでいるかどうかであれば争いがない。

 彼らは賢しらぶって様々な屁理屈を並び立てるが、現実は大元の条文にもあたれないし正しく理解できない程度の能力しか持っていない。

「レイプ被害者が露出の多い恰好をするのはおかしい!」

 自称被害者の知り合いのタレコミとされる文章は、基本的に推測と思い込みの域を出るものではなくまともに取り合う価値のある情報はほぼない。だが、興味深い記述が僅かにある。

 そのひとつは、被害者が被害後にアップロードしたというインスタグラムの投稿で、露出の多い服装をしていると主張されていることだ。

 性暴力被害者が露出の多い服装をするはずがない、という神話はなぜか人気があり信仰されている。だが、当然ながらその主張を裏付ける根拠はない。被害者が自らの意志で露出の多い恰好をすることは当然あるだろうし、それは責められるようなことでもない。被害者の中には露出の多い恰好を忌避するようになる者もいるだろうが、だからといって被害者全員がそうであるわけではない。

 極端な例を挙げれば、性暴力被害者が被害を再現するかのように性行為を繰り返し、場合によっては性風俗に行き着くということも知られている。被害者はそうした事例に該当するものではないだろうが、ともあれ、性暴力被害者なら露出の多い恰好をしないはずだという主張に妥当性はない。

 なお、自称被害者の知人のタレコミを受けたというアンフェは、わざわざ被害者のインスタまで覗きにいっている。被害者を叩くためにそこまでする粘着性には寒気がするというほかない。

虚偽告訴の動機とされるもの

 アンフェたちのなかでは本件が虚偽告訴だということになっている。であれば、なぜ虚偽告訴に至ったのかを説明する動機が必要である。

 そして、アンフェたちが考えた虚偽告訴の動機は「その後の予定があるのに顔射されたことにキレたから」だった。意味が分からないだろうが、私だって彼らが何を言っているのかちょっとよくわからない。

 第一、そもそも被害者にその後の予定があるという解釈自体がどこから出てきたものなのかわからない。性行為中に被害者が電話のために一時離脱したことをもってそう考えたのかもしれないが、電話する用事があったことと顔を汚されて困るほど時間的に近接したタイミングで用事があることには飛躍がある。どのみち性行為をしている時点で友人と会う前に体を清める必要があるだろうし、そんな余裕がないほど約束の時間が差し迫っているなら性行為をしていること自体がおかしいはずだ。

 よしんば最後の行為に怒りを覚えたとして、そのために虚偽告訴に踏み切るというのはやはり飛躍がある。アンフェたちが想像しているよりもはるかに性犯罪の告訴は困難である。警察や検察も捜査して起訴できないという外れは引きたくないから様々なことを根掘り葉掘り聞くし、それが時にはセカンドレイプとなって被害者に襲い掛かる。単に捜査に協力するための時間も相当かかるから、それがすべて終わるまで怒りを維持して嘘をつき続けるというのはあまりにも考えられない行為だ。単に怒りを覚えて復讐するなら友人間で悪い噂を流すとかほかにコスパのいい方法はいくらでもあるわけで、アンフェが推測する動機は動機に対して手段の軽重が極端すぎる。

 虚偽告訴の動機として、自称被害者の知り合いは被害者が東京の配属になりたかったからだと推測している。しかし、これも飛躍というほかない。自称被害者の知り合いが自ら語っていることだが、「何かあった人は東京の配属になる」というのは噂に過ぎない。そんな噂に縋って社内で騒ぎを起こすのはあまりにもリスクが大きい。どうしても東京以外の配属が嫌なら転職したほうが確実だろう。ここでもまた、動機に対する手段がアンバランスになっている。

性犯罪者的思考

 ここまで、アンフェたちの事件解釈があまりにもお粗末というか、もはや意味不明の領域に足を踏み入れていることを見てきた。だが、彼らの思考は単に愚かだったり意味不明だったりするわけではない。そのなかには性犯罪者に共通していそうな思考回路も散見される。

都合のいいチェリーピッキング

 最も注目したいのは、アンフェたちの解釈が自身に都合のいい手掛かりのみを選び取るチェリーピッキングからなっていることだ。

 ここまでの議論で私は事件が冤罪ではない可能性を論じてきた。しかし、なかには「可能性の話ばかりで確証がないだろ!」と思う人もいるかもしれない。その解釈は正しい。事実、私は可能性の話しかしていないし、そもそも確たる情報がないのだから可能性以上の話はできない。

 重要なのは、私が論じてきた「事件は冤罪ではない」という解釈は、アンフェたちの「事件が冤罪である」という解釈と同程度の確度で、あるいは実際にはそれ以上の確度で妥当性を有しているということだ。アンフェの唱える「事件が冤罪である」という解釈と、私の「事件は冤罪ではない」という解釈は、妥当性で言えば少なくともイーブンであるはずだ。(実際には私の解釈の方が圧倒的に妥当だと思うが。裁判所も有罪にしたわけだし)

 つまり、虚心坦懐に明らかな(アンフェたちが流布する)情報だけを読み取れば、現時点の我々の視点からでは事件が冤罪なのかそうでないのかは結論を出すことができないということだ。両方の証拠が同程度の確からしさで揃っているのだからそう結論を付けざるを得ない。少なくとも、「事件が冤罪である」という解釈のもとになる証拠を採用する水準を用いるなら、「事件が冤罪ではない」という解釈のもととなる証拠は全て採用しなければならない。

 しかし、アンフェはそう考えなかった。「事件は冤罪ではない」と考える証拠もそれなりにあるはずなのに、ときに意味不明な根拠まで採用して「事件は冤罪である」という結論だけをとってしまう。言い換えれば、彼らは自分に都合のいい手掛かりだけを選び取り、都合の悪いものは捨てていることになる。いや、捨てている自覚すらなく目に入っていないのかもしれない。

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