「皆さんに笑いと感動を届けるために一生懸命頑張りますので、最後まで楽しんでいってくださいね」――。機械的だが、かすかに関西弁のイントネーションで語りかけるのは、アイドルグループ「SUPER EIGHT」のメンバーである村上信五氏を再現したバーチャルタレント「AIシンゴ」だ。AIシンゴは、2025年6月20~22日に東京グローブ座で開催したイベント「笑う門にはデジ来タル~SHIN-GO!~」において、村上氏とのW主演として登場した。
AIシンゴは生成AI(人工知能)を活用して開発している。村上氏の映像や音声データなどを利用してアバターを開発。その上で過去の村上氏の発言やエピソードといった思考に関するデータを、大規模言語モデル(LLM)に学習させたり、検索拡張生成(RAG)に組み込むデータベースに利用したりしている。
これにより村上氏の表情や動き、話す際のイントネーションなどを模したAIシンゴは、村上氏らしい発言をする。ここで参照するデータの中には、ファンが入力したものも含まれる。村上氏がプロデュースするWebサイト「GIVE & MAKE」の一部のユーザーにチャット形式でAIシンゴと会話できる「AIシンゴチャット」のベータ版を提供し、村上氏に関するデータを集めた。
AIシンゴには2つのモデルがある。村上氏の上半身のみを投影する「2024年モデル」と、村上氏の全身を投影した「2025年モデル」だ。公演では両モデルとも利用していた。
オープニングムービーの作成から漫才まで生成AI
「笑う門にはデジ来タル~SHIN-GO!~」の公演の特徴は、企画段階から運営、そして公演そのもの全てに生成AIを活用していることだ。公演のタイトル案やコーナー内容の企画の提案、公演でのトーク・漫才にAIシンゴを使った。
公演はAIシンゴとのしりとりや、観客から集めたキーワードとAIシンゴの画像を基にした画像生成、同様に観客から募ったキーワードを基にした即興での作詞・作曲、AIシンゴから村上氏への手紙、そしてAIシンゴと村上氏の漫才などが盛り込まれた。そのほか村上氏のピアノ演奏の音を基に生成する映像が投影されるシーンもあった。