メメントモリ・ジャーニー

  • 亜紀書房 (2016年8月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (274ページ) / ISBN・EAN: 9784750514857

作品紹介・あらすじ

沖縄でカニに求婚され、恐山で死後の住所を考え、ガーナでマイ棺桶を作る……

旅先で見ていたのは絶景じゃなかった





人生は、しばしば旅にたとえられる。その場合、旅の終わりは「死」ということになるのだろうか。遠く離れた土地で抱いた気持ちを文章にしていくことは、翻って自らの人生を捉え直すきっかけとなった。死を想うと、生が明滅してスパークする。突き動かされるようにして、オリジナル棺桶を作りにアフリカはガーナへ渡ったメレ山メレ子。時を同じくして手に入れた新居に、ついにポテト・コフィンがやって来た……!

メレ山メレ子が「旅と死」をテーマに綴るエッセイ、その名も『メメントモリ・ジャーニー』!



ウェブマガジン「あき地」連載時から大きな反響を読んだ人気エッセイ、満を持して書籍化!

感想・レビュー・書評

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  • メレ山メレ子(1983年~)氏は、大分県別府市生まれ、東大法学部卒、会社勤めの傍ら、2006年から旅行記ブログ「メレンゲが腐るほど恋したい」を始め、アルファブロガー・アワード2008の記事大賞を受賞。2012年から「昆虫大学」を主宰。旅行や昆虫に関する文筆活動や企画を行っている。近年、筆名を「沙東すず」に改称している。
    本書は、「メメントモリ」(ラテン語で「死を想え」)+「ジャーニー」の題名の通り、死と旅についてのエッセイ集で、大きく以下の3部構成となっている。1.旅先で心に浮かんだ、人生や故郷、家族や友人への思い、2.西アフリカ・ガーナで自分のためのオーダーメイド棺桶を作りたいと思い立ってから、お金を集めて実際にガーナに行き、棺桶を日本に持って帰ってくるまでの話、3.東京で古いマンションを購入し、リノベーションを施して住まいを手に入れるまでの話。1部、2部と3部の前半は、初出が亜紀書房のウェブマガジン(2015年8月~2016年5月)で、3部の後半は書下ろし。2016年に出版された。
    私は、本書が新刊で出たときに気にはなったものの購入せず、今般、たまたま新古書店で目にして入手した。
    また、私はアラ還・男性の会社員だが、エッセイ集とはいえ、かなりプライベート感が強い内容と思いつつも、著者のものごとの捉え方、感じ方、考え方には共感するところも多く、面白く読み進めることができた。(自分の棺桶を作りにアフリカまで行くという感覚には、最後まで同調できなかったが。。。)
    中でも、印象に残ったことをいくつか挙げるなら、以下である。
    ◆著者が大人になってから足を踏み入れた自然科学系のコミュニティ(生き物・昆虫好きの集まり等)は、好きな物に囲まれて、大人になっても人生を心から楽しんでいる人ばかりだった。彼らには極端な人も結構多いが、そういう人たちが実は周囲から一目置かれ、愛されていることも少なくない。そうした中で、「私の幸せは私の幸せであって、他の誰のものでもない」という、至極当たり前のことに気付いた。
    ◆様々なことで行き詰まり、大きな決意を旅先でしたくなる人がいるのはわかるが、自分がホームで抱えている問題がアウェイで解決することなどはあり得ない。旅はただの移動であり、気晴らしである。
    ◆何が自分の幸福なのかは、自分で必死に考え、探さないと分からない。そんな簡単なことが、会社や家族といった組織の中で揉まれて幾重にも評価されて暮らしていると、だんだん見えなくなってくる。不幸になること以上に、あいつは不幸な人間だと周りから思われるのが怖くて、ちぐはぐな無理を重ねたりする。自分だけの幸福と世間並みの幸福が食い違っているのに、それに気付いていないと、知らないうちに体が不満で一杯になるし、煮詰まるにつれて、周囲にも世間の基準に合わせ、我慢することを求めてしまい、世の中がどんどん窮屈になっていく。
    なんとなく生きづらさを感じているような若者(私のように、必ずしも若者には限らないが)にとって、いろいろな気付き・刺激が得られる一冊と言えるかもしれない。
    (2024年7月了)

  • ポジティブな人にはオススメ出来ません、が、ネガティブな面を強く持つ人にとっては、独りではないことを感じさせてくれる心強い一冊になります。
    作中でガーナ記について、反応が『分かる』と『さっぱり分からない』の二分になっていると書かれている部分が有りましたが、全体としても似た傾向があると思いました。

    死を意識したり、周囲から除け者にされたり、それでも何とか生きてきたという人(私自身のような)にとって、それでも未来を選ぶ権利はこの手にある事を教えてくれ、実践してくださっている作者様の文章には引き込まれるものが強く有りました。

    はじめにあった駅の案内板の様に。私にとって、この本こそが案内板の一つになるのかもしれません。

  • 死生観、自由の意義、旅をする目的、故郷に対する思い、
    共感する部分が多く勇気づけられた。

    またガーナ紀行が面白かった。

  • チグハグに見える体験が、全て「死」に、そして「生」に繋がっていく様子がすごく胸に来る。生きづらさを抱えるからこそ、向き合えるものもあるんだなあと思う。私も何度もリセットボタンを押してしまう。少しでも自分が息をしやすいところで生きたい。

  • こういう感受性って、昔はあった気がするけど歳をとるごとになくなっていったなーと思いながら読みました。
    最初は「こんなこといちいち考えて生きてんの?めんどくさ」ってちょっとイライラしながら読んだんです。というかイライラしてしまった。仕事忙しくて、仕事終わっても明日の仕事のことしか考えられない日とかある時とか、こういう感受性って邪魔なんですよ。なんで生きてるとか人付き合いがどうとかそんなこと言っていられない。言ってる人を見ると「うるせー暇人!」って暴言を吐きたくなるような余裕のなさが、読みながら蘇ってきてしまった。(もちろんそんなものはただの八つ当たりなんで絶対に外に出してはいけないものなのは百も承知)

    好きなことがあって、それを共有できる仲間や友達がいて、自分が心から安らげる居場所を作って、これから訪れる死を迎えるための準備を整える。
    こういうことをやれるだけの感受性と財力と人脈があるっていうのは幸福なことだなーと思いました。

    こういうことを考えられる世界は平和だなーと考えちゃうのはきっと皮肉ですごく心の狭い感想。
    この本をまっすぐに受け止められない人間になってしまったことにため息をつきました。

  • 初めてメレ山さんの作品を読みました。
    なにわほねほね団 気になる。

  • 本のジャンルはエッセイまたは旅行記になるだろうか
    出来上がった本がエッセイとして旅行記として出色という感じではない

    にも関わらず著者のものの考え方や表現の仕方には深いところで共感できるものがあるし、この人の視点で書かれたものがもっと読んでみたい気がする


    イベント情報がスマホ通じ小魚のように手の中に入り込んでくる。好奇心を満たしに行ける場所が豊富にあるというのは、素敵な事態じゃないだろうか。

    船がたくさん行き来していて、生活のための海の道という気がする。そんな瀬戸内海が好きだ。

    フェイスブックに出てくる地元が怖いのは、一度も人間関係のリセットボタンを押していない人の博覧会のように思えてしまうからだ。

    どちらかというと内向的だけど好きなものがある。そんな人同士が仲良くなるには場所の
    力がすごく大事だ。一緒に何かを作ったり、生き物を眺めてその魅力に触れたり、好きなものについて前のめりに語ったり〜

  • ミニコメント
    ガーナの「オリジナル棺桶」を見に行く「旅と死」をテーマに綴るエッセイ

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/597638

  • これから生きていくうえでの、お守りになるような本だった。ガーナ編はおもしろくて一気に読んでしまったし、他の部分はメモったフレーズや考えが多かった。素敵な本だった。

  • 今は亡き雨宮まみさんがTwitterで薦めていた、ウェブマガジンの連載エッセーが書籍化されたもの。
    初めて読んだのは越後妻有のアートトリエンナーレの回。冬は雪深く埋もれる、過疎が進んだ新潟の町で、芽吹くようにアートが花開いている様が、ブラウザ越しにも伝わってきて、その勢いに噎せかえるような、目眩をおこすような気持ちになった。
    子どもの頃の、歯医者へと通う電車から始まって、沖縄、越後妻有、恐山、場所だけじゃなくて、動物の標本つくりや昆虫イベントの開催、理想の部屋探し、ガーナへ棺桶をつくりにいく。ただ体が遠くへ行くためだけじゃない、心のありかを探すための旅路の記録のような。
    どこへでも行ける、この世界のどこかにもっと自分の生きやすい土地があって、そこへ行くことにはなんの制約もないんだということを、死ぬまでの長いような短いような時間を、自分はどうすごしてもいいんだということを、教えてくれる、少し息をするのが楽になるような、お守りのような本でした。

  • 発想の面白さと、行動力のすごさ。

  • 少しずつ読もうとしてたのに結局一気に読んじゃった!(;´Д`A でも面白かったからいい! 人に迷惑かけないくらいに好きに生きたら死ぬ時もまあまあ満足かも。棺桶作りに行くなんて話、普通にしてたら聞けないもんなあ。本ってありがたい(^∇^)それにしてもスピリチュアルな人たちってかなり迷惑だなーε-(´∀`; ) 逃げなくちゃ!

  • 世間の幸せと、個々人の幸せは違うというところ、はっとした。他人の生き方からずれた方に進もうとするとき、少数でも理解してくれる人は、必ずいると思えた。

    もう大人なのだから、ちょっとくらい寄り道したり失敗したりしても、狼に食べられたり、お母さんに怒られたりしないよ。

  • 軽そうな先入観で読み始めたら意外にかみ応えがあり、メメントモリとジャーニーを結びつけるからして確かに変人だろうとは予想していたが、ガーナへ棺桶を作りに行くぶっとびようで面白を超えて唖然だった。各ジャーニーは、著者の博物学知識があれこれ結びつけられていて、私もいろいろ見知ってジャーニーしたいなあ、とむくむく思い始めたのだった。

  • 旅ブログが好きで、虫の文章ばかり書いてるのが寂しかったけれど、久しぶりにがっつり読めてうれしい。あれやこれや、まとまりないようであるような。

  • とにかくなんだかいつも楽しそうな事をしている人がいるな。鮮やかな色とワクワクするような単語がちりばめられたツイートが流れてくるたびに気になってた。けど、1冊目の虫に関する本はどうにもそんなに得意ジャンルではないので読めずにいた。そうしたら急にガーナへ棺桶を作りにいくという、それが本になるという。こりゃ面白くないわけがないと飛びついた。
    旅を通してみる久々の暮らし、生活、村などの集合体そこから感じる生き様に魅せられていく様子や色々考えすぎてダークになったりする起伏が丁寧に鮮やかにごく個人のこととして静かにだけど本当にきちんとつきつめて書かれていた。旅をする目的に依存しない、旅をする自分に陶酔しないそんなことに細心の注意を払っている姿もこの本をしっかりと支える軸になっていて、本当に素敵だった。
    いろんな人を場所で結び、自分の住処を手に入れ、そうやって生きている人の言葉や思考は心強かった。
    あと、やっぱり一人旅をしたいなぁと思ったのでそれは実現させたい。そんな風にいろんな風を運んでくれる一冊でした。

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著者プロフィール

1983年大分県別府市生まれ。平日は会社員として勤務。旅ブログ「メレンゲが腐るほど恋したい」にて青森のイカ焼き屋で飼われていた珍しい顔の秋田犬を「わさお」と名づけて紹介したところ、映画で主演するほどのスター犬になってしまう事件に見舞われた。やがて旅先で出会う虫の魅力に目ざめ、虫に関する連載や寄稿を行う。2012年から、昆虫研究者やアーティストが集う新感覚昆虫イベント「昆虫大学」の企画・運営を手がける。
著書に『メレンゲが腐るほど旅したい メレ子の日本おでかけ日記』(スペースシャワーネットワーク)、『ときめき昆虫学』(イースト・プレス)、『メメントモリ・ジャーニー』(亜紀書房)がある。
HP https://mereco.jp/

「2021年 『こいわずらわしい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

メレ山メレ子の作品

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