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予算膨張、「責任」示せず 積極財政に市場が警鐘―歳出改革、効果期待外れ

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記者団の質問に答える高市早苗首相=26日

記者団の質問に答える高市早苗首相=26日

  • 【図解】一般会計の歳入・歳出の推移

 高市政権で初の2026年度予算案は一般会計総額が122兆3092億円と、25年度当初から7兆円以上増えた。インフレで税収は過去最高となったにもかかわらず、新規国債発行は増加。自民党と日本維新の会が連立合意書で掲げた税制・歳出改革は期待外れに終わり、「積極財政」への責任を示せたとは言い難い。金融市場は急速な円安・債券安で、財政規律の緩みに警鐘を鳴らす。

 ◇PB黒字化達成厳しく

 「いたずらに拡張的に規模を追求するものではない」。秋の経済対策策定以降、高市早苗首相は自身が掲げる「責任ある積極財政」について、たびたび強調した。

 だが、26年度予算案は8月の概算要求(122兆4454億円)とほぼ同規模で着地した。概算要求に盛り込まれた施策は25年度補正に前倒し計上されたものも多く、その分26年度予算案は圧縮されてもよいはずだが、過去最大に膨らんだ。

 政府は、国債費を除く歳出を税収などでどれだけ賄えるかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が28年ぶりに黒字化すると強調。財政規律は維持されていると説明するが、補正予算の執行が26年度にずれ込み、国・地方のPBは赤字で着地する可能性がある。

 ◇無駄削減、切り込み不足

 「肥大化する非効率な政府の在り方の見直しを通じた歳出改革を徹底する」。10月下旬、自民と維新は連立合意書でこう宣言し、企業などに特例的に税優遇する租税特別措置(租特)は「政策効果の低いものは廃止する」方針を打ち出した。

 しかし、371項目(1月時点)ある租特のうち、廃止が決まったのは3項目、縮小は18項目どまり。逆に「大胆」な設備投資促進税制が創設され、見直し効果は打ち消された。

 焦点の診療報酬改定でも医師らの人件費などに充てる「本体」の伸びを1%台に抑えたい財務省は、首相裁定によって3%以上の引き上げを求める厚生労働省案をほぼ丸飲み。社会保障関係費は7621億円の大幅増となり、財務省幹部は「賃金・物価対応にかこつけてやり過ぎだ」と憤りを隠さない。

 維新は市販薬と成分や効能が似た「OTC類似薬」の保険適用除外も求めていたが、日本医師会などが反発。患者への追加負担で決着し、医療費の削減効果は約900億円にしぼんだ。

 ◇市場の警告届かず

 金融市場では、政権の拡張的な財政政策への懸念から長期金利の上昇が加速。22日には2.1%台と、約26年10カ月ぶりの水準に上昇した。

 首相は、財政出動で長期金利を上回る名目成長率を実現すれば、国内総生産(GDP)に対する債務残高は低下し財政への信認を確保できるともくろむ。だが、財務省幹部は現在、成長率が金利を上回っているのは「金融緩和で(金利が)抑えられてきた」ためで、日銀が利上げに転じた今、「持続可能ではない」とけん制する。

 国債の残高を減らせずに金利上昇が続けば、利払い費が急増し、財政を急速に圧迫する。みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストは「国債の信認が失われれば国債格下げリスクも高まる。その結果、円の信認が失われれば、急激な円安・インフレを招き、国民生活に大きな打撃を与えかねない」と警告する。

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