ポケモン廃人、知らん学園に入学した。【完結】   作:タク@DMP

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第86話:世界の敵

「──あららぁ? ドーブルですかぁ? 見た所、先程のガチグマに比べると聊か力不足に見えますが……」

「油断は禁物よ。イクサ君の顔を見れば分かるわ。多分一回交戦したことがあるから、なんでしょうけど──」

 

 くす、と面白そうにレモンは笑う。

 今のイクサは、強敵と戦う時の獰猛な獣の目をしている。

 

「本来、イクサ君は此処でパモ様をぶつけたかったはずよ。だけど、アヤシシを対処するために3匹目を見せてしまった。あのドーブルが強いっていうのは、彼からの話で聞いてるけど、どこまでやら」

 

 一方、イデアは先に2匹を倒されたものの、いずれもゲームの流れを掌握するに至っている。

 特にこのドーブルは──彼の手持ちの中でも飛びぬけて強い。

 コキコキ、と肩を鳴らすと、絵描き犬は尻尾を持ってサーナイトに向けるのだった。

 

「それじゃあ始めようか」

「ッ……サーナイト、もう1回”かげぶんしん”だッ!!」

「”しんそく”で急接近。その後”キノコのほうし”で動きを止めちゃってよ」

 

 サーナイトが再び空中で分身する前に、一気にドーブルは間合いを詰める。

 既に尻尾には大量の胞子が纏わりついており、それをサーナイトの顔に思いっきり吹きかけた。

 ぐわん、と彼女の身体は揺れて地面へと落下していく。

 

「しまっ──サーナイト!?」

「そのまま”しんそく”叩き込んじゃってッ!!」

 

 

 空中から、神速の連撃を叩き込むドーブル。

 サーナイトはそのまま眠って動けないまま、地面に叩きつけられ、何度も何度も打撃を加えられる。

 眠ってしまえば無抵抗。そのまま起き上がることはなく、敢え無く戦闘不能となってしまうのだった。

 

(サ、サーナイトが何もできずにやられた……!! やっぱり、あのドーブルが一番ヤバい……!!)

 

「さあて、残ってるのは……後1匹だっけ? 3対3シングルだと直ぐに終わっちゃうのが良くないよね。でも、そっちはまだオーライズ使ってないからどうとでもなるよ」

「……ッ!」

 

 イクサは、ハルクジラの入ったボールを投げる。

 ”しんそく”で距離を詰めて”キノコのほうし”を見舞う──単純だが凶悪な戦術である。

 そればかりか、このような戦術に頼らなくとも、あのドーブルの格闘性能は非常に高い。

 故に──前提からひっくり返す必要があった。近付かれると眠らされてしまうならば、そもそも近付けさせなければ良い。

 

「……勝利への道は……見えたッ!!」

「──! ……覚悟を決めたねぇ。前よりも、その顔がサマになってるよイクサ君」

「一体何をするのでしょう? 隙など無いように見えますが」

「まさか──イクサ君! こんなお遊びの試合に──」

「レモンさん」

 

 ぴしゃり、とイクサは告げる。

 

 

 

「──お遊びの試合なんて、僕にはありません。戦うなら──いつでも、誰が相手でも全力ですッ!!」

「……ッ」

 

 

 

 イクサの手に掲げられていたのは、ハルクジラのオーカードだった。

 それが意味するのは、この場でギガオーライズを切るということである。

 すぐさま、冷気が辺りに満ち満ちて、ハルクジラの身体に次々に氷の棘が生えていく。

 

 

 

「ヴオオオオオオオオオオオオンッ!!」

 

【ハルクジラ<ギガオーライズ> タイプ:氷】

 

 

 

 砂のコートは一瞬で氷の地面と化し、更に周囲には雪が降り始める。

 流石のイデアも、その規格外な冷気を前に立ち竦んだ。

 ドーブルの足元が凍り付いており、自慢の機動力を生かすことができていない。

 

「全くもう……変なところで負けず嫌いなんだから……!」

「な、何なんですかアレ……! 普通のオーライズとは違う……!」

「……成程ね。それが噂のギガオーライズってヤツか。本来反発する同じポケモンのオーラを、纏うのではなく体に取り込んで体内で爆発させる現象ってところかなあ」

「一瞬で看破した……!?」

「そりゃあもう。博士ですから、僕」

「……ッ」

 

 嫌な汗が背筋を流れていく。

 未だに、一歩間違えれば飲み込まれてしまいそうな感覚は消えない。

 だがそれでも──帰る場所がある限り、イクサは踏みとどまる事ができる。

 

「”ゆきげしき”──からの”つららおとし”でドーブルの動きを封じて!」

「ヴオオオオオオオオオオオオンッ!!」

 

 周囲にはしんしんと更に雪が降り積もり、ハルクジラは”ゆきかき”を発動させる。

 スケーターのように滑りながらドーブルの周囲を回っていくと、氷柱が地面からも、更に空からも降り落ちてコートは針の筵と化す。

 

「その図体の割に反則級に速いねッ……センセイも自由に動けないし……!!」

 

 常時”こごえるかぜ”が吹雪いているような状態の戦場。

 そこでは、ドーブルの機動力も大きく削がれてしまう。

 しかし、その割にはハルクジラの”つららおとし”をバク宙で躱し、それを足場に跳びあがるなど機敏に動けているのであるが──

 

(うーん、いつもならとっくにあのデカブツに追いつけてるところなんだけどなぁ! ”しんそく”の出力も30%減ってカンジ?)

 

(何が自由に動けない、だよ……ッ! これでもまだ当たらない……ッ! やっぱあのドーブル、前回の試合では手を抜いてたのか……!?)

 

(となると、やっぱりここは大人げなく、本気を出すしかないカンジ? ま、此処で負けるようなら……)

 

 イデアはしたり顔でイクサの目を見つめる。

 

 

 

(……()()()()()()()()()()()()()()()()よねえ?)

 

 

 

 ドーブルが絵筆を振るう。

 次の瞬間、その絵筆からドロドロと黒い墨が漏れ出していく。

 

(何だアレ……!?)

 

「──さあて、ブースト掛けようか。”インファイト”ッ!!」

 

 ドーブルの動きの軌道が大きく変わる。

 空中で変則的に、向きを変えると一気にハルクジラに間合いを詰めてその拳を叩き込んだ。

 ハルクジラの巨体は思いっきり吹き飛ばされ、更にドーブルは黒い墨を尻尾から垂れ流しながら追撃を掛ける。

 その姿はさながら、黒い流れ星であった。

 

「なっ、何でこんなに強いんだよ、このドーブル!! 受け止めて、ハルクジラ!!」

「おっと、もっともっと叩き込んでくれよ!! ”インファイト”!!」

 

 氷柱を地面から生やして障壁とするハルクジラ。

 しかし、それもあっさりと砕かれ、ドーブルは更にハルクジラに蹴りを見舞う。

 幸い、それでも”ゆきかき”で上がった速度には追いつききれていないので防げているが、このままではギガオーライズの負担も相まってハルクジラは疲弊してしまう。

 現にイクサも、焦燥からか精神力を大きく消耗しており、息を切らし始めていた。

 

「ッ……”キノコのほうし”に”インファイト”、そして”しんそく”……? ドーブルじゃなくてキノガッサじゃない……!」

「キノガッサは”しんそく”は覚えませんけどねぇ♪」

「おっと、キノガッサと違うところも見せてやろうかな? ”トラばさみ”!!」

 

 ドーブルが黒い墨を周囲に撒き散らすと、カチカチと音を立てて金属製のトラバサミが顕現して埋め込まれる。

 そして、その1つは移動するハルクジラの足元に設置され、その足に食らいつくのだった。

 

(確かアレはガラルマッギョの専用技……!! 草タイプ版の”ほのおのうず”でバインド技だったはず……!!)

 

「いやー、この手は大人げないから使いたくなかったんだけどねえ。チェックメイトだよ、イクサ君。君は凄い! 僕に此処までさせたんだ、誇って良いよう」

「……ッ」

 

 ドーブルが再び接近する。

 その絵筆には大量の”キノコのほうし”が纏われている。

 もう避けることはできない。

 

(誇って良い? 冗談じゃない!! 僕は──)

 

 脳裏に浮かぶのは、今も生徒会室でほくそ笑んでいるであろうあの生徒会長の姿だった。

 

(僕は……もう負けられないッ!! 思考を、逆転させろ!! 常識外れの相手に常識で立ち向かおうとするな!! どうやったら”キノコのほうし”を防げるかを──ハルクジラは鯨、そして冷気が武器、それなら……ッ!!)

 

「”キノコのほうし”!!」

「ハルクジラ、冷気を口元に集中させるんだッ!!」

 

 ──パキッ、と音が鳴る。

 ハルクジラの口、そして鼻を塞ぐように氷が纏わりついている。

 それが”キノコのほうし”を弾いてしまったのだ。

 

「それじゃあ、呼吸が出来ないはずだけど──ッ!?」

 

 心配そうに呟くレモン。

 だが、当のハルクジラは全く苦しむ様子を見せていない。

 その疑問を解消するかのように、本業・生物学者のイデアは感心したように語った。

 

「元が水棲ポケモンのハルクジラは、()()()()()()()()()()()()()無酸素状態での活動時間が遥かに長い……なかなか物知りだねぇ君」

「……元がクジラなら、行けると思ったんです」

 

 鯨などの水棲哺乳類は、1度の呼吸で1~2時間ほどの潜水を可能とする。

 その要因には、血中のヘモグロビン濃度の高さや、血中の二酸化炭素への耐性の強さが関係していると言われている。

 そして、元が水棲生物だったハルクジラは、ホエルコやホエルオーといった大本の水棲ポケモンには及ばないものの、無酸素状態での耐性は強い。

 この性質を生かし、ハルクジラ達は、酸素が薄い代わりに天敵の少ない高い雪山の環境に適応することに成功したのである。

 口元を冷気で覆い、数分呼吸を我慢するくらいは造作もないことだ。

 

「それに、これで終わりじゃない!! そのまま、冷気を最大限解放!!」

 

 ハルクジラの棘が青白く輝き、周囲に冷気が満ち満ちていく。

 不用意に近付いたドーブルの身体は足元から凍っていき──遂には物言わぬ氷像と化すのだった。

 更に、その上空には超巨大な雪の塊が生成されており、最早イデアはそれが回避不能なものであることを察していた。

 

 

 

「あー……これは避けられないねえ……」

「オオワザ、”ひょうがげきどう”!!」

 

 

 

【ハルクジラの ひょうがげきどう!!】

 

 

 

 ──文字通り、ひっくり返った雪の塊がドーブルを押し潰す。

 勝負は此処に決したのだった。

 

 

 

「……ま、合格かなぁ……」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「博士のドーブル、どうなってるんですか? 何でギガオーライズとまともに張り合えてるんですか?」

 

 

 

 試合後、イクサはげんなりとしながら博士に詰め寄った。

 幾ら強いと言えどギガオーライズすれば押し切れるとは思っていたのである。

 まさか、奇策を咄嗟に練らねばならない程に追い詰められるとは予想外だった。

 しかも──彼の所感では、まだドーブルは最大出力を出していないようにさえ見えた。勝ったのに勝った気がしない。

 当のイデアはどこ吹く風で肩をすくめる。

 

「そりゃあセンセイは強いから、としか言いようが無いんだけど」

「あの黒い墨もですか!?」

「いっ……それは、長年鍛え続けたドーブルに出来る芸当って奴だよ」

「ええ……?」

 

 若干挙動不審なイデアに怪訝な目を向けるイクサ。

 今まで彼を全く疑ってこなかったが、あのドーブルに関してだけは怪しい要素が多すぎる。

 

「あら、私は不思議に思わなかったわよ。世の中には、オーデータポケモンを薙ぎ払って学園最強の座に立ったピカチュウが居るし」

「……なら仕方ないのかなあ」

 

(イデア博士、良い人には違いないんだけど、あのドーブルだけは、どうも解せないんだよなぁ……)

 

「どぅーどぅる?」

 

 けろっとした顔でドーブルは首を傾げる。

 ”げんきのかたまり”を貰った後とはいえ、オオワザが直撃したポケモンとは思えない程に平然としていた。

 これもまた、先程の疑念に拍車をかけていく。

 

「んじゃあ、君達の頼みとやらを聞こうかな。これで僕も協力者で君達の味方だ」

「……ありがとうございます! ……えーと、何処から話そう……?」

「この町の近くの迷宮から正体不明のロボットと、オーデータポケモンが見つかったの。解析に協力していただけるかしら」

「……え? 何起き?」

 

 パチパチと目を瞬かせる博士に、イクサ達はこれまでの経緯を話す。

 奇妙な少女型ロボットに、随伴護衛するオーデータポケモン。

 

「成程、確かにクラウングループが聞いたら黙っていられないよねえ。僕に話したのは正解だったとしか言いようがない」

「イデア博士……!」

「世の中には、人の善意を利用して騙して美味しい所だけ持っていこうとする悪い大人が居るからね。クラウングループなんてまさにそんな連中の集まりさ」

「……ええ。身を以て分かってるつもりよ」

 

 イデアの目が一転して真剣なものへと変わる。

 

「……本当に? 今この地方で起きてるおかしなことに気付いてる?」

「……どういうことかしら」

「先に言っておく! 僕は僕で、独自に調査を進めててね。君達の利害と、僕達の利害はきっと一致する」

「じゃあメイド喫茶に居たのも」

「いや、それは本当に休憩してただけ」

「ああ……じゃあ、この町に居たのは僕達をひっそりと付けていたから」

「いや、それも本当にたまたま。正直ビックリしてるよ? いや本当に」

「……」

 

 そこは嘘でも恰好を付けてほしかった、と思うイクサであった。

 

「いやーねぇ、君にバトルを挑んだのは改めて試したんだよ。……此処から先の戦いに付いて来られるかをね」

「どういうことかしら」

「シトラスのお嬢さん。確か今、君は自分の会社を奪われ、更に生徒会長襲撃を教唆した罪で追われてる。イクサ君は実行犯だ」

「……そうなるのかしら」

「良かった、合ってた。それで、アトムは学園の生徒達に君らを追わせてる。正直ね、彼らが暴れてるので大分被害は出てるんだよ。でも──警察は穏当に済ませてる」

「……え?」

 

 レモンは驚愕する。

 この間の無限書庫の襲撃。

 そして、ドーガの村の襲撃。

 いずれも無関係の民間人に被害を出したということで、大騒ぎになっていそうなものだが──

 

「1つは、被害者たちの証言があいまいな事」

「多分イテツムクロの力ね。だけど、そう簡単に隠しきれるものなのかしら。キャプテンが証言すれば──」

「君らね、遊ばれてるんだよ。やろうと思えば彼らはもう……どんな手を使ってでも君らを捕まえられるのさ」

 

 イクサとレモン、そして──横で聞いていたコナツの顔も凍り付く。

 

 

 

「……オシアスはとっくに、汚染され切ってるのさ。クラウングループにね」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「何故だッ!! 警察は、平和と安全を守るのが仕事だろうッ!! どうして、このような事を……ッ!!」

「悪いね。上からの命令だ」

 

 

 

 太陽の遺跡の前でアジュガを取り囲むのは、ポケモンを出した警官たちだった。

 流石の彼も一騎当千というわけではない。苦手な氷タイプに囲まれ、ガブリアスは既に満身創痍だった。

 

 

 

「……邪魔をするキャプテンは事が終わるまで牢屋に入れておけ……ってな」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「無限書庫に違法薬物を隠していた罪でトト館長を──うちのキャプテンを逮捕する……ッ!?」

「令状はとっくに出てるんだよ。神妙にお縄に付けい!!」

 

 その日、無限書庫に突きつけられたのは事実無根の罪による逮捕状であった。

 そして間もなく、警官たちはポケモンを連れ歩きながら、書庫のバックヤードに侵入する。

 しかし、その前に毅然とした態度でトトが彼らの行く手を阻んだ。

 

「……私一人で事が済むのならば」

「トト館長……!? いけません!」

「抵抗しても無駄のようですし──大事な本に傷が付いてはいけませんから」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 イクサの額に嫌な汗が伝う。

 直近で思い出したのは、レモンの叔父が大怪我をした件だ。

 事件性を一切考慮せず、警察は「事故」と断定した──

 

「この地方の行政だとか、司法だとか、そういう場所に奴らと関係の深い人間が入り込んでる……!」

「バカね!? 司法機関よ!? 警察のトップよ!? そこまで汚染が進んでいるなんて──」

「正解。今の警察組織のトップは、クラウングループとズブズブだ」

 

 レモンは驚愕した。まるで漫画の中の話のようだった。

 しかし、そんな話は彼女の耳でも聞いた事が無い。

 

「待って頂戴。意味が分からないわ。私も初めて知ったのだけど……!? それじゃあ何!? 叔父さんの件が事件として立件してないのは──」

「ああ、シトラスグループCEOが大怪我したってアレね。……握り潰されるだろうね、事故として」

 

 レモンの血相が変わっていく。

 警察も──クラウングループと共犯だ。

 彼らの有利になるように手続きを踏むだろう。

 今は警察を動員してイクサ達を追うまではしていないものの、もしもクラウングループのCEOが痺れを切らせば、強硬手段に出る可能性は高い。

 

「あの学園の生徒会に、姓と名を変えて入り込んでる奴がいる。そいつの父親が──今の警察のトップだよ。裏からオシアスを牛耳る為に子供を潜り込ませ、自分はクラウングループが侵食する手助けをしてるってわけだね」

「ッ……そんな人が生徒会に……!?」

「レモンさんも知らなかったんですか……!?」

「戸籍を変えて潜られていたら分からないわよ……!」

「結論から言おう。この地方は腐敗しきってる。()()()()()と言っても良い。シトラスの令嬢……レモンちゃんだっけ? 君はこの間いきなり自分の会社を分捕られたと思ってるんだろうけど」

 

 イデアは──冷たい目でレモンを見下ろす。

 

「……とっくに、侵略の準備は奴らには出来てたってところさ。君も知らないところでね」

「ッ……」

「僕も事が起こってから事態の全容を把握したからね。恨まないでおくれよ」

 

 沈痛な空気が周囲を包む。

 特に、不意打ちでこの地方の闇を聞かされたコナツは、困惑を隠せないようだった。

 

「こんなの、オシアス地方を敵に回すようなものじゃないですか……!」

 

(昔読んだポケスペのXY編じゃないんだぞ……!?)

 

 ゲームとは違う展開が多いメディアミックスの中でも、「ポケスペ」──「ポケットモンスターSPECIAL」は特にアレンジが強い事で知られている。

 カロス地方はフレア団に侵食されてしまっており、マスコミも警察も政財界も全てが汚染されてしまっており、主人公たちは地方一個を敵に回しながら逃亡生活を続けるというものだ。

 

「地方が敵? それならまだ可愛いもんだよ」

「いや、可愛いくないでしょ……オシアス、腐り切ってるじゃないですか」

「僕が此処に来たのはね……似たような事例がサイゴクでも起こったからなんだよ。企業が次々に乗っ取られて、開発計画がゴリ押し。その結果、大事な()()()()のある土地が更地さ。表向きの手続き自体は合法的な分、まだ悪の組織の方がマシまであるね」

「えっ……? 待ってください。それって──」

「君達、海外の情勢とかわざわざ調べたりしないでしょ? そんな余裕無いだろうし──ネットの情報も既に統制されてるだろうし」

 

 果物は一部が腐れば、徐々に全てが腐敗していく。

 

「正直ね、僕も途方に暮れてるんだよね。だって、サイゴクだけじゃなくって、ジョウトも、ホウエンも、カントーも、シンオウも……()()()()()()()()()()()()って報告が来てさあ、ビックリしちゃった」

「何よそれ……聞いてないわよ……!!」

「ああ。勿論全世界がってわけじゃないんだけどさ……クラウングループって国際企業だからね」

 

 腐敗はとっくの昔に起こっており、そして果実全てに侵食した後。

 誰も知らない間にそれは──完了していた。

 

 

 

「君達さぁ……()()()()になる覚悟って……ある?」

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