再審制度見直し「間違いが起こり得ることを前提に」…袴田さんの審理を担当した元最高裁判事・宇賀克也さん

2025年12月22日 06時00分 会員限定記事
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 7月まで最高裁判事を務め、静岡県一家4人強盗殺人事件で再審無罪が確定した袴田巌さん(89)の事件などを審理した宇賀克也・東京大名誉教授(70)が東京新聞のインタビューに応じ、見直しの議論が進む再審制度について「検察官は原則、すべての証拠を再審請求人に開示する必要がある」との見解を示した。再審開始決定に対する検察官の不服申し立ては、審理の長期化を招いているとして「禁止するべきだ」とした。(聞き手・三宅千智)

◆「検察官は不服があれば再審公判の場で有罪立証を」

 ──任期中は袴田さん事件のほか名張毒ぶどう酒事件、大崎事件の再審請求の審理で、いずれも法廷意見に反対し「再審を開始するべきだ」との反対意見を付けた。

再審制度の課題について話す元最高裁判事の宇賀克也さん=東京都千代田区で(松崎浩一撮影)

 決して予断を持って臨んだわけではない。新証拠と旧証拠、訴訟記録を全部読み、自分なら有罪判決を出せるだろうかと考えると、とても出せないと思った。新旧証拠を総合評価し、有罪に合理的な疑いが生じれば再審開始を認めるとした最高裁の「白鳥決定」(1975年)、「財田川決定」(1976年)の基準に忠実に従うと、確定判決に合理的な疑いが生じざるを得なかった。
 ──再審事件の審理の長期化が問題視されている。
 長期化の要因は二つあると思う。一つは被告人に有利な証拠が長い期間、出てこなかったこと。検察官が職権で集めた証拠は本来、国民の共有財産だ。プライバシー侵害など支障がある場合を除いて、証拠はすべて再審請求人に開示することが必要だ。検察官は公益の代表者であり、起訴してとにかく有罪に持ち込むことが本来の目的ではないはずだ。処罰するべき人を処罰するのは重要な仕事だが、無実の人を処罰することは絶対にあってはならない。それを防ぐために証拠はすべて再審請求人に開示するべきだ。
 もう一つは、いったん再審開始決定が出ても、検察官の不服申し立てによって長引いている点だ。再審開始決定は無罪判決とは違う。検察官は不服があれば再審公判の場で有罪立証すればよい。

◆「自分が同じ立場に置かれたらどうかを常に考える」

 ──再審制度の見直しは確定判決の軽視につながり、刑事司法への信頼が揺らぐとの指摘もある。

法務省(資料写真)

 懸念も分かるが、それほど心配する必要はないのではないか。再審事件の審理を経験して思ったのは、日本の裁判実務において、再審の扉が非常に狭いということだ。一度確定した判決を安易に見直すべきではないとの考え方がとても強い。例外的に、明...

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    みんなのコメント1件

  • ユーザー
    大手町の従業員 12月23日21時13分

    こういう裁判官が増えるといいのですが。

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