BBCが報じた別の件では、2024年10月、ウラジーミル州の採用センター職員3人が逮捕された。新兵に対して発行されたSIMカードを横取りし、紐づけられた給与口座から1100万ルーブル(約2100万円)以上を盗んだ容疑だ。ベルゴロド州でも、公務員が新兵の口座を自分の電話番号に紐づけ、100万ルーブル(約190万円)以上を着服した疑いで捜査を受けている。
ロシア国民たちは凶暴な元兵士たちの帰還を恐れ、その兵士たちは出国中に知らぬ間にロシア国内の犯罪者らに銀行口座を荒らされている。口実を付けてはウクライナを目の敵にするロシアだが、もはや兵士と国民の間に結束はない。
ロシア国民が揺らぎ始めた
こうした状況の中、ロシアは今後も兵力を維持できるのか。CEPAは否定的な見方を示している。
ロシア人が前線に志願する最大の動機は金だ。契約時に8500ドル(約130万円)以上を受け取れるうえ、月給も2000ドル(約31万円)以上と平均賃金の2倍に達する。だが親クレムリン派のテレグラムチャンネル「ネジガール」でさえ、短期的な利益を期待して入隊する「最後の列車効果」は「ほぼ尽きた」と認めた。
最後の列車効果とは、志願兵が「高給を受け取るが実際には戦わずに済むはず」という楽観的な期待を抱いて入隊する現象を指す。出発直前の列車に乗り込むように、戦争末期に駆け込んで利益だけを得られると考えたのだ。
しかし、兵員不足や上官による虐待などの現実が国内にも漏れ伝わるようになり、こうした幻想は崩壊した。手を挙げる者は目に見えて減少している。
こうした腐敗や未払いなどの実態は、独立メディアを読む層のほとんどない地方にも、漏れなく伝わり始めている。語り部は帰還兵やその家族だ。プロパガンダでは英雄として称えられる彼らの証言だけに、その言葉は重い。
高額報酬という餌の正体が知れ渡るにつれ、前線で一旗揚げようとする者は減り続けるだろう。軍の腐敗を認識し始めた、ロシア国民。「正義の戦争」を信じ続けることは、ますます難しくなるだろう。