ポケモン廃人、知らん学園に入学した。【完結】   作:タク@DMP

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というわけで「ポケモン廃人、知らん学園に入学した。」、怒涛と波乱の後半戦開始!!


第五章:ポケモン廃人、逃亡者になる。
第61話:マッチにポンプというかマッチにガソリン


 ──それは、新学期が始まってすぐの迷宮演習が終わった日の事だった。

 イクサ達が外のベンチで座りながら談笑する傍ら、ポケモン達はフーズを元気よく頬張っている。

 その中には、ぽりぽりと木の実を食べる子供のような等身のポケモンがあった。頭と目からは炎が噴き出していて、頭を触るとほんのり暖かい。

 その姿を微笑ましく、イクサも、そしてハッカとテマリも見守っている。

 はぐはぐ、と木の実を齧り終わると小さな煙を噴き出した。

 

「へぇー、()()()()! なかなか珍しいポケモン見つけたやないか──イクサ!」

「かーわいーっ!」

「ああ、ちょっと炎タイプが欲しいなって機会があって……探していたら丁度良いのが見つかってよかったよ」

「ボウ?」

 

【カルボウ ひのこポケモン タイプ:炎】

 

「しかしどうやって捕まえたんや?」

「いや、捕まえたっていうか……自分から捕まったっていうかさ──キルリアに釣られてきたっていうかさ」

「ボウボウ!」

「きー?」

 

 キルリアに献身的に木の実を渡そうとするカルボウ。しかし、石ころに蹴躓いて転んでしまい──

 

「びええええええええ」

「ああ……」

 

 ──泣き出してしまうのだった。

 

「ちょっとちょっと、何やってるのさ、もう……ほらほら、痛くないだろ、カルボウ」

「きー……」

 

 呆れたように肩をすくめるキルリア。彼女に一目惚れして、トコトコとついてきたカルボウだったが、どうやら一人前の騎士になれるのは大分先のようだ。

 

「因みに性別はどっちなんや」

「キルリアもカルボウも♀だよ」

「あー……お姉様ーって慕ってはる感じなんかな。キルリア綺麗やもんね」

 

 キルリアに泣きつくカルボウを見ながら、テマリはそう分析する。だが、まだまだ赤ん坊が抜けないのか、抱きかかえても若干べそをかいていた。

 

「ボウボウ……」

「タマゴグループが同じだし、惹かれ合うものがあるのかもね」

「早くキルリアを守れる騎士(ナイト)にしてあげたいけどね。うーん、どっちに進化させるか迷うよ」

「ボウ?」

 

 ──イクサの知る限り、このカルボウというポケモンは2つの進化形を持つ。

 炎タイプであることは共通しているが、第二タイプがそれぞれ異なるのだ。

 1つは、エスパータイプに進化するグレンアルマ。紅蓮に燃える装甲とカノン砲を持ち、重射撃を得意とするポケモンだ。

 もう1つは、ゴーストタイプに進化するソウブレイズ。蒼黒く燃える鎧と剣で、高速剣戟を得意とするポケモンである。

 それぞれは種族値も戦い方も対照的であり、どちらに進化させてもイクサのパーティにとって重い格闘タイプへの対抗策になりえる。

 

「オシアスでは、カルボウの進化に必要な道具は何処で手に入るの?」

「迷宮で手に入るらしいで。ただ、たまーに骨董屋に落ちとるかもしれへんなぁ」

「へーえ、先輩たちにも聞いてみようかな──」

 

 とイクサが言ったその時だった。

 

 

 

 ──遠巻きから、砲が爆ぜる音が大きく鳴り響く。びっくりしたカルボウが、また泣き出してしまった。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──9月。学園の秩序は此処に来るまでに大きく変化した。

 夏休みに行われた”オーデータ・ロワイヤル”により、ファイヤー寮とフリーザー寮では大規模なクーデターが発生。

 寮長がリンチされた上に、オーデータポケモンを奪い合う乱闘まで発生する事態に陥った。

 しかし、肝心のアマツツバサとイテツムクロは、プレイヤーキラー……もとい生徒会執行部の手によって回収されてしまい、結果的にこのゲーム自体が生徒会による一人勝ちという結果に終わってしまったのである。

 更に、オーデータポケモンを自らの部下に配った生徒会長・アトムは、彼らを空席となった寮長の椅子に座らせてしまった。

 これにより、ファイヤー寮とフリーザー寮は実質的に生徒会の傀儡と化したのである。

 現状、生徒会は次の手に打っているわけではないが──裏切りを受けた寮長のラズとシャインは、未だに姿を見せていない。

 学内では、裏切りを受けた彼らを情けないリーダーと見做す者、同情する者、裏切者たちに怒りを燃やす者と様々。  

 既に反寮長派と親寮長派による衝突も起きている。

 ……丁度このように。

 

 

 

「オラオラオラァ!! 我らラズ様非公認ファンクラブ!! テメェら裏切者に鉄槌を下ァす!! その為なら命を賭しても構わないよ!! オールハイル・ファイヤーッ!!」

「オールハイル・ファイヤーッ!!」

 

 

 

 「玉砕覚悟」と書かれたハチマキを頭に巻いた女子生徒が、重機の搭乗口から身体を出していた。

 巨大なサイの怪物を模したその重機は、ガタガタとキャタピラを鳴らしながら、ポケモン達と交戦している。

 ズドン、ズドン、と”がんせきほう”を撃ち放ちながら、暴れるその姿は鬼神の如く。

 

【ドサイドン型裏切者抹殺重機”じしん君1号”】

 

「ダ、ダメだ!! 手に負えねえ!!」

「風紀委員だ!! 風紀委員を呼べ!!」

「我々はァ!! あの寮長代理なんぞに大人しく従う、そんなお前達が嫌いだァ!! 我々が信奉するのはラズ様のみ!! ハイル・ラズ様ァ!!」

「あーもう滅茶苦茶だよ」

 

 駆け付けたイクサ達は、巨大なドサイドン型戦車が暴れているのに驚愕する。

 狙いは恐らく同じファイヤー寮の生徒達。逃げ惑う相手にも容赦なく技を撃ちこむ重機は、既に学内の設備にも被害を出している。

 

「おいおいおい、正気じゃないなあ、もう……」

「まーた暴れとるやんけこいつら……春の時が懐かしいわ」

「来るなら来い、偽りの寮長!! あたし達は断固戦ってみせるぞぉう!!」

「うちら3人がかりで止める!?」

「止めるしかないでしょ、見ちゃったもんは……」

「むっ、その姿は何時かの転校生ェ!! 元はと言えば、お前がラズ様に勝っちゃったからこんな事になったんだァ!! その命を以て償えェ!! オールハイル・ファイヤーッ!!」

「過激派っぷりが悪化してる……」

 

 

 

「ちょっと待てェい!!」

 

 

 

 何処からともなく声が聞こえてくる。

 現れたのは──甲殻を乗せた海竜を模した巨大な重機であった。

 

 

 

【ラプラス型裏切者滅殺重機”れいとうちゃん1号”】

 

 

 

 がらがらがらとキャタピラの音がまた聞こえてきて嫌な予感がしたが、まさかまさかの2台目である。

 どたどた、とフリーザー寮の生徒達が追いかけられており、どうやら彼らも追いかけられてきたようだった。

 

「ひぇぇぇー、お助けぇぇぇーっ!!」

「あたし達、今の寮長代理はシャイン寮長と違ってすぐ脱いだりしないから助かるって言っただけなのに!!」

「それが叛逆行為だと何故分からん、痴れ者めがぁぁぁーっ!! 二度とこのような事が無いように、俺達が矯正してくれるわーッ!!」

 

 口からは”れいとうビーム”が放たれ、辺りのものを見境なく氷漬けにしていく。

 

「我らシャイン様非公認ファンクラブ!! テメェら裏切者に鉄槌を下ァす!! その為なら命を賭しても構わないぜ!! オールハイル・フリーザーッ!!」

「もう良いよ、もう良いよ!! 似たようなの出て来なくて良いよ!!」

「むっ、その声は転校生ェ!! お前に特に恨みはないが、俺達の憂さ晴らしの為に此処で倒れてもらうッ!!」

「うっげぇ、何やねんこいつら!! こっちが何もしてへんのに因縁吹っ掛けてくるやんけ!! 終わりや終わり!!」

「最悪やね……」

 

 イクサ達に最早戸惑いは無かった。

 3人は一斉にボールからポケモンを繰り出す。

 

「イワツノヅチッ!! ドサイドンの重機を止めるんだ!! オーライズは……”マリル”!!」

「行くでオクタン!! こっちはラプラスを止めるで!!」

「お願い──エルフーン!!」

 

 ハッカは、相棒でもある赤いタコのポケモン・オクタンを繰り出す。

 一方でテマリが繰り出すのは、もこもことした綿を頭と体に纏った妖精のようなポケモンのエルフーンだ。

 エルフーンはふわふわと宙を漂うと、すぐさま”れいとうちゃん1号”の周りに巨大な綿を生やし、動きを抑え込む。

 

「な、何だァ!? 動きが止まったァ!?」

「”わたほうし”よ! おいたは、めっ! やから!」

「ええい、動きが止めたところで無駄だ! ”れいとうビーム”で凍らせてしまえ!」

「動かなくなっただけで上々やねん、ドアホ。オクタァン!! ”10まんボルト”で反撃やぁ!!」

 

 ぶつかり合う”れいとうビーム”と”10まんボルト”。

 その出力はオクタンの放った電撃の束が上回り、あっさりと重装甲の兵器を感電させる。

 

「ほぎゃあああああああ!?」

 

 悲鳴が中から聞こえてきた。

 どうやら電気はよく通るらしい。

 更に追撃と言わんばかりに、空中をふわふわと漂うエルフーンが”ムーンフォース”を放つ。

 巨大なエネルギー弾が戦車を襲い、装甲の一部がめくれて爆ぜた。

 一方──

 

「な、何だぁぁぁ!? この馬鹿力はぁぁぁ!?」

「文字通りの、”ばかぢから”だよ!!」

 

 イワツノヅチは、重機以上の体躯を持つパワーファイター。

 そのまま顎の力だけで”じしん君1号”を持ち上げてしまい、地面へ大きく叩きつける。

 だが、頑強な重機がこれだけでくたばるはずがない。

 大腕を地面に振り下ろし、今度は地面を震動させようとするが、それよりも遥かにイワツノヅチの方が早い。

 

「重くて遅いんじゃない。イワツノヅチは──重くて速いんだ!!」

 

 超硬化させた頭部を、大蛇は一気に振り下ろす。

 装甲はへしゃげ、電気系統も破壊され、重機は火花を散らす。

 

「や、ヤバいですリーダー!! もうまともに動きません!!」

「くっ、お前達……こうなったら最後にアレをやるぞ!!」

 

 車内で、ラズ様ファンクラブの面々は全員──ラズの白黒肖像写真を掲げていた。

 我ら生まれは違えど、推しは唯一人。その為に心臓を捧げると誓った同志なのだから。

 

 

 

「ラズ様ァァァーッ!! お空から見ていてくださァァァい!! ラズ様死すとも我らファンクラブは不滅ですゥゥゥーッ!!」

「推しを勝手に殺すなぁぁぁーっ!!」

 

 

 

【イワツノヅチの”アイアンヘッド”!! じしん君1号は壊れた!!】

 

 

 

 それが一番の不敬だと何故分からないのか。そろそろ滅びてくれねーかなこのファンクラブ、と切にイクサは願うのだった。

 渾身の第二撃が重機にトドメを刺した。ぼごん、と爆発と共に頭部が転げ落ちていく。

 一方、”れいとうちゃん1号”もオクタンとエルフーンによる同時攻撃で擱座し、この重機事件は幕を閉じたのだった。

 間もなく、風紀委員たちがやってきて、首謀者たちが連行されていくのが見える。

 

「はーい、お勤めご苦労様です……」

 

 イクサが彼らに挨拶をしていく。最早彼らとも世間話をする仲になりつつあった。

 初めて出会った時は、手錠を掛けられて連行されたのが記憶に新しい。

 

 

 

 

 カシャリ。

 

 

 

 ──そう。丁度まさにこんな感じに。 

 イクサの両腕には手錠が掛けられていた。

 周囲には摩股と特殊警棒を持った風紀委員が、何故か彼を取り囲んでいる。

 当然だが悪い事をした覚えなど一切ない。

 

「えーと、あの、どういう事ですか?」

「手錠掛ける相手間違ってはるよ?」

「せやで、風紀委員さん、そいつは重機をむしろ止めた側や、つまらん冗談は……」

 

 風紀委員達は、首を横に振った。

 

 

 

「──イクサ。お前を……生徒会長襲撃につき、学園転覆の疑いで……捕縛するッ!!」

 

 

 

 次の瞬間だった。

 校内放送が大音声で鳴り響く。

 

 

 

『全校生徒に告ぎます。昨晩、生徒会長・アトムの乗っている車が襲撃されました。事件時のドライブレコーダーの映像から、犯人は転校生・イクサであるとされており、見つけ次第これを捕縛されたし、繰り返します──』

 

 

 

 イクサは頭が真っ白になる。

 友人二人もそんなバカな、という顔でイクサを見つめていた。

 一番叫びたいのはイクサであった。全くと言っていい程、身に覚えが無いのである。

 

「オラッ!! きりきり歩けッ!!」

「いや、あの、待ってください!! 本当に何にも覚えが無いんですけど!!」

「せや!! そいつは無実や!! 連れてくんなら、俺らを止めて──うぐぅっ!?」

 

 バチバチと雷光が鳴り響く。

 そして、地面に巨大な電球蛇が現れ、ちろちろと舌を出していた。

 稲光の如き衝撃を前に、ハッカもテマリも戸惑うしかない。

 

「悪いけど、彼はうちの管轄で預かる容疑者よ」

 

 そして、電球蛇が居るということは──当然、それを従える彼女も居る訳で。

 学生帽、そしてブレザーを肩で羽織った、鬼の風紀委員モードのレモンが立っていた。

 

「あの、レモンさん!? これって間違いですよね!? 何かの間違いですよね!?」

「残念だけど、証拠は揃ってるの。来て貰うわよ、イクサ君」

「待ってください!! 信じて下さい、レモンさん!! 僕は……貴方の騎士(ナイト)です、誓って貴方に迷惑をかけるようなことはしてません!! しません!!」

「……連れていきなさい」

「待てィ!! 待てィや!! 言ったはずやで、そいつ連れてくなら、俺らを倒してからや!!」

 

 レモンの退路を塞ぐように、ハッカとテマリが立ちはだかる。

 友人は連行させない。そんな決意を露に、彼らはポケモンを従わせて立ち向かう。

 だが──勝てない。勝てるはずがない。

 相手は、メンタルを取り戻して”学園最強”と化したレモンだ。

 幾らオーデータ・ロワイヤルを勝ち抜いたとはいえ、ハッカで勝てる相手ではない。

 そんな事は本人も分かっている。

 だが、彼もテマリも、レモンの横暴を許しはしない。

 

「答えェや!! 何でイクサを信じてやらんのや!! こいつ、あんたン為に……あんたン為に決闘も、オーデータ・ロワイヤルも頑張ってきたんやぞ!! 何で、それを信じてやらんのや、風紀委員長ォ!!」

「せや!! いけずや、いけずすぎるよ、寮長さんっ!!」

「……私は学園を守る風紀の番人。私の前に例外は無い。私の風紀は、揺るがない」

 

 シャーッ!!

 ハタタカガチが威嚇し、オクタンに素早く絡みついて電気を流し込んだ。

 間もなく、オクタンは黒焦げになり、白目を剥いて倒れてしまう。

 そして、エルフーンは”わたほうし”を放ってハタタカガチの動きを封じようとするが、全身を電光に変えたハタタカガチはそれを逃れ、エルフーンの至近距離で──

 

 

 

「無力化させてもらうわ。”ヘドロばくだん”」

 

 

 

 ヘドロの塊をぶつけてみせる。

 草タイプとフェアリータイプに、毒タイプの技は効果抜群。

 エルフーンは斃れるしかない。

 

「ダメだ、二人共!! レモンさんは強い!! 勝てるわけが──」

「アホォ!! んな事分かっとるわ!!」

「ッ……」

「俺はァ……お前がどんな強敵相手でも諦めんで戦ってきたの、見てきたんや!! 最後まで諦めて堪るかァ!!」

「そうよ! うちらは、うちらはイクサ君の友達! 何があっても信じとるし、そのためならどんな相手でも戦うよ!!」

「……美しい友情ね」

「やかましいわ、この悪女!! その冷酷な面の皮剥がしたるさかい、覚悟せい──フライゴン!!」

「きばって──チルタリス!!」

 

 二人が繰り出したのは、ドラゴンポケモン2匹。

 フライゴンは砂漠に生息する、精霊の如き龍で、地面を自在に赤熱させる力を持つ。

 一方のチルタリスは、ふわふわの綿毛に包まれた鳥のような龍だ。

 

「はっ、そいつは地面が弱点や!! こいつには勝てへんやろ!!」

「加えて、眠らせてしまえば問題あらへん!! チルタリス、”うたう”攻撃!!」

「……学園の風紀は眠らない。決して。そして断じて──”エレキフィールド”」

 

 足元に地面が迸る。

 あらゆる者を眠らせてしまうチルタリスのハミングだが、ハタタカガチは電光の加護を受けてそれを跳ね除けてしまう。

 だが、フライゴンはハタタカガチを猛追し、地面に尻尾を叩き込もうとする。しかし──

 

「”へびにらみ”」

「ッ……!?」

 

 ギィン、とハタタカガチの目がフライゴンを睨み付ける。

 その圧倒的な覇気だけでフライゴンは戦意を失い、そして地面に倒れてしまうのだった。

 問答無用で相手を麻痺状態にする”へびにらみ”。それを圧倒的格上のポケモンから受ければ──もう戦うことなど出来はしない。

 

「”10まんボルト”」

 

 極雷がチルタリスを襲った。

 エレキフィールドで強化されたそれは、チルタリスを一撃で気絶させる。

 

「ま、負けるかァ!! 根性や!! フライゴン──ッ!!」

「──既に戦意を失ってるポケモンを無理矢理戦わせるのは感心しないわね。まあ……心意気は認めてやらない事は無いわ──」

「ッ……!!」

 

 ハタタカガチの周囲に鎧が纏われていく。

 

「──オーライズ”マンムー”」

「んなッ……!?」

「Oワザ……”フリーズドライ”」

 

 フライゴンの身体は一瞬で凍り付き──そして地面に落ちる。

 あまりの速さにハッカは対応する事すらできなかった。

 

(つ、強すぎる、ハタタカガチ……! しかもレモンさんは、これでもまだ本気を出してない……! 二人のポケモンだって、決して弱いわけじゃないのに……!)

 

「忠告しておくわ、二人共。もしもこの先……イクサ君を()()()()()()()

「……!」

「今のままじゃ……ダメ。オーデータポケモンには到底及ばない」

「くっっっそォ!!」

 

 ハッカは地面に手を叩きつける。

 完敗だった。もう、手持ちにはハタタカガチと戦えるようなポケモンは居ない。

 だが圧倒的な力を見せつけたにも関わらず、レモンの手が震えていることにイクサは遠巻きから気付いた。

 

「レ、レモンさん……ッ」

「……黙って付いてきなさい、イクサ君。これは寮長命令よ」

「……は、はい……」

 

 

 

──第五章「ポケモン廃人、逃亡者になる。」

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