ドラマ『スキャンダルイブ』に出演中の鈴木保奈美さんと横山 裕さん
CULTURE 2025.12.6

“攻め”の新・社会派ドラマ『スキャンダルイブ』が好評配信中!

鈴木保奈美さん&横山 裕さん(SUPER EIGHT)|敏腕上司と部下として初共演!芸能界の裏を描いたドラマが教えてくれたこと

芸能界のスキャンダルを、芸能プロダクション側の視点で描いたABEMAオリジナル連続ドラマ『スキャンダルイブ』。「そこまで描いていいの?」とも思える“攻めた”社会派エンターテインメントに、配信直後から引き込まれる人が続々。中盤にさしかかった今、物語を牽引するふたりが再会して、見どころを徹底解説します。

鈴木保奈美さん
俳優・文筆家
(すずき ほなみ)1966年生まれ、東京都出身。1984年に芸能界デビュー。1991年に主演を務めたドラマ『東京ラブストーリー』で大ブレイク。近年の出演作に、ドラマ『SUITS/スーツ』『プライベートバンカー』『人事の人見』、映画『ミステリと言う勿れ』など。読書好きとしても知られ、『あの本、読みました?』(BSテレビ東京)のMCをつとめる。『Precious』本誌では、趣味のひとつである旅をテーマに「Carnet de petite voyageuse 中途半端な旅人は語る」を連載中。
横山 裕さん
タレント・俳優
(よこやま ゆう)1981年生まれ、大阪府出身。2004年にCDデビュー。俳優としての代表作には、ドラマ『絶対零度』シリーズ、『ザ・クイズショウ』、『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』、『コタローは1人暮らし』シリーズ、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』、配信ドラマ『私の夫と結婚して』(Amazon Prime Video)など。2025年5月から1年間限定ソロプロジェクト『ROCK TO YOU』を始動。

「こんなセンセーショナルなストーリーを映像にしていいのだろうか」(鈴木)
「オレ、部下にしたらいいタイプですよ」(横山)

ドラマ『スキャンダル イブ』に出演中の鈴木保奈美さんと横山 裕さん
 

──本作が初共演のおふたり。それぞれお相手にはどんな印象をもたれましたか?

鈴木:歌って踊って弾けていらっしゃるところを、ずっと拝見してきたのですが、現場での横山さんはとても静かーにしていらして。まあ、緊張感があって笑顔もない作品なので、役作りでそうされているのかなと。待っている時間など、存在を消してますよね(笑)。

横山:よく言われます。気配を消してるとか、人見知りなんだねとか。

鈴木:人見知りなのか、すごく集中されているのか…。どっちなんだろう、話しかけてもいいのかな、なんて思ってました。私は、かつて横山さんが出ていらっしゃったドラマ『ザ・クイズショウ』(2009年・日本テレビ系)が大好きで、本当はそんなことも話したかったんですけど。きっと横山さんはすごく真面目で、情熱を秘めたタイプなんだろうなと感じました。

横山:もう…大変恐縮です。僕のほうこそ、保奈美さんの情熱をびしびし感じていました。俳優としてすごいなと思ったのが、終始何を考えているのかわからなくて、それが映像にもよく現れていて。横にいると、背筋がピンとなるんです。今もそうなんですけど(笑)。保奈美さんが演じた児玉蓉子は、笑っていても目が笑ってないし、ずっと怖かった。でも、カメラが止まったところでは優しくて、そのギャップに、なんだか混乱しました。どっちがホンマなんやろうって。

鈴木:横山さんは、芝居の時以外は、周囲に気を使っていて、すごく丁寧で…。そんなに、いいのに、って思うくらい。役では上司と部下でしたけど、リアルでもすごくいい部下になりそう。

横山:オレ、部下にしたらいいタイプです。はい、自分で思います(笑)。

「芸能界を舞台にしたドラマだけど、どの世界にもあることかもしれない」(横山)

ドラマ『スキャンダル イブ』に出演中の横山 裕さん
 

──おふたりとも、長年にわたってど真ん中にいる芸能界。その裏側を描いた『スキャンダルイブ』を、どのようにご覧になりましたか?

横山:いったい、何が正義なんだろう? なにが善でなにが悪なのか? 独立して間もない井岡 咲(柴咲コウ)の気持ちはわかるけど、敵対する児玉蓉子(鈴木保奈美)だって、一見怖くても、タレントや会社を思ってやったことなら、決して悪だとは思えないし。蓉子のような人、人間らしいというか、僕は好きなんですけどね。秩序は大事やし、でも古い体質は変わらなきゃいけないし…本当にどっちがいいのかはわからない。こんなふうに迷うのも、僕が中堅になってきたせいなのかな。

鈴木:それぞれの事情、それぞれの背景があって、ドラマではそこが明かされていくうち、善悪の立ち位置が変わって見えてくるんです。そのあたりは楽しいですよね。

私自身は、ドラマに出てくるような強引な人たちには、ずっと仕事をしてきても出会ったことがなくて、「そんなこともあるんだ」と思いながら観ていました。もしかしたら、大きな壁にぶち当たったり、振り回されたり、あったのかもしれないけれど、自分では気づかなかっただけかもしれません。そう思うと、すごく恵まれていたんだな。ありがたいことだな。つくづくそう感じます。

そして、こうした話題を現代のこのタイミングで描くということが、かなりスキャンダル。今のタイミングを狙ったわけではないそうですが…。

横山:数年前から企画していたらしいですからね。先見の明があったんですね。

鈴木:それでも、利害をめぐってぶつかるのは、いつの時代も普遍的なことですよね。ドラマとしてデフォルメした世界なのかと思っていたけれど、人間として真っ直ぐなものをもっている人たちがぶつかる、共感できるドラマなんです。

横山:そう、芸能界を舞台にしているけれど、人間ドラマであって、どの世界にでも…たとえば企業や政界にだって、あることかもしれません。

「テーマは『周囲を威圧するファッション』!(笑)」(鈴木)

ドラマ『スキャンダル イブ』に出演中の鈴木保奈美さん
ジャケット¥326,000・ワンピース¥312,400(ガブリエラ ハースト ジャパン)、ピアス¥71,900・リング¥316,700(トムウッド 青山店)、袖口レース・パールネックレス/私物

──配信が始まり、ラストに向けての展開が待ち遠しい今。ドラマ後半の楽しみ方を教えてください。

鈴木:実は、蓉子(鈴木さん)からすると明石くん(横山さん)が感情を出すのは、一度も見たことがないんです。このあと後半に向けて、彼の人となりがだいぶ見えてくるようなので、どう変わるのか、私自身も楽しみにしています。

横山:何が正義なのか、という話をしましたが、結局決めるのは自分やと思うんです。それを信じて、見極めて、という大事なメッセージが後半には込められています。信じた先に人に助けられたり、思いもよらないことが起こったり。そんな人間ドラマに、期待していただきたいと思います。

──保奈美さんのファッションもますます楽しみです。

鈴木:テーマは「周囲を威圧するファッション」!(笑)全身で威圧するというくらい、色もデザインもパワフルです。

横山:どこにいても服でわかるし、存在感がえぐいですもん。照明が当たっていなくても、「あっ、保奈美さんがいる!」ってわかりますからね。

ドラマ『スキャンダル イブ』に出演中の鈴木保奈美さんと横山 裕さん
 

──では最後に。「スキャンダル」にちなんで、おふたりそれぞれ「揉み消してしまいたいこと」があれば教えてください。

鈴木:先日、お芝居を見に行ったのですが、新国立劇場に行くつもりが、自信満々で池袋の東京芸術劇場に行ってしまったという失敗がありました。急いで向かって、オープニングにぎりぎりで駆け込みましたけど。

横山:スキャンダルでも失敗でもないんですけど…。グループのライブに向け、毎日ひとりで練習をしていて、とにかく「失敗しちゃいけない」という一心なんです。グループで集まって練習する時間が短いので、それまでにできるだけ完成度を上げておきたいから、少しも間違えられない。演技だって、ほかのメンバーの出演作を観るたびに「すごいなー」と思うから、負けてられないし。演技もバンドも、どちらも緊張感があります。


東京国際映画祭にも出品され、新タイプのドラマとして高く評価された本作。フィクションかノンフィクションか、想像しながら楽しむもよし。エンターテインメント作品としてストーリー展開にハラハラするもよし。好きな楽しみ方で、芸能界の裏側にたっぷり浸ってみるのはいかがでしょう。

ABEMAオリジナル連続ドラマ『スキャンダルイブ

 

芸能事務所・Rafaleの代表取締役社長を務める井岡 咲(柴咲コウ)は、4年前に大手芸能事務所・KODAMAプロダクションから独立し、Rafaleの看板俳優・藤原玖生(浅香航大)を育てあげた。一方、芸能週刊誌・週刊文潮の平田 奏(川口春奈)は、玖生の不倫スキャンダルを掴み、咲に記事を掲載する告知を突きつける。大手芸能事務所・KODAMAプロダクション社長として、父の後を継ぐ児玉蓉子(鈴木保奈美)、その部下で俳優事業部本部長をつとめる明石隆之(横山 裕)。児玉は咲の元上司として、明石は元同僚として、スキャンダル抗争にどう巻き込まれるのか…。スキャンダルの裏側に隠された新事実とは? ABEMAで無料配信中。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

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この記事の執筆者
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PHOTO :
トヨダリョウ
STYLIST :
犬走比佐乃(鈴木さん)袴田能生(juice/横山さん)
HAIR MAKE :
福沢京子(鈴木さん)
取材・文 :
南 ゆかり
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字幕翻訳家の戸田奈津子さん
CULTURE 2025.12.22

人生100年時代といわれている今、私たちはいつまでどんなモチベーションで働くのでしょうか?

現役で走り続ける人生の大先輩に聞きました「働き続けるということとは?」~字幕翻訳家・戸田奈津子さん~

人生100年時代といわれている今、私たちはいつまで、どんなモチベーションで働くのでしょうか? 雑誌「Precious」1月号では【80代の大先輩に聞きました「働き続けるということ」】と題し、現役で走り続ける人生の大先輩に「働き続ける」をテーマにインタビューを敢行。今回は、字幕翻訳家の第一人者としてご活躍の戸田奈津子さんにお話しをうかがいました。

TEXT :
Precious.jp編集部
BY :
『Precious1月号』小学館、2026年

80代の大先輩に聞きました「働き続けるということ」

「働く」ことと、「働き続ける」こと。年齢を重ね、キャリアを積んできたプレシャス世代にとって、その言葉の意味合いはまったく違ってくるはずです。

人生の折り返し地点がどんどん後ろ倒しになっている今、80歳を越え、現役で活躍する御三方に、「働き続ける」をテーマにインタビューを敢行しました。

今回は、字幕翻訳家の第一人者としてご活躍の戸田奈津子さんにお話しをうかがいました。

「映画が好き。それだけです。自分はどんな人間で、何が好きで、何をやりたいのか。それがわかれば、迷うことなんてないはずです」字幕翻訳家・戸田奈津子さん(89歳) 

字幕翻訳家の戸田奈津子さん
 

映画に夢中、字幕のおもしろさに魅せられた

『E.T.』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『トップガン』『レインマン』『タイタニック』『ミッション:インポッシブル』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『ハリー・ポッター』『007』…etc.

あの名作、あの大ヒット映画で必ずといっていいほど見かける “字幕 戸田奈津子” というクレジット。これまで手掛けた作品は2000本近く。89歳にして今なお現役で活躍する字幕翻訳界のレジェンド、戸田奈津子さんに「働き続ける」ことについて聞いてみた。

「40歳で本格的に字幕翻訳者としてデビューしましたから、この仕事を続けてもうすぐ50年近くになります。仕事を辞めたいと思ったこと? ないない! あるわけない。かすめたこともありません。だって、これしかやりたいことがないんですから。飽きたと感じたこともないですね。始めた頃と同じ気持ちで、今も毎日パソコンに向かっています。大好きな仕事です」と笑う。

戦後間もない東京で幼い日々を過ごした戸田さん。小学生のときに洋画と出合いカルチャーショックを受ける。

「キラキラした夢のような世界に夢中になりました。娯楽が少なかった時代、文化的なものや美しいものにみんなが飢えていたんだと思います。特に高校時代に観た『第三の男』にはシビれました。50回以上は観たという感じ。何度も観ているうちに英語でなんと言っているのか気になり、次に原文と字幕の関係が気になって。なるほど、字幕は直訳ではなくセリフのエッセンスを日本語に置き換える仕事なんだと知ったときは感動しました。

このとき、漠然と字幕翻訳の仕事がしたいと思ったんです。とはいえ、今みたいにパソコンでなんでも調べられる時代じゃありません。どうしたら字幕翻訳者になれるのかわからず、唯一の手掛かりは、画面にクレジットされていた “日本版字幕 清水俊二” というお名前でした。電話帳で住所を調べ、大学生のとき、清水先生に『字幕翻訳の仕事がしたいのですが』というお手紙を書いたんです。大胆ですよね(笑)。先生はお会いしてくださいましたが、『困ったな、難しい世界だから』とおっしゃって。がっかりした気持ちと、あきらめないぞという思いと両方を抱いて帰りました」

あとになって、清水先生の言う「難しい」の言葉の意味を理解したという戸田さん。これだけ多くの作品が海外からやってきても、字幕翻訳の仕事を手掛けられるのは十数人。狭き門であると同時に、字幕翻訳の技術そのものも難しい。もちろん、ノウハウを教えてくれる人などいない時代だった。

「大学卒業後は、縁あって生命保険会社の社長秘書に。得意の英語は生かせたものの、とにかく退屈で(笑)。一年半で辞め、今でいうフリーターに。幸い、翻訳の仕事は次々にあって、通信社や広告代理店の仕事をしていました」

「夢を追うには覚悟が必要。ダメな可能性もあると腹をくくることも大切です」

字幕翻訳家の戸田奈津子さん
 

40歳でやっと字幕翻訳者デビュー。

「普通の人と比べて20年もキャリアスタートが遅れているわけです。究極の狭き門ですから、最初から腹をくくっていました。夢が叶う可能性は五分五分。ギャンブルです。思い続ければいつか夢は叶う、というのはちょっと甘い。ダメな場合も半分あることを認識したうえで目指しました。かといって、歯を食いしばって耐えた苦難の20年というわけじゃない。そんな性格じゃないんです。楽しいこともしたし、英語を生かす仕事は次から次にあったからお金に困ったことはなかった。映画の仕事(あらすじづくりや翻訳、通訳など)にも携わり、結果的には字幕翻訳の仕事ともつながったわけですが、強い覚悟をもって夢を追いました」

この仕事が好き 迷ったことは一度もない

転機となったのは、1976年、『ゴッドファーザー』シリーズで多くの映画賞を受賞しているフランシス・F・コッポラ監督との出会い。

「来日の際、通訳兼ガイドとして、一緒にさまざまな場所を巡りました。あとになって知りましたが、『地獄の黙示録』の字幕担当者を決める際、コッポラ監督が “彼女は撮影現場でずっと話を聞いていたし、字幕をやらせてはどうか” と推薦してくださったそうです。大作を新人に任せることは映画会社も賭けだったはず。感謝しかありません」

『地獄の黙示録』は大ヒット。これを機に、各社から仕事が舞い込むことに。

「以降も字幕翻訳と通訳の二足のわらじ生活。おかげで、たくさんの監督や出演者とお付き合いするきっかけになりました。貴重な経験です」

映画一本につき、字幕翻訳作業にかかるのは1週間から10日ほど。年間約50作品を担当していたという。

「もともと仕事は早いほうで、締切に遅れたことは一度もありません。だいたい8時くらいからパソコンに向かい、17時には終了。食事は軽く2回、おやつは食べず、夜は1、2杯お酒を飲む程度。健康面で気をつけていることは特になく、しいていえばしっかり寝ることくらい。運動は大嫌いだし、散歩もジムも興味なし(笑)。どんなに仕事が立て込んでも元気で、寝込んだことはありません。肩こりくらいかな。こればかりは親から譲り受けた健康なDNAに感謝です。ただ、目は酷使したせいか黄斑変性症に。片目は見えませんが、幸い、目はふたつあるから、片目で仕事をしています」

「知らない世界を旅し、味わったことのない体験ができる。こんな楽しい仕事はない。映画と、字幕翻訳という仕事に出合えて、私は本当に幸せです」

歳を重ねると、体力や集中力の低下、定年後のキャリアなど悩み多きプレシャス世代。仕事ってなんですか。戸田さんにそんな悩みをぶつけてみた。

「しなきゃいけないこと=仕事だと思っているのなら、私の場合は違います。仕事=生きること、生活です。まったく嫌なことじゃない。むしろ楽しくて十分に満足。ほかにいい仕事があるかなんて迷ったことはありません。だって字幕翻訳がいちばんやりたくて、私にはこれしかないと思っているから。義務じゃない、楽しめる仕事を見つけられたらいいと思います。

何をしていいかわからないとよく聞くけれど、誰だって好きだと思うことのひとつやふたつあるはず。自分はどういう人間で、何が好きで、何をすべきかを突き詰めて考えてみてはどうでしょう? 90歳を前にして、今、つくづく思うんです。人生はほんとに短い。あっという間です。だから、いやいや仕事をして過ごすほどもったいないことはない。せっかく命をもらっているのに申し訳ないじゃない?」

SNSはいっさい見ない、やらないという戸田さん。テレビはニュースとドキュメンタリーを観る程度だとか。

「見なくてもいい情報に触れて誰かと比べたりしないで、自分を信じて、自分の道を選択してください。今の人は、携帯電話の中の世界がすべてのように感じます。一歩でいいからそこから飛び出してほしい。想像以上に広くて素晴らしい世界が広がっているはず」

自分が生きていて体験できることなんてごくわずか。だからこそ本を読み、映画を観て想像力を羽ばたかせ、自分の世界を広げるべき、と戸田さん。

「映画の中では、どこへでも飛んでいけます。宇宙でも海底でも砂漠でも。あるいは人の心のひだの中までも。未知の世界を旅し、味わったことのない体験ができる。それこそが映画の魅力です。字幕翻訳作業は、そんな旅をしながら、すべてのキャラクターになりきって、頭の中でお芝居ができる仕事です。ただの翻訳じゃなく、エモーションでセリフを翻訳する。俳優の役づくりと同じ。冒険したり、スパイになったり、恋愛したり離婚したりと、ハラハラドキドキの連続です。こんな楽しい仕事はありません。私は、映画に、この仕事に出合えて本当に幸せです」

【戸田奈津子さんの仕事年表】

字幕翻訳家の戸田奈津子さんの仕事年表
 

『地獄の黙示録』によって、字幕翻訳者としての道が確立!

字幕翻訳家の戸田奈津子さんとフランシス・F・コッポラ監督
1976年、フランシス・F・コッポラ監督来日時。通訳兼ガイドを担当。

親友であり盟友であるトム・クルーズと!

字幕翻訳家の戸田奈津子さんとセレブたち
左/2025年5月『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』での来日時に。右上/「ジョニー・デップは、どんな質問にも本音で答えようと、真摯に言葉を選ぶ。誠実な姿勢が素敵」と戸田さん。右下/『タイタニック』がレオナルド・ディカプリオとの出会い。世界で初めて上映されたのが六本木の東京国際映画際。
字幕翻訳家の戸田奈津子さん
2025年6月、88歳の節目にヨーロッパ旅行へ。左/バルセロナはサグラダ・ファミリアへ。右/パリ、小さなアートシネマの前で。

【戸田奈津子さんに一問一答!】

Q.好きな言葉は? 好きなことを見つけて、それに生きる。イヤなことはしない。
Q.生まれ変わったら何になりたい? 別の時代に行けるならルネサンス時代に生まれてあの時代の素晴らしい芸術を堪能したい。
Q自分を動物にたとえると? ナマケモノ。
Q.推しはいますか? 大谷翔平さん。彼はすごい! 彼が出るシーンは夢中で観てしまいます。
Q.超能力がもらえるなら? 何もいらない。もう十分。みんな欲張りなんじゃない?
Q.好きな時間は? 寝るとき。寝るのが大好き。
Q.最大の後悔は? ない。あったとしても忘れた。クヨクヨしないのが長所なので。

PHOTO :
篠原宏明
EDIT&WRITING :
田中美保、佐藤友貴絵(Precious)
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