日韓慰安婦合意10年 履行「棚上げ」続く 韓国政府、合意尊重も国内から見直し求める声
日韓両政府が旧日本軍の従軍慰安婦問題の最終解決を目指した2015年の日韓合意から、28日で10年となる。韓国の李在明(イジェミョン)政権は合意を尊重する立場だが、元慰安婦や支援団体には、日本政府による法的責任の認定や、公式謝罪を求める声がなお残る。ソウルの日本大使館前にある慰安婦被害を象徴する少女像も撤去されていないなど、合意は事実上の「棚上げ」が続く。 「慰安婦合意を破棄せよ」。24日、ソウル中心部の日本大使館近く。慰安婦問題を巡り日本政府に抗議する支援団体による毎週恒例の「水曜集会」で関係者が訴えた。 合意は日本政府が当時の安倍晋三首相による「おわびと反省」の意を表した上で、元慰安婦を支援する財団に10億円を拠出。合意時点で生存していた元慰安婦47人のうち35人と遺族らが現金を受け取ったが、革新系の文在寅(ムンジェイン)政権が18年、一部の元慰安婦に現金受け取りを拒まれたまま、財団を解散した。 合意は破棄されず、今年6月に就任した革新系の李大統領も維持する考えを示している。ただ、財団の解散で日本側拠出金の残金56億ウォン(約6億円)の扱いは宙に浮いている。韓国政府が「適切な解決へ努力する」とした大使館前の少女像についても、世論の反発などを懸念し、撤去に手を付けられていない。
韓国政府が認定した元慰安婦は年々他界し、現在の存命者は6人。合意には「元慰安婦の名誉と尊厳の回復」がうたわれ、元慰安婦を支援する代表的な団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」の李娜栄(イナヨン)理事長は「日本が加害の法的責任を認め、心から謝罪することが名誉と尊厳の回復の前提となる」と話す。 ただ、韓国社会では、正義連に20年以降、資金不正疑惑が浮上したこともあり、慰安婦問題への関心は低下しつつある。最近は右派団体が少女像の撤去を主張する集会を大使館近くで開き、少女像は警察によりフェンスに囲まれている。 一方、日本政府は慰安婦問題については合意で「最終的かつ不可逆的な解決」をみたとの立場だ。韓国の元慰安婦らは日本政府を相手取り、被害への損害賠償を求める訴訟を起こし、21年以降、3件で原告勝訴が確定したが、日本政府は賠償に応じていない。 慰安婦問題は最近の日韓首脳会談でも触れられず、日本政府関係者は「蒸し返さないためにも、そっとしておく方がいい」と話す。