2025年度補正予算が成立し、臨時国会が閉会した。高市早苗首相は国民民主、公明両党の賛成を取り付け、終盤国会を乗り越えた。内外に存在感を示した高市内閣の評価はどうか。
高市首相は、自ら言うとおり「働いて働いて働いた」と言える。
高市首相は10月21日の就任から12月初旬まで夜の会食(宴会)ゼロだった。首相動静をみても、官邸外での夜の会食を一切行わず、連日議員宿舎へ直帰して深夜まで政策の勉強や翌日の国会答弁の準備に充てる生活を続けている。
首相周辺に話を聞くと、G20から帰ってきて、自分の分と夫の分のたまった洗濯をやりながら、党首討論の準備をしていたという。
12月5日に自民党幹部と初の会食を行ったが、これは例外中の例外。これは補正予算審議のためだ。結果として、補正予算は、国民民主、公明両党が賛成したので上々の出来である。
高市首相が陣頭で国会対策するというより、政策の出来で各党の賛意を誘導して、自民党幹部が最終的な賛成を取り付けたのだろう。この方式は、これまでの自民党にないスタイルである。まさに、女性初の首相で国会スタイルも大きく変貌した。
補正予算自体はいい数字だ。規模として、20兆円ほどのGDP(国内総生産)ギャップを確保しており、インフレ目標2%と整合的である。
一部のマスコミは、内閣府が推計するGDPギャップは直近の7~9月期がマイナス0・0%であるとしてインフレ加速という。財務省幹部は「いまの政権は対外的に物価高を容認すると取られてもおかしくない」と語ったと報じられているが、内閣府の推計は潜在GDPを低く見積もっており、間違いだ。
ただし、日銀が利上げの意向であり、政府はアクセル、日銀はブレーキのチグハグさは否定できない。もっと意思疎通をすべきだろう。
また、高市首相が台湾有事について「存立危機事態になり得る」と国会で答弁したことに、官僚の作った答弁どおりでないとか、一部野党からくだらない質問が多い。それまで官僚の言いなりになるなとか言っていたのに、ダブルスタンダートがひどすぎる。
台湾有事の際には日本から台湾に加勢する米軍を同盟国として助けるというレッドラインを引いたのは、外交上もよかった。これも従来にない新しいスタイルで、中国は大いに混乱し、振り上げた拳がますます国際標準から外れ、孤立化しているのはいいことだろう。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)