日本政府観光局が12月17日発表した1~11月の訪日外国人数(推計値)は、前年同期比17・0%増の3906万5600人となった。過去最多だった昨年の約3687万人を11月時点で上回り、年間で初の4千万人突破は確実。中国からは鈍化しているとされるが、この先はどうなるか。

 2025年1~11月の累計で訪日外客数の多い国は、中国876万5800人(前年同期間比37・5%増)、韓国848万5300人(6・7%増)、台湾617万5000人(11・2%増)、アメリカ303万6000人(22・1%増)、香港222万6200人(7・2%減)などとなっている。11月だけを見れば、中国は56万2600人(3・0%増)と前年同月比でプラスになっているが、伸びは鈍化した。これは、日中関係の悪化を背景に、11月14日に中国政府(外務省)が自国民に対して日本への渡航を控えるよう呼びかけた、いわゆる渡航自粛要請の影響だ。

 観光局が提供している2003年1月からの訪日外客数をみると、為替に関係している。コロナ期の入国制限があった期間を除くと、訪日外客数とドル/円の為替には0・7程度の相関係数がある。10円の円安で年間ベースで360万程度訪日外客数は増える。もちろん、月ごとの傾向には季節要因があるが、それを無視しても、高い相関がある。身も蓋もないが、各種の施策を行うより、円安が訪日外客数増加に寄与する。

 日銀は12月19日に利上げしたが、円高にはなっていない。

 来年の動向について、中国・香港からの訪日観光客の減少分は、他国からの訪日増加や日本人の国内旅行増加によって部分的に穴埋めされるだろう。ただ、円安はこれ以上進む可能性はあまりなく、他国からの訪日は高水準であるが伸びはそれほど期待できない。円安水準を考えると、日本人が積極的に海外旅行するのは考えにくいので、国内旅行に回帰するのではないか。

 中国からの観光客は団体を中心として減少するが、オーバーツーリズム問題からみるとむしろ歓迎だ。

 なお、中国による日本渡航自粛は日本への打撃が少なく、むしろ今形成されている日本国内における中国人による経済網、「一条龍」の打撃が大きい。例えば、インバウンドでの団体旅行客の訪日旅行では、団体旅行の場合、中国の旅行会社で手続きして来日するが、日本到着後、受け入れるのは中国系旅行会社であることがほとんどだ。中国系のお土産屋で買い物して、中国系の決済カードなので、日本には実質的にお金は落ちない。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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