欧州連合(EU)は16日、ガソリンなどを燃料とするエンジン車の販売を2035年から原則禁止する政策を撤回するとの方針を発表。トランプ米政権も今月、米国内の自動車の燃費基準を緩和する方針を示した。相次ぐ環境規制の緩和により、電気自動車(EV)開発で出遅れる日本のメーカーにとって商機拡大となるか。
まず、気候変動問題について整理しておこう。1000年以上の超長期スパンで気温を見れば、自然界の要因が多く人為的な要因は問題でないという意見もあるが、ここ100年では人為的要因抜きで説明は困難だ。
ただ、世界の二酸化炭素(CO2)排出量をみると、30%が中国、15%がアメリカなので、この両国の問題だ。EUは7%、日本は3%しかない。
しかし、そこは国際政治でもある。各国ともに、いろいろな目標数字を出しているが基準年はバラバラであり、その検証法も確立していない。つまり、気候変動問題は国際政治の中で、各国とも自国に有利なアピールができるか、国益をいかに確保するかについて、しのぎあっている。例えば、中国は開発途上国を装い、CO2排出量は世界の30%を占めるのに、2030年までは削減の姿勢を見せず日欧米の削減競争をあおっている。なので、各国の温暖化対策は政治的な目標として理解されている。
こうした温暖化への国際政治の駆け引きが行われている中、EUは、存在感の高い日本車の勢いを抑え、EUの自動車産業を守ろうと、電気自動車(EV)の流れを打ち出した。
ところが、結果はどうか。EU統計局(ユーロスタット)は10月6日、EUが2024年に域外から輸入した自動車に占めるEVのシェアは、台数ベースで43%だったと発表した。内訳をみると、ハイブリッド車(HEV)が21%、バッテリー式電気自動車(BEV)が16%、プラグインハイブリッド車(PHEV)が6%となった。
EVの輸入は424億ユーロで、うちハイブリッド車(HEV)は184億ユーロ、バッテリー式電気自動車(BEV)は152億ユーロ、プラグインハイブリッド車(PHEV)は88億ユーロだった。BEVの輸入元国をみると、中国がトップで全体の55%を占め、韓国(16%)、日本と米国(ともに9%)が続いた。
日本車を追い出そうとしたら、中国車が入ってきただけだ。しかも、中国は経済安全保障の観点から日本以上に要注意の国だ。今後中国車BEVを締め出し、日本車HEV、PHEVの出番がくるだろう。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)