希少がん22歳の生前予約投稿、「グエー死んだンゴ」に閲覧3億以上…「研究に生かして」と医療機関に寄付相次ぐ
今年10月、22歳の男性が希少がんで亡くなった。彼が闘病中や、死の直前に発信したSNSの投稿を見た人たちから、医療機関へ数千万円もの寄付が集まった。寄付文化が根付きにくいともされる日本で、ネットを通じて共感と善意の輪が広がったことは、遺族や専門家から驚きを持って受け止められている。(及川昭夫) 【写真】「グエー死んだンゴ」の投稿。3億6000万回以上閲覧された
11月下旬、北海道東部の農村地帯の一軒家を訪れると、笑顔の遺影の周りには、友人らが供えた、たくさんの菓子や飲み物が置かれていた。
亡くなったのは北海道大学の元学生だった札幌市の中山奏琉(かなる)さん。2023年10月、背中の腫瘍が国内で年間約20件しか確認されない希少がんと診断され、大がかりな手術や抗がん剤治療を受けてきた。
病状が悪化する中、「取り乱しても治るわけじゃないし来世に期待や」「思ってたよりゲームするのって体力いるんやな」などと、日々感じたことをユーモアを交えて、X(旧ツイッター)やブログで投稿してきた。
今年9月には余命1か月を宣告され、緩和ケア病棟へ。「多分そろそろ死ぬ」と投稿した2日後の10月12日に息を引き取った。
友人が代理でその死を報告する投稿をした次の日、中山さんのアカウントから、「グエー死んだンゴ」の8文字が投稿された。
「グエー……」は、追い詰められた時などにネット上で使われる俗語で、本人が生前に投稿を予約していたものとみられる。亡くなった本人による投稿は驚きを持って拡散され、12月中旬までに3億6000万回以上閲覧された。
X上では中山さんの「グエー」に対し、決まり文句として返す「成仏してクレメンス」(哀悼とユーモアを組み合わせた俗語)という返信があふれた。「香典代わりに」「中山さんの思いを研究に生かしてほしい」などと、がんの研究や治療にあたる医療機関への寄付が相次いだ。
SNSに詳しい学習院大非常勤講師の塚越健司さん(情報社会学)は「日本人はその場の空気に流されやすい面があり、不謹慎な投稿に批判が集まることもある。今回は投稿をみた人たちに良いことをしようとの空気が広がり、寄付につながったのだろう」と話す。