ウォーキングよりも音楽よりも効果的…「6分でストレスを最大68%軽減する」ゴロゴロしながらできること
■読書中の「心のさまよい」はダメなのか さて、ここまでの話だと、「読書中はとにかく集中して、DMNを抑制するのがよい」と思われるかもしれません。 しかし、話はそう単純ではないのです。読書の面白いところは、このDMNをただ抑制するだけではないという点にあります。 読書中にふっと集中力が途切れ、注意が内面世界へとさまよい始めることがありますよね。私もよく読書中に思考に没入してしまい、はっと我に返ることがあります。先ほども述べたこの「マインドワンダリング(心のさまよい)」は、一般的には読解力を妨げるものとして否定的に捉えられているようです。 しかし、近年の研究によって、マインドワンダリングが常に有害なわけではなく、むしろ深い理解や創造的な洞察を促進する効果もあることが明らかになってきました。特にフィクション(物語)の読書においては、DMNが積極的に活動し、登場人物の心情や物語のシナリオを深く想像することで、共感力や社会的認知能力を高める効果があることも指摘されています。 このような脳の働きは、「代理体験」と呼ばれます。フィクションの読書が単なる娯楽を超えて、自己や社会への深い洞察を促す役割を持つのです。一方、ノンフィクション作品を読む際は、批判的思考や論理的分析を担う前頭前野がより活性化し、DMNの活動は比較的抑制される傾向があります。 ■読書がもたらすリラックス効果 このように、同じ読書でも、フィクションとノンフィクションでは活性化される脳のネットワークが異なり、それぞれが異なる認知機能を高めることが示されています。フィクションとノンフィクション、どちらもそれぞれによいということですね。 脳科学の視点で見ていくと、読書が単なる休息や娯楽というイメージを超え、私たちの脳のしなやかさや心の健康にとって、いかに重要でダイナミックな活動であるか、お分かりいただけたのではないでしょうか。 また近年、多くの研究によって「読書が脳や心に物理的なリラックス効果を生じさせる」ことが明らかになってきました。 中でも有名なのが、認知神経心理学者デイヴィッド・ルイス博士の指揮のもと、イギリス・サセックス大学のマインドラボ・インターナショナルが2009年に実施した、広く引用されている研究です。この研究では、わずか6分間の読書によってストレスレベルが最大68%低下することが報告されました。このストレス軽減効果は、音楽を聴くこと(61%低下)や散歩(42%低下)など他の一般的なリラクゼーション活動よりも顕著です。