兵庫県の「はばタンPay+」は不公平? 利用率に地域差、もっとも使う地域は… リピーターに恩恵集中か
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兵庫県が国の総合経済対策を受け、来年3月から追加販売するプレミアム付きデジタル商品券「はばタンPay+(ペイプラス)」。直近の「第4弾追加販売」(一般枠)で、県内人口に占める利用率は15・5%にとどまった。県民局、県民センター別では東播磨や神戸の18%に対し、丹波と但馬で10%を下回る。利用者の固定化もみられ、公平性の確保が課題になっている。(井上太郎) 【表】「はばタンPay+」の地域別申し込み実績 ■交付金198億円 はばタンペイの購入、利用にはスマートフォンが必須。全県民が対象の一般枠と、18歳以下の子がいる世帯向けの子育て応援枠がある。1口5千円で1人2~4口まで購入でき、プレミアム率は25~50%。第1~4弾の総事業費は予算ベースで約198億6千万円。財源は全額、国の地方創生臨時交付金を充てる。 県地域経済課によると、2023年の開始から利用者は徐々に増加。今年10月まで使えた「第4弾一般枠追加販売」には約83万9千人が申請した。20年国勢調査の県内人口から算出した利用率は15・5%だった。23年の第1、2弾に比べると5・8ポイント増えたが、およそ6人に1人しか使っていない計算になる。利用率が最も高かった地域は東播磨18・1%。神戸18・0%、阪神北15・1%と続く。最低は丹波の7・6%で東播磨より10・5ポイント低く、次いで但馬の8・8%だった。 より実態に近い数字として県内人口から「15歳未満」を除き、神戸新聞社が算出したところ、県全体の利用率は17・5%だった。 ■店舗数に大差 年代別では20代以下と70代以上の利用が少ない傾向。郡部で低調の一因には対応店舗数も考えられるという。11月中旬時点で、県内で利用可能な全約1万4千店舗のうち、約8千店舗が神戸・阪神間に集中。市町(神戸は区)別で最多の姫路市は約1700店舗に上る一方、最少の市川町の10店舗をはじめ、17市町では2桁しかない。 利用エリアに制限はないが、主な周知方法の一つが加盟店でのポスター掲示のため、郡部では発信力が下がる。県は高齢者が多い地域でチラシを全戸配布し、路線バスに広告を出すなど底上げを図る。 ■「選択の世界」 内閣府によると、プレミアム付き商品券は低所得者支援ではなく「消費下支え等を通じた生活者支援」に分類される。 はばタンペイに所得制限はなく、県地域経済課によると、第4弾一般枠追加販売申請者のうち、約86%が前回からのリピーターだった。回を重ねるごとに一部の県民に恩恵が偏っていく中、県は来春の第5弾一般枠販売で、応募枠の拡大1割に対してプレミアム率を50%に倍増させる。 9月の会見で、「デジタル券は即効性が大変ある」「使う、使わないというのも選択の世界」と話していた斎藤元彦知事。第5弾を発表した今月11日の会見では、若者や高齢者への発信を強化する必要があるとの認識を示し「過去の実績から枠を想定しているが、場合によっては追加の予算を計上し、できるだけ多くの方が利用できるようにすることも視野に入れたい」と話した。 ■「まとまったお金をチャージする余裕ない」不満の声も 地域や年代などで利用率に差があるプレミアム付きデジタル商品券「はばタンPay+(ペイプラス)」。発行する兵庫県が昨年の第3弾終了時に実施したアンケートでは、利用者の95%が「デジタル券をまた買いたい」と回答している。2023年の第1弾以降、利用者が増え、来春には第5弾を予定するものの、普及の偏りについては抜本的な解決策がないのが現状だ。 リピーターが多い一方、利用したことがないという神戸市東灘区の女性(52)は「障壁が多い」と不満をこぼす。女性は中学3年の息子と暮らすシングルマザー。最近、がん保険料の年一括払いができず、月払いに切り替えたといい「まとまったお金をチャージする余裕はない」。息子にはスマートフォンを持たせておらず、「スマホがないと対象にならない仕組みも不公平」と感じる。 市町の事業と重複して普及が進まない例もある。丹波市ははばタンペイと同じ国の交付金を財源に、市内の店舗で使える電子マネーの地域通貨を発行。市商工振興課の担当者は「まずは地元の消費喚起に直結する地域通貨のPRを優先している」と話す。(井上太郎) 【神戸国際大の中村智彦教授(地域経済論)の話】 家計支援の観点でデジタル券の課題は多い。特典のためにまとまったお金が必要で、例えば4人家族で一気に8万円分を購入できるかを考えれば、経済的に余裕のある人に有利な仕組みだと分かる。スマートフォンを持たなかったり、使いにくかったりする高齢者や障害者も不利だ。 今の消費者は堅実で地域商品券は消費の先食いにしかならず、失敗例が多い。兵庫の場合、市町でなく県が行うスケールメリットがある一方、大手代理店への委託コストがかかり、全量は還元できない。兵庫に限らず、広く集めた税金を結局一部の人たちに還元する形になってしまうのなら本質的には減税をすべきだ。
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