「クールジャパンは致命的な失敗を犯した」世界的イスラーム法学の権威・中田考「高市政権によって、日本外交の無能ぶりが『見える化』した」
クールジャパンの失敗の象徴としての中東
日本政府は2013年に日本の文化コンテンツを海外展開するための官民ファンドとしてクール・ジャパン機構を設立した。しかし設計思想に投資判断に文化戦略・外交戦略の視点が存在せず、成果指標が「国家的影響力」ではなく単年度の会計帳簿であり、失敗しても誰も政治的責任を負わない致命的欠陥があったため、現地では「日本アニメは好きだが、日本語や日本文化への制度的接点が乏しい」と批判され、「作品は売れたが、日本は残らない」という大失敗に終った[1]。 中東に限らず日本のプレゼンスの凋落は加速化している。日本の世界経済に対する存在感を示す最も代表的な指標の一つが世界GDPに占めるシェアである。戦後・高度成長から1990年代にかけての日本は、世界第2位の経済大国として存在感が顕著だった。1994年時点で約18%であった日本の世界GDPシェアは1990年代以降一貫して低下し、2023年には約4%、4分の1以下にまで低下している。 [1] クールジャパンの失敗からも明らかなように戦略的ビジョンもなく失敗の責任も取らず中抜きと利権誘導にしか興味のない日本の政治家や官僚の干渉は有害無益でしかない。日本が中東において真に尊敬を勝ち得るIPを築くことができるとすれば、国粋主義的な「クールジャパン」言説や日本特殊論から距離を取り、マンガを東アジア文明に共有される倫理的・教育的メディアとして位置づける山本直輝(Dr.Qayyim Yamamoto Naoki)のような民間の活動が広まることによるしかない。たとえば英語インタビューにおいて山本は、マンガを近代日本固有の娯楽文化ではなく、漢字文化圏に共通する視覚的思考様式、師弟関係、修養と人格形成を重視する物語構造の現代的継承として捉えている(“The Bond Between Islamic Civilization and Japanese Civilization: Manga”, Traversing Tradition, 2021/11/22日)。そこでは儒教、仏教的な修養倫理や、失敗と再起を通じた徳の涵養が、少年マンガの長期的成長物語に明確に見いだされるとされる。またマンガには西洋近代の抽象的価値教育とは異なる行為と実践を通じた倫理形成の媒体である点が強調され、これはイスラームの修行概念(タルビヤ)とも構造的に親和的だと論じられる(“My Interview with a Japanese Muslim Professor: Manga, Kimono and Matcha Tea”, The Muslim Vibe、2020)。
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