ポケモン廃人、知らん学園に入学した。【完結】   作:タク@DMP

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まだたまにイクサとメグル(前作主人公)で度々書き間違える……


第39話:オーデータ・ロワイヤル開始

 ※※※

 

 

 

『俺もな、本選出場したからにはキリキリ頑張るわ!! 明日どっかで会えたらええな!!』

「うん、互いに頑張ろう──そう言えば、聞いてなかったけどテマリさんはどうしたの?」

『ああ、流石にビビって出んかったわ。結果的には正解やった思うけどな……なんせ怪我人続出やねん』

「それは……何ともまあ」

 

 ──オーデータ・ロワイヤル前日夜。

 イクサは、本選に出場したというハッカと通話していた。

 本人曰く芋スナ(※安全圏からスナイプすること)で生き残ったらしいが、バトルロイヤルでそのスタイルで勝利できるのは逆に称賛に値する。

 どうやら運が良かったらしいが、それ以上にオクタンの”えんまく”で身を隠して余計な戦いを避けたのが功を奏したらしい。

 

『そんで、各寮にヤバい奴らがそれぞれ居んねん。特記戦力って奴や。フリーザー寮やと3年のブローディア先輩、2年のカンザキ先輩……ファイヤー寮やと3年の科学部のズオウ先輩とかな。ウチやとバジル先輩がそうやろ。他にも本選勝ち上がった以上は仰山おるで』

「1人で複数人を相手できるくらい強いってことだよね」

『せや。寮長に準ずる力を持っとるから、お前も気ィつけい──って、お前は推薦枠でチームで固まるんやったな。羨ましいわ』

「あはは……なんかごめん」

『まあええ。選ばれたんや。役割をキチッと果たさんかい』

「うん。全力を尽くすよ。この為に特訓してきたんだ」

 

 フィールドは広大、巡り合える可能性は低いかもしれない。

 それでも──互いに健闘を祈り合う。

 

 

 

『応援しとるで』

「こっちこそ、応援してる」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──オーデータ・ロワイヤル当日。

 舞台となるのは、学園演習場”砂漠の古都”。

 学園が所有する大規模演習場の中では、最も大きな規模を誇る場所である。

 人工的に作られた古都は、建造物が非常に多い。

 機甲戦、そして集団戦にはもってこいと言える場所だ。

 元々は技術科による「幾ら壊しても怒られない重機演習場が欲しい」という要望の下建設された場所である。尤も、演習場があったところで、平気で学園内を重機が闊歩しているのがスカッシュ・アカデミアと言う場所なのだが。

 

 

 

『レディースエーンジェントルメーン!! 遂に始まる”オーデータ・ロワイヤル”本選!! 予選を勝ち抜いた猛者30人と、推薦枠の5人による精鋭35人が集ったにゃーん!!』

 

 

 

 推薦組5人は一般プレイヤーに場所を伏せられた状態で固まってスタート。 

 それ以外の30人はランダムに間を空けられて配置される。

 基本的な戦略として、一般枠の30人は、遭遇した敵を倒しながら味方と合流し、推薦組のメンバーを見つけて護衛するか敵を減らしに行くかの二択。

 また、フィールドには持ち込まれた重機が配置されており、プレイヤーは発見次第これに乗り込むことが可能だ。

 ただし、重機はそれぞれの寮のカラーに塗装されており、プレイヤーは鍵によって自分の寮と同じ色の重機でなければ乗ることができない。

 一方、推薦枠の5人は寮長の護衛が最大の任務となる。

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──この詳細なルールが発表された時、サンダー寮の推薦組は改めて集まって会議することになった。

 

「つまり──戦略的に行動することが出来るのは、推薦枠のこの5人だけ、ということよ」

「僕達はレモンさんを護衛しながら、近付いてきた他寮のプレイヤーを倒せば良いんですね」

「ま、単騎で動いてくる奴なんて居ないでしょうけど」

「ただ、時間経過で15分毎にエリアが縮小していくわ。30秒以上エリア外に居た場合はその時点で失格になる。オーデータポケモンは生徒会に回収されるわ」

 

(フォー〇ナイトでやったヤツだ)

 

 つまり、同じ地点に留まり続けることはできないということだ。

 

「幸い、スマホロトムのアプリがエリア縮小範囲を知らせてくれるし、エリア外が迫ってる時は警告してくれる」

「僕達はレモンさんを護衛しながら、エリア縮小範囲に気を遣って移動しないといけないんですね」

「後は傷薬や”げんきのかけら”のようなアイテムはフロア内に落ちているから、使うモンスターボールの数を増やしたり、ポケモンを回復するなら動くしかないわ」

 

 これにより、一概に相手のポケモンを倒してボールを手に入れただけでは使用ポケモンが増えるようになるわけではないことが分かる。

 案外、相手を沢山キルしたのは良いが実質的なライフは増えないままというプレイヤーは多くなりそうな気がするイクサだった。

 

「防衛に徹しているだけだと、ポケモンの回復が出来ない。もしもの時は散開する必要もありそうね」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──そんな会話をした合宿が昨日の事のようだ。

 イクサ達は、現在隠れ家となっている建物に固まり、試合開始前の最後のアナウンスを聞いていた。

 内容はスマホロトムにも送信されている詳細ルールの復唱、そして禁則事項の説明等々。

 そんな事務的な説明が続いていく。

 

『──また、プレイヤーは常にポケモンを出しておく必要があるのにゃーん! ポケモンを出していないプレイヤーはその時点で戦えるポケモンが居ないと見做され、ボールを置いて退場となるにゃーん!』

 

 そんなわけで、身を隠したい推薦組は巨大すぎるポケモンを連れていけない。

 結局、

 イクサはパモット。

 バジルはカクレオン。

 デジーはミミロップ。

 ゼラがクワガノン。

 そしてレモンがハタタカガチ。

 を選出したのだった。

 

『諸々の理由で失格になったプレイヤーは、上空から警備しているドローンロトムが降りてくるから指示に従って退避してもらうにゃーん! 負傷したプレイヤーは徘徊している救護ロトムが回収しに行くのにゃーん!』

 

 空は大量のドローンが飛び回っている。果たしてどれだけの予算を掛けているのか想像したくもない。

 

『後、ドローンが護衛している失格プレイヤー、負傷プレイヤーへの攻撃は禁止、その時点で失格だにゃーん! ……逆に言えばそうじゃないプレイヤー相手は……おっと口が滑ったにゃーん!』

 

 つまりトレーナーへのダイレクトアタックも許される。いつものスカッシュ・アカデミアであった。

 

『そして気になる第四の陣営──それがバンデットだにゃーん! 彼らは黒装束のプレイヤーキラー! 陣営関係無く攻撃をするのにゃーん!』

「バンデットって一体誰が選出されてるんでしょうか」

「さあ、誰が参加するか分からないわ。ただ、最悪は……生徒会役員って事が考えられるわね」

「どっちにしても戦いたくない相手デスね」

「……生徒会かあ」

 

 苦々しい顔をデジーが浮かべる。

 こっぴどく捨てられたのと、上司に逆らえなかったこともあって良い思い出が無いようだった。

 会ったら会ったで気まずい。

 

『さあて、御託は此処まで! もうみんな暴れたくて仕方ないところだにゃーん! ルール説明は此処まで! 最後に、主催であるアトム生徒会長からのお話が映像であるにゃーん!』

「……出たわね」

「……」

 

 不愉快そうにレモンが口元を歪める。

 間もなく、スマホロトムに映像が映し出される。

 アトムが薄ら笑いを浮かべてそこに立っていた。

 

『コホン、やあ諸君。本日は──』

 

 ブツリ

 

 レモンはそこで映像を切った。

 そして、他の面子にも顎で「こんなもん見なくて良いわよ」と無言で呼びかける。

 

「いやでもレモンさん、うっかり重要な情報を話してたら困るじゃないですか」

「不愉快なのよ、こいつのしたり顔を見ると」

『──今回此処に集ってくれた諸君は皆、()()()()()()()()()()()()()()()。寮長達の強さの象徴であり、権威の象徴たるオーデータポケモンを、全員が入手できるチャンスがあるのです。それを努々忘れないように』

「ほらもう腹立つことしか言ってないじゃないコイツ」

『力とは……己の手で手に入れるもの。今日は、三大寮長の築いてきた既存の秩序が崩れる日。明日から始まる主役は──貴方達です!!』

「はっ、そう簡単にオーデータポケモンを奪われて堪るモンですか。やっぱ不愉快よ、切りなさい、イクサ君」

「やめてくださいよ、レモンさん!」

「しかし妙デスねえ。皆分かってるはずデスよ? 寮長をそう簡単に倒せるわけがないのに」

「ルール変更で何かしらテコ入れしてくるんじゃなーい?」

 

 デジーが首を傾げる。

 現時点では何とも言えない。

 過去のゲームとは比べ物にならないくらい規模が大きい”オーデータロワイヤル”。

 どのようなイレギュラーが起きてもおかしくはない。前例はアテにならない。

 

 

 

『さて、長話はこれくらいにしましょう。これより──特殊団体戦”オーデータ・ロワイヤル”を開始しますッ!!』

 

 

 

 それが合図となった。

 レモンたちは配置についていく。

 

「配置について! ──絶対に勝つわよッ!!」

「応ッ!!」

 

 バジルとデジー、イクサは一歩前に出て、木の上や高台から双眼鏡で索敵。

 ゼラは見通しの良い建物の二階から双眼鏡で索敵しながら、クワガノンで狙撃の準備となった。

 開始後3分後は戦況は動かなかったものの、しばらくすると一般生徒同士が接敵したのか、周辺で戦闘が始まった。

 

『こちらバジル! 私から見えてる範囲で戦闘が始まったデス! 赤二人、黄色一人……ああ、早速ウチが負けたデース!!』

『デジーだよっ! ボクも見えた! 青一人と赤一人……赤が負けてボールを取られた!』

『なんか周辺、違う色の生徒が多くない!?』

『バジル、赤二人の内訳を教えて』

『マルヤクデとドデカバシ、デスね……』

 

【マルヤクデ はつねつポケモン タイプ:炎/虫】

 

【ドデカバシ おおづつポケモン タイプ:ノーマル/飛行】

 

 マルヤクデは、炎を噴き出すムカデのようなポケモン。

 そして、ドデカバシは嘴が巨大なオニオオハシのようなポケモンだ。

 その二匹の傍には、スコープを付けた男子生徒が伴っている。

 

『近付いてくる?』

『Yes! 建物を物色しながら近付いてくるデス。このままじゃあ、接敵は免れないデスね……!!』

『気を付けてバジル。こっちから見えているということは、相手方からも見られる可能性は高いわ』

『かと言ってうっかり狙撃したら、ゼラ先輩の居場所を教えるようなものデスからね……あ、近くの建物に入ったデス!』

『……奴らの入った建物に張り込んで。絶対にバレるんじゃないわよ、バジル』

『OK』

『ゼラ、そいつらの位置は把握した?』

『見えた。例の建物付近なら射線が通る』

 

 赤いブレザーの生徒二人は遮蔽物に身を隠しながらも、回復アイテムを探しているのか建物を物色しているようだった。

 先の戦闘で思わぬダメージを受けたのだろう。

 そのまま次の獲物、または味方を探しているようだった。近くに推薦枠が居るとも気付かずに。

 

「──ッ!!」

 

 彼らが建物の出口から出た瞬間だった。

 

 

 

 ──ズドン!!

 

 

 

 建物を出たドデカバシを、電撃弾が貫く。

 

 

 

『仕留めた』

 

 

 

 ゼラの言葉で、一気にバジルは飛び出した。思わず建物の中に引っ込んだマルヤクデと、そのトレーナーを強襲する。

 

「ヒッ、何だァ!? 何事だぁ!?」

「悪く思わないでくだサイッ!!」

 

 結果は言うまでもない。”いわなだれ”の一撃により、マルヤクデもあっさりと仕留められたのだった。

 死角から二人同時に撃破されたことに驚いていた生徒達だったが──姿を見せたバジルを見ると、納得したように肩を落としたのだった。

 

「う、運が悪ィ……まさか、推薦枠の縄張りに足を踏み込むなんて……」

「バジルが相手じゃ仕方ねえか……」

「相手が悪かったデスねー!」

 

 ボールをバジルが回収し、敗退した二人はドローンに連れられてエリア外に退避していく。

 これで、ファイヤー寮から二人脱落させることに成功したのだった。

 事の顛末を双眼鏡で確認したゼラはもどかしそうに唸る。

 

(──このルールでのスナイパーの良くない所は……仕留めた相手のポケモンのボールを迂闊に拾いに行けない所か)

 

 ライフ=ポケモンが増やしにくいので、見つかったらお終い。それがスナイパーだ。

 そして、所有権が手放されたボールは、倒した相手が拾いに行かない場合は誰が拾っても良いので、下手をすると敵のライフを増やされてしまう。

 とはいえ、げんきのかけらの数もそれなりに絞られているらしいので最悪ボールは無視してしまっても良いのであるが。

 

(スナイパーは孤独……だが1人ではゲームに勝利できない。難儀なポジションだ)

 

『倒したデス。次はどうしマスか?』

「よし、しばらくはその建物の中に居なさい、バジル。そこから索敵するのよ」

『了解!』

 

 此処まではバトルロイヤル型のFPSみたいだな、とイクサは考えていた。

 基本的にはバレないように身を顰めながらポジション毎に連携しながら戦というものだ。

 しかし、このゲームのプレイヤーは治安最悪のスカッシュ・アカデミアの生徒。

 戦力が拮抗しているFPSゲームならさておき、一騎当千出来るような危険な生徒が存在しているので、まともなゲームになるはずがない。

 

『こ、こちらデジー!! ちょ、ちょっとヤバいかも!! 向こうからフィールド全部凍らせながら近付いてくるヤツが居る!!』

『はぁ!?』

「……もしかしなくても”皆凍りのブローディア”ね」

『”皆凍りのブローディア”!? 予選で凍傷と低体温症患者を大量に出したっていう──あのブローディア先輩、デス!?』

 

 登山部部長のブローディアは、非常に気性が荒く、そして大の冷たい物好き。

 その勢いで登山部の部室を氷漬けにして風紀委員のお世話になった過去があり、レモンを一方的に逆恨みしているのだという。

 しかし、その実力は折り紙付き。かつてレモンはブローディアを制圧するのに非常に苦戦した過去があり、終わった頃には全身凍傷塗れだったという。

 彼女曰く「正直二度とやりたくない部類の相手ね」と言わしめる程だ。

 それだけの実力がありながら推薦枠に選ばれなかった理由は勿論、その凶暴さと素行の悪さにあることは言うまでもない(素行の悪さという面ではシャインも最悪の部類ではあるのだが)。

 民度や治安が悪いのはまだ許せる──本来許してはならないのだがもう諦めた──が、逆恨みは勘弁してほしい物である、とイクサは切に考えるのだった。

 

『予選はオニゴーリだったけど、パートナーはマンムーだよっ!! マンムーに乗ってやってくる!!』

 

 大男は、豪快にマンムーの上に乗り、周囲を凍らせながら突き進んでいる。更に、マンムーの上には同じフリーザー寮の生徒と思しき人間も乗っていた。

 人がいるということは、当然近くにポケモンが居る訳で。

 

『横にオニゴーリとユキメノコが居る!!』

「敵は3人ね──どうも登山部で合流したみたいだわ。デジー、奇襲の準備をして頂戴。ばれないように伏せて。ゼラ、狙える?」

『……ユキメノコなら仕留められる』

「やって!」

 

 マンムーは地面タイプ。クワガノン得意の”10まんボルト”弾が通用する相手ではない。

 その上、ブローディアのマンムーは非常に巨大。放つ冷気もとんでもない量だ。

 それが、やたらめったら周囲を凍らせている所為で氷柱ができており、更に破壊された瓦礫も飛び交っている所為で射線を塞いでしまっている。

 長距離からの狙撃は不可能。それならば、それ以外の排除できそうな敵を一撃で排除するのが狙撃手の役目となる。

 

 

 

「だーはっはっはっは!! 冷たい!! 冷たいぞーう!! だーっはっはっは!!」

「パォォオオオオン!!」

 

【マンムー 2ほんキバポケモン タイプ:地面/氷】

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