ポケモン廃人、知らん学園に入学した。【完結】 作:タク@DMP
──宿泊場所は、シトラス家の別荘だ。
白い石造りのコテージとなっており、入るのに緊張した。
用意された食事もビーフシチューにサフランライスと、なかなかに豪華。
一概に比べられるものではないが、昼間のバーベキューとはえらい落差である。
「あまり高級過ぎると貴方達も食べづらいでしょ?」
「十分高級だと思いますけど……」
畏まりながらスプーンを付けていき、夕食も終わる。
その後は──入浴の時間となるのだった。流石スパリゾートで有名なオシアス、そこはきっちり大浴場が2つ用意されている。
久方ぶりの風呂に、イクサは心が安らぐ。アウトドア生活に慣れ切ってしまっているが、やはり心のどこかでは湯舟を求めていた。
(やっぱり落ち着くなあ……実家のような安心感だ。実家にこんなにデカい風呂無いんだけどさ)
「はふー……っ」
「──入るぞ」
「!?」
そんな声と共に現れたのは、巨漢のスナイパー・ゼラ。
屈強な筋肉、そして全身についた傷がイヤでも目に入る。
しかし、気まずい。本人が寡黙なこともあって、話す話題も何も見つからない。
そうこうしているうちに、彼は体を洗い終えてしまい、湯船に入ってくるのだった。
「……」
「……おい」
「はいっ!?」
野太く、そして低い声が響き渡る。その威圧感に、思わず声が裏返ってしまった。
巨漢は──続けた。
「……バジルと仲が良いのか」
「は、はい……?」
質問の意図が分からない。何故そこでバジルの名前が出てくるのか、と。
「仲が良いのか」
「ええ……そうです、先輩として仲良くさせてもらってますけど」
「……」
問い直すと──少しだけ彼は俯いた。
「……そうか」
「……?」
「……好きなのか」
「え?」
「……恋愛感情を抱いているのか」
此処まで見てきた彼からは考えられないような質問に、イクサは慌てふためく。
しかし同時に、これまでの彼の行動が何処か辻褄があっていくようだった。
「い、いやあまさか! ちょっと知り合いに似てるから親近感は抱いてますけど」
「……そうか」
何処か納得したように彼は頷いた。
そしてイクサの中では1つ、大きな仮説が組み上がりつつあった。
「……あの、怒らないで聞いてほしいんですけど」
「……何だ」
正直怖い。怖いが──問わずにはいられない。
「ゼラ先輩って、バジル先輩の事──好きですよね?」
しばらくしただろうか。彼は頷いて肯定した。
そして、イクサの方を見やると不思議そうに問いかける。
「……何故分かった」
「えっと、今思い出してるんですけど……バジル先輩に”気を付けろ”って言った時、目を逸らしてましたよね。サングラスで見えづらかったけど」
「……むぅ」
「あれって
「……」
「それに、何度か模擬戦をやったけど、やっぱりバジル先輩と組んでいる時が異様に強いなって思って。過去の試合のデータとか色々見てたけど、ゼラ先輩、バジル先輩を護ろうとしてる時が一番生き生きしてるなって思ったんです」
「……お前、バジルみたいだな」
「いやー、そうですかね?」
(あっちの世界の師匠≒バジル先輩に教わったから、だなんて言えないけど……)
「でも、何でバジル先輩なんですか? 理由があるとは思いますけど」
「……あいつが居ると手元が狂いそうになる」
「えっと……どういう」
「……一目惚れだ」
「あああー、一目惚れかあ」
意外な理由だった。
しかし分からないでもない、とイクサは考える。
鮮やかな金髪に碧眼、そして整った顔にスタイル。
男を引き付ける魅力は十二分に兼ね揃えている。それがバジルと言う少女だ。
イクサは元の世界で散々彼女と一緒に居たので麻痺しているフシがあるが、初めて彼女を見た少年の多くはその強烈な印象に支配されてしまう。
そして多くは、彼女の奇行と所業にドン引きしていくのであるが。
「後は……強い癖に危なっかしい。見ていられない」
「……あー……」
分かってしまう自分がいる。
やることなす事全部が予想外でハチャメチャ。見ている側は気が気でない。
だが、それがかえって「守ってやりたい」と思ってしまう人もいるのだろう、とイクサは得心した。
「それに──初めて会った時、俺を恐れなかった」
それがきっと一番の理由だろうとイクサは考える。
イクサも彼の事を怖いと思っているし、デジーも少なからずゼラを怖がっている素振りがあったが、やはりそれを気にしていたのだろう。
体躯にコワモテな顔。そして狙撃手と言う肩書。そのいずれも、周囲の人間を畏怖させるには十二分なものだった。
「……周りは俺を避ける。だが俺は狙撃手。孤独で良いと思っていた」
しかし、バジルだけは違った。
当時新入生だった彼女は、団体戦で組まされたゼラを見て一言「うっひゃーっ、凄く強そうな人デス! よろしくデスよっ!」と屈託のない笑みで話しかけて、手を差し伸べてきた。
後輩皆から恐れられていて、それが当たり前だった彼にとって、どれ程救いだったかは察するに余りある。
「……あいつの所為で、孤独な自分を少しだけ恨んだ」
「はは、あの人らしいなあ」
確かに裏も表もあるバジルだが、あの快活な人当たりだけはウソではない。
それで救われた人が沢山居て、ゼラはその1人なのだろう。
現にイクサも、過酷な学園生活の中で彼女の明るさが清涼剤になっているのだ。惚れてしまうゼラの気持ちは分かる。
「……喋るのは苦手だ。女子の前だと特に意識してしまう。今日も、上手く喋れなかった」
女子の前では只でさえ少ない口数が更に少なくなってしまう。それを彼も気にしているらしい。
「正直……俺とバジルは釣り合ってない。俺だとあいつを怒らせてしまう。だから……」
「ダメですよ」
きっぱりとイクサは言った。まだ始まっていない戦いを諦めるのは、彼のポリシーに反する。
恋愛もまた例外ではない。
「貴方狙撃手じゃないですか。狙った獲物は絶対に撃ち抜くんですよね。じゃあ……撃ち落とさなきゃダメです」
「……しかし」
「大丈夫! バジル先輩はえーと……色々アレだけど、ちゃんとアプローチすれば応えてくれますよ! 僕で良ければお助けします!」
「……助かる」
今まで表情が全くと言って良い程変わらなかったゼラだが、少しだけ口元が緩んだ。
イクサとしても、元の世界で一緒に居たおかげでバジルの事はよく知っている。ゼラに何か助け船を出すことができるかもしれない、と判断した。
「その代わりってわけじゃないですけど、狙撃手と組んだ時の戦い方も教えてくれると嬉しいです!」
「……ああ。折角だ。此処で教える」
心を開いたのか、ゼラは若干饒舌になっていた。男同士で緊張する必要もないし、自分の身の上を聞いて励ましてくれたイクサを信用しているようだった。
「基本的には、近付いてくる相手を倒してくれるのが助かる。そして、排除できるだけの火力を持ってくれているのが望ましい。後は俺が合わせる」
「すごいな……俺は合わせる、って言葉の説得力が重い」
「バジルはもっとじゃじゃ馬だった。お前は扱いやすくて助かる」
去年のとある団体戦の一幕では、カクレオンがうっかり大量の敵を引きつけてしまったらしく、バジルは逃げの一手に回らざるを得なくなった、とレモンが言っていたのを思い出す。
結果的にそれが狙撃手であるゼラと敵を引き離す結果になり、遠距離から一方的に狙撃。カクレオンを追っていたポケモンを殲滅したらしい。
成程確かに「じゃじゃ馬」と言う言葉がよく似合うエピソードであった。
「とはいえ、それだけの無茶が出来るのがバジルのカクレオンだ」
「強いからできる、ってことですね」
「そして組んだ時は相性が良いが、敵に回した時の相性は最悪だ。あいつのように遠近両方に対応できる敵が一番厄介だ。あいつには距離も間合いも関係ない」
「あー……正攻法で攻撃する相手を潰してくるから、ですよね?」
「そうだ。先制技と変化技を織り交ぜてくる相手には気を付けろ。見つけたら真っ先に潰せ。その時は俺も優先的に潰す」
狙ったと思っていれば、狙撃手を直接攻撃してくる無法の塊、それがバジルのカクレオンだ。
”かげうち”に”いわなだれ”と間合いに関係無く相手を攻撃する手段が揃っている。
「そのような相手が居なければ、遠方の敵をクワガノンが一方的に撃っている間に、相方のお前が近付いた敵を倒す。それだけでいい」
「……じゃあ、もっと僕もポケモンを鍛えなきゃいけないってことですね」
「強いて言うなら、イワツノヅチ……だったな。俺と合わせる時は、あいつを使え」
「成程、火力と制圧力が重要、と」
「そうだ」
そこまで説明し、ゼラは溜息を吐いた。
あまりたくさん話すのに慣れていないのか、疲れてしまったらしい。
「……続きは上がってからでも良いだろうか。蒸し暑い」
「ええ、逆上せちゃいますからね」
「……ああ。……──ぬッ!?」
ざば、と二人が同時に風呂から上がった時。
ゼラの視界に映ったのは──
(──何処に隠していた、
「あれ? どしたんですか、ゼラ先輩」
「……何でもない」
──幾ら完全なる狙撃手と言えど、結局ゼラも年頃の少年でしかないのであった。
流石に男として不安になったのか、ゼラは再三イクサに問いかける。
「いいのか。本当にバジルの事は──」
「僕には守りたいと決めた人がいるので」
「……レモンか」
「あはは……分かっちゃってますね」
「……その割には、同級生に近付かれて鼻の下を伸ばしていたようだが」
「やめてくださいよ」
正直あのアプローチにはイクサも参ってしまっている。思い出すと興奮してしまいそうだった。
しかし、レモンの水着も魅力的で──と揺らぐ最低な自分がいることに彼は気付く。
「……刺されんようにな」
「怖い事言わないでください!?」
※※※
「バジル先輩~? 何を食べたら、そんなに
「そりゃあもう、肉!! これに尽きるのデース!! 思春期に
「……そうね」
「むぅ。ボクももう少し大きかったらなあ。ボク、背ェ低いから」
「ふふん、揉んだら御利益あるかもデスよ?」
「じゃあ、折角だしあやかってみようかなぁー!!」
「……そうね、私もあやかってみましょう」
「えっ、ちょっとレモン、力が強──痛い痛い痛い千切れる、それ以上は垂れちゃうデェェェース!!」
──女子には遠慮というものが無かった。
故に、どんどん女子トークは明後日の方向に悪ノリしていく。過激なので内容は割愛する。
その悪ノリが落ち着いた頃だっただろうか。
1つ気掛かりなことがあったのか、レモンはデジーに問いかけた。
「ねえ、デジー。貴女、午前中少し元気が無かったじゃない」
デジーは彼女の問いの意味に気付いたのか、ふい、と目を逸らした。
「ん。別にっ、何でもない……ってわけじゃないけど」
「……困るわね。貴女はうちの戦力。体調管理してもらわなきゃ」
「レモン先輩には言われたくないよっ」
そう言って、彼女は湯舟から出ていってしまう。何かを誤魔化すように。
「……あら、嫌われちゃったかしら」
「うーん、そうデスかね? むしろ距離感を図りかねているみたいデスよ? 恋敵同士ってのもありマスし?」
「ちょっと。当人を挟まずに勝手に恋敵同士扱いしないで頂戴」
「焚きつけたの私デスしー?」
「何でも良いわよ。ただ、ゲームに影響は及ぼさないでほしいわ」
ざばん、と続いて湯舟から出て行くレモンをバジルは見つめて溜息。相も変わらず手のかかる幼馴染だった。
「……2人とも、素直じゃないんデスから」
※※※
──その日の夜。
女子2人が寝静まったのを見計らって、レモンは1人外に出ていた。
オシアスの夜は涼しい。
高い高い海の見える崖の上で一人──レモンはごちる。
「……貴方が居なくなって、半年かしら」
返事はない。ただ、夜風が吹くだけだ。
「……大丈夫だと思ってたけど、全然大丈夫じゃなかったわ。バトルを見てるだけで……貴方を喪った日の事を思い出しちゃう」
思い出すだけで、涙が出てくる。
悲しみだけではない。情けなさと、悔しさだ。
(ねえ。私……好きな人が出来たの。その人の為なら、その人と一緒なら……貴女を喪ったあの日を……乗り越えられる気がするの。だから……守ってね)
祈るように手を握り締める。
「──レモン、先輩?」
声を掛けられ、レモンはびくりと肩を震わせた。
後ろに立っていたのは、寝間着姿の小柄な少女だった。
「……起きてたの、デジー。明日は迷宮探索なのに、夜更かしする悪い子は好きじゃないわ」
「ごめん、物音には敏感なもんで……気になって付いて来ちゃった。ねえ、此処って?」
「……
「あっ……」
デジーの顔が蒼褪めていく。
そして、頷いた。
2年生で学園最強の栄冠を飾りながら、レモンが決闘の場から姿を消した理由。
それが此処に眠っていた。
「……私の不注意だった。慢心だった。勝てないはずがないと思ってた」
──その日の迷宮は大荒れだった。岩壁が崩れ落ち、正規ルートからの脱出は叶わない。
他のメンバーのポケモンは、オシアス磁気で暴走寸前で離脱するしかない。
彼らの退路を確保するために、レモンは自ら進み出た。
相棒であるそのポケモンと共に。
幸か不幸か、彼はオシアス磁気に強い耐性があった。使い手であるレモンと強い絆を結んでいたからだ。
故に、野生ポケモンの群れにも迷わず突貫し、殲滅していった。
「……
その名を寂しそうにレモンは呼ぶ。
赤いほっぺに黄色い身体。ギザギザ模様の親友。
今思えば、種族に見合わない力を持っていた。
進化せずとも、進化形のライチュウと張り合える力を持っていた。
いつもいつも一緒だった。
今度も二人で無事に帰って来られると思っていた。
学園最強大会だって、ピカチュウと共に居たから勝てたようなものだった。
でも、その日は違った。
迷宮が崩落し、そこから一際強力なポケモンが現れ、疲弊していたピカチュウは一方的に打ちのめされていった。
……当たり所が悪かった。
脳へのダメージが致命的だった。ボールに戻し、己の身1つで必死の思いで、傷だらけになりながら脱出した。
だが──病院に運んだ時にはもう、手遅れだった。
「海と波乗りが大好きな子だった。だから、海がよく見えるこの場所に眠らせてあげたの」
「……」
「笑っちゃうわよね。学園最強とまで言われた私が、たった1度の慢心で……相棒を亡くして、それで戦えなくなるなんて」
「……」
「弱虫と笑って頂戴。トレーナー失格だと笑って頂戴。私は……それだけのことをしたのだから」
「ボクに……笑う資格なんてないよ。ボクは……サイテー野郎だから」
デジーは首を横に振った。
「成り上がる為なら何を犠牲にしても良いって思ってた。身内以外のヤツが傷つこうが知ったこっちゃない。踏んづけてやれば良いって思ってた」
「……」
「勿論、チョーシに乗ってる転校生や……椅子で踏ん反りがえってる寮長達は大嫌いだった。ボクにとって”力”と”権力”は羨むべきもので、それを持ってる奴らには何をしても良いって思ってた。弱みがあるなら握ってやりたいって思った」
──それが、例の脅迫だった。
強い奴相手には何をしても良い──邪悪で無邪気な反骨精神のまま、彼女はイクサとレモンを陥れた。
「ボクは自分の為に、テッペンの椅子で偉そうにしてる奴らが抱えてる苦悩を……見て見ないフリをしたんだ」
膨れ上がった自尊心。自分の才能で捨てられるわけがないという傲慢さ。それは確実に彼女を痛みに「鈍く」していく。
本気でイクサに怒られて──その場では平気なフリをしたものの、漸く自分のしでかしたことに気付いた。
しかしそれでも「生徒会の為」と理由を付けて、彼女は突き進むしかなかった。
「……自分がボロ雑巾みたいに捨てられてから……自覚したよ。ボクは自分が思ってた以上のロクでなしだった。捨てられるだけのことをやってきたんだ」
それなのにあの時、迷うことなくイクサは前に飛び出し、ボールを投げた。
そして、自分の為に憤慨し、戦ってくれた。
レモンも自身の恐怖を押し殺し、発作覚悟で戦った。
それがデジーには理解出来なかった。
「分かんないよ……何で、そんなボクに良くしてくれるの?」
「……」
「転校生も、レモン先輩も分かんないよ。あんなことされたら、
「それが正しいと思ったから、やっただけよ。彼も、私も。あれだけ尽くしてたのにあっさり捨てるなんて、アトムの方が最低野郎だわ。あいつの権限なら、貴女を引き留めることくらいできたでしょうに」
「ボクに……同情したの?」
「貴女も今、同情して此処に居るんでしょう? お互い様よ」
「ッ……それは。でも、何でボクを推薦枠に入れたの? バジル先輩と転校生と、3年生を2人入れても良かったんじゃ……」
「貴女の力が必要だから。そして──裏切られる痛みを、貴女はよく知ってるから」
保健室のベッドで──寝ているデジーがすすり泣いていたのを、レモンは思い出した。
追放されるのみならず、ゴミのように捨てられたのは、彼女を傷つけるには十二分な出来事だった。
「そりゃあ、貴女のやった事は社会通念的には許されることではないでしょう。でも……”使えるものは何でも使え。勝者は全てを手に入れ、敗者は全てを奪われる”……貴女は、そういう場所に入学したんでしょう。悪いけど私、もっとロクでもないヤツいっぱい見てきてるから」
そう言って、レモンはデジーの髪にそっと手を置いた。
自らの流儀に従い、真剣に戦った相手に敬意を表するように。
「貴女は、自分の為に、生徒会の為に戦っただけの事。それで貴女が罪悪感を抱えたとしても、謝罪することは……この私が許さない。全部、
「……」
「そりゃ転校生君は本気で怒ってたわ。多分
「何で。分かんない。転校生がボクと仲良くしてくれる理由が……ボク、分かんないよ」
「彼、ポケモンとポケモン勝負が好きだから。ミミロルをミミロップに進化させる程のトレーナーと、戦いに卑怯な手を持ち込まなかった貴女を信じたんでしょうね」
そう言われて──デジーは何も返せなくなった。
「ねえ、レモン先輩」
デジーは俯いたまま墓石に近付く。
そして──しゃがみ込んだ。
「ボクも祈るよ。ピカチュウが、この海の前でゆっくり眠れるように」
「……ありがとう」
静かに祈りをささげる。
死せる魂が、そして残された魂が安らかに眠れることを祈って。
※※※
「それで? 貴女……結局、転校生君の事が
「ひゃいっ!?」
別荘に戻る帰り道。
思い切ってレモンはデジーに問うてみることにした。
返ってきたのは意外な反応。顔を真っ赤にしてデジーは俯いた。
「ッ……うん。本気で獲りに行こうと思ってるよ」
「……バジルから聞いた通りね」
「ちょっと!? あの人ったら──あること無い事──ッ!?」
「あの子の前で迂闊な事を言うのが悪いわ」
「うぐぅ……!! 人の事は言えないだけに反論できない!」
慌てふためくデジー。
そんな彼女に、漸くうかうかしていられない、とレモンは突きつけられた気分だった。
自分が思っていた以上に、デジーは本気だ。
漸く自分の成す事が決まった、と言わんばかりに彼女は宣言する。
「──
「ッ……な、何言ってんのさ!?」
「でも、再三言ってるはずよ」
プライドの高いデジーを挑発するようにレモンは言ってのける。
「彼は──私の
「そうやって踏ん反りがえってたら、横取りされても知らないよ? レモン先輩」
「……努力はするわ」
(あ、意外とショック受けてる……結構取り繕ってるなあ、この人……)