12月20日:日差しなく 故に魔が差す 月明り
FF16クリアしました、良いゲームだったんですけど他人に勧める時高確率でPS5も一緒に勧めないといけないの難易度が高すぎる
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かつて死闘の末、ついに打ち倒した強敵ドラクルス・ディノサーベラス"緋色の傷"。あいつが俺に齎した素材をいざ使うとなった時、ふと悩んだ。
元々「傷だらけ」という特殊個体をレイドモンスター戦に乱入させて九割死にかけの時に全回復させる、というトンチキムーブから誕生した経緯を持つ……ともすれば、ユニークモンスター以上に「こいつ再出現することあるのか?」という個体。
そんなやつの素材を破損、損失の可能性がある武器や防具にするのは少々………いや、だいぶリスキーではないか、と。
そんな時、思いついたナイスアイデア。
───そういえばアクセサリーにすれば破損しねーな?
善は急げ、幸いなことにアクセサリー作りを得手とするやつの心当たりは多い。最終的にはビィラックに「これも修行これも修行」と作ってもらったわけだが……そうして完成したのがこのアクセサリーだ。
一つ、"緋色の傷"の大いなる下顎にして灼熱の奔流にも耐えうる熱息牙。恐・竜王装:枢機なる顎。
真なる竜を相手に戦った時にも使ったが、装備中は吐息の技能あるいは魔法を炎に変換する。俺はため息で人を焼ける、叫んだらどうなるかは是非直接味わってもらう。
二つ、"緋色の傷"の大いなる凶爪にして血肉を引き裂き骨を断ち砕く四肢爪。恐・竜王装:振駆なる爪。
強者は拳を握らない。その理由はガル之瀬で実証してやろう。
三つ、"緋色の傷"の大いなる靭尾にして恐るべき竜の三つ首を支えた屋台竜骨。恐・竜王装:剛毅なる尾。
人が進化の中で失ったそれを、より強い形で取り戻す。その強さは……悪いがやつで試させてもらおう。
骨の下顎、骨の爪、そして背骨とそこから伸びる骨の尾。三役揃って”緋色の傷”カスタム! 見た目が完全に狩った獲物の骨で装飾するタイプの蛮族、って点を除けば破格のステータスアップを「防具枠を使わずに」可能とするアクセサリーコンボだ。
んで、見た目が完全に蛮族なのに加えて冥響のオルケストラ正典撃破報酬………冥響正典:渡り鳥をつけてしまったもんだから…………人を人と識別する結構重要なファクターである頭が完全に化け物の類になってしまった。
「ま、誤差誤差……」
ちょっとばかし人間離れしてるだけだ、もうちょっとサイズ大きくしたら完全にそういう感じのボスモンスターだが。
「さて、せっかく新王側ででっかい神輿担いだ配信者の首魁が来てくれたんだ。ちょっとはインタビューしないとな?」
「……イベント終了まで時間稼ぎか?」
「趨勢は決してるだろ。じゃあ巻きでもいいぜ……そもそも、なんで新王側についたんだ? 割と頭から尻尾まで敵役って風情なのに」
少なくとも俺が知ってる範囲だけでも、父と娘を新大陸で不慮の事故にしようとした奴だし、新大陸の亜人を排斥しよう、とかいうコッテコテの悪役だ。
正直、シャンフロというゲームの将来的な展望を鑑みても勝たせちゃダメな奴だと思うが……
「……それに関しちゃ動画でも言ったんだがな。俺たちが新王側についたのは単純に、そうしなきゃPvPとしてバランスが成り立たないから、ってだけだ。シャンフロ初の勢力戦……一方的な蹂躙じゃ面白みがない」
成る程……納得のいく理由だ。配信者たちも想定していたわけではないだろうが、イベント開始と同時に両陣営にレイドモンスターが襲撃を仕掛けてきたのも考えると最悪王都が更地になっていたかもしれない。
戦力バランスを考えての「敵側」参戦……うむ、何もおかしくはない。
「聞きたいことはそれだけか?」
「いいや、もう一個……この無限組手、結構突発で開催したけどどうやって知ったんだ?」
「……偶然だ。通り道で開催していたから見逃せない、って具合にな。なんなら後でアーカイブを見ればいい」
「ふぅーん………」
嘘は言ってなさそうだ。
つまり、
「偶然ここに寄り道しなきゃそんなフル装備でやる事があったわけだ」
「……!」
「誰が見たってそっちは負け戦だろ、しかも死んだら全装備その場にぶちまけるクソルール適用下で歩いてるだけでゴースティングされてもおかしくない配信者が? そんな金も時間もかかってそうな装備着ちゃって………実は逆転する気満々で来たんじゃないか?」
一瞬、ほんの一瞬だけガル之瀬の眉が動いた。正直に言えば破滅主義的なやけっぱちだとばかり思っていたが、まさか本当に勝算があるのか? だとすれば単なる組手の挑戦者である以上にここで食い止めなきゃならない相手になるが……
「当たらずとも……遠からず、だな。確かに"陣取りゲーム"的には新王陣営はほぼ負け確定だ。だがあるだろう? もう一つだけ、勝利条件が………」
確かに。このイベントは数千数万、あるいはさらにそれ以上のプレイヤー同士による陣取りゲームだ。
だが、その気になれば数人で勝つ方法が一つだけある、それは……
「敵勢力要人の暗殺か…!」
「その通り。負け戦の身辺整理をするよりは有意義な悪あがきだろう?」
ジタバタ足掻いてこっちの心臓止められたらたまったもんじゃない……だが、ガル之瀬の装備は明らかに「本気装備」といった風情だ。
このゲーム、当たり前っちゃ当たり前だが手間のかかる装備ほどディティールが凝っているから詳細を見ずとも見た目である程度判別できるのだ。
負け戦に持ち出すような装備ではない、仮に失う前提だとしても袋叩きの末に手放す想定ではないだろう。
「先王と王女の暗殺で逆転勝利………燃えるだろ?」
「まるで勇者気分ってか?」
誰が言ったか、勇者など所詮暗殺者だと。ペンシルゴンだったか、じゃあ間違ってるんだろう……倫理的に。
しかし暗殺か……王様と王女を……そうか、暗殺…………
致し方ない犠牲………
「はっ!」
い、いかん!ダメな方向に思考が向かってる!!
王国騒乱、というNPCの損失がある程度仕方ないという扱いになるイベント中において、顔を見るだけで胃がムカムカしてくるNPCが仕方なく消えるならそれはそれでありなんじゃないか?とふと魔が差すようなやつが主人公の作品。
小説家になろうはみてみん、というサイトに画像を登録することでこうしてあとがきや本編中に画像を添付することができるのですがふと見たら最後に登録した画像が11巻のものだったんですね。じゃあ12と13は……って考えたら更新していなかった、という。
自分の至らなさを恥じ入るばかりで…………というわけで14巻の宣伝です。表紙を見ればご理解いただけると思いますが、宣伝しちゃダメなタイプの外道が大暴れしています。私は何度も「これを原液そのままで出していいのか」と問いましたが編集氏は笑ってゴーサインを出したし大魔導師不二先生は原液をさらに濃縮してきました。マトモなのが硬梨菜だけなのか、ヌルいのが硬梨菜だけなのかは一考の余地がありますが世に出てしまった以上はこのペンシルゴン入り名前隠しで突っ張っていくしかないのです。
そうさながら、明らかに環境を壊すと分かり切っているのに今更テキストを変えられないからそのまんま出てくる最強カードのような………恨むなら最初に文章を考えた時点での自分にタイムマシンを使って殴り掛かるしかないのです。