ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】 作:タク@DMP
──ノオトへ。如何お過ごしでしょうか。
アルカがグレープアカデミーに入学し、俺がパルデアでトレーナー修行を始めて、何か月か経ちました。
彼女は授業が忙しいらしく、なかなか一緒になれる機会はありませんが、寮生活を頑張っているようです。
正直悪い虫が付かないか心配でしたが杞憂でした。むしろアルカの方がこっちを心配してきます。嬉しいけどちょっと怖いです。
そんなわけで、先日はハッコウシティへデートに行きました。行った結果──
「何でパルデアでも時空の裂け目が開くんだァ!?」
「知らないよォ!! デートが台無しーッ!!」
──なんか知らんけどカジュアルに時空の裂け目が開きました……。
(そういや裂け目って自然発生するんだった……)
パキ、パキパキと空が割れるような音がした時点で二人は嫌な予感はしていた。
即座にそれは現実のものとなったのである。
デートは勿論中断。
裂け目から現れた全身が機械で覆われたポケモンが、町に攻撃を開始した。
敵は1匹。その見た目はねずみポケモン・サンドパンに酷似している。
だが、その目は電飾のように光っており、背中の棘はスティンガーミサイルのようだ。
その様相はまさに兵器の如く。
住民たちが逃げ惑う中、メグル達はボールを構えながら謎のポケモンを前に立ち往生するしかない。
「な、何だぁ、アイツ……!?」
「サンドパンだよね!? でも、全然姿が違う……!!」
「ブルルル? ピピピピピ……ッ!!」
メカメカしいサンドパンの背中からはミサイル状の棘が次々に発射され、辺りを爆破していく。
ポケモンを繰り出そうにもアルカを庇うのが精一杯だ。
「ど、どうしよう……!?」
「あのミサイル、技か……!? そもそもあいつ、ポケモンなのかよ!?」
「パモ様ッ!! マッハパンチだッ!!」
次の瞬間だった。
サンドパンの腹部に思いっきり何かの拳が突き刺さる。
ぐらり、と機械の身体が揺れ、一瞬敵は怯んだようだった。
「そこの二人! 怪我はないですか!?」
そして、立ちはだかるように──見知らぬ少年が降り立つ。
幼さが残るが、何処か爽やかさを漂わせた黄色いブレザー服の少年だ。
「えーと……誰?」
「──僕はイクサ。そして、この子は……
「ぱもぉ」
ぺこり、と様付けされたパモは丁寧にお辞儀をした。
小さいが、既に貫禄が漂っている。
【パモ ねずみポケモン タイプ:電気】
「ッ……パモって、あのパモだよな?」
「スカーフしてる! かっわいーっ!!」
「とにかく──コイツは、危ないから早く逃げてください。僕はコイツを追って、こっちまでやってきたんです」
「つったって、そいつ地面タイプじゃねえか!?」
「ええそうですよ」
「じゃあ不利じゃん!! 何でパモを連れてきたの!?」
言った端から、サンドパンのようなポケモンは地面を叩き、波打たせて揺らす。
”じならし”だ。電気タイプのパモには効果抜群となる。しかし──イクサと名乗った少年は懐から1枚のカードを取り出した。
そして、自らの腕に嵌められたブレスレットの宝玉に翳してみせる。
「大丈夫。僕達には
次の瞬間、激流がパモを包み込む。
一瞬、凶暴ポケモン・ギャラドスの姿が浮かび上がり──そして消えた。
そして、ふわりと浮かび上がったパモは、あっさりと波打つ地面の衝撃を受け流してみせる。
【パモ<AR:ギャラドス> タイプ:水/飛行】
「なっ、オーライズ!?」
「メグル以外に使える人が居たの!?」
「……そっか、こっちじゃあんまりメジャーじゃないのか、オーライズ」
「いや、そう言う事じゃなくて……!」
「マイナーどころの話じゃないよ! だって、オーライズが使えるのは……!」
オーライズはそもそもヒャッキ地方の技術。この世界では今、メグル以外にオーライズが使える人間は居ないのである。
(何がどうなってるんだ一体……!?)
「弱点で攻撃だ──
「ぱもぉっ!!」
全身を激流に包み込むパモ。
そのまま、サンドパンに突っ込み、一気にその装甲をへしゃげさせる。
だが、サンドパンもただでは転ばないのか、次々に棘のミサイルをパモに向かって放つ。
「ヘラクロスッ!! 受け止めて!!」
だが、その攻撃は全てヘラクロスが庇うようにシャットアウト。
そしてその陰からニンフィアが飛び出す。
「ハイパーボイスだ、ニンフィア!!」
「ふぃっきゅるるるる!!」
衝撃波が一気にサンドパンに襲い掛かった。
更に追撃でヘラクロスもミサイルばりを放っていく。
「よく分かんねーけど……向こうの世界は、それがルールみたいだな。一斉攻撃でトドメを刺すぞ──ニンフィア”ハイパーボイス”!!」
「ヘラクロス”ミサイルばり”!!」
「合わせてパモ様──”たきのぼり”だ!」
集中砲火がサンドパンに突き刺さる。
音波攻撃が内部系統を破壊し、更にミサイルばりが外殻を貫く。
そこにトドメと言わんばかりに水を纏った突撃が突き刺さる。
サンドパンの装甲はあちこちへしゃげ、全身から電気が放たれており、電飾の目も点滅を繰り返す。
それでも逃げる力は残っていたのか、飛び跳ねると時空の裂け目へ逃げていくのだった。
「あっ逃げた!」
「──後は僕が追います! 貴方達はこっちの世界の住人だから」
「行ったら帰って来れるか分からないもんね……」
「すっげー気になるけどな」
「手伝ってくれてありがとうございました。このお礼はまたいつか。えーと──」
「メグルだ! ……しっかりやれよ」
「はいっ、任されました!」
二人はがっちりと握手を重ねる。
そしてパモ共々、丁寧にお辞儀をすると──そのままイクサは時空の裂け目へと消えていくのだった。
しばらくすると裂け目は音を立てて自然に塞がっていく。
「……嵐のような出来事だったな……」
「そだね……まだ世界には、見た事の無いポケモンが居るってことだね!」
「あんなメカメカしいポケモン、ポケモンって呼んでいいのか……?」
最早、あの少年の正体も、何故か使われているオーライズも、そしてメカのポケモンも──裂け目が閉じた今となっては何も分からない。
「……まあ良いか。期待してるぜ──どっかの世界のポケモントレーナー」
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