ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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CC44話:信じること

 ※※※

 

 

 

「いたたたたッ……メテノ、戻るでござる……!!」

「しゃらんしゃららん……」

 

 キリの鉄糸忍術とメテノの甲殻が衝撃を吸収した事によって、墜落死は免れたアルカ達。

 しかしそこは燃え盛る市街地。更に、落ちていった彼女達を追ってリキキリンとアヤシシが現れる。

 よく見ると、リキキリンやアヤシシの身体には黒い靄が掛かっており、更に目も赤くなっている。

 上空を飛び回って災禍を振り撒くルギアとホウオウの影響を受けているのだろう。

 かつてサイゴクを恐怖に陥れた”赤い月現象”のようなものなのだろう。瘴気を纏わせたポケモンは狂暴化すると同時に、そのステータスも大きく底上げされる。

 

「りりきりーん」

「ブルルルゥ……ッ!!」

 

 更に後ろには、巨大な図体の持ち主であるガチグマが飛び出してくる。

 引っ掻かれただけで人間には致命傷となる大腕を振り回せば、地面が抉れ、アスファルトが飛び散る。そして、その地面からはノココッチが飛び出した。

 更に上空からは狂ったように動き続けるポリゴンZの姿まで現れる。

 

「こ、こいつらしつけぇッスよ……!!」

「どうする……如何様にして突破する?」

「そんなの決まってるじゃん。ノーマルタイプ相手なら、格闘タイプで押せば良いんだ!」

「そうッスね……頼むッスよルカリオ!!」

 

 飛び出すルカリオとヘラクロス。

 そこに続けて、キリはバンギラスを繰り出した。

 砂嵐が辺りを吹き抜ける。

 

「……アルカ殿。ガチグマを抑えられるか?」

「浮いてるヤツはオレっちが!」

「エスパータイプ持ちは、バンギラスが相手するんだね!」

 

 すぐにヘラクロスとガチグマの取っ組み合いが始まった。

 バンギラスがアヤシシとリキキリン目掛けてラリアットをぶちかまし、ルカリオがポリゴンZに向かって”はどうだん”を叩き込む。

 しかし、流石に靄で強化された相手というだけあって、弱点を突いただけで倒れるポケモンは居ない。

 リキキリンとアヤシシは”さいみんじゅつ”を放ってバンギラスを昏倒させる。

 ポリゴンZは怪しげな電波を放ちながらルカリオの波動チャージを妨害し、ガチグマはそのままヘラクロスの角を掴んで投げ飛ばしてしまうのだった。

 バトルに大きな自信を持つイデアの手持ちと言うだけあって、いずれも強敵だ。

 それが更に黒い靄によって強化されていることで、全員がタフさと火力を両立してしまっている。

 そうなれば、こちらもまた更にポケモンそのものの強化を行うしかない。

 

「メガシンカでござるよ、ノオト殿!! アルカ殿!!」

「了解ッス!!」

「……もっちろぉん!!」

 

 3人は同時にメガリングに手を翳す。

 すぐさまヘラクロス、ルカリオ、バンギラスの身体を進化の光が包み込む。

 そして、投げ飛ばされて逆さまになっていたヘラクロスは一気に飛翔し、再びガチグマとの相撲を再開するのだった。

 ルカリオはリキキリンの背中を踏み台にして跳び、上空から電撃を放ち続けているポリゴンZへと跳んで行く。

 更にキリのバンギラスは、移動の際に”りゅうのまい”の所作を取り入れることで、更に加速していく。

 

「お前なんかに、これ以上ボクの故郷を滅茶苦茶にされて堪るかッ!! ”インファイト”!!」

「全力全壊──”はどうだん”連打ッス!!」

「──お終いでござる。”かみくだく”ッ!!」

 

 懐に潜り込んだヘラクロスは、ガチグマの腹に怒涛の連打を見舞う。

 そして地中から奇襲してきたノココッチも、全身から放った”ミサイルばり”のファンネルビットで撃退。

 幾ら重戦車の如き装甲を誇るガチグマと言えど、この乱打には堪らずダウン。舌を出したまま、ぐったりと倒れてしまう。

 そして、空中から怪電波をばら撒きルカリオの集中を乱そうとするポリゴンZ。しかし、地上で限界までチャージを終えていた波動弾をルカリオは至近距離で叩き込む。一気に流し込まれた波動エネルギーは爆ぜ、ポリゴンZは撃墜されていく。

 最後に素早く動いたバンギラスが一気にリキキリンの首に噛みつき、そのままアヤシシの方目掛けて投げ飛ばす。

 巨体と巨体がぶつかり、絡み合う二匹。そこに、更に瞬歩で接近したバンギラスは──まとめてボディプレスで押し潰すのだった。

 

「こ、これで、後はイデア博士だけッスか……!?」

「いや、まだ残っている……5匹しか倒せていない」

「でも博士の最後の手持ちって確か──」

 

 

 

「ニンフィア──”ハイパーボイス”」

 

 

 

 固まっているルカリオ、バンギラス、ヘラクロスはその爆音を受けて一気に吹き飛んだ。そして衝撃波を食らった3人も地面に倒れ伏せる。

 アルカは起き上がり──目を疑った。

 見間違えるはずが無かった。

 立っていたのは、メグルとニンフィアだったのである。

 結論から言えば攻撃を仕掛けたのはニンフィアだ。

 ハイパーボイスは敵全体を攻撃する技。しかも、特性:フェアリースキンでフェアリータイプに強化されたそれは、格闘タイプのヘラクロスと悪タイプのバンギラスには効果が抜群。

 耐久が高くないルカリオにも少なくないダメージを与えている。

 

「な、何で……メグル……ッ! ──いや」

 

 きっ、とアルカは目の前に立つメグルを睨み付ける。

 彼女が一番知っている。

 

「メグルが、こんな事するはずがないっ……お前は誰なんだっ!!」

「……あーあ、美しいねえ。だけど、本物だと思ったまま死んだ方が幸せだったと思うよ?」

「ッ!?」

 

 後ろからイデアの声が聞こえてくる。

 相も変わらずルギアの上に跨っているのであるが。

 

「センセイ!! ……お願いね」

「どぅーどぅる」

 

 どろり、とメグルとニンフィアの身体が崩れ落ちた。

 粘りを帯びた絵の具のようだった。そして、それは全て彼の尻尾へと吸い込まれていく。

 アルカ達は驚愕した。そこに立っていたのは──全身が黒い、ヒャッキのドーブルだったのである。

 

「どぅーどぅる」

「……ど、どういうこと!? イデア博士、ヒャッキのドーブルを持ってたの!?」

「……大方、今の変身能力で普段は普通のドーブルに成りすましていたといったところでござろう」

「うーん、正解。流石キャプテンだねえ。だけど、変身能力だけじゃない。うちのセンセイは──とても強いんだよね」

 

 どろどろと音を立てて、ドーブルの周囲に絵の具が集まっていく。

 頭部はシルクハットのようなものへと変わり、紳士服のような衣服を纏うのだった。

 

「本気を出したセンセイは……メガシンカポケモンが相手でも引けを取らないよ」

「──言うだけならタダでござろうッ!! バンギラス、ストーンエッジ!!」

「ヘラクロス、”ミサイルばり”だ!!」

「あいつ、何タイプなんスかね──とりあえず裏目が無いから”ラスターカノン”!!」

 

 3匹のメガシンカポケモンの集中砲火が炸裂──と思われた。

 岩の刃はドーブルの尻尾の筆に全て打ち払われてしまい、飛んできた”ミサイルばり”は幻惑するような動きで誘導されて全て爆破されてしまう。

 最後に飛んできたラスターカノンも、跳躍であっさりと躱されてしまうのだった。

 そして、地面を思いっきり蹴ったドーブルはバンギラスの顎を膝で粉砕する。

 

【ドーブルの とびひざげり!!】

 

 確かに格闘技は4倍弱点だ。

 しかし、ドーブルの低火力とバンギラスの防御力が合わされば耐え切ることができる──はずだった。

 その強烈な一撃が決してフカシではないことをキリは察する。

 だが、それ以上バンギラスは一歩も歩くことなく、ぐらりと仰向けに倒れてしまい、メガシンカも解除されてしまうのだった。

 

「なっ、何スかこの火力──ッ!?」

「”ぶちかまし”」

 

 次にドーブルはルカリオに一気に間合いを詰め、掌底を胸部に叩きこむ。

 地面さえも叩き割る物理エネルギーを圧縮したその一撃は、一発でルカリオを昏倒させてしまうのだった。

 そして、跳ね返ったエネルギーを逆利用して宙返りすると、ドーブルはヘラクロスに狙いを定め、一瞬で間合いを詰める。

 

【ドーブルの しんそく!!】

 

 ヘラクロスの顔面に蹴りを見舞ったドーブルは、更に反撃を許さないまま火炎を身に纏い、ヘラクロスにトドメを刺す。

 

 

 

【ドーブルの フレアドライブ!!】

 

 

 

 全身が炎に包みこまれたヘラクロスは、そのまま煙を吐き出すと倒れ込む。 

 一瞬だった。一切の抵抗を許さず、3匹のメガシンカポケモンがドーブル1匹に無力化されてしまったのである。

 

「ど、どういう強さしてるんスか、あいつ……!!」

「前々からただのドーブルではないと思っていたが……最早普通のポケモンの強さではござらん……ッ!!」

「どぅーどぅる」

 

 全身から黒い靄を吹き出すドーブルを前に、全員は次のポケモンを出す事すら躊躇しつつあった。 

 

「──なぁ、言っただろ? 本物だと勘違いしたままの方がマシだったってね。まあ、もう本物はこの世に居ないんだけどさ」

「……ッ!?」

「聞くな、アルカさんッ!! 戯言ッスよ!!」

「……だって、あの動力室で……メグル君は僕が吹き飛ばしたからね」

 

 アルカの顔が固まる。

 

「……ウソだ。メグルが死ぬわけない」

「死なないわけがない。至近距離でホウオウのオオワザを撃ち放ったんだ。生身の人間なら熔けているよ」

「ッ……そんな。ウソだ!! メグルが死ぬわけ無いんだ!!」

「じゃあ何で、彼はこの期に及んで、此処に来ないんだい? ……死人は戦場には来れない。簡単な話じゃないか」

「ッ……あ」

 

 アルカは両腕を地面に突く。

 そう言われてしまえば、もう受け入れたくなくても受け入れざるを得なくなってしまう。

 昨日から彼が失踪していた理由。そして連絡が付かなかった理由。それも全部繋がってしまう。

 

「ゆ、許さない……絶対に許さないッ……!! よくもメグルを……ッ!!」

「やめるッスよ、アルカさんっ!! 口から出まかせッス!! メグルさんは──メグルさんは……ッ!!」

「ッ……」

 

 泣き叫びながら飛び掛かろうとするアルカをノオトは必死で押さえ込む。

 

「ボクから、ボクからメグルまで奪うのかッ!! お前はァァァーッ!!」

「あーあ。壊れちゃったね」

 

 それを見てイデアは、何処か失望したように溜息をつくと──「センセイ、それじゃあアレお願い」と一言。

 頷いたドーブルはいきなり宙に絵筆で何かを描き始めた。最初は意味のないただの線画だったが、徐々にそれは形を作っていく。

 

 

 

「オオワザ──”ちみもうりょう・じごくえず”」

 

 

 

 ──現れたのは、大量のヒャッキのポケモンの群れだった。

 総勢100匹以上のヒャッキのポケモンが取り囲んでおり、圧倒的物量で押し潰してくる。

 

「じゃ、僕達は次の町に行くから。そいつらとせいぜい遊んでなよ。……遊んでるうちに潰されちゃうかもだけどねぇ」

 

 手を振った彼は、ドーブルをホウオウに乗せると、そのまま飛び去っていく。

 後に残るのは、墨で出来たヒャッキのポケモンの群れ、そしてそれに囲まれるアルカ達だけ。

 それでも構わず突っ込もうとするアルカだったが、すぐにダーテングに弾き飛ばされ、ノオトに受け止められる。

 

「落ち着くッスよ!! あんなの、アルカさんを動揺させるためのウソッス……!!」

「ぐぅっ、ううう……ッ!! でもあんなの、答え合わせじゃんかさぁ……!」

「あんな奴の出した答えと、メグルさん、あんたはどっちを信じるんスかッ!!」

「ッ……」

「マズい、数が多すぎるでござる……ッ!! このままじゃ、撤退すら出来ないでござるよ……!!」

 

 どんどん小さくなっていくホウオウとルギアを眺めながら、次々に襲い掛かってくるヒャッキポケモンに対抗するしかない。

 幸い、1匹1匹は耐久性が弱く、攻撃すればすぐに墨になって飛び散ってしまう。

 だが攻撃力は据え置きのままだ。その上、倒しても倒してもまた復活してしまうのである。

 

「ジャラランガ──ッ!! 掻き鳴らせ”スケイルノイズ”!!」

「──メテノ、”パワージェム”で狙撃するでござる……ッ!!」

「ッ……ぐうう、デカヌチャン、暴れ回れッ!!」

 

 最初こそ勢いよく暴れ回っていたジャラランガも、すぐに集中攻撃を受けて膝を突いてしまう。

 倒しても倒しても湧いて出て来る軍勢に、徐々に手持ちのポケモンは磨り潰されていく。

 

「ッ……くそ、パーモットも限界ッスか──次はカラミンゴッス!!」

「戻るでござるプテラ!! 行け──ルガルガン!!」

「……モトトカゲ! 君の出番だ! 轢き潰せぇぇぇーっ!!」

 

 倒せど、倒せど。

 倒せど、倒せど。

 墨の軍勢は次々に湧き上がってくる。

 ポケモンの技を受け、トレーナー達も傷つき、地に臥せていく。

 

「こいつらぁっ……しつこすぎッス──がぁっ!!」

 

 ノオトを背後から襲うヒャッキルカリオ。

 背中に肘突きを受けたことで彼は地面に押さえつけられてしまう。

 

「何か手立ては──」

 

 鉄糸で大量のポケモンを押さえつけるが、キリも体力の限界だ。

 空から襲い掛かるアップリューによって手足が氷漬けにされてしまうのだった。

 

(不覚ッ……これでは抑え切れん……!!)

 

 そして、上空から襲い掛かるアーマーガアやアオガラスがアルカを追い立て、突き回す。

 体にはもう幾つも穿ち傷が出来ており、立つのものままならない。

 

(痛い、苦しい──これで、終わりなの……ッ!?)

 

 薄れゆく意識の中──アルカは手を伸ばす。

 ぼんやりとだが、そこにメグルが居るような気がした。

 

(ごめんね、メグル……ボク、やっぱりダメだった……ッ!!)

 

 

 

【アーマーガアの ブレイブバード!!】

 

 

 

 次のボールに手を伸ばす気力すら奪われていた。指が伸びない。

 全員が諦めかけていたその時だった。

 

 

 

 

【リザードンの だいもんじ!!】

 

 

 

 炎が──ポケモン達を焼き払う。

 3人は呆気に取られていた。空を見上げるとそこには──

 

 

 

「此処まで、よく頑張ったわね──後はオネエさん達に任せなさい!」

 

 

 

 腕と脚を氷漬けにされたキリを解放したのは──炎。

 艶やかで美しい炎だった。

 それが墨諸共、ヒャッキの軍勢を焼き払い、蒸発させる。

 まさにそれは燦然と輝く真夏の太陽であった。

 颯爽と現れた漢女は、キリの手を引っ張り、肩を貸す。

 

「……何故、此処に。まだ寝ていなければダメでござるよ、ハズシ殿……ッ!」

「バカねぇ、年長者の顔は立てるものよ。ちょっとくらい、良いカッコさせなさいよ」

「……かたじけない。怪我は大したことないが、敵の数が多すぎて」

「でしょうねえ。本当、よく頑張ったわ」

「……だがハズシ殿が来てくれて助かった。奴らは墨。焼き切れば消滅させられるはずでござる」

「そうと決まれば話が早い。さあリザードンちゃん! 思いっきり焼いちゃってッ!」

 

 火竜の咆哮がその場に響く。

 既にメガシンカを遂げていたリザードンは、陽の光を受け、更に尻尾の炎の勢いを増していく。

 

「さあ、来るなら来なさい。オネエさんとリザードンちゃんが相手になるわ」

「ばぎゅあーっ!!」

 

 それでも尚起き上がるポケモン達だったが、次の瞬間には影の中へと引きずり込まれていく。

 墨よりもドス黒く、光の対極に位置する影。

 それに引きずり込まれてしまえば、もう二度と蘇りはしない。

 呪い人形の笑い声がケタケタと戦場を揺さぶる。

 

「──ふふっ、ノオト。あんまり私の前で、情けない姿を晒していると……祟るのですよー♪」

「へ、へへ……疲れてるからかなぁ、病院で寝てる姉貴の幻覚と幻聴が見えるや……」

「んー? 寝ぼけているようなのですー?」

「いっだだだだ、幻覚じゃない!?」

「おや、幻覚の方が良かったのです?」

「……い、いや助かるッスけど──何で来たんスか!?」

「そりゃあもう、可愛い弟のピンチだから、なのですよ」

 

 悪戯っ子のような笑みを浮かべてみせるヒメノ。その傍らにはメガシンカしたジュペッタがふよふよと漂っている。

 それでも尚、墨から生まれたポケモン達は彼女達を囲っていく。

 

「どいたどいたどいたァァァーッ!!」

 

 だが、地を揺さぶる勢いで走る古代の王・パッチラゴンが一気に包囲網を突き破った。

 それに豪快にライドギアで跨るのはユイだ。

 ありとあらゆるものを踏みつぶし、嘴は次々に軍勢を貫き、そして高電圧で墨を焼き切っていく。

 

「ったく、メグルのヤツはこんな時に何処で何してんのよ──こんなに可愛い彼女を置いて! 戻ってきたら、説教なんだからッ!!」

「……ユイ、ちゃん……?」

「あんたも、しょぼくれた顔してんじゃないんだから!」

「でも……もう、メグルは……ッ」

「あいつがそう簡単にくたばるワケないでしょ! あたしの方が、あいつの事信じててどうすんの! そんな体たらくだと、あたしが盗っちゃうんだから!」

「……」

「だから、泣きそうな顔してんじゃないんだからぁっ! 最大出力”でんげきくちばし”ッ!!」

「ばっちらららーッ!!」

 

 パッチラゴンの嘴に極大の電気が収縮していく。

 それが一気に地面に撃ち下ろされるなり、墨のポケモン達を一気に焼き焦がしていく。

 

「──あたしは今、サイコーにキレてるんだから……イデア博士ッ!!」

「す、すごい……破壊力だ……ッ!!」

「キレてるときのユイさんは、マジでキケンッス!! 離れねえとオレっち達も黒焦げッスよ!!」

「ほんっと、サイッテーなんだから、あのクソ博士ーッ!!」

 

 博士に裏切られたのが、余程頭に来ているらしい。

 彼女の怒りに呼応し、パッチラゴンの電圧も爆発的に上昇していく。

 

「我々も負けていられないでござるな……ルガルガン、いわなだれ!!」

 

 飛び出したルガルガンが一気に岩を降らせていく。

 

「もうひと頑張りッスね……ッ!! 姉貴の前で、情けねえ姿は……出来ねえッス!! コノヨザル、ふんどのこぶしッ!!」

 

 コノヨザルが恨みの籠った鉄拳を振り回し、ポケモン達を薙ぎ払う。

 

「……泣いてる場合じゃ、ない……ッ!! ボクが、メグルを信じるんだ……ッ!! ジャローダ、リーフストームッ!!」

 

 そして──木の葉渦巻く大嵐が、一斉にありとあらゆる邪魔するものを吹き飛ばしたのだった。

 これで、完全に道は開ける。

 しかし、それでもまだ墨から生まれたポケモンは襲い掛かってくる──

 

「きりがねぇッス……!! どんだけ湧いたら気が済むんスか!?」

「ノオト!! あんた、先に行きなさい。後、アルカさんも!」

「えっ──で、でも……!」

「メグルちゃんはやられっぱなしで終わる男じゃないわ。きっと、イデアちゃんの所に行くんじゃないかしら」

「貴方達は3人一緒がお似合いなのですよー♪ ……ヒメノの胃痛が悪化する前に、さっさと行くのですよ」

「……キリさんは──」

「ノオト殿。此処は、我々に任せるでござるよ」

 

 ざっ、とキャプテン達は百鬼夜行の前に立ちはだかる。

 

「──サイゴクのキャプテンの力……あの愚か者に見せつけてやるでござる」

「……はいっス!!」

 

 ノオトはアルカの手を引っ張る。

 彼女も頷き──ボールを投げた。

 飛び出したのはオトシドリだ。ライドギアのハンドルをノオトが握り、その後ろにアルカが掴まる。

 そのまま、2人は百鬼夜行の群れから離脱していくのだった。

 彼らを見届けた後──ハズシが叫ぶ。

 

「さあ、行くわよ皆。サイゴクのキャプテンの意地……今こそ見せてやろうじゃない! 勝つのはいつも愛、つまりラブよ!」

「はいー♪ 我ら生まれは違えど、守るものは同じ、なのですよー♪」

「神聖なるサイゴクでの狼藉は、あたし達が許さない!」

「……我らはキャプテン。おやしろを守護し耐え忍ぶ者。その矜持──今こそ示す時でござるよ」

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