<会 議 の 名 称>
第1052回経営委員会
<会 議 日 時>
平成19年9月25日(火)午後2時00分から午後5時15分まで
<出 席 者>
〔委 員〕
| ◎ | 古 森 重 |
〇 | 多賀谷 一 照 | 深 谷 紘 一 | |
| 野 間 光輪子 | 小 丸 成 洋 | 梅 原 利 之 | |||
| 保 ゆかり | 一 力 徳 子 | 飛 田 稔 章 | |||
| 岩 崎 芳 史 | 小 林 英 明 |
| ◎委員長 〇委員長職務代行者(以下、「代行」という。) |
〔監 事〕
| 古 閑 監 事 | 落 合 監 事 |
〔役 員〕
| 橋 本 会 長 | 永 井 副会長 | 原 田 専務理事 | |
| 畠 山 理 事 | 小 林 理 事 | 金 田 理 事 | |
| 中 川 理 事 | 石 村 理 事 | 西 山 理 事 | |
| 日 向 理 事 | 溝 口 理 事 | 八 幡 理 事 |
<場 所>
放送センター 21階役員会議室、22階経営委員会室
<議 事>
古森委員長が開会を宣言し、本日の付議事項および日程について説明。第1051回経営委員会(平成19年9月11日開催)議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成19年9月28日に公表することを決定。
付議事項
1 会長報告
業務概況について
2 議決事項
(1) 中央放送番組審議会委員の委嘱について
(2) 横浜新放送会館の土地・建物購入について
3 報告事項
(1) 地方放送番組審議会委員の委嘱について
(2) 千葉放送会館移転整備の着手について
(3) 会計検査院の検査報告について
4 審議事項
「次期経営計画」について
議事経過
1 会長報告
業務概況について
(橋本会長)
まず、災害義援金の受け付け等についてご報告いたします。9月17日に秋田県全域で発生した、大雨豪雨災害により被災された方々に対して、義援金の受付を開始しました。実施期間は9月21日から10月31日までの41日間で、秋田県共同募金会、日本赤十字社秋田県支部を中心に、地元の各機関、NHK、民放が一緒になって取り組みます。また、能登半島地震災害義援金については、実施期間が9月28日までとなっていますが、来年の3月31日まで延長することといたしました。
(永井副会長)
前回の経営委員会において、義援金の受付を行う基準についてご質問がありましたので、ここで簡単に申し上げます。1つは、災害救助法の適用を受けた場合に、地元自治体と地元の日本赤十字社、共同募金会と協議したうえで実施しています。それから、もう1つは、複数の都道府県をまたぐ災害や規模の大きい地震等の場合には、全国規模で義援金を募ることとしています。ただし、NHKは寄付を受けられませんので、その中でのNHKの役割はあくまでも周知であり、義援金についてはお預かりする立場となっています。
(橋本会長)
9月14日に、平成19年度「第3回コンプライアンス推進責任者会議」を開催しました。緊急対話活動と不正防止の強化策等について、6月に2回開催しましたが、今回は、9月11日にコンプライアンス委員会から出された「『最終答申』に対する追補意見」を受けて、NHKの内部統制構築の方向性等についての意見を中心に、全国のコンプライアンス推進責任者に周知しました。また、毎年10月に取り組む「コンプライアンス推進強化月間」のテーマとして、外部専門家による「職員意識調査」(コンプライアンス・アンケート)の総括をもとに、各職場で対話活動を行うことなどを確認しました。
9月19日、タイのMCOT(タイ・マスコミ社)の会長が、NHKを訪問され、2日間にわたって、NHKの緊急報道の仕組みや技研のスーパーハイビジョンなどの新技術、アーカイブス、放送研修センターなどを視察されました。また、通信・放送の融合時代への対応や公共放送の使命・役割等について意見交換を行いました。
2 議決事項
(1) 中央放送番組審議会委員の委嘱について
(原田専務理事)
中央放送番組審議会委員として、榊原洋一氏(お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター教授)を平成19年10月1日付で再委嘱したいので同意をお願いします。
採決の結果、原案どおり議決。
(2) 横浜新放送会館の土地・建物購入について
(八幡理事)
横浜新放送会館の土地・建物の購入についてご審議願います。同会館は、市街地再開発事業により、神奈川県のホールと合築することで県および事業の施行者である独立行政法人都市再生機構と協議を進めてきており、このたび、購入条件等について合意に達しました。
具体的には、横浜市中区山下町の土地1,789.38m2(全体6,436.61m2のうち持分27.80%)と、今後建設される建物の主に地上1階から3階部分の専有面積4,902.64m2と共用持分面積1,162.33m2(全体共用の5,527.55m2のうち持分21.02%)について、土地1,295百万円、建物2,381百万円、設計監理等366百万円のあわせて4,042百万円で取得したいというものです。なお、建物価額は、これから工事が行われますので、最終的な工事額の確定によって精算することといたします。
現在の横浜放送局は、昭和38年に建設され、すでに約45年が経過しており、敷地は全国の放送局の中で最も狭いという状況にあります。今後整備される再開発地区は、山下公園や中華街にも近く、新放送会館と神奈川県のホール以外にも、ホテル、オフィス、店舗、映画館等が建設される予定であり、非常に集客力があり、NHKの新たな拠点として期待がもてる場所だと考えています。本日議決をいただければ、10月上旬に譲渡契約を締結することといたします。
(古森委員長) |
神奈川県のホールと合築とのことですが、購入代金はどのように支払うのですか。 |
| (八幡理事) | 都市再生機構が新放送会館と神奈川県のホールを一括して工事契約しますので、建物の完成後、神奈川県とNHKそれぞれが当該部分を都市再生機構から購入することになります。 |
| (古森委員長) | 設計監理等の費用は、県とNHKそれぞれが持分で負担しあうのですか。 |
| (八幡理事) | そうです。金額についてはNHKの負担分です。 |
採決の結果、原案どおり議決。
3 報告事項
(1) 地方放送番組審議会委員の委嘱について
(原田専務理事)
地方放送番組審議会委員の委嘱を行いますのでご報告いたします。九州地方で、大倉紀子氏((株)ジャンヌマリー代表取締役社長)を平成19年10月1日付で再委嘱します。また、東北地方で、鈴木満氏(東北電力(株)常務取締役)、橘眞紀子氏(秋保温泉「岩沼屋」専務取締役)の2名を平成19年10月1日付で新規委嘱します。また、北海道地方で、田澤由利氏((株)ワイズスタッフ代表取締役)を平成19年10月1日付で新規委嘱するとともに、長谷川幸男氏(いわみざわ農業協同組合代表理事組合長)を同日付で再委嘱します。
なお、関東甲信越地方の増井光子氏(よこはま動物園園長・獣医学博士)、東北地方の牛尾陽子氏((株)藤崎取締役・(株)藤崎快適生活研究所専務取締役所長)、佐々木恭之助氏(東北電力(株)常務取締役)、北海道地方の青田昌秋氏(北海道立オホーツク流氷科学センター所長)は、平成19年9月30日付で任期満了により退任されます。
(2) 千葉放送会館移転整備の着手について
(八幡理事)
千葉放送会館は、狭隘化、機能陳腐化が著しく、移転整備のため平成16年5月に千葉港地区の県有地を取得しました。この際の土地売買契約では、平成21年度に建物を完成させるという条件で土地を取得いたしましたが、NHKの財政悪化により、支出の低減・平準化を図るため、会館建設を延伸することとし、千葉県との協議の結果、建物完成を平成23年5月に変更する確認書を平成18年1月にあらためて締結した経緯があります。つきましては、土地売買契約書および確認書の約定に基づき、今後、平成20年3月までに基本計画を立て、平成20年8月以降、基本設計と実施設計に入り、平成21年12月に建物着工、平成23年5月に建物完成、平成23年10月に運用開始というスケジュールで新会館の建設に着手することにしたいと考えます。
新会館の概要については、敷地面積が4,968m2、延床面積が5,200m2程度で、建設費は建物が23億円程度、放送設備が11億円程度と見積もっています。単独建設で地上3階程度と考えていますが、可能な限り1フロアに放送機能を集中配置して、デジタル放送にも対応したものとして作り上げたいと思います。整備概要などについては、関係部局で調整したうえ、あらためて経営委員会にご報告いたします。
(小丸委員) |
土地を平成16年に取得して以降、今日まで放置されていたことについて、やむを得ない事情もあったとは思いますが、今後は順調に進めていただきたいと思います。 |
| (八幡理事) | 地上デジタル放送設備等への投資を優先するため、千葉県にNHKの財政状況を説明して、建物完成を2年先延ばしさせていただきましたが、今後はスケジュールに沿って進めていきたいと思います。 |
| (古森委員長) | 会館建設は競争入札ですか。 |
| (八幡理事) | そうです。これから整備概要を作成し、あらためてお示しいたします。 |
(3) 会計検査院の検査報告について
(八幡理事)
会計検査院の検査報告についてご説明いたします。今回の会計検査院の検査は、昨年6月、参議院決算委員会において、国会法105条に基づき、会計検査院に対し、NHKにおける不祥事について番組制作費等の経費の状況等の検査を実施し、報告することを求める決議がなされ、これに基づき実施されたものです。検査事項は、「番組制作費等の経理の実施状況および不祥事の再発防止に向けた体制整備の状況」と「関連団体の余剰金の状況」であり、会計検査院が、ほぼ1年間かけて検査を実施したものです。
1番目の「番組制作費等の経理の実施状況および不祥事の再発防止に向けた体制整備の状況」については、不正ないし不適切な経理が行われていた放送料、旅費等の各経費を対象に、書類の照合、関係者からの業務実態の聴取などの方法により検査を行うとともに、NHKが実施した全部局業務調査等の各調査についても検査を行った結果、特に架空請求や架空出張等の不正な実態はなく、NHKの調査結果にも特に不備な点は見受けられないとのことでした。また、不祥事の再発防止に向けた体制整備の状況についても、特に不適切な事態は見受けられなかったということで、「コンプライアンス推進のアクションプラン」に基づき、業務管理、経理管理などの施策を確実に実施されたいとのことでした。
2番目の「関連団体の余剰金の状況」については、表現上は、17年度末の関連団体33団体の利益剰余金等の総額は886億余円となっており、特にNHKが直接出資している子会社については、十分に財政上の余力がある会社が見受けられ、今後も利益剰余金額、当座資産額等の資産状況等を勘案して特例配当を要請するなどして、協会の財政に寄与させることが望まれるとしています。利益剰余金等の総額については、業務報告書で子会社等の概要として公表しているものです。ただ、この会計検査院の報告書では、NHKに配当可能な対象額には触れていないため、マスコミ報道等で誤解を生じたのではないかと考えています。つまり、関連団体33団体の利益剰余金等の総額は886億円ですが、このうち、みずからの判断で利益を処分できない関連公益法人やNHKが経営の支配力を有しない関連会社、直接議決権を持っていない海外子会社を除くと、NHKが直接出資している子会社は19社で、その利益剰余金の合計は744億円となります。ただし、利益剰余金は、そのすべてを現金や預金として保有しているわけではなく、テキスト・書籍等の在庫、中継車、自社ビルなどの固定資産に充てられているものが324億円あるため、現金同等物として、キャッシュフローにカウントできるものは420億円となっています。このうち、日常の支払いにあてるキャッシュなどが約200億円ありますので、420億円から200億円を差し引いた約220億円が配当の対象可能額であると考えています。ただし、NHKの持ち株比率は平均63.6%ですので、単純に計算して220億円すべてが配当されたとしても、NHKの受取額は140億円程度にしかならないと思います。ちなみに、18年度の配当総額は49億円で、そのうちNHKの受取額は36億円でした。また、19年度についても配当総額が33億円であり、そのうちNHKの受取額は18億円でした。今後も、会計検査院の報告書に記載されているように、「財務上の余力」をそれぞれの会社ごとに検証したうえで、NHKの財政に寄与するよう、大型配当を含めて、引き続き要請していきたいと考えています。
それから、NHKと関連団体との取引の状況について、随意契約が多い旨が報告されています。17年度における関連団体との契約総額942億円のうち、随意契約は921億円で、全体の98%となっていますが、そのうちの67%を占める番組制作委託の630億円については、価格を競争するだけでなく、企画提案の内容を競うという形で採否を決定するため、競争契約の対象とはしていません。こうした実態については、国の規制改革・民間開放推進会議も同様の理解を示しています。いずれにしましても、関連団体との随意契約については、件名、契約先、金額、随意契約となる理由を付して、ホームページで公表しています。また、平成18年度以降も、放送台本の印刷、放送センターの清掃など、競争できるものは競争契約化を進めている状況にあります。
(小丸委員) |
子会社等に対する配当の要請とか、取引を通じて関連団体に過剰な利益を与えることにならないよう、競争契約を原則とする業務委託のあり方について、真摯(しんし)にお考えいただきたいと思います。 |
| (溝口理事) | 少し補足いたしますと、さきほど、17年度末におけるキャッシュフローとしてカウントできる現金同等物は420億円とご説明いたしましたが、18年度に49億円の配当を行い、19年度にも、さらに大型の配当を要請したことなどから、今現在の現金同等物は371億円となっています。 |
| (小丸委員) | NHKの財政に寄与するような形をとっていただければ結構だと思います。 |
| (溝口理事) | 平成18年度から特例配当も実施されていますので、これまでどおりの考え方で進めていきたいと考えています。 |
| (小丸委員) | グループとしてまとめて資金調達したりしているのですか。また、そういったお考えはないのですか。 |
| (溝口理事) | 現在のところ、そのようなことは行っていません。現在のところは、総合企画室〔関連事業〕というNHKの部局で、持ち株会社的な発想で配当のあり方などを検討しているというのが現状です。そういったことを行うためには、NHKと子会社等との間に、ホールディングスのような組織を設けないと、なかなかできないだろうと思います。 |
| (小丸委員) | そのあたりがもう少し改善されれば、かなりのコスト削減が図れると思います。 |
| (橋本会長) | ご指摘の点は、これからの課題と考えています。子会社等に対して、大型配当を要請していますけれども、現状では、子会社独自の営業活動により生み出された利益についても配当していただく構図になってきています。そうしたことも踏まえながら、検討したいと思います。 |
| (古森委員長) | 子会社等の利益構造において、NHKとの取引は何割を占めているのですか。 |
| (溝口理事) | NHKとの取引とNHK以外との取引の割合は、平成14年度にNHKとの取引が47%となって以降、NHKとの取引はずっと50%を下回っています。中でも、関連団体の自主事業が非常に好調であった平成17年度には、NHKとの取引は41%でした。今後もNHKからの委託業務を効率的に遂行させていくとともに、自主事業を積極的に展開させていきたいと考えています。 |
| (古森委員長) | NHKとの取引は50%を下回っているとのことですけれども、実質的にはNHKの番組等に関連するビジネスを行っているのではないのですか。 |
| (溝口理事) | もちろんそうです。NHKの番組に関連する商品等を販売しています。 |
| (古森委員長) | 利益剰余金はこれで十分なのか、多すぎるのかということは別にして、これだけたまるということであれば、一部の報道にあったように、NHKは利益を関連団体に移しているのではないか、取引価格は適正なのかという問題も出てくると思います。このような観点からも十分に精査していただきたいと思います。 |
| (溝口理事) | 約5,200人の従業員のうち、団体採用社員が約7割、NHKからの転籍者が2割、出向者が1割となっています。 |
| (古森委員長) | 給料などの条件は、それぞれ異なっているわけですね。 |
| (溝口理事) | はい、異なっています。 |
| (古森委員長) | それから、企画・提案等の内容を競争させているため、随意契約が多くなっているとの説明がありましたが、内容を含めた競争入札というのはできないのですか。一般の企業では、広告のプランやCMなど、価格だけでなく内容を含めて競争させて、相手先を選定しています。そういう意味では、NHKの番組だから、ほかの業者が制作できないという理屈だけでは不十分だと思います。 |
| (多賀谷代行) | 政府・与党合意でも、番組制作の外部委託を今以上とすることに努めるようにすべきということが書かれています。今、委員長がおっしゃったことも含めて、NHK内部、関連団体、外部プロダクション、それぞれのプランを今以上に競い合わせていかなければならないということです。今の外部委託の割合は少なすぎると思います。 |
| (原田専務理事) | 前回、平成19年度後半期の国内放送番組の編成において、外部に直接発注した番組をはじめて定時化することにしたとご報告しましたけれども、NHK内部の提案、関連団体からの提案、外部からの提案それぞれの窓口を1つにして、競争をさせ、公平に取り扱うという考え方を、去年から採っております。こうした中で、番組制作の外部委託の比率を、今後どれだけ増やしていくのかということについては、検討中の5か年経営計画案では、現在の外部委託と購入番組あわせての数字を17%から20%に引き上げたいと考えています。 |
| (古森委員長) | 外部からも注目されていますので、着実に進めていただきたいと思います。 |
| (多賀谷代行) | 今後、番組制作を関連団体や外部に委託するケースが増えてくると思いますが、その価格が適正かどうかについて、チェックする仕組みが必要です。外部への公表はともかく、しっかりと内部でチェックする仕組みをお考えいただきたいと思います。 |
| (原田専務理事) | はい。 |
| (深谷委員) | 会計検査院の報告書はかなり分厚いものとなっていますが、その中で、放送料や打合せ・会議費、旅費、自動車料などの費用について、11年度から17年度までの実績額の推移が折れ線グラフで表示されています。それによると、打合せ・会議費は平成11年度の5分の1、旅費は同じく3分の2、自動車料も同じく2分の1とそれぞれ減少しています。かなりドラスティックにNHKは様変わりしたのではないか、判断や行動の基準が大いに変わったのではないか。こういうことは、視聴者の皆さまにも積極的にお知らせしてもいいのではないでしょうか。 |
| (橋本会長) | 総論的な話になりますけれども、度重なる不祥事の発覚により、支払い拒否・保留者が増加して、財政上の関係で以前にも増して、経費削減に取り組んだという経緯がありますが、実際には、こうした経費削減の努力は、不祥事の発覚以前から行っていました。受信料の値上げをしないで、視聴者の期待に応えていくために、すべてを自前で行うという考え方から脱却しなければならないということ、経費全体を増加させない工夫やシーリングの考え方は以前からありました。現場もそうしたことを念頭に努力を重ねてきたということです。 |
| (八幡理事) | 平成10年度から収支均衡予算とするために、スクラップ・アンド・ビルドを徹底してきた経緯があります。新しいことに取り組むためには、古いものをスクラップしなければならず、どのようなところが削減できるのか、打合せ・会議費をはじめ、さまざまな費用についてメスを入れ、これにあわせて監査サイドも、いっそう厳しくチェックするという状況が続いていました。それを、平成16年度の不祥事発覚により、一気に加速させたということになりますけれども、こうした取り組みは、平成10年度以降行ってきたということです。 |
| (深谷委員) | そうした努力を続けてきたことを視聴者が知れば、評価されるのではないかと思います。費用が7年間で5分の1や2分の1になるというのは、民間企業でもびっくりするような金額の変化です。 |
| (八幡理事) | 民間企業では当然行われていることですので、あまりアピールすることはどうかという思いもありました。 |
| (小丸委員) | 私も深谷委員の意見と同じで、経理適正化策は一定の成果を上げたのではないのかと思います。ただし、指摘されている番組制作での外部への委嘱業務の事前審査については、経理適正化策の定着をさらに図っていただく必要があると思います。 |
| (橋本会長) | 番組制作費をいかに安く抑えるのかということで言えば、ショットの撮り方もできるだけ効率的に、同じセットを使うところは、先々の分まで撮ってしまうなど、いろいろな工夫を行い、そうした積み上げにより、経費削減が行われています。いずれにしても、現場における経費節減の取り組みを、緩めることなく積み上げていくことが大事だと考えています。 |
| (古森委員長) | こうした考えは、今後の経営計画に反映させなければならないと思います。子会社等の改革も重要課題で、さきほどの剰余金の配当や随意契約の見直し、出向や転籍の見直しも必要だと思います。これらについては具体的な目標や施策を次期経営計画の中で検討すべきと考えていますので、よろしくお願いします。 |
4 審議事項
「次期経営計画」について
(橋本会長)
本日は、審議事項となっていますが、私どもとしては、できるだけ9月中に発表させていただきたいと考えていますので、ご審議いただいたうえで、ご了承いただけるのであれば、議決をお願いしたいと思います。
(中川理事)
「経営計画2008-2012(案)」についてご説明いたします。
冒頭に「5か年経営計画に込めたNHKの改革の決意」として3項目掲げています。“視聴者のみなさまの期待に応えるため、多様な分野で優れた取材・制作集団をめざす”、“初の受信料額引き下げを実施し、経営改革を加速する”、“放送・通信の本格的融合時代における新しい公共放送像を追求する”ということで、それぞれの考え方を簡単にまとめています。
目次をご覧いただければおわかりのとおり、今回の計画案は、第一部と第二部の二部構成といたしました。第一部は、「完全デジタル時代の開始(2011年)に向けて」、第二部は、「本格的な放送・通信融合時代に向けて-新時代における公共放送のあり方を追求-」としてまとめました。
第一部では、「公共放送の変わらぬ使命、堅持する姿勢」、「現在進めている『3か年経営計画』の達成状況」、「5か年の経営目標」、「5か年事業運営の柱」を項目立てしました。
「公共放送の変わらぬ使命、堅持する姿勢」については、公共放送の使命とその使命を果たすために堅持するNHKの姿勢をお示ししています。
「現在進めている『3か年経営計画』(平成18~20年度)の達成状況」では、受信料収入の回復を図り、財政の安定をめざすこと、“NHKだからできる”放送に全力を注ぐこと、経営改革の推進という、3か年経営計画の3つの目標の総括を行っています。そのうえで、3か年の1年を残しながらも、放送サービス等のさらなる充実と“還元”を行うとともに、コンプライアンス徹底等の残課題に対応し、完全デジタル時代の開始となる2011年(平成23年)を見通した5か年経営計画を策定する必要があることをまとめています。
「5か年の経営目標」では、5か年経営計画で達成をめざす経営目標として、3つの目標を掲げました。これについて若干補足いたしますと、目標1の「NHKへの信頼度を平成24年度末に80%以上に向上させる」は、不祥事に端を発したNHKの信頼度の低下を、コンプライアンスの徹底や放送サービスの強化を通じ、回復・向上させるということです。NHKへの信頼度に関する調査は、これまでも行っており、平成13年1月の調査では72%であったのが、今年7月の調査では53%と下がっています。これを24年度には80%まで向上させるということです。目標2は、放送に関する目標です。「信頼できる、多様で質の高い放送を実現し、『放送の週間接触者率 24年度末80%以上』、『放送の信頼、満足、親しみ、独自性、社会貢献の5つの指標 10~15ポイント向上』、『“約束”評価における、視聴者の期待に対する実現度の向上 差を10ポイント以内』をめざす」としています。週間接触者率は、NHKを1週間に5分以上視聴した視聴者の方の割合で、今年6月の調査では71.8%でした。これを24年度末に80%に引き上げたいということです。週間接触者率は、以前にもご説明したとおり、受信契約率や支払者率などと相関関係が見てとれます。したがって、週間接触者率が向上すれば、営業業績の向上にもつながると考えています。それから、放送の質を評価する指標は非常に難しいのですが、今年6月に放送評価調査を行い、初めて放送の信頼度、満足度、親しみ、独自性、社会貢献といった項目について視聴者の評価を受けました。この各項目について24年度末で10%から15%向上させたいと考えています。また、3つ目は、視聴者の皆さまから寄せられるNHKの放送に対する期待度と、その実現度との差を10ポイント以内に縮小させると同時に、期待度自体も向上させたいと考えています。目標3は営業関係の目標で、「不公平感の解消に努め、受信料の支払者率を24年度末に77%に向上させる一方で、営業経費率を10%未満に抑制する」としました。これまでの支払者率のトレンドは、平成14度末が約78%、平成15年度末が約77%と高い数値でありましたが、平成16年度末以降、急激に下降し、平成19年度末では71%の見込みとなっています。それを平成24年度末には77%まで引き上げたいということです。一方、営業経費率は、平成16年度までは、少しずつではありますが、毎年下がっていましたが、平成17年度以降、上がってきているため、効率的・効果的な契約収納業務体制の構築を行い、それを10%未満に抑えたいということです。このような形でNHKが5か年でめざすところを数値目標で明確にしたことが、今回の一番大きなポイントだと考えています。
次の「5か年事業運営の柱」は、「放送サービス~信頼できる、多様で質の高い放送の実現に向け、取材力・制作力を強化」、「受信料~公共放送の基盤である受信料制度を堅持、不公平感を解消」、「初の受信料額引き下げの実施」、「経営と組織の構造改革~徹底した効果的・効率的事業運営のための経営改革、子会社等の改革、~公共放送にふさわしい内部統制の構築と高い倫理観の確立」、「視聴者のみなさまとともに~視聴者のみなさまとの強いパートナーシップの構築」、「完全デジタル化に向けて~完全デジタル化に向けた普及推進、~完全デジタル時代を切り拓く技術開発・研究で、放送の発展を先導」としてまとめました。
「放送サービス~信頼できる、多様で質の高い放送の実現に向け、取材力・制作力を強化」では、信頼できる、多様で質の高い放送の実現に向け、取材力・制作力を強化するとし、(1)世界に通用する番組の制作、(2)信頼に応える報道の強化、(3)若い世代に向けた放送の充実、(4)“地域の応援団”として地域からの情報発信力の強化、(5)“ともに生きる社会”の実現をめざす番組の充実、(6)世界に向けた日本の発信力の強化、(7)“いつでも、どこでも、誰にでも”-多様なメディアに向けたサービス展開の7項目についてまとめています。
「受信料~公共放送の基盤である受信料制度を堅持、不公平感を解消」では、未契約・未収数を減らし、支払者率を向上させ、不公平感の解消を図る一方、営業経費を削減することとし、平成19年度に71%である支払者率を、平成24年度に77%に向上させること、平成19年度予算で12.4%の営業経費率を平成24年度に10%未満とすることなどを目標に掲げています。平成24年度に支払者率77%を達成するためには、契約総数の増加や未収の減少により、支払者数を各年度70万件程度増加させる必要があり、これらによって、受信料収入は各年度130億円程度の増加を見込まなければなりません。
「初の受信料額引き下げの実施」では、公共放送として真に必要な事業を見極め引き締まった経営体質を実現するため、5か年の収支差金等を見込み、1,990億円の原資をもとに視聴者の皆さまへ還元を行ってまいりたいと考えています。受信料額の引き下げによる“還元”は、平成20年10月より、訪問集金の廃止とあわせ、受信料の月額を50円引き下げ、また、口座振替およびクレジットカード継続払の月額をさらに50円引き下げることとします。あわせて「受信料『免除』や『割引』による“還元”」も行うこととし、障害者の方に対する「免除」や、「家族割引」の適用範囲の拡大、「事業所割引」、インターネット等の「自主申し出割引」を新設することとします。
「経営と組織の構造改革~徹底した効果的・効率的事業運営のための経営改革、子会社等の改革、~公共放送にふさわしい内部統制の構築と高い倫理観の確立」では、まず、徹底した効果的・効率的事業運営のための経営改革、子会社等の改革として、(1)事業支出総額の抑制、(2)スリムな体制のなかで、取材力・制作力強化へ経営資源シフト、(3)人件費を抑制しつつ、公共放送NHKを担う質の高い人材を確保・育成、(4)経営目標管理を徹底し、その達成状況を評価、PDCAにつなぐ経営管理機能の整備、(5)子会社等の改革について、具体的な考え方や取り組み方針等についてそれぞれまとめています。また、公共放送にふさわしい内部統制の構築と高い倫理観の確立では、「内部統制構築の実行計画」に基づき、平成21年度までに着実に構築していくこと、内部統制の構築にあわせて、コンプライアンスのさらなる徹底を図ることなどをまとめました。
「視聴者のみなさまとともに~視聴者のみなさまとの強いパートナーシップの構築」では、多様なルートで視聴者のみなさまとの接点を増やし、ご意見を収集して番組や経営に反映させる、“見える”化を促進させます。そのために、直接対話の深化やコールセンターの利便性向上など多様な回路を充実すること、若い世代との連携を強めNHKへの理解を促進すること、ご意見を放送や経営に積極的に反映する仕組みを構築することとしています。意向反映の仕組みとして、視聴者のみなさまが語るNHKへの提言等を紹介する番組“レシーバーズ・メッセージ(仮称)”を試行することも考えています。
「完全デジタル化に向けて~完全デジタル化に向けた普及推進、~完全デジタル時代を切り拓く技術開発・研究で、放送の発展を先導」では、まず、完全デジタル化に向けた普及推進として、地上デジタル放送が全国であまねく受信できる環境を2011年までに整備することと、アナログ放送終了に向けた取り組みに貢献することをまとめています。また、完全デジタル時代を切り拓く技術開発・研究で、放送の発展を先導して、「放送」の充実、多様な伝送路による情報提供、放送の未来の創造により、経営目標の実現、新しい放送サービスの開発・実用化、放送の発展に貢献していくこととしています。また、建設計画では、送信設備、NHK共聴、送出設備、制作設備のハイビジョン化など、地上デジタル放送設備の整備に、20年度から23年度以降において、さらにおよそ1,350億円の経費が見込まれることについても触れております。
第二部では、「本格的な放送・通信融合時代に向けて-新時代における公共放送のあり方を追求-」として、「議論の前提として想定される状況」、「検討すべきテーマ」、「5か年の事業収支見通し」をお示ししています。
「議論の前提として想定される状況」では、本格的な放送・通信融合時代の法制度と技術革新についてまとめ、こうした法制度が実現する場合、公共放送の役割・機能はどのように規定されるのか、こうした技術革新のもとで、どのような可能性が生まれるのか、公共放送に求められるものは何かということについて、今後の幅広い議論を踏まえながら、公共放送のあり方を追求していくことを記しています。
「検討すべきテーマ」では、放送・通信融合時代における公共放送NHKのあり方について、「役割、機能」「財源、受信料制度」「事業範囲」「体制、組織」それぞれの項目について、視聴者の皆さまの意見を踏まえながら議論をすすめ、新しい時代に求められる公共放送のあり方を追求していきたいということを記しています。
「5か年の事業収支見通し」については、事業収入では、受信料収入と関連団体からの配当金、副次収入の見直しにより172億円を上乗せし、一方の事業支出では、あわせて100億円の経費削減策を追加するなど、さらなる収支改善を行っています。これにより5か年の事業収支見通しは、平成20年度以降、一旦事業収支がマイナスとなるものの、繰越金で対応できる見込みとなり、障害者の方に対する受信料免除基準の適用範囲の拡大を20年10月から前倒しで実施するなど、“還元”施策の拡大に充てることにしています。
| (小林委員) | 視聴者へ還元施策の追加に100億円を見込んでいるとのことですが、このうち障害者の方に対する受信料の免除は70億円ということですか。 |
| (中川理事) | はい、そうです。 |
| (小林委員) | 経営目標の数値が付け加わったのが以前との主な変更点ですか。 |
| (中川理事) | そのことを明らかにしたことが、前回の経営委員会にお示しした案との大きな変更点です。 |
| (小林委員) | 経営目標の1に、「NHKへの信頼度を平成24年度末に80%以上に向上させる」と書かれていますが、これは、以前にご説明いただいた内容を実践すればこうなるだろうという、そういう意味での目標ですか。 |
| (中川理事) | 経営計画の実践をはじめとして、私たちが実際に業務運営していく中での総合的な評価で、ということです。 |
| (小林委員) | 新たに目標値として80%以上と掲げているので、抜本的な改革として新たなものを付け加えたのかと思ったのですが、そうではなく、数値目標を掲げただけなのですね。 |
| (中川理事) | はい。数値目標で表現したということです。 |
| (小林委員) | わかりました。では、目標2の「放送の週間接触者率 24年度末80%以上」や、目標3の「営業経費率を10%未満に抑制する」という数字も、同じ趣旨で加えられたのですね。 |
| (中川理事) | 「営業経費率を10%未満に抑制する」ことについては、目標という形で新たに追加したものではありません。以前からお示ししてきたことと意味は変わっていません。 |
| (多賀谷代行) | 目標1の「NHKへの信頼度を平成24年度末に80%以上に向上させる」と目標2の「放送の週間接触者率 24年度末80%以上」については、数値は入りましたが、具体的なアクションプランをどうしていくのかは示されていないように思います。たとえば目標2の場合は、放送サービスの充実、強化によって接触者率の向上をめざすのだと思いますが、若い世代がNHKの番組を見ていない現状をどう改善していくのか、具体的な行動計画が示されていないと思います。これで接触者率を80%まで伸ばせるのかどうか、まだ見えてきません。 |
| (原田専務理事) | 放送は、毎日毎日の積み上げで、地道な努力が必要です。NHKの番組を見ていない若い世代に、真に向き合って番組を作っていくこと、また、テレビだけではなく、この世代が親しみやすいインターネットを利用した双方向や携帯電話と番組とのマッチングなど、各波の特徴にあわせてさまざまな工夫をこらし、番組を開発していくことについては、これまでもご説明をしてきました。 |
| (古森委員長) | なぜNHKを信頼できないのかということについて調査はしないのですか。今47%が信頼していないということであれば、その内容を分析して、具体的な改善策を講じないといけません。そこまで踏み込んだ計画であるべきだと思います。 |
| (多賀谷代行) | 最近のNHKは、「サラリーマンNEO」など、若い世代に向けた番組を放送していますが、そちらに力を入れると中高年の視聴者から反発が出てきます。若い世代の接触者率を上げる努力をすることで、番組がレベルダウンするという中高年の視聴者からの批判に、どう対処していくのかということについても、もう少し具体的な戦略を立てるべきだと思います。 |
| (原田専務理事) | NHKでは、6月に「放送評価調査」を行い、放送の質について、NHKへの信頼度、満足度、親しみ、独自性、社会貢献の5つの指標を示し、それぞれについて調査をしました。高齢者では5項目とも高い数字で、NHKを評価していただいていますが、若い世代では、NHKへの親しみが、高齢者に比べて低い結果となっています。親しみがもてないということは、NHKの番組をあまり見ていないということで、満足度も低くなっていますが、信頼度、独自性、社会貢献については、若い世代でも比較的高い評価を得ています。NHKの良いところについては、若い世代の視聴者にも理解されているのだと思います。それを損なうことなく、親しみを感じて、見てもらえるようにする努力を続けていくことが大事だと思います。その手段としては、総合テレビ、教育テレビ、衛星放送のそれぞれの波の役割、特徴に応じた、NHKならではの番組を開発していくことだと思っています。こういったことは、来年度に向けてすでに検討を進めています。 |
| (古森委員長) | つまり、NHKの長所をさらに伸ばしていくということですか。それでは、欠点はどこだと考えているのですか。 |
| (原田専務理事) | NHK“約束”評価委員会の評価によりますと、NHKの公共放送の役割については、視聴者から全体的に理解されていますが、NHKの放送に足りないものとしては、若い世代に見られていないということが指摘されています。 |
| (古森委員長) | 若い世代があまり見たいと思わない理由はなんですか。 |
| (原田専務理事) | 若い世代は民放を多く見ているので、NHKにあまり関心を持っていないのかもしれません。 |
| (古森委員長) | 理由を探るところまで踏み込む必要があります。若い世代が見てくれないから、若い世代向けの番組を作るというのでは意味がありません。若い世代がどういう番組を求めているのかを把握することが大事です。 |
| (原田専務理事) | 今の若い世代の皆さんは、幸せなばかりではなくて、生きがいや、仕事の問題など、さまざまな悩みを抱えており、NHKでは、例えばそうした若者にこたえる番組を作りたいと考えています。民放ではあまりそういう番組はありません。親しみを感じてもらえないことについては、NHKは、お堅いチャンネルというイメージが強いためだろうと思いますが、一方で社会貢献という点では若い世代からも評価を受けており、こうした公共放送としての骨格の部分は、これから先も大切にしていきたいと考えています。イメージを固定化するのではなく、多彩な番組を放送していくことが大事だと考えています。 |
| (野間委員) | 私が子どもの頃は、小学生や中学生の子どもと親が一緒に見て楽しめるようなテレビの番組がありました。しかし、今は幼児番組のあとの、小学生、中学生の年代でNHKを視聴する習慣が断絶されてしまったと思います。いったんNHK離れをしてしまった若者を急にNHKに戻そうとすることには無理があるように思います。幼児番組のあと、小学生、中学生が親子で見られるような番組の開発が、総合テレビの中に必要なのではないでしょうか。 |
| (原田専務理事) | 例えば、「おかあさんといっしょ」は多くの幼児に視聴されています。今の10代、20代の方々も、あの番組で育った世代です。おっしゃるように、幼児のときのNHKを視聴する習慣を、どこまで上の年齢にまで伸ばしていけるかも大きな課題だと思います。 |
| (梅原委員) | 野間委員の意見に類似していますが、今の10代、20代は、NHKだけではなく、民放も含め、テレビ離れが進んでいるように思います。テレビを視聴する習慣がない世代に、急に見るように働きかけたとしても、なかなか難しいと思います。短期的な対策として、若者が見てくれるような番組作りも大事ですが、それよりも、これからの日本をどうしていくのか、そういうところに焦点を当てた良い番組を作り、そしてそれをどう見せていくのか、長期的な対策として取り組むことが公共放送の使命だと思います。若い世代に向けた放送の充実として、少子化時代の子どもたちに「家族」「学校」「地域」における「絆」の大切さを伝える番組の強化ということが経営計画の中に記されていますが、これは非常に大事なことだと思います。日本が抱えている大きな課題を取り上げ、10年、20年かけて長期的な戦略として取り組んでいくことが良い放送につながっていくと思います。また、地域からの情報発信力の強化ということが記されていますが、日本は地域社会の連合ですから、地域放送は非常に大切です。長期戦略で、格差、医療、雇用、高齢化など地域が抱える課題をともに考えるニュースや番組作りに取り組み、子どもたちにもこのような地域放送番組を見せることで、大人になっても地域の重要性を考える習慣が身につくと思います。これには時間がかかりますが、長期戦略できっちりと積み上げていってもらいたいと思います。 |
| (原田専務理事) | 若い世代に向けては、番組のPRの方法についてもインターネットや携帯サイトを利用するなど、積極的なアプローチを試みたいと考えています。50分や60分の番組を通して見るのが難しいとしても、1分や2分の要約版を見ることで、本編を見てみたいと思っていただければ、接触の手掛かりになると考えています。そういう意味で、携帯サイトは、若い世代に向けての大事なツールだと思っております。 |
| (保委員) | 私は、今の若い世代の状況や、社会に対するスタンスなどがとても心配なので、若い世代の人々にNHKの番組をぜひ見てほしいと思っています。しかし、これまでのNHKは、若い世代との結びつきが圧倒的に不足していましたし、努力が足りなかったと思っています。今、若い世代に向けた番組を開発することも大事ですが、もっと重要なのは、若い世代の人たちとどうつながっていくか、若い世代との結びつきの強化がとても重要だと思います。NHKは、情報が氾濫し、若い人たちを取り巻く状況が混沌としている今こそ、メディアリテラシーの取り組みなどを通じて、若い人たちとつながっていくことを重点的に行うべきだと思います。 |
| (永井副会長) | 今、ご指摘いただいた点は、経営計画の中でもうたっており、若い世代との連携を強めて、NHKに親しんでいただくことを重点事項として掲げています。NHKの良質のコンテンツに接していただく場づくり等、積極的に働きかけてまいります。具体的には、小学校から大学まで、皆さまのもとへ出かける出張型のイベントを拡充したり、大学とのネットワーク作りや大学生とともにつくるイベントなどを積極的に展開して、NHKが培ってきた価値を若い世代の方々にも伝える努力を引き続き行っていこうと思います。また、インターネットホームページや携帯サイトなど若い人たちにアプローチするためのツールには、すでに若い人から大きな反響があります。 |
| (古森委員長) | まずインターネットでNHKの良さを理解していただき、その上で、番組を見てみようと思ってもらえるようになれば、かなり有効な手段ですね。 |
| (日向理事) | 若い世代にとって、NHKの番組は堅くておもしろくないというイメージがあり、なかなかアクセスしてもらいにくいという点があります。そこで、1つのアプローチの方法として、先ほどから出ているように、インターネットや携帯サイトなど、若い世代の方々がアクセスしやすいものと連携しながら、今あるコンテンツを積極的にPRしていきたいと考えています。もう1つのアプローチの方法としては、若い世代は民放のバラエティ番組を好む傾向がありますが、NHKがその真似をするということではなく、若い世代に伝えたい情報を見やすい形にするために、ある程度エンターテインメント的な要素を取り入れていくという手法の開発に取り組んでいます。 |
| (古森委員長) | 若い世代とNHKというのは、テンポが合っていないのかもしれません。例えば、ニュース番組をとってみると、民放では多岐にわたった項目をテンポよく伝えていますが、NHKでは少ない項目をじっくりと伝えています。若い世代には、このテンポが合っていないのかもしれません。若い世代へのアプローチについては、引き続き、実践することで成果が上がることを期待しています。 |
| (原田専務理事) | まず日本の現状を、ニュースや情報番組などでしっかり伝えていくことが大事ですし、またその背景となる日本という国について、あるいは日本人の考え方や日本の文化などを理解してもらうことが国際放送の使命です。 |
| (古森委員長) | 今、国際放送はどのような組織で行っていますか。 |
| (石村理事) | 国際放送局という組織があり、そこで英語ニュースや番組を制作して世界に向けて放送しています。 |
| (古森委員長) | それは、今、NHKがめざしている国際放送を行うのに十分なスタッフや予算なのでしょうか。 |
| (石村理事) | 国際放送には2つの課題があります。1つは番組の強化、もう1つは受信環境の整備です。NHKとしては、国内で放送しているような、NHKブランドのニュースや番組を制作して、放送していきたいと考えていますが、その内容については、オピニオン的なものにするのか、情報を中心にするのか、NHKブランドを大事にするのか、そういうことが現在の国際放送をめぐる論議の的となっています。 |
| (古森委員長) | 日本の公共放送として世界に情報を発信するのであれば、NHKだけの考えではなく、政治、学術、産業、経済などさまざまな立場の人たちから意見を聞いていく必要があるのではないかと思います。 |
| (多賀谷代行) | これから5か年の中でそれをやっていくとすれば、諸般の情勢が具体的に書ききれていないという印象を受けます。 |
| (石村理事) | 諸般の情勢なら書けるのですが、NHKがどうするのかという部分のまとまりがついていません。外務省や総務省などとの話し合いや調整が必要な事項です。 |
| (古森委員長) | そうであれば、ここに記されていることは計画とは言えないのではないでしょうか。 |
| (石村理事) | ここでは、NHKがこの5年間にやろうとしていることをまとめています。 |
| (多賀谷代行) | ただ旗を掲げているだけで、具体的なプランにはなっていないと思います。 |
| (橋本会長) | ここでは、NHKとして国際放送局が行っている国際放送について記載しています。一方で、オールジャパンで、日本の国際放送、情報発信力を強化するために、別の国際放送の枠組みを作ろうという動きがあり、それに向けて、国と民間の支出や役割分担などについて総務省や外務省などで議論が行われています。NHKが、それとどういう関わり方をするのか、具体的な計画が見えてくれば記載できますが、現段階では、NHK自身が行う国際放送の範囲で考えていくしかありません。 |
| (原田専務理事) | 現在NHKでは、国際放送の英語化率100%に向けて、着実に実行していますし、国際放送独自の番組数も増やしています。ただ、放送内容の充実はNHKとして努力することなのですが、実際に海外で見ていただくための受信環境の整備については、NHKだけでは十分なことができません。そういう問題があるので、ここでは放送の中身について記載しています。 |
| (永井副会長) | 今、NHKが行っている国際放送は、アジアの国々で貴重な情報源として受け止められています。BBCやCNNのような欧米の放送局ではなく、アジアの視点で編集し、放送しているものとして、高い評価を受けています。 |
| (古森委員長) | その点は理解しています。ただし、このままでいいということではありません。 |
| (橋本会長) | はい。われわれが現状でできる国際放送としての最大のアピールの方法は、英語化率を100%にすることで、それに向けて予算面をはじめ努力を続けています。一方、スクラップできる部分についてはスクラップして、ターゲットを絞り、効率的な運営を行っております。しかし、それだけでは国際放送として不十分だということもあり、NHKとは切り離した形で、国として国際情報発信のスキームを持とうという議論があります。これは、別の取り組みとして考えておかなければいけないと思っています。 |
| (古森委員長) | しかし、その取り組みは、主としてインフラなどの話であって、内容についてはNHK主体で作るのではないですか。 |
| (橋本会長) | 実際に作るのはNHKになるかと思いますが、放送にオピニオンを入れるとか、コマーシャルを入れるかなど、編成のイメージは決まっておりません。 |
| (古森委員長) | それは誰が決めるのですか。 |
| (橋本会長) | 国が決めることになります。 |
| (野間委員) | 話は変わりますが、日本の文化を紹介した番組が海外で高く評価されて賞を受賞したり、また海外で購入されるような番組もありましたが、そういうものをNHKの中で評価していくというような姿勢はあるのですか。 |
| (橋本会長) | それは当然です。それが世界に通用する番組の制作ということです。 |
| (中川理事) | 誤解があるといけませんので、確認で申し上げておきますが、先ほどの会長の発言で、国が決めるということの意味は、あくまで新しいフレームを作るかどうかは国が決めるということで、今考えられている国際放送はNHKしかありません。国会で継続審議中の放送法改正案ではNHKが主体です。したがって、NHKに編集権があります。もし民間の放送を行うという場合には、子会社を通じてという形になると思います。 |
| (小丸委員) | 2011年には地上デジタル放送が全国であまねく受信できる環境を整備しなくてはいけませんが、現在、難視世帯が10万世帯で、デジタル化によりさらに60万世帯が視聴できなくなるという記事を読みました。これに関わる設備投資は、民放127社で約8,000億円というような数字が出ていました。前回の経営委員会で、世帯カバー率についてのご説明がありましたが、最後に2%がカバーしきれないという話も聞いています。そのあたりについて、ご説明をお願いいたします。 |
| (橋本会長) | 民放はトータルで8,082億円としていましたが、今回精査をして、約1兆円を超えるというふうに修正したということです。それに対してNHKは、最初から個別に経費を積み上げ、精査してまいりましたので、金額は変わりませんが、できるだけコストを抑えるように努めているところです。ご指摘のように、デジタル化によって新たに発生する難視世帯は、大きな問題です。これについては、国として検討する委員会を立ち上げて、対応策を検討していく構えです。 |
| (西山理事) | 地上デジタル放送が、あまねく受信できる環境を作るために、中継局の設置により約98%カバーします。残りの2%のうち、約1.5%を共聴設備等でカバーします。そして残る0.5%、これは19万から26万世帯と予想されていますが、これらの世帯については衛星を使ったセフティーネットによりカバーする方向で検討しています。 |
| (小丸委員) | IPネットワークや衛星を使うことで、これらの地域に東京の放送局の番組しか配信されず、ローカルの民放番組が視聴できなくなるということはないのですか。 |
| (西山理事) | そこは、セフティーネットの対象となる世帯の絞り込みをどうするかなど、現在検討中です。 |
| (中川理事) | 基本的にデジタル難視を衛星でカバーする場合は、スクランブルをかける方向が考えられています。 |
| (小丸委員) | きわめて重要な設置計画ですから、遅れが出ないように進めていただきたいと思います。 |
| (岩崎委員) | 毎回同じような意見を申し上げていますが、経営計画には目標とともに戦略があって、それを具体的に落とし込んで実行策になるのです。この経営計画案では、真ん中の戦略が抜け落ちているため、話を聞いていても、具体的に実行できるのかどうか、非常にわかりにくいと感じています。 |
| (一力委員) | 経営目標を数値化したことで、わかりやすくなったと思います。しかし、岩崎委員が指摘されたように、例えば信頼度を80%にするというような、目標はわかるのですが、そのためにどのような施策をとるのかが見えてきません。執行部も職員の皆さんも、真面目に努力されていることはよくわかっていますが、それが視聴者にわかりやすく伝わる形で、目標のために何をするのかがわかる書き方が必要だと思います。また、地域からの情報発信力の強化の項目では、地域放送局の自主性を生かし、地域の皆さまの要望に的確に応えるために、NHKが何をしようとしているのかが見えてきません。充実・強化をするためには要員や予算が必要であるのに、その中身については触れられていないので、不安に感じます。 |
| (原田専務理事) | 地域からの発信力の強化について補足しますと、1つは、地域の視聴者の皆さまとともに地域の抱える課題について考えていく番組を開発・充実させていきます。また、地域放送番組をより多くの方にご覧いただくために、金曜の夜8時台に新たに地域放送を展開します。地域放送局の自主性を生かし、地域放送局みずからが地域の皆さまの要望を聞きながら、放送の充実を図っていきます。予算面では、以前、地域放送の充実にあてるための予算を年間8億円とご説明いたしましたが、年間10億円に改め、5年間では50億円を新たに計上しました。 |
| (古森委員長) | 地域放送に本部は、どうかかわっていくのですか。 |
| (原田専務理事) | 地域のネットワークを生かし、地域からの情報や文化の全国発信の増加をめざすということをうたっていますが、本部は、地域放送局が日頃から行っている取材を、たとえば医療、農業、格差、雇用などテーマごとにまとめ、地域横断的な番組編成を行います。これにより、広がりと深まりを持った番組作りを行うことができますので、その手法をさらに進めていきたいと考えています。また、本部で地域放送に目配りをして、よりネットワーク力を生かすためのセクションを強化する方針です。 |
| (深谷委員) | 不公平感について意見を申し上げたいと思います。私自身は、NHKは視聴者から信頼され、期待を集める存在であってほしいと思っています。しかし、実際に、みんなで支えるNHK、私たちのNHKだという認識なのかというと、そうではなく、NHKはどこを向いているのか、政府のほうを向いているのではないかという意見を持つ人もいて、それが不払いにつながっていることもあります。さらに、公共意識の希薄化もあり、自分の幸せで精一杯だという人たちが増えてきています。この部分に、NHKは手を打っていません。政府としては、義務化はすれども罰則化には及び腰であったりして、全体として不公平感は解消されませんし、公共意識の薄れはさらに増していくと思います。視聴者への還元策であるとか、あるいは民事手続きによる支払い督促などだけで、本当に不公平感がなくなるのでしょうか。もう少し策はないのでしょうか。 |
| (橋本会長) | それはまさにNHKが直面している大きな課題です。日本の社会全体で公共意識が低下していますし、公共的なものに対して経済的負担をする意識が、多様な価値観の中で薄れてきています。この意識の変化は、NHKだけで解決できるものではないと思っています。しかし、そういう風潮がある中、NHKの役割として、公共意識や連帯感を醸成するような番組を作ることが出来るのではないかと思っています。今でも、そのような番組を放送しており、たとえば「難問解決 ご近所の底力」や「プロフェッショナル 仕事の流儀」など、個人の力も大事ですが、周りの人たちとの絆も大事だといったメッセージを打ち出しているものもあります。今後はさらにそういったテーマを強調し、力を入れていきたいと思います。 |
| (古森委員長) | 各委員から、この経営計画には数値目標は記されているものの、具体的な施策が見えてこないという指摘がなされていますが、単年度予算でもこのような感じなのでしょうか。 |
| (中川理事) | 5か年経営目標に基づき、予算・事業計画策定時に毎年度の到達目標を設定します。3つの経営目標について、それぞれ次年度はどうするのか、経営委員会にお諮りすることになります。 |
| (古森委員長) | 今まで、そういうことはやってこなかったということでしょうか。 |
| (中川理事) | これまで、数の目標を掲げるのは、営業の契約数や未収をどれくらい改善するのかといった場合はありましたが、このような形で他の場合も含めて数値目標を出すということは、これまでやってきませんでした。 |
| (古森委員長) | 他の企業と違って、漠然としているように思います。 |
| (中川理事) | 今後は、このような具体的なものを出していきたいと思っています。 |
| (古森委員長) | 5か年経営計画と、3か年経営計画の違いは何ですか。 |
| (橋本会長) | 3か年経営計画は、不祥事後、いかにして財政的に回復するかということがポイントになっています。5か年経営計画は、3か年経営計画の途中ですが、さらに2011年に備えた方針、考え方を盛り込みました。 |
| (多賀谷代行) | 基本的に、3か年経営計画の精神をそのまま延長したという印象があります。どこが違うのか、明確になっていないように思います。 |
| (古森委員長) | 違いは値下げを盛り込んだ点ぐらいではないですか。 |
| (橋本会長) | 3か年経営計画の中には、経営資源の還元というフレームは入れておりません。5か年経営計画では、NHKの意識改革の加速の意味合いもあり、還元を入れたということがたいへん大きな変更点だと思っています。 |
| (古森委員長) | その点は大きいと思いますが、それ以外はあまり変わりがないのではないでしょうか。 |
| (橋本会長) | 経営の姿勢を見せるための、大きな構造改革だと思います。 |
| (古森委員長) | 値下げをすることだけが目的ではなく、2年前とは違う新しい環境に対応していかなければなりませんが、率直に言わせていただければ、ほとんど変わっていません。営業経費を下げるとか、番組制作力の強化などが出ていますが、それはあたりまえの話で、ほとんど進展が見られません。 |
| (橋本会長) | 目的を明確にするようにというご指摘をいただいておりましたので、この計画には盛り込んだというふうに考えております。 |
| (古森委員長) | それでは、ここでいったん休会といたします。経営委員のみで打合せをさせていただき、そのあと、再開したいと思います。 |
|
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<休 会> |
(古森委員長)
それでは、議事を再開します。執行部よりご説明のありました「次期経営計画」について、私ども経営委員会の見解を申し述べます。「5ヵ年経営計画(執行部案)についての経営委員会の見解」。「1.結論 経営委員会は、本年7月24日以降、通常の会議の他に臨時経営委員会を開催すると共に集中討議をするなどして、執行部提案の平成20年度から平成24年度までの5ヵ年経営計画(以下「5ヵ年経営計画案」という)の内容を鋭意検討し、その不十分な点を指摘し、再検討を求めてきたが、執行部がこれまでに修正、補充等した内容であっても、未だ十分なものであるとは言えない。そのため、現時点では5ヵ年経営計画案を承認することはできず、執行部に対し、更なる検討等をした上で、あらためて提案するように求めるものである。また、平成20年度の予算案、事業計画等作成のためには相応の準備期間を要することに照らすと、同予算案等は5ヵ年経営計画案と分離して作成すべきであると考える。そのため、今後、執行部が作成する中・長期経営計画は、平成21年度を初年度とするものとなるが、その経営計画を作成するにあたり、本見解で示した経営委員会の意見に十分留意し、充実した内容を伴った案を作成するように要望する。加えて、経営委員会においても、同委員会の下に『経営改革ステアリングチーム(仮称)』を設置し、執行部による経営改革案へのガイドを明示すると共により綿密なチェックを行い、抜本的改革のために多様な観点から示唆・アドバイスをする等、中・長期経営計画の作成に積極的に関与する決意である。なお、平成20年度は、既に決定済みの平成18年度から平成20年度までの『3ヵ年経営計画』(以下「3ヵ年経営計画」という)の期間中であるから、その間の業務執行は同計画に沿ってなし、その目標達成に努めるとともに、その際には、本見解で示された経営委員会の意見にも十分留意するように要望する。」以上が結論でございます。
以下、経営委員会の基本的な考え方を申し上げます。「2.経営委員会の基本的考え方 今、NHKは厳しい状況下にある。すなわち、改革の意欲を持つ職員が少なくないにもかかわらず、未だに発生している不祥事のため、国民、視聴者のNHKに対する信頼は揺らいでいる。国民、視聴者の信頼を取り戻すために、NHKには健全で効率的な経営を行うための抜本的改革が求められている。また、NHKを取り巻く環境の変化は激しい。『デジタル化、IT化、放送と通信の融合化』、『少子高齢化の進展による人口減少』、『地域格差の拡大』、『若者のTV離れ』等が急速に進んでいる。これらの変化に対応するために、公共放送としてNHKが将来にわたりどのような役割を果たしていくのかを掘り下げて検討し、ビジョンを明確にすることが求められている。このような時期に、しかも、3ヵ年経営計画の最終年度を残して、新たな中・長期経営計画を決定するのであれば、その内容は更に充実した、効果的なものでなければならない。抽象的、部分的な改善策ではなく、上記視点を見据えた抜本的に踏み込んだ改革策が求められる。問題を先送りすることなく、正面から取り組まなければならない。もし仮に、これらの内容を備えない中・長期経営計画を拙速に作成したならば、新時代にふさわしいNHKの確立が遅れ、ひいては国民、視聴者の期待に十分に応えることが出来なくなる恐れがあると考える。」
「3.結論に至った理由 執行部作成の5ヵ年経営計画案はその一部に評価すべき内容もあり、今後中・長期経営計画を作成する際の資料の1つとなりうるものではあるが、前述の経営委員会の基本的考え方に照らすと、十分なものとは言い難いため、上記結論に至ったものである。5ヵ年経営計画案で不十分と考えられる主な点は以下の通りである。
| (1) | コンプライアンス体制確立について組織改革を含む実効性ある施策立案が十分になされていない。 平成16年の不祥事の発覚を契機に現執行部が発足したが、その後も職員等の不祥事が発生している。これは現在のコンプライアンス体制が十分なものでないことを表している。経営委員会の諮問機関であるコンプライアンス委員会も、現在のコンプライアンス体制が十分に効果をあげていない旨を指摘している。これらを踏まえ、より効果的なコンプライアンス体制を確立するため、より実効性のある施策を示すべきである。 |
| (2) | 公共放送としてのNHKの将来のビジョンが十分に示されていない。 『放送と通信の融合』の進展によりその垣根が低くなり、また少子高齢化による人口減少も予測されている。NHKを取り巻く環境は今後激変が予想される。また、加えて、地域格差の拡大、若者のTV離れが進んでいる。これらに対応するため、NHKの将来のビジョンを掘り下げて検討し、それを明確に示すものが次期経営計画であるべきだと考える。報道、教育、地域放送の分野については、多くの国民、視聴者が公共放送たるNHKに大きな期待を寄せていることは調査等でも明らかであるが、娯楽やエンターテインメントについては必ずしも明確でない。これらの番組に対してどのように取り組むのかという考え方を示すと共に、保有すべきチャンネル数やその位置づけ、コンテンツ等について、国民、視聴者の納得が得られるような具体的内容を伴った考え方を示すべきである。また、若者向け番組の取り組みについても、具体的内容を伴った考え方を示すべきである。 |
| (3) | 抜本的な構造改革の施策が十分に示されていない。 NHKは子会社・関連会社34社を有するグループ企業と言える。抜本的改革を検討する上では、NHK本体だけではなく、グループ全体での最適化を考える必要がある。執行部はこのようなグループ全般の経営を見渡す視野を持ち、人事制度、技術・管理部門のスリム化、関連子会社の整理統合、NHK本体と子会社間の取引に関する透明性の確保、NHK本体との取引に依存している子会社の体質改善、所有資産売却の要否等、経営効率化について具体的施策を示すべきである。また、後述の『受信料の公平な負担』を実現するための施策とともに、受信料を徴収するための経費のあり方についても、効率化の観点から具体的施策を示すべきである。なお、経営効率化は一律的、形式的な経費削減であってはならない。無駄を省き、不要な経費を削減する一方、公共放送たるNHKの将来に必要な資金を減ずるべきではない。経営効率化が、地方局の疲弊を招いたり、改革の意欲に燃える職員のやる気を削ぐ内容のものであってはならない。 |
| (4) | アーカイブス・オンデマンド等副次収入増加の施策が十分に示されていない。 番組強化にコストをかける方針は提示されているが、それによって生み出された番組コンテンツを有効活用する事は、国民、視聴者の利益になると同時に、その提供を有料化することができればNHKの収入向上にもつながる。その実現には法整備や国民、視聴者の理解を得ることが前提となるが、今後、『デジタル化、IT化、放送と通信の融合化』の更なる進展が予想されることを考慮し、番組コンテンツを効果的に提供するアーカイブス・オンデマンド等の具体的施策について、著作権等の権利処理を進めつつ、コンテンツの二次利用にかかる、収益性のあるNHKモデルの策定を進めるべきである。 |
| (5) | 国際放送を強化するための施策が十分に示されていない。 グローバル化が進む中、国民、視聴者はNHKに日本、アジアに関する多くの情報(文化、報道など)を世界に発信することを求めている。しかるに、現在のNHKの国際放送は海外放送局と較べて大幅に立ち後れており、その差は益々拡大している。この立ち後れを挽回し、国民、視聴者のNHKに対する期待に応えるべく、国際放送を強化するための具体的施策を示すべきである。 |
| (6) | 地域放送を充実させるための施策が十分に示されていない。 前述のとおり、地域格差が進んでいる中、多くの国民、視聴者が地域放送について公共放送たるNHKに大きな期待を寄せている。その期待に応えるべく、地域放送を充実させるための具体的施策を示すべきである。 |
| (7) | 『受信料の公平な負担』を実現するための施策が示されていない。 5ヵ年経営計画案では、受信料収入が今後増加するとしているが、その根拠に十分な説得力がない。また、現在、受信料支払契約の未契約者が全体の20%を超えているにもかかわらず、その未契約者を減じるための十分な施策が示されていない。その効果的な解決策を見いだすことは決して容易ではないが、『受信料の公平な負担』が公共放送にとって不可欠な条件である以上、問題を先送りすることは許されず、たとえ困難であってもそれを解決するための施策を示すべきである。選択肢の1つとして『受信料の支払い義務化』の方法があるが、これは、法制化を国会に求める必要がある上、国民、視聴者の理解を得る必要もある。そのため、『受信料の支払い義務化』の方法を目指すのであれば、国民、視聴者の理解を得るための方法も、併せて示す必要がある。また、『受信料の公平な負担』を『受信料の支払い義務化』以外の方法で実現しようとするのであれば、その方法を示すべきである。 |
| (8) | 受信料値下げについて 受信料の値下げは、最初に数字ありきの問題ではない。抜本的改革と『受信料の公平な負担』の実現の結果として、可能となるものであり、実行すべきものであることに留意すべきである。執行部が本見解において示された経営委員会の意見に留意して抜本的改革に取り組み、併せて受信料の公平な負担を実現できれば、国民、視聴者の理解が得られる程度の受信料の値下げが可能となるはずである。」以上であります。 |
最後に、「4.補足」を入れています。「本見解によると、5ヵ年経営計画案に示されていた『平成20年10月から約6.5%の受信料値下げ』との方向性も決定されないことになる。そのため、受信料の早期値下げを期待していた国民、視聴者には心外な結果と感じられるかもしれない。しかし、抜本的改革も、受信料の公平な負担もなく、更に将来の十分な展望もないまま、単に受信料の値下げを実施したならば、『デジタル化、IT化、放送と通信の融合化』等、厳しい環境に置かれるNHKに、回復し難い弊害を生じさせ、『豊かで、かつ良い番組をあまねく全国に放送する』というNHKの役割を将来十分に果たせなくなる恐れもなしとしない。万一、そのような事態になれば、国民、視聴者の期待を大きく裏切ることになる。また、もしこのまま5ヵ年経営計画案が決定されたならば、その長い期間、抜本的改革、受信料の公平な負担が実現されず、それに伴い実現できたであろう大幅な受信料値下げも望めなくなるであろう。そのような事態に陥ることは、避けなければならない。今回、5ヵ年経営計画案の決定をしなかったが、抜本的改革、受信料の公平な負担を実現する具体的方策を盛り込んだ、新たな中・長期経営計画を早急に作成し、実施することにより、国民、視聴者の期待に応え、揺らいでいる信頼を取り戻したいと考えている。そして、経営委員会はその中・長期経営計画作成に積極的に関与する決意である。以上の点を踏まえ、今回の経営委員会の決定について国民、視聴者の理解を賜りたいと切に願っている。なお、本見解は経営委員会委員の全員一致をもって決定されたものである。」以上であります。
これは否決ということではなく、継続審議という形で、じっくり時間をかけて検討していくということです。
| (橋本会長) | 経営委員の皆さまには、定例の会議のほかにも集中討議も行っていただくなど、たいへんなお力添えをいただき、また貴重なご意見等を賜り、ありがとうございました。今回、経営委員会の総意として、このような見解をいただいたわけでありますから、私ども執行部として、見解について十分吟味し、また今後の進め方についても意見を交わしてまいりたいと思います。 |
| (古森委員長) | 補足することがありましたらお願いします。 |
| (多賀谷代行) | 受信料の値下げを除くと、3か年経営計画と本質的に違わないという点が、やはり一番気になります。それからもう1つは、橋本会長が2月に、経営計画を策定すると方針を示された後、いろんな状況が変わってきています。1つは放送法改正についてまだ先が見えないということがあります。それから、さきほども議論になりましたが、国際放送のあり方が、今後、国の方針等で大きく変わる可能性があり、まだ、その内容が未定です。衛星チャンネル数についても最終的に決まっていません。そのような段階において、5か年経営計画という形でNHKの今後の進む方向を決めてしまうのは、リスクが多すぎるという気がいたしました。そうしたことから、ほかの委員の方々ともご相談して、このような結論になりました。 |
| (古森委員長) | 平成20年度は3か年経営計画がありますけれども、再来年度以降は計画がありません。したがいまして、継続審議といっても、来年の9月頃までには策定しなければならないということになります。放送法の改正など、取り巻く情勢がどのようになるのかわからないところもありますが、その中で議論していかなければならないということになります。 |
| (多賀谷代行) | この1年の中でかなり道筋が見えてくると思います。 |
| (橋本会長) | われわれ執行部としても、見解を吟味し、状況を確認しながら、今後の取扱いについてご相談し、進めてまいりたいと思います。 |
| (古森委員長) | 経営委員会と執行部は、よりよいNHKを実現するため、同じ船に乗っているいわば仲間です。ただし、同じ観点からものごとを見ていますと、何のために経営委員会があるのかわかりません。そういう意味では、今後ともいろいろなご意見を申し上げますけれども、良し悪しのけじめははっきりとつけ、フェアな精神で臨むつもりです。どうか信頼していただきたいと思います。 |
| (橋本会長) | われわれも同様です。執行部も信頼していただきたいと思います。 |
| (古森委員長) | 継続審議でありますが、皆さまの努力は評価したいと思います。 |
以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認する。
平成19年10月9日 |
古 森 重 |
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多賀谷 一 照 |
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