「カビた部分だけ捨てる」は誤解 中には“最強クラスの発がん性”を持つ毒も…加熱しても消えない『カビ毒』の正体
「箱買いしたミカン、1個だけカビてた!」 「鏡餅にカビが生えてしまった」 どんなに気をつけていても、カビは突然現れます。ここで私たちの頭をよぎるのが「もったいない」という悪魔のささやき。 【写真を見る】 電子顕微鏡画像×100「餅のカビ(黒)」※提供 大分県衛生環境研究センター 『カビた部分だけちぎって捨てれば、残りは食べられるんじゃない?』 『お餅なら焼けば菌は死ぬよね?』 その油断が、思わぬ健康被害を招くかもしれません。 食品科学・応用微生物学を専門とし、食品衛生にも詳しい尚絅大学の前渕元宏准教授に、カビが生えた食べ物の「捨て時」と、知られざる「毒」のリスクを聞きました。 ■煮ても焼いても消えない “カビ毒” 「鏡餅についたカビ、包丁で削れば食べられる」という説がありますが、専門家の見解はシビアです。 尚絅大学 生活科学部 前渕元宏准教授「鏡餅は文化の側面がありますが…。健康を最優先するなら、カビが生えた部分は潔く廃棄したほうが良いです。カビは植物のように、根っこ(菌糸)を生やしています。菌糸が食品の奥深くまで伸びて、残っている可能性があります」 さらに恐ろしいのが、カビが作り出す「カビ毒」の存在です。カビは表面だけでなく、菌糸を食品の奥深くまで伸ばして増殖します。その過程で、代謝の副産物として作られるのがカビ毒です 。 前渕准教授「カビ毒は何百種類もあり、症状(人体への影響)も様々です。すぐ症状が出るものもあれば、食べてすぐには分からないけれど、長期的に体に悪影響を及ぼすものもあります。そして厄介なことに、多くのカビ毒は非常に『熱に強い』という特徴があります」 つまり、正月の鏡餅を「カビた部分を削って、雑煮や焼き餅にする」というのは危険。カビそのものは死滅しても、毒性物質は分解されずにそのまま残っている可能性があります。 ■食べられるカビと食べられないカビ ここで素朴な疑問が浮かびます。例えば、ミカンなどの柑橘類には、よく青っぽいカビや緑色のカビが生えてしまいます。これを見て「青カビといえば、ブルーチーズは青カビを利用した食品だから…これも食べて大丈夫なのでは?」と思ったことはないでしょうか。