3. ドキュメンタリー映画『Black Box Diaries』を巡る経緯
この映画を巡る問題の経過を、まずは改めて時系列で記録しておきたい。
これは2024年10月の元弁護団による司法記者クラブでの会見から、2025年12月の日本公開あたりまでの経緯だが、問題を考えるにあたっては、それ以前の経緯を知ることも必要になる。その点は各論において述べることにする。

2024年10月21日 司法記者クラブで元弁護団が初めて会見
・ホテルの防犯カメラ映像(裁判以外で使用しないという誓約が破られている)
・捜査官(隠し撮り、公益通報者の保護)
・タクシー運転手(身元が分かる、同意もないのでは)
・西廣弁護士との電話(撮影許可も使用も同意もしていない)使用と切り取り方の問題
上記4点について、承諾や許可が得られていないままに映画が公開されていると指摘
必要な削除と修正を求める
伊藤さんコメント「いくつかの点で会見内容は重大な点が事実に相違しております。今後とも会見された弁護士の先生方と真摯に協議していく所存です」

2024年10月25日ごろ アメリカでBBD公開

2024年12月17日 伊藤さん側弁護士が10月の会見について「不正確で名誉毀損の恐れがある」と反論

2025年1月14日 東京新聞で続報(望月記者)
「伊藤詩織さん監督の映画、『性被害』語る女性の映像を許諾なく使用」
※2月7日に記事の見出しが謝罪と共に「性被害めぐる集会」と修正される
「該当部分の削除を要求した女性は、昨年末に伊藤さんから「最新バージョンでは削除する」と伝えられた。だが、1月上旬から米パラマウントプラス(有料購読者・約7200万人)で公開された映画を確認すると、削除されていなかった。」(この部分の本文に修正はなし)

2025年1月23日 ハフポストで伊藤さんのインタビュー記事が公開
ホテル映像:CG加工、捜査官:音声変更、個人特定されない配慮、公益性を重視して使用
(タクシー運転手、集会の女性、西廣さん音声について言及はなし)

2025年1月24日 BBDがアカデミー賞・長編ドキュメンタリーにノミネート
日本人監督初の快挙として報道される

2025年2月7日 伊藤さん側が西廣弁護士らに対して紛議調停を申し立て

2025年2月10日 伊藤さん側が望月衣塑子記者を名誉毀損で提訴

2025年2月20日 FCCJにて元弁護団が会見
(伊藤さんはドクターストップによりキャンセル。代わりに声明)
元弁護団主張の大筋は変わらず、この会見では角田弁護士も同席
冒頭の会見趣旨説明で佃弁護士
「現在57の国と地域で展開されているBBDについて人権と倫理の観点から必要な議論を」
「決して日本での上映に向けた再編集だけを求めているものではない」

伊藤さんは声明を文章で発表
Dialogue 4 Peopleサイト上に、伊藤さん声明、伊藤さん代理人コメントなど掲載
西廣さんの音声について確認が抜け落ちたまま使用した事を謝罪
「映像を使うことへの承諾が抜け落ちてしまった方々」に謝罪
「最新バージョンでは、個人が特定できないようにすべて対処します。今後の海外での上映についても、差し替えなどできる限り対応します」とコメント

2025年3月3日 アカデミー賞授賞式が開催 BBD関係者が出席

2025年3月中旬 伊藤さん側からの西廣弁護士らに対する紛議調停、望月記者への提訴が取り下げられる

2025年3月19日 東京新聞で続報
「伊藤詩織さん映画「差し替える」と言ったのに… 元代理人弁護士「1カ月たっても修正確認できず」とコメント」https://www.tokyo-np.co.jp/article/392944

2025年6月1日 BBDが「社会的影響・卓越したストーリー性・公共性」が評価されるピーボディ賞を授賞

※6月〜9月時点で主要な報道は恐らくなかったはずだが、12月11日の日本公開前日の西廣弁護士によるコメントから分かるこの期間の動きを簡単に書く。

2025年6月下旬〜 元弁護団側がその後の対応を問い合わせる
「海外向け配給権を譲渡したので把握していません」と伊藤さん側から返事が繰り返される

2025年9月 「本人から説明するので日程調整を」と伊藤さん側から西廣さん側に連絡
西廣さん側は「会う前にこちらの問合せに答えて欲しい」と申し入れ

2025年10月25日 伊藤さんが謝罪文を公表
内容としては、タクシー運転手とその家族に対しての謝罪。
運転手が謝罪を受け入れ、新バージョンの使用を許諾したことへの感謝が書かれている。

2025年11月6日 日本公開の決定がアナウンスされる

2025年12月11日 西廣弁護士がコメントを発表
テレ朝「重大な人権上の問題をはらんでいる」伊藤詩織氏の映画を元弁護団の弁護士が強く批判
改善や修正を確認していないこと、未修正バージョンの海外公開が続いていることを指摘
「残念ながら、法的な問題は解決されてはいません。」

2025年12月12日 BBD日本公開がT・ジョイ PRINCE 品川で開始
最初の3日間は伊藤さんやプロデューサー陣による舞台挨拶がある。
公開初日に伊藤さんが自身のホームページに4つの文章を公開。

・当事者として語ること 『Black Box Diaries』監督ステートメント

・西廣陽子弁護士のステートメントについての伊藤詩織の見解

・防犯カメラ映像等の使用をめぐる経緯(タイムライン)https://b1d31439-1394-4a7e-96ea-9452286e8747.usrfiles.com/ugd/b1d314_ceca2f5d70a64c24b2eedd5db92e3f2b.pdf

・『Black Box Diaries(日本公開版)』に関するご報告と修正・配慮事項のご説明


2025年12月15日 FCCJで伊藤さん、プロデューサー陣が会見(リンクは日本語訳)
伊藤さんは、日本公開が遅れた理由を問われ、元弁護団の見解には「ウソがあること」、望月記者の報道により誤解が広がったことなどを上げ、謝罪がないことなどを指摘。
望月記者がそれに応答する機会を与えられ、なぜ傷ついた人たちに謝罪がないのかと反論

2025年12月中旬〜 都内から続々と全国へと公開拡大が決定


とりあえず2025年末においては、ここまでが基本的な経緯と言える。​​​​​​​
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