過去25年間で最も偉大な科学のブレイクスルー:物理学・天文学編

グラフェンの発明、ヒッグス粒子の発見、重力波の検出、ブラックホールの撮影ほか

2025.12.23
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
米国アリゾナ州にあるキットピーク国立天文台の上に広がる天の川と、夜空で最も明るく見える木星。(BABAK TRAFRESHI, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
米国アリゾナ州にあるキットピーク国立天文台の上に広がる天の川と、夜空で最も明るく見える木星。(BABAK TRAFRESHI, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

初の恒星間天体の発見

 2017年、太陽系を急いで通り過ぎる初の恒星間天体が発見された。「オウムアムア」と名付けられたこの天体は、太陽系以外の恒星系からやってきたもので、奇妙な性質を持ち、その正体を巡って数多くの議論が巻き起こった(宇宙人でないことだけは確かだ)。その後、2019年には「2I/ボリゾフ」、2025年には「3I/ATLAS」という恒星間天体が発見されているが、この2つは明らかに彗星と見られている。(参考記事:「謎の天体オウムアムア、起源は破壊された星の破片か、研究」「太陽系外から来たボリゾフ彗星、意外な事実が判明」

 2025年に運用を開始したベラ・C・ルービン天文台は、さらに多くの魅力的な空の旅人を発見するだろうと期待されている。(参考記事:「ベラ・C・ルービン天文台の“怪物望遠鏡”が挑む4つの大きな謎とは」

ブラックホールの撮影

 世界的な協力によって生まれた「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT:事象の地平線望遠鏡)」が、2019年にブラックホールの撮影に初めて成功した。世界中の電波望遠鏡を同期し、地球規模の天文台を作ることによって、太陽系から5500万光年離れたM87銀河の中心にある超巨大ブラックホールの驚くべき画像が撮影された。(参考記事:「史上初めて撮影されたブラックホール、1年後の姿でわかったこと」

探査機が太陽系最遠部に到達

1977年9月5日現地時間午前8時56分、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられるNASAのボイジャー1号。(NASA/JPL-CALTECH/KSC)
1977年9月5日現地時間午前8時56分、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられるNASAのボイジャー1号。(NASA/JPL-CALTECH/KSC)

 2012年、NASAの宇宙探査機ボイジャー1号が太陽系を出て、前人未到の星間空間に入った。一方、太陽探査機のパーカー・ソーラー・プローブは、それまでのどの探査機よりも7倍も太陽に近い距離まで接近した。(参考記事:「探査機ボイジャー40年、隣の恒星に出会う日」「探査機が太陽に接近、驚きの観測結果と深まる謎」

 ほかにも、NASAのニューホライズンズは2015年に冥王星をフライバイ(接近通過)した初の探査機となり、日本のはやぶさやNASAのオシリス・レックスは、小惑星のサンプルリターンを成功させている。

宇宙最古の姿

 2021年12月25日、史上最強のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、フランス領ギアナから打ち上げられた。それは地球から約160万キロの軌道を周回し、宇宙の夜明けを観測し、新たな謎を発見した。さらに、はるかかなたにある太陽系外惑星の空を覗き、私たちの裏庭である太陽系の天体を新たな視点から観測し、目を見張るような宇宙の姿を見せてくれた。ハッブル宇宙望遠鏡の100倍強力なウェッブ宇宙望遠鏡は、宇宙一鋭い目を持ち、これからも多くの発見をもたらしてくれることだろう。

【この記事の写真と画像をもっと見る】ギャラリー:過去25年間で最も偉大な科学のブレイクスルー 写真と画像あと9点

ギャラリー:科学者さえも息をのむ、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の画像9点(画像クリックでギャラリーページへ)
ギャラリー:科学者さえも息をのむ、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の画像9点(画像クリックでギャラリーページへ)
ウェッブ望遠鏡が見たM74の中心部。M74は観測が難しく、幻の銀河とも呼ばれる。ウェッブ望遠鏡を使った赤外線観測により、銀河の中心部から外側に広がる壮大な渦巻き状の腕の中に、ガスや塵の繊細なフィラメントがあることがわかる。中心部にはガスがないため、ここにある星団を見ることができる。(IMAGE BY ESA/WEBB, NASA & CSA, J. LEE AND THE PHANGS-JWST TEAM)

文=Becky Ferreira/訳=荒井ハンナ

おすすめ関連書籍

ビジュアル 宇宙と生命誕生の物語

「地球は本当に、この宇宙で生命を育むただ1つの惑星なのか」。この古くからの疑問に、最新の生物学と天体物理学が挑戦する。

定価:4,510円(税込)

おすすめ関連書籍

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のすべて

原初の宇宙の解明を目指して。宇宙科学の新たな道を拓く宇宙望遠鏡に迫る。 〔全国学校図書館協議会選定図書〕〔電子版あり〕

定価:4,180円(税込)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加