過去25年間で最も偉大な科学のブレイクスルー:物理学・天文学編

グラフェンの発明、ヒッグス粒子の発見、重力波の検出、ブラックホールの撮影ほか

2025.12.23
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ヒッグス粒子を発見した欧州合同原子核研究機構(CERN)の施設。(FONS RADEMAKERS, CERN/SCIENCE PHOTO LIBRARY)
ヒッグス粒子を発見した欧州合同原子核研究機構(CERN)の施設。(FONS RADEMAKERS, CERN/SCIENCE PHOTO LIBRARY)

 21世紀に入って早25年が過ぎようとしている。ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。しかし、科学とテクノロジーの分野における数々の目覚ましい発展は、世界をより良い方向へと導いてきた。ここでは物理と天文学の分野で過去の四半世紀に起こった最も刺激的なブレイクスルーを集めてみた。(参考記事:「過去25年間で最も偉大な科学のブレイクスルー:生命科学編」

グラフェンの発明

 炭素原子が六角形の格子状に並んだグラフェンは、知られている限り最も薄く、それでいて最高レベルの強度を持つシート素材だ。1947年に初めて提唱されたが、実際に研究室で初めてグラフェンが作られたのは2004年になってからだった。この功績に携わった科学者たちは、2010年にノーベル物理学賞を受賞した。(参考記事:「史上最薄の「電球」が誕生、厚みは原子1個分」

 驚異的な薄さと強度だけでなく、極めて高い導電性と透明性も備えたグラフェンは、さまざまな分野で進歩をもたらしている。従来よりもはるかに効率的な浄水器、急速充電バッテリー、耐久性の高い太陽電池、そして精確なバイオセンサーなどの開発にも貢献した。

ヒッグス粒子の発見

CERNの円形地下トンネルに建造された全周約27キロの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)。(THOMAS PFLAUM, VISUM/REDUX)
CERNの円形地下トンネルに建造された全周約27キロの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)。(THOMAS PFLAUM, VISUM/REDUX)

 陽子の150倍の質量を持つヒッグス粒子は、小さな素粒子だが、科学に与える影響は計り知れない。その名の由来となったピーター・ヒッグスをはじめとする科学者たちが、1964年に初めて素粒子物理学の標準模型に必要なヒッグス粒子の存在を予測した。

 それから何十年も、その存在は仮説の域を出なかったが、2012年、CERN(欧州合同原子核研究機構)に建設された世界最大かつ最強の大型ハドロン衝突型加速器によって、ついにヒッグス粒子が検出され、標準模型が裏付けられた。この功績は、ヒッグスらに2013年のノーベル物理学賞をもたらした。(参考記事:「ヒッグス粒子崩壊を確認、物質の質量の起源を解明」

重力波を初めて検出

 時空のさざ波である重力波の概念を1916年に初めて提唱したアルベルト・アインシュタインは、実際にそれをとらえられるほどの繊細な機械はないだろうと考えていた。しかし、それからほぼ1世紀後、米国にある「レーザー干渉計重力波天文台」(LIGO)の重力波検出器が、約13億年前に起きた2つのブラックホール合体で発生した重力波を検出した。(参考記事:「重力波、世紀の発見をもたらした壮大な物語」

 2025年現在は、LIGOやほかの検出器によって数多くの重力波が検出され、宇宙への新たな扉を開いている。この成功に関わった科学者たちは、2017年にノーベル物理学賞を受賞した。

核融合で正味エネルギーの獲得に成功

 太陽を含むすべての恒星は、その中心で原子を融合させる核融合によって莫大な光とエネルギーを生み出している。これを活用できれば、世界は大量のクリーンエネルギーを手に入れられるかもしれない。

 2022年、米国のローレンス・リバモア国立研究所は、核融合反応によって実験に直接投入したエネルギーを上回るエネルギーを作り出すことに成功した。さらに翌年にも、同じ結果が再現された。(参考記事:「核融合で画期的な成果、念願の「エネルギー純増」に成功」

 しかし、実験に使われた装置はそれよりもはるかに多くのエネルギーを必要としたため、実用的な核融合発電への道のりはまだ遠いと言わざるを得ない。(参考記事:「核融合 小さな太陽を造る壮大な実験」

次ページ:初の恒星間天体の発見、ブラックホールの撮影に成功など

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