ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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CC39話:熱

 ※※※

 

 

 

 ──圧縮次元砲の発射まで、残り8分。

 管制室に居るのは、クガイとヒルギの二人だけ。

 二人だけで、新時代の始まりを見届けるつもりなのである。

 

「……なあヒルギよ。ワシはな、この醜い世界でビジネスという名のゲームで成り上がった身。しかし……人間とは、世界とは、まことに醜いものだったと痛感しておるよ」

「……」

「騙し騙されの欺瞞ばかり。このアークの船団は……そんな世界に疲れた者達の集まりだ」

「……ええ、俺もまた、その一人ですから」

「まことに感謝しておるぞ、ヒルギよ。お前が、圧縮次元砲の完成に必要な素材を集めてくれた。お前が居なければ、ワシの夢は完成せんかった。無駄に長生きした甲斐があるというものじゃ」

「感慨に浸るのは早いですよ、クガイ様……新時代の始まりには、()()()()()が付き物ですから」

「ああ、例の侵入者か。しかし間に合いはせんよ。サーフェスにネムも居る。管制室の周辺の警備も万全じゃからのう」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 メグル達は、非常階段を駆け上がっていき、首領が居るであろう管制室に向かっていく。

 しかし、漸く管制室近くに入ろうとしたところで、メグル達は足を止められることになった。

 何かに怖気づいたわけではない。物理的に足が静止したのである。

 すぐさま鉄糸によるものだと気付いたアブソルはそれを日本刀のような尻尾で切り裂く。

 全員は身構えた。 

 この部屋に、例の抜け忍が潜んでいる、と。

 先に鉄糸に対して対抗できる霊体の身体のコノヨザルを繰り出したノオトは身構える。

 

「やっぱり来たのね。折角見逃してあげたのに、むざむざ戻ってくるなんて、よあけのおやしろはオツムが足りてないヤツしか居ないもの」

「……生憎、暴れるのがオレっちの専門ッス」

「もう少しで新時代が始まるというのに。どうして邪魔をするのか、理解ができないもの」

「あんたの実験の裏で!! 泣いている人が居るんスよ!!」

 

 ノオトは力強く叫ぶ。

 兄貴分であるメグルを悲しませたアークの船団を、決して彼は許しはしない。

 

「オレっちは……もう誰も泣かせねえ。そんなキャプテンになるって決めたんス。オレっち達の世界に邪魔なのは、あんたらの方だ!! さっさと方舟を止めろッス!!」

「……ノオト」

「メグルさん。故郷を侵される気持ちはオレっちだって分かる。分かるから──オレっちだって、あんたの為にキレても良いッスよね!?」

「……ありがとな。やっぱ俺、お前らと出会って良かったわ」

「へへっ──だから忘れんじゃねえッスよ。あんたにはいっつも、オレっち達がついてるんスから!」

「既存の秩序は全て破壊され、新時代が始まるもの。全てが自由な世界が、0から始まるのに。それって──最高に退屈しない世界だと思うもの!」

「破壊なんてさせないよ」

 

 アルカも前に進み出て、鉄糸を切り裂けるカブトプスを繰り出す。

 時空の裂け目が齎す災厄の先に何があったかを見た彼女に、アークの船団を止めない理由は無い。

 

「メグルの好きなこの世界を、これ以上壊させたりしないから。今度は──ボクがメグルの笑顔を守る番だ!!」

「アルカ……!」

「貴女、ヒャッキの人間よね? 余所者の癖に、サイゴクのキャプテンに与するのね?」

「ボクの故郷は──このサイゴクだ!!」

「……フン、何だって良いもの。私はあのキリりんを超えた、サイゴク最強の忍者だもの。……貴方達3人くらい相手できるもの」

 

 

 

「その方たちをあまり侮らない方が良いですよう? ネムさん」

 

 

 

 あのアニメ声が聞こえてくる。

 現れたのは、秘書のような姿をした女性だった。 

 しかし、その顔は端正だが何処か作り物のようだった。

 げんなりしながらメグルは女性を睨む。

 

「……お前、サーフェスだな?」

「えっ、サーフェスってさっきの”えーあい”だよね!?」

「AIをアンドロイドに組み込んでる──そうだろ」

 

 得意げに笑みを浮かべた女性──サーフェスはモンスターボールを握り締めた。

 

「……その通り! 今の私は超高性能清楚系美少女セクシー秘書AIなのです! はぁーやっと言えたァ……さっきはあのクソ虎が邪魔しやがったので途切れちゃいましたからぁ」

「あ、相変わらず盛り過ぎじゃねえか……」

「貴方達が置いていってくれたスイクン達ですが、なかなか面倒ですよう? 私の育成したタイプ:ゼノに善戦してますので。でも……彼らが此処に辿り着く頃には、もう我らの”圧縮次元砲”はチャージ完了しているでしょうね」

 

 サーフェスの言葉で、もう既に時間が無くなっていることをメグル達は察する。

 下手をすると、此処で幹部たちの相手をしている時間すら惜しい、と考える。

 

「……あんたの助けは要らないもの、サーフェス」

「いやいや、これが最善だと私は判断しましたのでー♪ 流石に貴方でも、メガシンカ持ち3人は厳しいのではないですか?」

「……メガシンカ!? ……こいつら3人とも、流島でメガストーンを手に入れたもの!?」

 

 驚愕した様子でネムは3人を見回す。

 そして腕に付けられたリングを見て、急に余裕がなくなったかのように、そして焦燥感に駆られたような表情を浮かべたのだった。

 その様子を見て、サーフェスは性格の悪そうな笑みで囁いた。

 

「ああそう言えば、ネムさん。データベースによれば貴女、流島での修行で──」

「うるさいッ!! それ以上余計な事を喋ったらブッ壊すもの!! あんたはどっちの味方よ!!」

「ひええ、怖い怖い」

 

 一気に激したネムはボールが割れる程の勢いで握り締める。

 

(かつての修行で何かあったのか……!?)

 

「──何でも良いもの! 貴方達には此処で消えてもらうもの! ──デンチュラ!」

「はいはーい、それではこの私も一肌脱いじゃいましょうか! タイプ:ゼノ! モデルはピクシーでお願いしますね!」

 

 飛び出すなり糸を吐き、そこに電気を纏わせるデンチュラ。更に横のタイプ:ゼノは腕をぶんぶんと振り回しながらメグル達に襲い掛かる。

 

「……メグルさん。こいつらはオレっち達が抑えるッス」

「うん。もう時間が無さそうだしね!」

「おいおい大丈夫なのかよ!?」

「はっ、舐められたものだもの! そうそう行かせるわけが──」

 

 電撃を放ち続けるデンチュラ。

 しかし。それを掻い潜り、カブトプスによる一閃が炸裂する。

 更に、タイプ:ゼノにはコノヨザルが必殺のドレインパンチを叩き込むのだった。

 一瞬で自慢の手持ちが圧倒され、ネムの顔はまたしても歪む。

 

(こんなやつらに、この私が……ッ!!)

 

「……良いからさっさと行って!!」

「あんたの手で、あんたの世界の仇を取るんスよ!!」

 

 激戦が始まった。

 鉄糸を放ってメグルを足止めしようとするネムだったが、それもアブソルが切り刻んでしまった。

 

「キャプテン相手に余所見するなんて、命知らずッスねぇ!!」

「メグルの邪魔はさせない! この世界も壊させない!」

「くそっ……取り逃したもの!!」

「あらあらー……でも、今から管制室まで行って……果たして間に合うんですかねえ?」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「はぁっ、はぁっ……間に合え……ッ!! 間に合え……ッ!!」

 

 

 

 階段を駆け上がり、通路を走り抜け、メグルは走る。

 アヤシシに跨り、駆け抜けるが、周囲には警備員も多く、更にドローンやポケモン達も攻撃してくる。

 先程のサーフゴーとの戦闘で体力が削れていたからか、アヤシシも息を切らせており、動きにキレがない。

 それでも全力を出してくれているのか、走り続ける。しかし──とうとう、アヤシシは足を止めてしまった。

 さっきの大部屋から管制室らしき部屋に向かうまで倒したポケモンの数など、もう覚えていない。

 戦ったトレーナーの数など、もう覚えていない。

 故にアヤシシはもう限界だった。

 

「戻れアヤシシ……ありがとな、今まで」

「ブルトゥ……」

「しばらく休め。鬼火の勢いが落ちてるからな」

 

 此処から先は──自分の脚で走るしかない。

 メグルはひたすら道なりに、そしてアブソルの導きに従って走り続ける。

 しかし、徐々に息が切れてくる。いつまで経っても辿り着きはしない。

 

「あれから……もうじきで10分……マズい、幾ら何でも……!」

 

 メグルは這うように、一歩、また一歩と中枢管制室に近付いていく。

 だが、もう身体が動かなかった。

 ポケモンの攻撃を彼自身も受けており、血があちこちから流れていた。

 

(……思えば、この世界に来てから……色んなことがあったな……)

 

 足はもう棒のようだった。

 迫りくる敵をポケモンで払い除け、それでもまだ辿り着かない。

 脇腹が痛い。苦しい。気持ち悪い。

 だが──それでも歩かねばならなかった。

 

(ユイに……出会って、博士に出会って……ニンフィア──イーブイに出会って……)

 

 今考えても出来過ぎた出会いだったな、と彼は思い返す。

 あの時ユイが居なければ、自分は死んでいたかもしれない、と考える。

 隣に居るバサギリに、アブソルに、そしてニンフィアに目を向ける。

 此処まで迫りくる敵と戦ってくれたのか、彼らも少なからず息切れしていた。

 

「大丈夫か……? 疲れてないか……?」

「ふぃるふぃーっ!」

「グラッシュ……ッ!!」

「ふるーる!」

「へへっ……流石だな」

 

 トレーナーに似たのかね、と彼は苦笑いした。

 

「世界の最後が来るなら……か。俺は、お前らが一緒でも何にも後悔──」

「ふぃーっ!!」

 

 ばしっ、とブイパンチが飛んだ。

 ニンフィアが怒った表情で睨みつけていた。

 

「……だよな。お前らは諦めたりなんかしねえもんな」

「ふぃーっ」

「行こうぜ。まだ間に合うかもしれねえ」

 

 這う這うでメグルは漸く、管制室らしい物々しい扉に辿り着く。

 それをバサギリが斬撃で破壊して、扉が叩き斬られた。

 押し入るように中に入る。そこには──

 

 

 

「はぁ──はぁっ──はぁっ──はぁっ──ッ!!」

 

 

 

 ──血だまりが広がっていた。

 床には、横たわっている白毛の少女。

 そしてその傍には、拳銃を構えたヒルギが激しく息を切らせていた。

 何があったのかメグルには分からなかった。

 しばらくして、漸く彼は理解した。

 人が死んでいる。

 白毛の少女──クガイの額に穴が穿たれている。

 

「これって──」

「……遅かったな、メグル。だが──安心しろ。俺が全部終わらせた」

 

 努めて冷静を装うようにヒルギが言った。

 

「ヒルギさん、何で──あんた、アークの船団の幹部じゃあ──」

「この女はなッ!! 俺の不倶戴天の仇だッ!!」

 

 ヒルギとは思えない程に激した声が管制室に響き渡る。

 

「この女は……口では争いの無い世界がどうこうと言ってるが……ッ!! この組織を此処まで大きくするまでに、多くのものを犠牲にして来た、正真正銘の()()だ!!」

「ま、待ってくださいよ、それってどういう──」

「俺がこの組織に入ったのは──この女の下らん理想に付き合って、最後の最期で裏切ってやるためだ」

 

 銃を捨てたヒルギは、これ以上はメグル達に手を出すつもりはないと言わんばかりに両の手を上げた。

 

「俺はな……サイゴクの出身じゃない。元はイッシュの人間だ。親父はそこそこ大きな商社の社長だったが……アーク・オブリビオン社に会社を乗っ取られたんだ」

「ッ……」

「その所為で親父は首を括った!! 俺は母と共に、サイゴクに逃げる羽目になった……ッ!!」

 

 その後、ヒルギはサイゴクでしばらく暮らしていたが、母もやがて病気で亡くなった。

 行く宛てが亡くなった彼は、リュウグウの家に預けられることになった。彼の家では、息子のように可愛がられていたという。そこでシャワーズとも仲良くなったという。

 しかし父が死ぬ原因となったアーク・オブリビオン社への憎悪は消えないままだった。

 それをずっと押し隠したまま、彼はずっと過ごして来た。

 サイゴクを離れた後、彼は──自らアークの船団に志願し、ありとあらゆる手段でクガイに近付くことを目指した。

 

「俺は自分のトレーナーとしての力を活かし、クガイの良き忠臣として他のあらゆる全てを……自分の感情も犠牲にして仮面を被って生きてきた! だが、これでもう終わりだ!」

「ヒルギさん……」

「争いも苦しみも搾取も無い世界を作る為に……搾取をしていたのはこの組織の方だ!! こんな下らん理想の為に、父は犠牲になったのかッ!!」

「それで、今までアークの船団の傍に」

「……ああ。この復讐を成し遂げる為に。ヤツが全てを手に入れるその寸前で──全てを奪ってやることにした」

 

 彼は頭を垂れる。

 それでも尚、人を殺してしまったことに対する後ろめたさがあるようだった。

 

「俺は……自首をする。抵抗はしない」

「……ヒルギさん。これで良かったんですか……? 他にも方法が……俺達に、助けを求めてくれれば──!」

「これは俺の戦い。俺一人でケリをつけるべき戦いだったんだ」

 

 メグルは何も言えなかった。

 もしも自分が同じ立場に立たされた時。

 例えばアルカの命が奪われたら──その時自分は冷静でいられるだろうか、と考える。

 

「罪は償う。だが、これで漸く……俺の人生は始まったんだ」

 

 

 

「あーあ、銃殺は……かれこれ何回目だったかのう」

 

 

 

 思わず二人は振り向く。

 血だまりの中に倒れていたクガイが──起き上がっている。

 頭に開いていた銃創は、最初から存在しなかったかのように塞がっていた。

 トリックではない。確かにあの時、クガイは死んでいた、とメグルは思い返す。

 

「な、何故だ、何故生きている……!! 幾らお前が不老の魔女でも……撃たれたら死ぬのではないのか……!!」

 

 その問に──あざ笑うようにクガイは答えた。

 

「ああ、言って無かったのう、ヒルギ。ワシは不老じゃが……()()()()()()、とまではな……ッ!!」

「……バ、バケモノめ……!!」

「おぬしがワシに背信しておることなど薄っすら勘付いておったわ。だが、ワシには時間が無限にあるのでな。楽しみにしていたのじゃよ。おぬしが尻尾を出す……その瞬間をな」

「貴ッッッ様!!」

 

 投げ捨てた拳銃を手に取ろうとするヒルギ。

 しかし、それよりも前にクガイはボールを投げる。

 そこから現れたのは──全身が黄色い鱗に覆われたドラゴンのようなポケモンだった。

 

 

 

「ぴーりゅぅ」

 

【カイリュー ドラゴンポケモン タイプ:ドラゴン/飛行】

 

 

 

 それは、ドラゴン。ドラゴンの中のドラゴン。

 ありとあらゆるポケモンの中でも、生命強度が一際強い生態系の頂点に立つ生き物だ。

 シャリタツとは違い、正真正銘身体能力に特化し、火を吐き、海を渡る伝説の生き物だ。

 

「残念じゃ、ヒルギ。ワシを裏切ったこと……後悔させてやるぞ」

「──セキタンザン!! SLブレイク──」

「”しんそく”」

 

 目にも止まらぬ一撃。ボールが投げられる前に、それが何度もヒルギの腹部に叩きこまれる。

 鉛よりも重く、弾丸よりも速い一撃。

 内臓を潰し、骨を砕き、人体を破壊する攻撃。

 衝撃が遅れて何度も叩き込まれ、ヒルギの口から血が噴き出し──そのまま彼は倒れ込む。ボールは開かないまま、その場に転がり落ちた。

 目の色は暗い。腹部からもどくどくと生温いものが溢れていた。

 

「なっ──ヒルギさんっ……!! しっかり──ッ!!」

 

 蒼褪めたメグルはヒルギに駆け寄る。

 誰がどう見ても助かるようには見えなかった。

 だがそれでも、彼は口を開く。その度に血が溢れ出た。

 

「……き……君の言った通りかもしれない……もっと他に方法があったのかもしれないな」

 

 後悔するように彼は言った。

 

「……でも巻き込みたくなかった……あんな優しい人たちを、復讐に……巻き込みたく……なかった」

「ダメです、喋らないでッ……!!」

「ああ、そいつはもうダメじゃ。普通の人間は、カイリューの”しんそく”に耐えられるようにできておらん。ワシを裏切ったことをたっぷり後悔しながら──死んでいけ、ヒルギ」

 

 パネルを目の前に浮かび上がらせると、クガイは再び「再起動」のボタンを押す。

 

「死ぬ前に……動機をべらべらと喋ってくれて助かったわい。だけどなぁ──()()()()()()()()など、いちいち覚えておるわけがないじゃろうが。理想には犠牲が付き物じゃろ」

「てんめぇ……ッ!!」

「そこのヒルギも同じじゃ。仕事の過程で、色んな奴を足蹴にしてきたんじゃからのう。ワシの事を言える立場かえ?」

「……バチは……当たるものだな。結局俺も……此処に辿り着くまでに色んなものを裏切って、犠牲にして来た……報いが、返ってきた」

 

 自嘲するようにヒルギは笑みを浮かべてみせる。彼なりに何処か、この結末を受け入れているようだった。

 潔白ではない。復讐のためと言い訳して、諦めて、汚い手段に手を染めてきた。

 

「これでは……リュウグウじいちゃんに……シャワーズに怒られても、仕方が無い……」

「そうだな。とんだ大バカ野郎だよ、あんた」

 

 ヒルギの手を──メグルは握り締める。

 

「頼れる人は幾らでも居たのに……自分からその手を振り解いたんだ、あんたは」

 

 強く強く、握り締める。そこに灯った最期の熱を確かめるように。

 

 

 

「だから……最期は俺がその手を握っておいてやる。俺だけは……あんたの傍に居てやる」

 

 

 

 ──なんや、どうしたオヌシ。腹が減ったんか? ワシの所に来るか?

 

 ──バカモーン!! 子供なんじゃから、子供らしくワガママを言うんや!!

 

 ──ほっほっほ、将来はおぬしがキャプテンでも良いかもしれんのう、シャワーズもそう言っちょるわい!

 

 ──ぷるるるるー

 

 

 

「──俺が……クガイを倒す」

「……熱い……熱い……な」

 

 

 

 最後に一瞬、彼はリュウグウの顔をメグルに重ねて見ており──涙を流していた。

 彼はそのまま動かなくなる。

 それでもメグルはずっと、その手を握り締めていた。

 

「おおーっ、熱い友情物語ってヤツかのう! 結構な事じゃて!」

「……ニンフィア」

 

 メグルはボールを握り締め、敵を見つめる。

 彼女は恐れず、毛を逆立ててカイリューに向かって威嚇をしている。

 

 

 

「──行くぞ。これが最後の戦いだ」

「フィッキュルルィィィ!!」

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