ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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CC22話:イッツ・ショータイム

 ※※※

 

 

 

 次の日。メグル達は館長室に押しかけていた。

 野生ポケモン達が徒党を組んで美術館を襲撃した件を改めて報告しに来たのである。

 

「何ィ? 騒がしいと思ったら……野生ポケモンが美術館を襲撃してたとなぁ? 物騒ぢゃなぁ」

「キヨさん、何にも気付かなかったの!?」

「昼寝しちょったから何にも分からんかったわい!!」

「ええ……」

 

 仕事しろ、館長。

 

「しかしミツハニー、ビークイン、デルビル、ヘルガー、ヤンヤンマ、メガヤンマか……」

 

 その名前を連ねていき、考え込む館長。

 その顔は、何か思い当たる節があるようだった。

 わなわなと手が震え出し、ゆっくりと口を開く。

 

「──ッ……!!」

「何か心当たりが!?」

「何も……何も心当たりが無いのぢゃ……ッ!!」

「じゃあ意味ありげな顔すんじゃねぇよ!!」

「いや、だって、ビークインもメガヤンマもヘルガーも、この辺りじゃあ全く見んポケモンぢゃからなぁ」

「ダメだこりゃ」

「しかし、生息域から離れた野生ポケモンが連続して美術館を襲うというのは、偶然とは思えません」

「でも、野生ポケモンを使うことなんてできるの?」

「その為に有識者を呼んだんだよ」

「有識者ァ?」

 

 そう言って、ダンガンが扉の方を指差す。

 間もなくそこから待ってましたと言わんばかりに現れたのは──

 

 

 

「やっほォ!! たまたまセイランシティに仕事で滞在してた、僕が来たぞう!! メグル君元気ィ~?」

 

(チェンジで)

 

 

 

 ──そりゃあ有識者なんて、この男くらいなものであることはメグルも理解していた。

 皆ご存じ、イデア博士である。

 しかし、久々に思い出した頃にやってこられると、やはり最初にやってくるのは感慨ではなく鬱陶しさであった。

 なんせ開幕のセリフがこれなのである。

 ボールから飛び出したニンフィアも、威嚇をする始末である。

 

「いやー、ミッシングアイランドの一件から、更に次の事件とは……君も忙しいなぁ? ま、トレーナーとしての経験は積めるから良いんじゃない? アルカ君も、メグル君の事よろしく頼むよー、ちょいちょい危なっかしいところが」

「早よ本題に入れや」

「本当に元気な人だなァ……いつ見ても」

「ふぃるふぃー……」

「おー、ニンフィア元気してた? 久しぶりに抱っこしようか、んまんま」

「フィッキュルィィィ」

「ひでぶ!!」

 

 炸裂するのは両目潰しブイパンチであった。

 

「これが、この地方のポケモン学の権威のイデア博士だ。頼りになるぜェ、フカ」

「今の言動の何処にも頼れる要素ありませんでしたよね?」

「なんというか、博士は安定感あるよ……」

「あの、博士……いきなり違う場所の野生ポケモンが暴れた理由なんて分かるんですか?」

「ハッハッハ、僕はこれでも博士だぞ? 博士に分からない事なんて無くない?」

 

(なーんて頭の悪い返答だ……)

 

「じゃあ早速、ダンガンさんが捕獲したと言うビークインを見せて貰おうかな」

 

 楽しそうに言った博士は、ポケモンが暴れても困らない屋外に全員を案内するのだった。

 そこでダンガンはビークインを呼び出す。

 当然、暴れ出したのでメグルが予めスタンバイさせていたアヤシシが”さいみんじゅつ”で昏倒させる。

 イデアはドーブルを連れているので、”キノコのほうし”を使えば眠らせる事も出来るのだが「今回は使いたくないんだよね」とのことだった。

 

「ごめんね、ちょっと調べさせてよ」

 

 ビークインの頭部を、ルーペで拡大しながら調べていく博士。

 既に彼の中では原因が推測できつつあるのか、あるはずのものを探っているようだった。

 そして、しばらくすると──「ああやっぱりね」と声を上げるのだった。

 するりと手袋を付けた指でぬぐい取ったのはピンク色の粉末である。

 

「……えーと、何が分かったんですか?」

「この香りはポケモンフレグランス……つまりポケモン用の粉末香料さ。種類によってポケモンを発情させたり、攻撃的にしたり、大人しくさせたり、他にも色々な効果があるんだ」

「人為的にポケモンを攻撃的にしたってわけか……って事は考えられるのは、一か所に押し固めた野生ポケモンの群れに、フレグランスパウダーを吹きかけたってところか?」

「でも、それでは美術館を攻撃させた仕組みが分からないよ。ただ暴れさせるだけになっちゃわない?」

「ターゲットを美術館に絞らせる術も同様に推測できる。アタックフレグランスと呼ばれるものの特性を利用したんだ」

 

 イデア博士はタブレットを取り出しながら説明を行う。

 

「アタックフレグランスαとβ……これはセットでね。α()()()()()()()()()()()()β()()()()()()()()()()()()()()ようにするものなんだ。α単体じゃあ興奮剤としてしか機能しないが、βが攻撃フェロモンに類似する作用を齎すのさ」

 

 攻撃フェロモンとは、蜂が攻撃対象に吹きかける化学物質だ。

 1匹では非力な蜂は、強大な敵を前にした時に仲間にも攻撃を呼びかける為にこれを標的に散布するのである。

 アタックフレグランスβの仕組みは、これに類似するものだとイデア博士は説く。

 

「で、何でこんなものを使うかって言うと、ブリーダーがポケモンの戦闘訓練で用いるんだよね。あまり好戦的じゃないポケモンを興奮させるためにね。だから一般に流通もしてる。当然、公式の試合で使うのは禁じられてるから、メジャーじゃないってだけだよ」

 

(ちゃあんとポケモン博士しててビックリするんだけど……)

 

「……じゃ、じゃあ、犯人はβを美術館に散布して、αを散布した野生ポケモン達に襲撃させた……ってことなの!?」

「ああ。そうなるね。怪盗クローバー……だっけ? 随分と姑息な真似をするんだなあって思うよ」

「いーや、クローバーの仕業じゃねぇよ。奴は単独犯だ。それに──犯行前に目立った真似はしねぇ。こりゃあ組織犯だ」

「ええ。奴のやり方とは少し違う気がします」

「1人2人、ポケモン1匹2匹で出来ることじゃない。間違いなく組織犯だぜ。フカ、早速粉末香料の出所、そんでもって今回の野生ポケモンの発生源を特定しろ」

「可能な限りやってみます」

 

 ヒントを得た二人はそのまま美術館から去っていく。

 そのまま、捜査を行うらしい。明日は特別展で、警備体制も固めなければならないのに、ここにきて別件も発生してしまったので警察はてんやわんやだろう。

 

「取り合えず、同じ手が使われないように美術館中に匂い消しを散布しておきましょう。そして、怪しい奴が近付かないように、今から警備を厳戒態勢にしておく。これが必須条件です」

「人員は既に手配してある。もうフレグランスパウダーなんざ撒かせねぇよ。イデア博士も、捜査に協力をお願いします」

「勿論だよぉ」

 

 バタバタと警察の人間が動いているのを見ると、本格的にきな臭くなってきたのをメグルは感じる。

 此処までの人間を集める”百鬼夜行地獄絵図”には一体何があると言うのだろうか。

 

(特別展示を中止にしたところで、あの絵がある限り禍根は永遠に消えねえ気がする……!)

 

 結局、現時点での障害は3つ。

 絵そのものに隠された秘密。

 怪盗クローバーの脅威。

 そして──組織犯と思われる野生ポケモン達の急襲だ。

 これだけの事件が重なっていると言うのに、自分に出来る事が限られているのを、メグルはもどかしく感じる。

 

(参ったな……俺ァ探偵じゃねーから、こんな時に俺が出来る事何にもねーんだよな……)

 

「……眉間に皺が寄ってるよ」

「たりめーだろ。先の襲撃をした犯人が、明日の展示会場に現れる可能性は十二分にある。展示会が無事に終われば良いんだがな……」

「……そうだねぇ……一体全体何が起きるんだろ」

「ああ……当日俺達に出来る事をやるしかねえんだけど」

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──アンティークな紳士服に身を包み、マントをはためかせ、目にはモノクル、シルクハットという古典的な怪盗の風貌。

 髪は目立つ程に鮮やかなブロンド、そして瞳には☆状のマークが浮かんでいる。

 トレードマークはシルクハットに付けられたクローバー型のブローチ。

 彼女こそ、世間を騒がせる怪盗クローバー。

 神出鬼没にして、その詳細は一切謎。警察を何度も欺いた手腕を持ち、盗みと共に悪事を暴く現代の怪盗紳士だ。

 

 

 

「レディーエーンス、ジェントルメーン!! 天才美少女怪盗・クローバーちゃんのショータイム、始まりデース!!」

 

 

 

 彼女は高らかに、ショーの開宴を告げる。

 多くの人が集まる水墨画の特別展。

 そこは既に多くの警備員や警察、そしてポケモントレーナーの姿がちらほら。

 

(だーいぶ気合が入ってるデスねー。この私を返り討ちにするつもり満々デス? But、そう簡単にはいかないヨ! 私は怪盗。狙ったものは必ず逃さないのデス! 今回はちょっと、派手にやっちゃうデスよ!)

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「人が沢山集まってるな……ッ!」

「うん。クローバーの予告状は既に広まってる。絵画じゃなくて、クローバー目当ての人も多く来てる。とっくに会場は入場制限が敷かれてるよ」

「クソッ、人の苦労も知らねえで……野次馬根性だけは一丁前だな」

 

 会場の一角を見張るメグルとアルカ。

 既に、場内は多くの来場客でにぎわっている。

 そして最も厳戒態勢を敷いて警備されているのが、中央の展示スペースに飾られた”百鬼夜行地獄絵図”。

 四方を警備員と、マフィティフ達が守っており、一定距離以上からの観覧は出来なくなっているのだ。

 

「なあアルカ。”百鬼夜行地獄絵図”から何か感じるか?」

「感じるよ感じる。こんなに離れてるのに、嫌な気配が凄くするよ……」

「まあ、出来るだけ直視しねえようにしろよ」

「頑張る……」

「後は怪しい奴が現れ次第、俺達はそいつをひっ捕らえれば良いだけなんだが──」

 

 

 

「クローバーが出たぞーッ!!」

 

 

 

 すっ飛んできた声に、メグル達は驚いた。

 次の瞬間、場内は一気に白い煙に覆われる。強力な催涙ガスだ。 

 すぐさま来場客たちはそれを吸い込んでしまい、涙が止まらなくなってしまい、混乱した様子で場内から飛び出していく。

 メグルや刑事たちはすぐさま”ぼうじんゴーグル”を付けたので事無きを得たが、ゴーグルをつけるのが遅れた警備員たちやルカリオは、これで殆ど無力化されてしまった。

 見ると、場内の壁を駆ける怪しい人影の姿が。

 間違いない。話に聞いていた怪盗クローバーの姿そっくりだ。

 

「白昼堂々と正面から突っ込んできやがった!?」

「ど、どうやって入ってきたの!?」

 

 会場はいきなり大混乱。

 警備員たちはすぐさまマフィティフ達を嗾け、クローバーを狙ってひっ捕らえようとする。

 当然、幾ら怪盗と言えどポケモンの素早さには敵わないのか、そのまま床へ叩き伏せられてしまった。

 しかし。

 

「んなっ──メタモン!?」

 

 ぐにゃり、と音を立ててそれは形を変えてしまう。

 へんしんポケモンのメタモンがクローバーに化けていたのだ。

 

「こんな事もあろうかと! オトシドリ、”ふきとばし”だ!」

「ストォーック!!」

 

 すぐさま場内に飛び降りたアルカはオトシドリを繰り出し、催涙ガスを吹き飛ばす。

 そうして露になったのは、衝撃の光景だった。

 場内の各所に──クローバーが立っているのだ。

 展示台の上に1人。

 窓際に1人。そして、作品の近くに1人。

 

「クローバーが3人!?」

「や、やられた!! あいつ、()()()()()()()()()()()()()()()()んだ!!」

「ハッ、何て事ァねーぜ!! 遠慮なく構わず攻撃すれば良い!! やれ、ハッサム、エーフィ!!」

「……ええ。ミガルーサ、ブラッキー。クローバーを倒してください。そして──警備システム全起動──」

 

 フカがタブレットを操作しようとしたその時だった。

 彼女の持っていた端末が宙に浮かび上がる。

 

「んなっ……!?」

「ゲゲゲゲ」

 

 柱から低く唸るような声が聞こえてくる。

 そこに居たのは、自らの身体を周囲の光景と同化させることができるポケモン・カクレオンだった。

 タブレットはカクレオンの舌に絡め取られており、明後日の方向へと投げ捨てられてしまう。

 

【カクレオン いろへんげポケモン タイプ:ノーマル】

 

「ッ……成程、理解しました! 透明になったコイツがモンスターボールを館内に持ち込んだんですね! ブラッキー、”でんじは”でカクレオンの動きを止めてください!」

「ヴゥウ……ッ!」

「ゲゲゲ!!」

 

 すぐさまカクレオンは再び姿を消してしまい、取り逃してしまう。

 だが、あっという間に場内に居た3人のクローバーは、国際警察のポケモンの手で取り押さえられてしまうのだった。

 しかし。

 

「先輩!! こいつら全員、メタモンです!!」

「ウッソだろオイ……!! じゃあ、本物のクローバーは一体何処だァ!?」

「メグルどうしよう! 場内何処を探しても、本物が居ない!!」

「……って事は、()()()()()()()()()()()()って事か!! ……あるいは、もうとっくに誰かに変装して入ってきてるとか」

「んなバカな! 此処に居る面子は全員、綿密に変装のチェックをしたんだぞ!?」

  

 取り押さえたメタモンたちは、すぐさまゲル状の姿に変化し、皆隙間やダクトに逃げ込んでしまう。

 カクレオンの行方も分からず仕舞い。

 

(エーフィの念動力で炙り出そうと思ったが、特性:へんげんじざいか! 悪タイプに変化して逃げ果せたか、まだ場内に居る!!)

 

(こうなったら、アブソルの未来予知で、クローバーが何処にいるか当てれば良い!)

 

(本物が現れ次第、ブラッキーの”くろいまなざし”で逃げられなくすれば良いだけです)

 

(なんか、”百鬼夜行地獄絵図”にずっと()()()()()気がする……見ないようにしようっと……)

 

 各々が、そう考えていた次の瞬間だった。

 

 

 

「ハーハッハッハッハ!! 怪盗クローバーのショーへようこそデース!! どれが本物の私か、見抜けマスかー?」

 

 

 

 クローバー、再び増殖──ではない。

 メグルの視界に入っている人間が全て、クローバーの姿に置き換わったのだ。

 アルカも、ダンガンも、フカも、ポケモン達も、皆怪盗の姿に見えてしまっている。

 

「なっ、クローバーだ!! 全員クローバーだと!?」

「落ち着いてください。これはゾロアークの幻影です。奴はこれに乗じて、絵画を盗むつもりですよ」

「参ったな……ゾロアークが化けただけなら、ゾロアークを抓れば一発OKだが……! 俺達がゾロアークに化かされている状態だ」

 

 無理もない。

 ゾロアークと言うポケモンは元々、幻影で自分の群れを守ってきたポケモンだ。

 まやかしの光景を見せる事で、相手を欺き、幻の中で彷徨わせ続ける。

 その力は非常に強力で、後からやってきた警察官たちの姿も皆クローバーに見えてしまうのだった。

 

「ダンガン刑事、大変ですーッ!! 目に見える物が全部クローバーに!!」

「べらんめぇ、そこを動くんじゃねぇ!! これ以上ややこしくするな!! いや、テメェらの中にクローバーが混じってんだろ!! 全員これから検査を行う!!」

「ど、どうしよう、メグル……!」

「クソッ、これじゃあクローバーが何処にいてもおかしくねえよ……! アブソル!!」

「ふるーる? るッ!?」

「うわぁ、ポケモンまでクローバーに見える……頭がおかしくなるーッ!!」

 

 飛び出したアブソルも──メグルにはクローバーに見えてしまう。

 おまけに当のアブソルも、見慣れぬシルクハットの怪しい人間ばかりが視界に見えているらしく、戸惑うしかない。

 

「何処だ……!? 奴は何処から仕掛けて来る!?」

「ふるーる……ガルルルル!!」

 

 次の瞬間だった。

 アブソルが地面に向かって唸り声を上げる。

 そこから数秒しないうちに、”百鬼夜行地獄絵図”の目の前の床に穴が開くのだった。

 

 

 

【デリバードの ドリルライナー!!】

 

 

 

 勢いよくそれは飛び出し、”百鬼夜行地獄絵図”の前に現れる。

 サンタクロースを思わせる赤い身体の鳥・デリバードを抱きかかえる怪盗クローバーが地下から穴を開けて現れたのだ。

 

(あ、穴掘って此処までやってきたのかよ!? じゃあ、さっき聞こえて来たクローバーの声はなんなんだ!?)

 

(此処まで全部ブラフ!! 俺達を錯乱させている間に、地下から登場って寸法か!! べらんめぇ、いつもの事ながらブッ飛んでやがるぜ!!)

 

 だが、未来予知は伊達ではない。そこに、アブソルが”むねんのつるぎ”を尻尾から放つ。

 鬼火を纏ったそれはデリバードを狙い、勢いよく突き刺さる。

 

「YES、計算通りネ」

 

 だが、あっさりと尻尾による斬撃は避けられてしまい、”百鬼夜行地獄絵図”を守っていた強化ガラスを掠めるにとどまる。

 絵を守る立場にあるアブソルは、硝子を傷つける事ができない。

 

「ゾロアーク、”トリック”デス!」

 

 次の瞬間にはもう、彼女の手元には”百鬼夜行地獄絵図”が握られていた。一方、硝子の中には飴玉が残る。

 そのまま彼女はデリバードに掴まったまま、天井まで飛んで行く。

 だが、みすみすと逃がすわけにはいかないダンガンは、エーフィに念動力を指示する。

 

「エーフィ、サイコキネシス!!」

「ゾロアーク、ナイトバースト、デース!!」

 

 だが、此処で今まで姿を隠していたゾロアークが漸く姿を現す。

 化け狐のようなこのポケモンは、エーフィを背後から襲い、必殺の一撃を叩き込むのだった。

 

「しまっ、エーフィ!!」

「Very sweet!! おしるこより甘いのデース!!」

「ミガルーサ、”アクアブレイク”!! 怪盗を撃墜しなさい!!」

「おっと」

 

 すぐさま怪盗はミガルーサの居る方向に向かって絵を盾のように突き出す。

 絵を傷つけてはいけないことは、この突撃魚も理解している。

 理解しているが故に軌道がずれてしまった。思いっきりミガルーサの身体は天井へ突き刺さるのだった。

 

「こいつ、絵を盾にして──卑怯です!!」

「怪盗に、卑怯もラッキョウもないのデース!! デリバード、もう1回”ドリルライナー”!!」

 

 そのまま怪盗は屋根を突き破り、逃走。

 と同時に、ゾロアークの幻影も解除され、全員の視覚も正常なものへと戻る。

 

「逃がすかよ!! アルカ、オトシドリ借りるぞ!!」

「う、うんっ!!」

 

 すぐさまメグルは、アルカのオトシドリに跨る。

 いつでも空中ライドができるように、ライドギアを取り付けていたのだ。

 そのままクローバーが開けた天井の穴から、彼は外へと飛び出すのだった。

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