切っても切り離せないのが現実
あまりにも難産……っ!しかも寝落ちしてる……っ!!
期末テスト! 楽郎は逃げ出した! 残念! 期末テストは概念存在なので逃げられない!!
クソがよ。
というわけで期末テストである。厳密には期末テスト初日を二日後に控えた今現在、
「速報来たぞ! 新型薬物だ!!」
「やはりか……トンネル事故も確かにMakiko先生は心を痛めただろうが、期末テスト当日時点で進行形の問題となるのはやはり新型薬物だろうからな……」
「笹木……フッ、予想師の勘は錆びてないということか……」
「助けて文系! 500円あげるから代わりに文章考えて!」
「俺を呼んだか!」
「お前は文系マン!?」
「高校生の癖にドヤ顔で7の段を間違えたあの!?」
「そのくせ小論文が現文の教師に引くほど大絶賛されたあの文系マン!?」
「生きていたのか7×8=53……」
「勝手に殺すな、そしてお前は殺す」
頭いいんだか悪いんだかよく分からない盛り上がりを見せる教室の中で、俺はといえばクラスメイトの横田から裏死蔵文書(雑ピが没にしたポエムを指す隠語)のデータを300円で受け取りつつ帰り支度をしていた……あ、そうだ。
「ヘイ文系マン、現国の出題範囲とか嶋先生から聞いてないの?」
「流石にそこまで贔屓されてねえよ……なんか今、悪意に悪意を重ねてなかったか? 気配的に」
「一度で済んでお得だな」
「せめて否定しろよ!」
「人生は些細な嘘から悪意に満ちた嘘まで、いろんな嘘に塗れている。善し悪しは別としても、それならせめて可能な限りは自分に正直に生きていたい……そうだろう?」
「なんでそれ知ってるんだよォー!!」
表死蔵文書(雑ピが没にしたけどSNSで若干匂わせたポエムの一文を指す)をこんな早期に使う事になるとはな……くっ、さすがは全身いじりネタ野郎だ。英語版もそこそこ注目度集め始めてるって噂マジなの? グローバルポエマーじゃん。
「じゃあ良いや、7の段の暗記頑張れよ」
「いつまで引きずるんだよもぉぉ!!」
「9×7-1=?」
「63……あっ、64!」
ダメみたい……ですね。
……
…………
「ん、ああ玲さん」
「あゅっ、ら、楽郎君…………そ、そうだ! 聞きましたか?」
「ん?」
帰り道、校門の前にいた玲さんから齎された情報は俺をして驚愕の内容であった。
「生物テストの30点分が大学入試レベルになった……!?」
「……はい、職員室で……聞こえた、って情報が」
大石ィ……! バカめ、貰ったぞ高得点!!
生物の大石先生はとても優しいし質問にもちゃんと答えてくれる素晴らしい教師なのだがことテスト出題に関してだけは畜生道の権化と化す。
車の免許取る時の試験みたいなクソ曖昧な◯×問題ならまだ優しい方、酷い時は英語の論文から答えを探せとかやってくる……英文のテストだっけ?
だがそんな畜生道大石にも僅かばかりの慈悲がある。それはセンター入試問題をテストに入れる場合は必ず授業で言及したところに限る、ということ……っ!
テストとはある種学生と教師の戦いでもある、既に対テストネットワークによって入試級出題想定の範囲は解明されている……! だが懸念されるのは平均点の上昇だ、ネットワークに30点級情報が流れていない、と言う事は意図的に情報を絞っている奴がいる。成る程、人は点数のためなら非道にもなれるって訳だ……玲さんには情報を流している辺り、好感度を稼ぎたい裏が透けて見えるぜ。
「これは真面目に70点分を狙った方がいいか……?」
「そう、ですね……今年最後の期末なだけあって、他の先生方も、張り切ってるみたい……ですし」
ぬるま湯のようなテストにしてください。そう願えども全員張り切ってるなら物理と英数はヤバいな、あそこの担当は気軽に難問を入れてくるので。理系可哀想……
「んー……やっぱある程度復習しといた方がいいかな」
一夜漬けは脇差のようなものだ、普段から蓄積した知識のサブとして使うものであってそれをメインにするとあまりにも心許ない。あと直前の徹夜は体質によってはデバフにしかならないのもキツいところだな……
「玲さんはどう? 期末いけそう?」
「は、はいっ……その……はい」
「そう言い切れるのは羨ましいな……」
「らえっ、あの、いえ、言い切るってわけじゃ……」
このシーズンになるとやけに悟ったような奴を見かけるが、アレは死の間際に解脱っぽい境地に至った個体なので両手を合わせて南無阿弥陀仏と言ってやればいい。本当に余裕なやつは「まぁ大丈夫だけどちょっと不安だよね?」という顔をするものだ、目の前にいる玲さんのように。
俺? 俺はアレだよ、そこそこな勝算を持ってギャンブルに挑むタイプ。
「まぁ流石に今日明日は予習復習してコンディション整える感じかな、中間ならともかく期末前にゲームで徹夜はちょっと罪悪感あるし」
「そうですね……」
さーて、学生らしく本分を頑張るとしますかね!!
……
…………
………………
いや違うんや、聞いてくださいよ刑事さん。
テスト前日にゲームしてるのには深い理由が、そりゃもう海より深く山より高くクソみたいなシナリオよりも奥深い理由があるんですよ刑事さん。
いやね? フルダイブゲームって半分寝てるようなもんだしどちらにせよテスト当日はエナドリぶちかましてブーストかけてから挑むつもりだしそもそもフルダイブVRをやることで脳が活性化するみたいな論文があったはずだからこれはある種の……ストレッチ! そう、ストレッチみたいなもんだ。
朝までにちょちょいっと脳をほぐしてベストコンディションでテストに挑む……完璧、そう完璧な作戦だ。
「っし」
言い訳は、自分に届けば、それでいい。
というわけでね、息抜きにやっていこうぜシャングリラ・フロンティア!!
そろそろこの章の締めに入ります、多分今回は短めの長編
来たる2020年10月16日(金)に不二涼介先生の手によって実体化したコミカライズ「シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜」の第一巻がついに発売致します!
同時発売で書き下ろし小説付きの「特装版」も発売しますので是非是非お手に取ってみて下さい!!