ポケモン廃人、知らん地方に転移した。【完結】   作:タク@DMP

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CC17話:みやぶる・かぎわけるは廃止された模様

 ──庭園近くのバトルコートで向かい合い、両者はにらみ合う。

 そして、ほぼ同時に4つのボールが空を飛び交った。

 

「──バサギリ、お前の出番だ!!」

「お願いします、モトトカゲ!!」

「……先輩。足引っ張らないでくださいね」

「べらんめぇ誰に言ってやがんだ、誰に!」

 

 好戦的に地面に斧を叩きつけるバサギリ、そして横に並び立つはモトトカゲ。

 そこに相対するは、エーフィ、そして真っ黒な体毛に身を包んだ獣型のポケモンだった。

 

「プルフィルー」

「ヴゥウ……」

 

【エーフィ たいようポケモン タイプ:エスパー】

 

【ブラッキー げっこうポケモン タイプ:悪】

 

 メグルの記憶では、両方共イーブイの進化形。

 片や高速特殊アタッカーのエーフィ、片や完全な耐久ステータスのブラッキー。

 タイプ、モチーフ、戦い方、何もかもが対照的な二匹だ。

 

「お前、エーフィとブラッキーは見た事あったっけか」

「サイゴクだとこの2匹を連れてる人結構多いからね。何度かバトルしたこともあるよ」

「じゃあ、こいつ等の能力の傾向は大体分かるな」

「うん。でも、この人たち、結構強そうだよ」

「……コンビネーションDで行くぞ」

「了解です、先輩」

 

 コンビネーションD、そう言っただけで二匹は臨戦態勢となる。 

 低く腰を構えたエーフィは真っ先にバサギリの背後に回り込み──そして、尻尾を絡みつけて甘い鳴き声を出すのだった。

 

【エーフィの あまえる!】

 

【バサギリの攻撃力が 下がった!】

 

 がくり、と膝を突くバサギリ。

 物理攻撃が主体のバサギリにとっては致命的とも言えるデバフだ。

 しかも、モトトカゲが反応できない程に、今のエーフィの動きは素早い。

 更に、そこに合わせるかのように地面に微弱な電気が迸り、モトトカゲの脚を絡めとる。

 

【ブラッキーの でんじは!】

 

【モトトカゲは まひした!】

 

「ッ……一気に二匹が弱体化した……!!」

「やっぱこの人たちのポケモン、相当鍛えられてるよ! 技名を伏せてポケモンが動けるなんて……ッ!!」

「バサギリ、エーフィに向かって”シザークロス”だ!!」

 

 カンカンカン、と両斧を叩き鳴らすと、一瞬でバサギリはエーフィに距離を詰める。

 モトトカゲの機動力が失われた今、エーフィの速度に追いつけるのはバサギリだけだ。

 地面を駆け、エーフィに何度も何度も斧を叩きつけるが、いずれも行動を先読みされたかのように躱されてしまう。

 幾ら攻撃力が下がっていると言えど、当たれば大ダメージは免れないはずなのであるが、当たらなければ意味が無い。

 

(エーフィは確か体毛の動きで相手の行動を先読みできるんだったか……ッ!!)

 

(チッ、何て鋭い一撃だ。攻撃を下げたと言っても、当たったら一発アウトだねぇ、こりゃあ。エーフィ、気張れよ)

 

「──エーフィ、サイコキネシスだ!! ビシッと痛いのくれてやりなァ!!」

 

 バサギリの身体が浮かび上がり、そして思いっきり地面に叩きつけられる。

 流石の火力と言うべきだろうか。跳ね飛ばされ、斧を地面に突き刺して体勢を立て直すバサギリだが、その顔には疲れが見えている。

 一方、モトトカゲは麻痺した身体ではまともにブラッキーに立ち向かうことすらできない。

 身体が痙攣し、近付くことすらままならない。

 

「……残念ですが、何もできないまま沈んでくださいね──”あくのはどう”」

 

 ブラッキーの放つドス黒いオーラがバサギリ、そしてモトトカゲを襲う。

 相手をひるませる悪タイプの特殊技だ。

 それに委縮し、モトトカゲは立ち竦んでしまう。

 更に、痙攣も襲ってきて、余計に動く事ができない。

 

「なっ、動けない……! このままじゃあ、上から叩かれっぱなしだよ!」

「麻痺に悪波──まひるみか!! クソッ──仲良くなれそうだぜ」

 

 重罪人が此処にもいた。

 

「”サイコキネシス”ッ!!」

「”あくのはどう”です」

 

 飛び掛かるバサギリが浮かび上がり、今度はモトトカゲ目掛けて叩き落とされる。

 そして、そこに”あくのはどう”がぶつけられる。

 デバフでこちらの動きと火力を封じ込めて、何もできないまま一方的に蹂躙する連携。

 モトトカゲとバサギリの体力は既にかなり削られている。

 対して、こちらは相手に有効打を与えられていない。

 

「……その麻痺したポケモンでは足手纏いも良い所でしょう。先輩、エーフィの火力でまとめて葬ってあげてください」

「っせぇな、クールタイムが要るの分かってんだろが」

「足手纏い──」

 

 ギリッ、とアルカは歯を食いしばる。

 

(足手纏い!? 冗談じゃない! ボクは石商人・アルカ! これでもメグルと出会うまで、一人でサイゴクの採石場と遺跡を回ってたんだ!)

 

「……足手纏いになんかならない! メグル、力を貸して!」

「分かってる。麻痺をどうにかしてーんだろ! バサギリ、”すなあらし”だ!」

 

 バサギリはその場で大きく回転し始める。

 その場から竜巻が巻き起こり、砂が周囲を舞い、視界が悪くなる。

 

「しまった、コイツ──”すなあらし”を!!」

「エーフィは体毛の流れで天候やこっちの動きを予知できる。だけど、その体毛が濡れたり、砂塗れになったら──まともに予知が出来なくなるんじゃねーか!? 流れが乱れちまうからな!!」

「関係ありません、先輩。奴がいるであろう場所にサイコキネシスを撃ち込めば良いだけです」

「バーロー分ぁってるよ! そろそろ砂嵐の勢いが弱まるはず……エーフィ──”サイコ──”」

 

 

 

【モトトカゲの すてみタックル!!】

 

 

 

 砂嵐から一筋の閃光。

 そのまま砂さえもかき分けて、バイク状になったモトトカゲの疾走がエーフィを貫く。

 華奢な身体は思いっきり撥ね飛ばされ、場外へと吹き飛んで行くのだった。

 

「なっ、何だァこの速さ──麻痺してたんじゃねーのかァ!?」

「”ギアチェンジ”だよ。麻痺した分の素早さを補ったんだ! 攻撃力も上がるから、エーフィじゃあ”すてみタックル”に耐えられないからねっ!」

 

 しかし、その攻撃の反動は更に強烈なものとなって襲い掛かる。

 元々体力が尽きかけていたモトトカゲは、エーフィを倒すなり地面に転がり、倒れてしまう。

 

「でも、これで1匹落としたからね!」

「あーあ、これはヤバいかもなァ」

「……これはマズい流れですね」

 

 さて、一連の始終を見たブラッキーの目の色が変わった。

 後ろ脚を激しくスタンピングし、体中から紫色の毒液が流れ出している。

 

「ヴゥウウ……!!」

「なんか──ヤバくない、あのブラッキー!?」

「もしかして、番をやられてマジ切れか!?」

「もしかしなくてもですね……」

「もしかしなくてもだな……悪い癖が出た」

「やっぱり!!」

 

 ブラッキーの持ち主である女は、もう慣れっこなのか落ち着いた様子で呼びかける。

 

「頭を冷やしなさいブラッキー、冷静さを欠いては取れる仇も取れません」

「ヴゥ……ッ!!」

「そもそも仇、反動で落ちてるしな」

「モトトカゲ、ゆっくり休んでね」

「……エーフィ、すまん」

 

 残るのはバサギリとブラッキーだ。

 両者は睨み合い──先に動いたのはブラッキーだ。

 

「ッ……ブラッキー、”でんじは”です!」

「残念だけど、もう同じ手は効かねえよ!」

 

 すなあらしで視界が悪くなっている中、でんじはを幾ら飛ばしても、バサギリはそれを全て躱してしまう。

 そして、”きれあじ”の乗ったシザークロスを連続でブラッキーに叩きこみ続ける。

 目にも止まらぬ回転斬撃。幾ら耐久力の高いブラッキーと言えど、高速の連続攻撃を受ければ一溜まりもない。それでも、攻撃力を下げられているので、普段ならば回復すれば追いつくダメージではある。しかし、天候が良くなかった。

 

「”つきのひかり”で回復です、ブラッキー!!」

「砂嵐中は”つきのひかり”の回復量は抑えられる──これで終いだぜ!!」

 

 回復に対してダメージが追い付くどころか追い越されてしまう。

 ”つきのひかり”は晴れている時でなければ、ブラッキーの体力を大きく回復させることができない。砂嵐の時は、更に体力回復量が落ち込む効果がある。

 かと言ってブラッキーの火力では残るバサギリの体力を削り切る事ができない。

 そのまま切れ味の乗ったバサギリのシザークロスがブラッキーの急所を切り裂いた。

 

【バサギリのシザークロス!!】

 

【急所に当たった! 効果は抜群だ!】

 

 ぐらり、と黒い身体が揺れたかと思えば、地面に崩れ落ちる。

 その場に立っていたのはバサギリのみ。つまり──メグルとアルカの勝利だ。

 天候によって勝ち筋を掴むことこそ出来たが、こうでもしなければ勝つことができない相手でもあった。

 

「っしゃーっ!! 勝った!!」

「……あ、危なかったぁ……」

 

 歓喜するメグル、ほっと胸を撫で下ろすアルカ。

 こうして共に肩を並べて戦うと──ストライクに振り回されていたころの彼を思い出してしまう。

 

(……本当に強くなったんだなぁ、メグル……)

 

「やったね、メグル!」

「ああ、お前がエーフィを落としてくれたおかげだ。ギアチェンジ──強い技だぜ」

「決め手になったのは砂嵐だよ。バサギリも、メグルも、あの頃から見違えた」

「グラッシュ」

 

 当然だろ、と言わんばかりにバサギリは斧を打ち鳴らす。

 だが、荒っぽいだけだったあの頃に比べると、老成された貫禄を身に着けたように見える。

 

(……ボクも、頑張らなきゃ)

 

 砂嵐が完全に止み、お手上げだと言わんばかりに目の前のグラサン男も肩を竦める。

 

「あーあ、負けた負けた。仕事仲間の実力をちょいと見てやるつもりが……まだまだ修行が足りねーぜ」

「……どうやら、リサーチ通りの実力だったようですね。戻ってください、ブラッキー」

「仕事仲間? リサーチ?」

「やっぱり。君達、ボクらの事を知ってるんでしょ」

「ああ」

 

 そう言うと、2人が取り出したのは黒い皮の手帳。

 そこには、ICPOと刻まれた金の大きなバッヂと顔写真。

 どのようなものなのかは、すぐにメグルも察する事ができた。

 実際にこのように突きつけられる日が来るとは思わなかったが──

 

「俺らァ、国際警察でな。俺はダンガン。コードネーム・ダンガン。怪盗対策課だ。んで、こっちがフカ。電子機器の取り扱いからハッキング、何でもござれの天才だぜ」

「……よろしくです」

「えええっ!? じゃあ、キヨさんの言ってた国際警察って──」

「ああ、俺達の事だァ。そしてあんたらが、キヨ館長の言ってたトレーナーって事ァ俺も知ってる」

「……立ち話もなんですから、美術館で話しましょう」

 

 メグルとアルカは顔を見合わせた。

 デートの合間のポケモンバトルのつもりが、結局警備の話になってしまうのだった。

 彼女が睨んでくるのを、表情筋が全部引き攣った笑みで受け流すことしか彼にはできない。

 

「……メグルぅ? バトル売る相手間違えたんじゃない? ねえ?」

「この埋め合わせは近いうちに必ずします……」

「うん、絶対だよ」

 

 この時のアルカが本当に恨めしそうな顔をしていたのを、メグルは一生忘れない。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ──美術館の地下室に連れて来られたメグル達は、国際警察の二人と向かい合い、机で話していた。

 

「何でわざわざこっちで?」

「盗聴されている可能性があるからだ。俺達国際警察は、どうでも良いことや偽の情報は外で話し、大事なことはこっちで話すようにしている」

「じゃあさっきの会話って全部──」

「ええ。偽情報を交えたフェイクですよ。周辺の地理確認ついでにね」

「ま、小細工程度にしかならねーだろがなァ」

「……徹底してんなあ」

「貴方たちにも当日までは徹底してもらいたいところですね」

 

 かなり窮屈な思いをしそうだ、とメグルとアルカは顔を見合わせる。

 密閉された地下室以外では、まともな会話すら許されなさそうである。

 

「前回は作戦が盗聴された所為でえらい目に遭ったんですよ」

「ロクに偽者か本物かの確認もせず、俺達に襲い掛かったアホ共の所為でな」

「現地の警察は無能でしたね。ついでに先輩も」

「俺も含めんじゃねえ!!」

 

 軽口を叩き合っているものの、ダンガンもフカも、非常に疲れた顔をしていた。

 彼らの苦労が窺い知れる。

 前回の失敗でこってりと絞られたであろうことは想像に容易いし、おまけにカロスからサイゴクに飛ばされているのだから、溜まった疲労は凄まじいものであることは確かである。

 

「それにしても、怪盗クローバーってそんなにヤバい相手なんですか?」

「あぁ、クソったれ、思い出しただけで腹が煮えくり返る。俺らァ既に怪盗クローバーには三度トンズラされてんだ」

「奴の変装はそう簡単に見破ることは出来ません。たとえ、ポケモンであっても」

「そも、変装を使うタイミングを狡猾に見極められる奴だかんな。そこらの怪盗とは一味も二味も違うのよ」

「ふぅーん……因みに貴方らが怪盗クローバーって事はないですよね」

「あ? たりめーだろが──いだだだだ、何しやがんだ、テメェコラ!!」

 

 思いっきりダンガンの頬を抓るメグル。

 この場で偽物が混じっていれば一番危ないのだから当然である。

 当然その場でダンガンに抓り返されるのであったが。

 

「いだだだだだッ!! だって、そう言う可能性も全然あるでしょーが!! 名探偵コ〇ン読んだ事ないから分からないんでしょうけど!」

「何ワケの分からねえこと言ってやがる! 推理モノっつったら”名探偵ピカチュウ”だろが!!」

 

(あった!! 国民的探偵モノあった、この世界にも!!)

 

「争いは同レベルの人間同士でしか発生しないとはこの事ですね。……やれやれです、はぎゅうう!? 何するんですか!?」

「べらんめぇ、一応念のため、お前も変装じゃねえか確かめておくに決まってんだろ──ま、大丈夫そうだなァ」

 

 

 

 ゲシッ

 

 

 

「痛い……痛いよう……小指が……足の小指がごりって……」

「アルカさん、確認させてくださいね」

「あ、うん。お願いします」

 

(尻に敷かれてるなあ……)

 

 足の小指を踏まれ、床で悶え苦しむダンガンを後目に、フカはアルカの頬を何度かぐにぐにとこねくり回し──偽者ではないことを確認。

 

「さて、一先ずこの場の全員がクローバーでないことは証明されました。此処からは、奴に入れ替えられる隙を与えないように、最低でもツーマンセルで行動するように」

「ツーマンセル、2人組以上ってことか」

「ええ。孤立する人間を出さない事が重要です。そして、本物であることを確認した人間以外は決して信用しないようにしてください。再度会った際は今のように顔を抓ってでも確認を行う事。怪しいと思ったら、即通報してください」

「分かった」

「敵は変装の名手。しかも、メタモンやゾロアークといったポケモンによって、手持ちのポケモンすらカモフラージュする。犬ポケモンの嗅覚もゾロアークの幻影で誤魔化せますから」

「使うポケモンも変身や幻術を使うなら……手持ちポケモンでの判別も出来ないって事だな」

「だが所詮はガワだけ。ゾロアークの幻影は非常に強力だが、頬を抓れば解除される」

「ダメージを受けたらイリュージョンが解除されるからだな」

「そういうことだ。流石トレーナー、分かってるな」

「待った。それじゃあ、メタモンはどうするの?」

「それも問題ねえだろ」

 

 メグルの記憶が正しければ、メタモンの図鑑説明には笑わされて力が抜けると変身が解除されてしまうという特徴がある。

 彼の言葉にダンガンも頷いた。そして──ポケじゃらしを鞄から取り出すのだった。

 

「──チラチーノの毛で作られた最高級ポケじゃらしだ」

「そ、それをどうするの?」

「くすぐるんだ。足の裏か脇の下を。ククク──こいつぁ効くぜ? 全員脇か足の裏出せ」

「じゃあ先輩から」

「えっ──あっ、お前も持ってたのかよ!?」

「沢山用意してますよ。ではエーフィ、先輩の身体を固定してください」

「ちょっ、お前も何でフカの言う事を聞き──」

 

 ──数秒後。

 そこには、笑い過ぎで悶絶して転がっているダンガンの姿があった。エーフィの念動力を用いれば相手の身体を固めることなど容易いのである。そこに──ポケじゃらしでくすぐれば、快楽地獄が襲い来ることは言うまでもない。

 壮絶な光景を前にしてメグルもアルカも、戦慄する。

 最高級ポケじゃらし、恐るべし。

 凶器を持ったフカは、ご満悦そうに足を組み替えて「それじゃあ次はメグルさんで」と言った。

 

「え? 俺も──!? い、いや、俺は遠慮しときます──何か色々大事なものを失いそうだし」

「エーフィ、お願いします」

「プルフィロー」

 

 数秒後には、メグルが同じように悶絶しながら床に転がっていた。

 

「も、もう、許してくだひゃい……」

「あ、あわわわわわ」

「ちょろいもんですね。次は貴女ですよ、アルカさん」

「えっ!? ボ、ボク、ちょっと体調が悪──」

 

 ──数秒後、アルカ撃沈。

 ビクンビクン、と身体をひくつかせながら床に突っ伏す羽目になったのだった。

 

「も、もう、お嫁にいけないよう……ひっ、ひひひ……ひぃん」

「ふふっ、なかなか面白いですねコレ。癖になりそうです。何でも思い通りに出来そうな気がしますね」

「オメー1つ忘れちゃあねぇか?」

「?」

 

 拳骨をポキポキと鳴らしながら怖い顔をしたダンガンがフカに迫る。その横にはメグルとアルカも並ぶ。

 

「……最後には自分に回ってくるんだよ? 当然フカさんもやるよね?」

「順番ってもんがあるよな、世の中には」

「俺ァ世の中で楽しみにしてることが3つあってな。メシと、怪盗を取っ捕まえる瞬間、そして──年に1、2回訪れる仕返しチャンスだ」

「……待ってください先輩。犯罪者みたいな顔──」

「エーフィ、サイコキネシス」

「プルフィロー♪」

 

 エーフィもこれが一番楽しみだったのか、悪い笑みを浮かべてみせる。今までのは壮大な前振りだったのだ。

 

「あの先輩、落ち着きましょう。ちょっとやりすぎたとは思いますけど──ブラッキー助けてください!?」

「……ヴゥ」

 

 相棒は全く興味が無さそうにそっぽを向いてしまった。

 そして欠伸をすると、そのまま丸まって寝てしまう。

 

「私、こういうのって初めてで。せめてお手柔らかに──」

「掛かれェェェーッ!!」

 

 数秒後。メグルもアルカも、思わず耳を塞ぎそうになってしまった。

 地下室は大人のビデオでも聞いた事の無いような嬌声が響き渡る。

 笑うどころの話ではない。ひたすら官能的な声が反響する。

 

※ポケじゃらしで足の裏をくすぐっているだけです。

 

 ──と注釈を付けねばいけない程に。

 約3分間、お仕置きは続き──完全に脱力し、全身が痙攣して動けないフカが完成したのだった。クールな美少女の姿は何処へやら。

 それを全く気にも留めることなくダンガンは鞄にポケじゃらしを仕舞う。

 

「とまあこの通り、ポケじゃらしを使ってくすぐれば、その反応で変身したメタモンかどうかを判別可能だ。これをお前ら二人にも渡しておく」

「せ、先輩……ッ、覚えておいてくださいよ……! 許しませんからね……ひぅん!」

 

(笑い声っつーか……エッロい声だったな……)

 

(す、すごい、えっちな声だった……)

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