NHK戦後80年ドラマで祖父の名誉棄損と提訴 孫の飯村豊氏「捏造、歪曲していいのか」

提訴後に記者会見する飯村豊さん=12月24日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ
提訴後に記者会見する飯村豊さん=12月24日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

NHKが8月に放送した戦後80年関連ドラマを巡り、悪意のある描き方で名誉を毀損(きそん)されたとして、登場人物のモデルとなった人物の孫で元駐仏大使の飯村豊氏(79)が24日、NHKと番組の脚本や演出を担当した石井裕也監督らに550万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。

「受忍限度はるかに超える」

問題の番組は8月16、17両日に戦後80年関連として放送されたNHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」。日米開戦直前に設立された首相直属の「総力戦研究所」を舞台に、史実に基づいたストーリーとして描かれた。

訴状によると、ドラマ内で研究所の所長は、メンバーの自由な議論を阻害し日本が敗れる結論を覆すよう圧力をかけ、反対意見を述べた人を戦争の最前線に送り出すなど卑劣な人物として描かれた。だが、実際の所長だった飯村穣陸軍中将は、史料や関係者の証言などから、若手の議論を後押ししていたとしている。

そのうえで番組が「(飯村穣氏の)社会的評価を低下させ、(中略)名誉を棄損する」として、「真実と真逆の誹謗(ひぼう)を加えることは、受忍限度をはるかに超えて、故人を敬愛してきた原告の感情を著しく害する」と主張。さらに「原告の敬愛追慕の念を害することを当然に知りながら、あえてこれを制作・放映した被告らの行為は悪質である」と訴えた。

「真実描いてこそ未来の力に」

原告の飯村氏は24日の記者会見で「人生を必死に生きてきた人間を簡単に違う人格に捏造(ねつぞう)、歪曲(わいきょく)していいのか。祖父の名誉を回復してほしいと強く願う」と述べた。また、NHK側から映画化を検討すると聞いていると明かし、「同じような内容で上映されることを危惧しており、絶対にやめてほしい」と訴えた。

原告弁護団の梓澤和幸弁護士は「歴史は真実を描いてこそ未来の力になることの重大性をよく振り返って、被告らは反省し謝罪してほしい」と述べた。

NHKは「飯村氏には番組の放送前はもちろん、放送後も誠心誠意対応させていただいたが、結果としてこのような事態になったことは残念だ。訴状の内容を確認して裁判の中でNHKとしての考えを主張していく」とコメントした。

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