リレー小説第二段『から揚げ檸檬パニック』
メンバーシップ掲示板で始まったリレー小説第二段。
から揚げと檸檬の香り漂うリレーに、またしても間を埋めたい茜部が補完することで作品にいたしました。
それでは――喰らえ、檸檬汁!
って漢字で書くとなんかイヤだよねw
以下、引用部分が茜部の補完した部分です。
※一人称は「僕」で統一させていただきました。
『から揚げ檸檬パニック』
澤
空を見上げると、分厚い雲が太陽を覆っていた。
曇天。
今にも雲が落ちてきそうで、不安すら覚えてしまう。
大将
雲の切れ間から、一筋の光が差し込む。 まるで誰かが、空の向こうから僕を見つけてくれたようだった。 ポケットの中の檸檬が、ほんの少しだけ温かくなった気がした。
茜部
ちょうど一年前の今日、同じような曇天の日。僕のズボンのポケットに突如として現れた檸檬。なぜか捨てる気になれなくて、こうして卵のように温め続けている。自分でも理由は分からないが。
あるる
爽やかな香りと手にフィットする感触が癖になってきている気がするけど、生まれるなら檸檬のように黄色いものがいいな。 賑やかになれば、気分も明るくなれそうだ。
ペンギンの下僕
しかし現実は上手くはいかない。檸檬から酸味だけを搾り取ったような人生だ。 いいや、実際にはもっと酷い。僕の人生なんて、果汁を搾り尽くされて、捨てられる用済みの搾りカスみたいなものだろう。
すっしー
でも、ポケットの中の小さな重みだけは、用済みのような僕を見捨てずにここにいる。だからせめて今日くらいは、この人生に少しだけ檸檬の香りが混ざることを願ってみた。
檸檬のように爽やかな人生に憧れたものだ。
すっかり社畜の僕にはそれはもう無理な話かもしれない。
その上皆僕に雑用ばかりを押し付ける。
今日の忘年会だって、僕は最後まで接待係だろう。何が無礼講だよ。
黒い感情が渦巻き、ささくれだった心でそう毒づいた時、お店自慢のから揚げセットがやって来た。
ほりぃ
だから僕はから揚げに檸檬をかけることにした。今日くらいはいいだろう? みんなが力づくで止めようとしてくるけどから揚げセットに檸檬がついているのをなぜ使わない? ふざけているのか?
茜部
批判の声がただの風のうねりみたいに聞こえる。うるさいな。 腕を掴まれた時、よくわからない衝動が自分に駆け抜けた。ポケットからマイ檸檬を取り出す。その汁を勢いよく皆にかけてやった。
大将
ざわめきが止まり、空気が一瞬で凍りつく。 誰かが「目が……しみる……」と呻いた。 僕は静かに笑った。これが、僕のやり方だ。
どうしてそんな衝動に駆られたかの説明はうまくできない。
でもポケットの檸檬の香りは僕にそうしろって言ってるみたいだったんだ。
しみる? いいじゃないか。
僕だって散々傷口に塩を塗るようなことをされてきた。
しみるくらいがなんだってんだ。
神崎ロクス
だがそれだけじゃなかった。誰かが「目がかゆい」と言い出して、ぼりぼりぼりぼり血が出るほど目をかき始める。そして目玉が飛び出るのを見て、僕は息を呑んだ。
最初はしみていた連中も、こぞって目をかきはじめている。
その光景は異様で、いつの間にか別のテーブルの客にまで被害が及んでいる。
だけど僕の気分は檸檬みたいに爽やかだった。
僕も一緒になってかきむしって、片方がポロリと落ちた。
その時初めて気づいた。
テーブルの上で僕を見ている僕の目玉。その色が異様だ。
澤
僕の目玉は、いわゆる普通の眼球ではなかった。白と黒で構成されておらず、紫色をしており、毒々しいように見える。 これは本当に僕の眼球なのか、と片目で絶望してしまった。
茜部
落ちた眼球を眺めていると、徐々に変色してきた。そして白と黒になり、皆と変わらない色になったのだ! そうか! 答えは檸檬にあった! 当然のように残った眼球にもありったけの檸檬を絞ってやった。
もう、皆薄々気づいていたんだろう。
僕が持っている檸檬がただの檸檬じゃないことを。
気化した成分が粘膜の弱い部分――眼球を最初に直撃し、今は体内をも犯している。
苦しむみんなが酸素を求める魚みたいになってる中、直接目に檸檬汁をかけた僕はどうなったのか。
「ウァアアアア!」
自分の耳に聞こえる自分の声が、映画でよく聞くゾンビの叫び声に聞こえる。
僕の思考は、徐々に僕のものじゃなくなってくる。
僕のポケットの中にいた檸檬は、爽やかさの象徴なんかじゃなかった。
ずっと僕の怨念めいた感情を蓄え続け、僕をバケモノへと変化させたのだ。
もう檸檬の正体なんかどうでもいい。
僕はボクじゃなクなり、からだはキイロなっタ。
檸檬とおなじイロ。
うれしい
ぼくは れもん
ぼくに いじわる したやつ みんな れもんをかけて
からあげみたいに おいしくたべて やれ
めがしみる
からあげ うまい
めがしみる
ひと うまい
めが
かゆい うま
完全にパクりじゃねえか!!
誰か檸檬の正体を教えてくれ!!
おわり!
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