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TCGがしんどくなったのではない──「考えなくてよかった時代」が終わっただけ

|ω・`)ノ ヤァ

こんにちは。はじめまどか(@hajime1madoka)です。


「令和のTCGはしんどい」。この言葉を見かけたとき、正直なところ少しだけ違和感を覚えました。

しんどいのは事実でしょう。覚えることは多く、環境は早く、情報は洪水のように流れてきます。しかし、それはTCGが劣化したからでしょうか。私はそうは思いません。

むしろ今のTCGは考えなかった人がはっきりと負けるゲームになっただけです。言い換えるなら、「考えなくても、なんとなく遊べた時代」が終わったのです。その変化を受け入れられない人が、「しんどい」という言葉で違和感を表現しているだけなのではないでしょうか。

そして、その変化についていけないことを「ゲームがしんどくなった」、「昔は良かった」と表現している人が、想像以上に多いのではないでしょうか。この記事は、その前提自体を疑うところから始めます。



はじめに

「令和のTCGはしんどい」という感覚そのものを私は否定しません。むしろ、その感覚はかなり正確だと思います。今のTCGが負荷の高い娯楽であることは事実ですし、以前と比べて気軽に触れるハードルが上がっているのも間違いありません。今のTCGは間違いなく、楽なゲームではないでしょう。ただし、そのしんどさの原因をゲーム側の問題として処理してしまうのは、少し雑ではないでしょうか。

ここで切り分けたいのは、「ゲームが変わったのか」、それとも「私たちの向き合い方が変わったのか」という点です。この二つを混同したまま話を進めると、昔は良かったという感想論で終わってしまいます。



昔のTCGは本当にゆるかったのか

「昔のTCGはゆるかった」、「好きなカードで遊べた」。こうした言葉は懐かしさとセットで語られることが多いです。しかし、冷静に考えてみてください。本当に昔のTCGは、今よりも優しいゲームだったのでしょうか。

結論から言えば、そうではありません。昔のTCGは、今ほど構造が見えていなかっただけです。情報は限られ、強い人の思考は共有されず、勝敗の理由も言語化されにくい環境でした。だからこそ、「なんとなく勝てた」、「よく分からないけど負けた」という体験が成立していたのです。

これは「ゆるさ」ではありません。不透明さです。当時も、勝ち続ける人はしっかり考えていました。ただ、その思考が共有されなかったため、多くの人の目には見えなかった。それだけの話です。

今は違います。強い理由も、弱い理由も、すぐに可視化されます。この変化を「息苦しい」と感じる人がいるのは理解できますが、それを「昔のほうが良かった」とまとめてしまうのは、記憶の美化に近いものがあります。



デジタル化が奪ったもの、与えたもの

デジタル化とSNSの普及は、TCGの遊び方を大きく変えました。確かに、失われたものはあります。ゆっくり試す時間、身内だけで閉じた環境、手探りでデッキを組む楽しさ。これらが減ったことで、疲れを感じる人がいるのは自然なことです。

しかし、それと同時に得られたものも無視できません。再現性、学習速度、そして勝ち負けの理由です。今のTCGでは「なぜ勝ったのか」、「なぜ負けたのか」がかなりの精度で説明可能になりました。

これはつまり、言い訳ができなくなったということです。情報量が増えた結果、考えなくていい余白が消えました。その分、プレイヤーは思考を求められます。これが、しんどさの正体です。



「ついていけない」ことは悪なのか

まずはっきりさせておきたいのですが「今のTCGについていけない」と感じること自体は決して悪ではありません。覚えることが増え、要求される理解度が上がり、環境の更新も早い。これに疲れを感じるのは自然な反応ですし、むしろ正常です。

問題なのは「ついていけない」という状態そのものではなく、その原因をすべてゲーム側に押し付けてしまうことです。自分が追わなくなった、考える余裕がなくなった、もしくはそこまでの熱量を持てなくなった。その変化があったにもかかわらず「ゲームがしんどくなった」、「昔は良かった」という言葉でまとめてしまうと論点がずれます。

TCGは趣味です。全員が競技レベルで向き合う必要はありません。距離を取るのも、カジュアルに戻るのも、触れる頻度を下げるのも、すべて正しい選択です。「ついていけないから離れる」は、敗北でも逃げでもなく、単なる選択です。ちょっとここを勘違いしている人が多い気がします。

しかし一方で「ついていけないのはゲームが悪い」、「今のTCGはおかしい」という評価を下すのであれば、それは別の話になります。なぜなら、今のTCGは明確に思考に時間をかけて考えた人が報われる構造になっているからです。その構造についていけないことと、構造そのものの善悪は、切り分けて考える必要があります。

ついていけないことは悪ではありません。ただ、それを理由に「ゲームが劣化した」と断じるのは、少し違うのではないでしょうか。



テンプレ環境は思考停止ではない

「テンプレばかりでつまらない」という意見もよく聞きますが、私はこの意見にはあまり賛同できません。なぜなら、テンプレがあるからこそ、思考の差が浮き彫りになるからです。

共通の土台があることで、どこを変えたのか、なぜその選択をしたのか、どんな構築意図があるのかが明確になります。テンプレ環境とは思考停止の環境ではなく、思考の精度が試される環境です。

逆に、テンプレが存在しなかった時代のほうが、「考えなくてもそれっぽく遊べた」場面は多かったのではないでしょうか。今は、そのごまかしが効かなくなっただけです。



「運ゲー」と言えなくなったTCG

昔は、負けた理由を運で片付けることが簡単でした。事故、引き、運負け。こうした言葉で話を終わらせることができました。今も運の要素はありますが、それだけでは説明がつかない場面が増えています。

判断、プラン、ミス。これらが可視化されるようになった結果、負けはより個人的なものになりました。自分の選択が原因である可能性を否定しづらくなったのです。

これは正直、かなり残酷です。だからこそ、今のTCGはしんどいと感じられます。しかし、これはゲームが冷酷になったのではありません。競技として成熟し、曖昧さが減った結果です。



しんどさ=思考量という現実

今のTCGは、考えた分だけ返ってくるゲームです。覚えることは多く、要求される理解度も高い。優しくはありませんが、非常に分かりやすい構造です。

「考えなくてよかった時代」が終わっただけで、ゲームとしての質が下がったわけではありません。むしろ、考えることが好きな人にとっては、これ以上ないほどフェアな環境になっています。



強くなりたいと言いながら、考えたくない人たち

ここからは、少し踏み込んだ話をします。

今のTCGでは「勝ちたい」、「強くなりたい」と思う人ほど、考えることから逃げられなくなっています。デッキは強いものを使いたい。結果も出したい。しかし、環境理解や構築意図の把握、プレイの振り返りはしんどい。これは率直に言ってかなり都合のいい欲望です。

昔はこの矛盾が表に出にくい環境でした。情報が少なく、正解が見えづらかったため「運が悪かった」、「仕方なかった」で話を終わらせることができたからです。今はそうはいきません。勝ち負けの理由が見えやすくなった結果、「考えなかった」という選択の重さが、そのまま結果に表れます。

重要なのは今のTCGが考えたくない人を排除しているわけではないという点です。考えない選択も可能です。ただし、その選択の結果が以前よりもはっきり返ってくるようになった。それだけの話です。

強くなりたいなら考える必要があります。考えたくないなら、無理に強くなる必要はありません。この二つを同時に求めたときに生まれる違和感こそが、「今のTCGはしんどい」という感想の正体なのではないでしょうか。



おわりに

今のTCGがしんどいなら距離を取るのも正解です。遊び方を変えるのもカジュアルに戻るのも間違いではありません。

ただ一つだけ言い切ると「しんどいからダメになった」という評価はかなり甘いです。

今のTCGは、考えるのが好きな人にとって、最高にフェアで、最高に面白い時代です。そしてそれが面白くないと感じるなら、それはゲームではなく、求められている思考量の問題かもしれません。


それでは。

|ω・`) チラ
|彡サッ!


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