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焔雷旋風に光の道が差す

基本的に過剰伝達中にバク転すると死ぬ。


何故なら普通にバク転する感覚で力を込めると平均5回転半回って首から地面に叩きつけられるためだ。検証のために30回くらい死んだから信憑性は高い。

だがちょっと伸びをする程度の力みであれば丁度バク転一回くらいになる、要するに魔法と一緒なのだ。特定のモーションを起こすためのコマンドをあらかじめ記憶しておけば戦闘中であっても行動を違える事はない。緊急時にこそ脱力を、筋肉よりも脳みその脱力こそが違えぬ動きを可能とする!!


「っしゃ部位破壊タイムだ!!」


過剰伝達中の「前進」はつま先で地面を掴むような動き、さらに加速するなら踏み込んだ足で若干前のめりになる動き。曲線のカーブは難易度が高いので除外、加速力を保持したまま角張った軌道修正で距離を詰める。

コンバス野郎の素体(モチーフ)はカメレオンだ、視界アドバンテージは人類とは比較にならないだろうが……さっきから変な動きをするタイミングがあるよなぁ? 当ててやるぜ、お前全身発熱中は視力にデバフが掛かるんだろう。


「レイ氏!!」


「行けます……!」


ヘイト引き付けをサイナに任せつつ、奴の視界が熱でアホになっている内に奴の巨大な尻尾を左右から俺とレイ氏で挟むように立つ。

成る程、近づいてみればこの尻尾が体温低下の役目を果たしているのが分かる。胴体の方が焼肉できそうな熱を発しているというのに、その胴体と繋がっているにも関わらず冷気を放っている……こっちもこっちで斬るのは大変そうだ。


攻撃を担当するのが俺とレイ氏じゃなければ、な。


「……【過剰強化(バーステクストリム)紅日焔(プロミネンス)】!」


「燃えろアラドヴァル!!」


炎を秘めたアラドヴァルが刃に触れた氷結の鱗を溶かしながら傷を刻み、さらにエンチャントが付与された太極の剣が真紅の炎を纏って鱗を叩き割りながら肉を打つ。

残念ながらアラドヴァルは竜特効であって爬虫類特効ではないのでダメージ補正こそ乗らないがこの剣自体の特性としての熱ダメージがある!


「この剣は始源の灼熱の中で生まれたんだぜ」


風邪引いたカメレオンの身体なんざ怖かねぇ!

斬撃を加える度に肉質が柔らかくなっていくのが分かるし、アラドヴァルと太極の剣による熱を浴びた刃が触れる度に冷気が蒸気に変わって視界を白く染める。


「二人ともー! ヘイトがそっちに向いてますよー!!」


「了解!!」


スキル「永劫の眼(クロノスタキサイア)」起動。真界観測眼を超える視覚補正とDEX、TEC、AGIの数値に比例した肉体へのスロー軽減!

スキルの再使用までの時間的に使いづらい(・・・・・)だけであって根本的な発動が出来ないわけじゃねぇ、節約すればいいだけだ。


見慣れた世界、本来なら粘度の高い水の中を進むような感覚を得るものだが過剰な挙動を齎す黒い電光が俺の身体を纏わり付いた時間(みず)の中で強引に加速させる。

左足に力を込めて跳躍、意図的に力の向きを調整した事で天地逆さに尻尾の薙払いを避ける中で多めに力を込めた右手を振り抜けばその手に握った灼熱の剣がさらに斬撃を刻む。


着地、そのままでは慣性のままにすっ転ぶので踏ん張りながら遠ざかっていく尻尾にさらに追撃を……浅い、左から右へ振り回された尻尾をジャンプで回避した事もあって、遠ざかっていく尻尾へ攻撃が届かない。だがスローモーションな世界の中で、ベヒーモスの攻略を経て華奢な身体になったレイ氏が俺の横を通って突き進んでいく。


その手に握っているのは太極の剣ではなく、トゲを生やす事で殺傷力を増した金棒……金棒?

気づけばレイ氏の纏う鎧が変わっている、例の肉々しいものではなく、鬼を象った鎧武者のものへ。いつだったかに見たことがある、確かあれはクターニッドさんの時に使っていたような……


「───」


認識の加速中は周囲の声は殆ど音としてしか認識できない。だから厳密にレイ氏がなんと言ったのかは分からないが、一つだけ言えるのは俺を庇うように前へ出たレイ氏は俺を庇う為ではなく、もっと攻撃的な意図があっての事だ。


金棒に光が灯る。スキルだけじゃない、唱えた何かは恐らく魔法。魔法とスキルの同時使用、やろうと思えば誰でも出来るが少なくとも俺にはできない芸当だ。魔法覚えてないからな……いや違う! インベントリアから出したのは使い捨て魔術媒体(マジックスクロール)……単体による三重強化!!


女性用に作り替えたのか作り直したのか、女鬼武者が振り被った金棒に雷と、炎と、霧が這うように纏わり付く。

尻尾の振り回しってのは基本的に身体を踏ん張って尻尾だけを振るモーションだ、つまりモーションの最後は元あった場所に尻尾が戻る動きとなる。

そして今、レイ氏がいるのはその尻尾が戻ってくる位置だ。大型トラック並の巨体が振り回す尻尾の勢いはモーション終わりの殺意の薄い動きだとしても俺達を軽く吹き飛ばせる。だが、


「───っ!!」


魔法名か、スキル名か、それともただ気合を込めた叫びか。振り下ろされた金棒がこちらに迫る尻尾に激突した瞬間、大質量に対して三つの力が宿った金棒が力を解き放った。

衝撃に反応したカウンター発動、それが三つ。尻尾と金棒とがぶつかった瞬間に爆炎が弾け、さらに続けて稲妻がコンパス野郎ではなくレイ氏の腕の方へと食らいつく。強化系か? レイ氏の押し込む力が増した。

そして最後に炎とほぼ同じタイミング……即ち尻尾と金棒が激突した瞬間、炎と雷と共に纏われていた霧が嵐の如く炸裂する!


爆炎を雷によって増強した膂力と空気の爆発によってさらに激しく燃え上がらせる。それはまさしく綿密に組み合わされた「コンボ」であり、火力を出す事に特化したレイ氏がそれを成したならば。


勝機!!


剛風によってその規模を増した爆炎を雷光で強化した腕で押し込まれた事により、明らかに骨ごとへし折れたコンバス野郎の尻尾にアラドヴァルを突き込む!

ただの突きじゃない、鋭結点睛(えいけつてんせい)から進化したLv.150到達刺突系スキル「光差す輝道シャイニング・スティング」!!


このスキルは極めてシンプルな効果しか持っていない、だがそれ故にこのスキルは最強と言っていい。何故ならば………




「クリティカル倍率が単純に高い」


スローモーションな世界が急速に一倍速へと戻っていく。

白銀の光を浴びて、違わず一直線にコンバス野郎の尻尾を貫いたアラドヴァルの鋒に分厚いゴムのような感触。

そしてそれを食い破り、貫く感覚。


「部位破壊限定素材落とせや」


竜殺しの焔剣は奴の尾を完全に断ち貫いた。



・ヒロインちゃんが使ったコンボ内訳(武器込み)

武器:巨人殺し(ジャイアントキリング)兜砕き(ヘッドクラッシュ)

プレイヤーよりも巨大な身体を持つモンスターに対してダメージに補正が入る。旧大陸で作っていた武器の一つである「脳天強打スカルブレイク」を新大陸の精強なモンスター達の素材でさらに強化した一品。相性とか耐性とかよく分からないけどとりあえず自分よりデカい相手に脳死で振り回す用の武器


来迎衝雷(らいごうしょうらい)

強化スキル、相手の攻撃に対して攻撃を当てた際に五秒間だけSTRに極大補正を付与する。ハイタッチすると相手の手が粉砕される


熱く焦がれ(エクスプロード)し我が昂り(・エンカウント)

攻撃魔法、相手の攻撃に対して攻撃を当てた際に武器の耐久度(素手の場合はHP)を消費して爆発を起こす……が、この爆発は自身にも熱ダメージが発生する。サンラクが使うと爆発の余波で死ぬ(ヒロインちゃんはステータスと装備で耐えてる)


昇天に誘(エンハンストーム)う嵐流(・ランクアップ)

強化魔法、自身に付与されている条件発動型の魔法の威力を飛躍的に高める。今回は爆発の威力(つまり熱量)が上がった事で尻尾の肉質が軟化した。プレイヤーに直撃した場合のダメージ量は大体4サンラク



以上、マッシブダイナマイト直伝「困った時はとりあえず力押しすれば大体なんとかなるのでその為の効率的ダメージコンボ」でした

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― 新着の感想 ―
サンラクの場合VITが1で、防具やアクセサリーによる後付けVITもある程度でしかない状体でHPも100だから4サンラク削り切れるってことでは? 普通のプレイヤーならステータスでVITも振ってるだろうし…
サンラク=HP100、つまりHP400を削れるってことか いや一撃で?対人なら強くね?
「サンラク4人分くらいなら軽く消し飛ぶぞ」ってことでは?
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