黄金を求めて
人権。
リアルで言う方のそれではない、このご時世人権を持ってない人間なんてそうそういやしない。アフリカの奥地にだってアンテナの欠けてないWi-Fiが届く時代だぜ?
ここで言う人権とはゲーム方面での話だ。人権、それはゲームにおいて「持ってない奴はマルチに来るなカス」と罵られる程に強力、あるいは便利なコンテンツを指す言葉だ。
古来、一人ではなく二人、二人ではなく四人、四人ではなくもっと多くの不特定多数と繋がるオンラインが発達する程により良い結果を残すために必須とされるコンテンツ達は生み出されてきた。全盛期程ではないが今でもソシャゲでそういった話は耳に入ってくるがコンシューマであっても例外ではない。
え? ○○持ってないんですか?
××で代用できる? でも○○の方が効率良いですよね?
あ、すいません○○持ってない方は蹴ります
○○持ってない奴は甘え
逆に聞くけど○○ないのになんで来たの?
○○おりゅ?
おお素晴らしきかな人権コンテンツ。人の本質は文明の発達に比例しないことを極めてシンプルに教えてくれる。結局のところより強い棍棒を持ってる猿がイニシアチブを握れるのだ。
「私はっ、人権を手に入れた……っ!!」
その点で言えば、今目の前で感涙する神代製魔力運用ユニットを掲げる猿は今シャンフロをプレイしている全ての鍛治師プレイヤーの一歩先に辿り着いたと言える。
「おー、ついに手に入れたのか」
「ええ! ……あ、おう!」
相変わらず化けの皮が緩すぎる。ボンドか何かで肉に接着した方がいいんじゃねーの?
「長かった……! ひたすらスコアを稼ぎ続け、欲しいもん買いまくったら全部合体してトンボみたいなモンスターになるし……!」
「俺蠍だったわ」
「……蠍、好きなの?」
いや、マブダチだけど別に際立って好きというわけでは………素材的価値としては大好きだけど。
「でももうスコア稼ぎは終わり、買わずとも作れる側に私は立ったのよ!!」
「ロールプレイ、ロールプレイ」
「立ったのだぜ!」
直すのは口調じゃなくて内股の方だと思うよ。
とはいえリヴァイアサンルートで「古匠」を目指す場合、完全制覇の必要があるとはいえ魔力運用ユニットと稼働する遺機装の両方が同時に手に入る。あのクソ不親切な買い物カゴの謎にさえ気づけば……いや、三層での地獄の金策の方が難易度高いな。
「こうしちゃいられない。どうサンラク? 私の個室を古匠用の工房に変える手伝いをしてくれたらなんか作ってあげるわよ?」
いやぶっちゃけビィラックに頼めばいい話だし……と言いたいところだが、ビィラックは最近ハイリスクハイリターンな装備ばかり作る傾向を見せているので毛先の違う鍛治師に恩を売るのも悪くない。
「ていうか工房に変える手伝いって何するんだよ」
「……ええと、その、金策を、ね?」
「……ちょっと待ってろ」
……
…………
おお、いたいた。探したよピーツ君……ハハハ、何故逃げるんだい? 何、流石に何億マーニとか払えません? いやいや毎度毎度有り金全部持ってくわけじゃないんだからさ……で、今いくら持ってる? 全額だよ全額、ほらジャンプして。
…………
……
「9000万マーニあれば足りる?」
「出どころは聞かない事にする」
素材を売って手に入れた清く正しい金だぞ、誰かの涙で湿ってるかもしれないが乾けばただの金だよ。
世界で一番リッチな袋棍棒をイムロンに譲渡、流石に無料プレゼントとはいかないが一億以下ならポケットマネーなので返却は無期限でも問題ない。
「あ、そう言えばオルケストラの……」
スッ(渡しかけた金貨袋を引っ込める)
「すまん、記憶喪失になったわピンポイントで」
「そうか、お大事に」
俺も都合よく記憶喪失になったから今のは無かったことにしてやる。それでこの話はお終いだ。
「あ、そうだイムロン」
「何?」
「ちょっと鉱人族のところに黄金のマグマ取りに行くんだけど勇者武器関連っぽいし一緒に行く?」
「………待って、いきなり重い情報で殴ってこないで。っていうかなんで勇者専用ユニークシナリオの内容知ってるのよ!!?」
へぇ、まぁ何かあるだろうなとは思ってたがやっぱりジョブ専用ユニークみたいなのあるんだ。ペンシルゴンの反応から薄々そんな気はしてたが……あいつには絶対言わん、黙っとこ。
「ちなみにビィラック曰く勇者装備の素材であり極上の鍛治用素材らしいぜ」
「何をボサボサしてるの? たとえそこが世界の果てでも私は辿り着くわよ!」
うーむ、ちょろいぜ。
「あ、あのっ!」
「ん? あぁレイ氏」
振り向けばそこには相変わらずスプラッタ寄りな鎧を身に纏うレイ氏の姿が。まぁここにいるプレイヤーは現状四人だけなので他に話しかけられるとしたら後は秋津茜くらいだしな。
「その、すいません……お話を、聞いてしまって……あの、もしよろしければ……」
「ん? いや全然大歓迎だよ。頼りにしてる」
「っ……はい! その、イムロンさんもよろしくお願いします」
「………」
「あのー……?」
ダメだ、既に新たな素材で何作るかしか考えてない。臨界速でぶっ飛ばすならともかく流石にパーティで攻略して一夜で到達! とはいかないだろう、金がある時に買い集めたアイテムはインベントリアの中に詰め込まれているが念のためもう少し充実させた方がいいかな……
「あ、そうだサンラク、サイガ-0。ちょっとお願いがあるんだけど」
「ん?」
……
…………
………………
と、いうわけで。
イかれたメンバーを紹介するぜ!
まずは俺、背水の陣でバンジージャンプ! サンラク!!(オプションパーツ:サイナ)
次にシャンフロプレイヤー中、最強の暴力装置レイ氏!!
そしてシャンフロプレイヤー中、最高の鍛治師イムロン!!
追加メンバー! 聖杖の所有者、ヒーラーガチ勢火酒夏!!
最後にNPC! 知り合いに会いたいとのことで同行する竜人族のラダー氏!!
「……さらに増えてね?」
「竜人族に関しては私も知らないんだけど?」
「いやー……その、ちょうどのタイミングでちょうどラダーさんの依頼を受けてたと言いますか。あ、よろしくお願いしますツチ……サンラクさん」
NPC除いたら男が俺しか……あ、そうかオルケストラ後から死んでないからガワは女だったわ。じゃあ問題無い……無い? まぁいいや性別より性能だ、姫プしてる余裕もないしな!
では皆さんよろしくて? 出撃しましてよ!!
エムルは親父に呼び出し喰らったのでお留守番です