揺れる水面に己の顔を見た
釣りとは。
父曰く、釣りとは水面を通して魚と、世界と対話する世界で最も高尚な行いである。この時点で胡散臭い。
「…………」
ぱしゃり、と水面が揺れる。
くい、と竿を引けば感触は軽い……チッ、雑魚か。
釣り針に食いついたブルーギルを川に投げ捨て、再び餌をつけて川に竿を振る。
「…………」
父曰く、釣りをしてる最中の水面は感情を映す鏡であるという。その理論で言うと川なので輪郭ブレブレな顔しか映らないのだが……あれ、意外と間違っていないのでは。
ぱしゃり、と水面が揺れる。
くい、と竿を引けば感触は軽い……ええい、雑魚か。
釣り針に食いついたブルーギルを川に投げ捨て、三度餌をつけて川に竿を振る。
「…………」
何故、俺は釣りをしているのだろう。
もうこれで三日三晩釣りゲーをしている。ブルーギルはさっきの個体で二千匹目だ、そろそろここら辺の川は環境破壊され尽くしてるんじゃないのか。
いいや、いいや、理由は分かっている。それは例えば軽率に例のアカウントを除いて手が震えたせいだし、その震えが止まらないのでシャンフロにインできないのが理由だ。
つまり今俺は、恐怖している。
「俺が?」
この川から釣れ続けるブルーギルは俺の現在を暗示している。ブルーギルは外来種だ、爆発的に増えたことで元々の生態系を破壊する……このブルーギルはすなわち「知名度」。俺という川に流入した三千匹の知名度が俺をかき乱している。
では俺は何故釣りをしている? 川釣りモードではごく低確率で釣れる魚がいる。それは元々川にいたもの達……つまり、元来の俺が備えていたもの。俺にとっての鮭とは、鮎とはなんなのか。
「ゲームに、ワクワクする心……!」
そう、それこそが俺の原点。俺のオリジナルでプリミティブな感情。釣竿に手応え、重い!
バシャバシャと水面が激しく飛沫を上げる。わずかに見えた影は大きい、断じてブルーギルではない!!
この釣竿で鯨を一本釣りできるアホゲー「フィッシング・フェスティバル・ファイブ」……恐ろしい事に3からクソゲー化しているにも関わらずファイブまで出ているこの怪物をやり直していた甲斐があったぜ! 父よ、今ここで俺は俺のメンタリティに決着をつける!!
「出でよ俺の鮭───!」
・ブラックバス
「フィーーーーーーーーッシュ!!(ブラックバスを川に蹴り込む)」
ついでに川に飛び込んで感情のままに泳いでいたら偶然近くを泳いでいた毒蛇に噛まれてゲームオーバーになった。は???
我が心、荒れる波風、治まらず(辞世の句)
◇
一つ星は漸く憩うた。
二つ星は無聊の慰めを得た。
三つ星は人々の輝きに六つ星の「厄災」を打ち砕く未来を託した。
四つ星は偽典の人魚が倒れた時点で答えの欠片を得た。
そう、世界と世界をぶつけ合う正典がクリアされた瞬間ではなく。
ミレィが偽典をクリアした時点で、既にワールドシナリオは進行していた。あるいはそれは王国騒乱という形で目に見えているかもしれない、だが目に見えない形で進んでいるものもあった。
世界の進行は七つ星の輝きに連動する、「六つ星」が定められた瞬間を待つ以上……「五つ星」になり得る最強種は二体に絞られた。
未だ到達者が現れぬ極北に眠る狼の夜が目覚める時ではない。ならば、「抜け殻の乙女達」が人と手を組んだ事で動くは尽きる事無き蛇。
そしてなにより……王国騒乱のシナリオ、その壇上に乗り込む二体の「始源」。シャングリラ・フロンティアの世界は既に動き出している。あるいは誰かの思い通りに? それともそうではない?
それを断言できる者は、もうどこにもいないのに。
【旅狼】
鉛筆騎士王:ヘイヘイヘイヘイヘーーイ! いい加減出てきなよ有名配信者様よーーーう!!
鉛筆騎士王:一夜で手の内全部明かしてオルケストラも八割ネタバレさせた配信者さまよーーーう!!
オイカッツォ:煽る煽る
サイガ-0:その動画はどこで見ることができますか
ルスト:ミラーが上がっていたので見たけど凄かった
鉛筆騎士王:いや本当見事でしたねぇ。私なーーんにも聞いてなかったんですけどね!
鉛筆騎士王:お姉さん悲しいよ……
ルスト:アンドロイドはそこまでだけど悪くないと感じた
ルスト:取得条件とか知ってるの?
サイガ-0:その動画はどこで見ることができますか
オイカッツォ:あの刀ってどこ由来? ユニーク?
京極:あ、これかミラー動画って
サイガ-0:京極さんその動画はどこで見ることができますか
京極:随分とがっつくね0さん
サイガ-0:そういうのはいいので
ルスト:むしろ征服人形の武器に興味がある
鉛筆騎士王:全員の着眼点が違いすぎて話題ごっちゃごちゃだねぇ!!
オイカッツォ:で、当の本人は?
サイガ-0:己と向き合ってくる、らしいです
鉛筆騎士王:オフゲーに逃げたなあいつ……
この小説はシャングリラ・フロンティアで合っています(恒例)