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鏡面に響け、摩天より吠えろ 其の十四

いやおかしいだろう。

まず最初に思い浮かんだのはそれだった。先程とは段違いの猛攻を回避しながら高速で思考を巡らせていく。


まずオルケストラ……否、「歌姫」が変わったというのがおかしい。ユニークシナリオってのは多かれ少なかれ納得で終わるものだ、この場合の納得はプレイヤーではなくシナリオの中心人物、今回はオルケストラだ。

その根幹にいるだろうエリーゼがあの顔で消えた、つまり奴は納得していない。ここに来て頭を使わせるとは、おのれ……! もうそろそろハイテンションもピークだぞ。


だがまずは、この短い時間の中で端的に伝えたい事だけを伝える!


「サイナ! お前に勝つために墓の下から本人が蘇ってきたぜ! ただの人形がここまで来たんだ! 思う存分ぶちかませ!!」


「っ………了解。了解しました契約者(マスター)当機(わたし)当機(わたし)自身の自我(アイデンティティ)で……貴女に挑む」


「上等!!」


だったらこっちも貯金箱を叩き割ろう、全開放(フルバースト)だ……素寒貧になるまで殴り合おうぜパチモン野郎!!

先程までの極力手元に武器を温存する戦法を放棄、作曲的にぶん投げていく決戦モードに移行する!!


傑剣への憧刃(デュクスラム)傑剣への憧焉終刃(エスカ=ヴァラッハ)はさっきの段階でぶん投げたから……よし、まだ近くにある。だがすぐには取りにいかない、座標だけ記憶しておくに留めて境光の宝剣(ルーメリディアン)を構える。

対する「サンラク」は……多分勇魚兎月だろう、あれは対モンスターに性能振り切ってるから対人にはあまり向かないと思うのだが。いや違う、アイテムまで完全コピーならばアレ(・・)もあるわけか。


アガトレオ何某の肉片を用いたこの歯車なのか風車なのかよく分からないこのアクセサリーは、前に進む者にしか力を貸さない。ならばこちらも退く道理なし、何度だって凹ませてやるぜオラーっ!!


「テンション倍速だっ!!」


刃の色からしてまだギリギリ夜判定! つまり今の境光の宝剣は斬撃を飛ばすことができる! 作戦立案から実行までの速度を上げろ! くたばれ! 避けられた! 来る、来る、来る、よっしゃ来たァーーっ!!


敵は二刀流、だが一撃の重さはこちらが勝る。二刀流使い視点から見る対二刀流でされて一番ウザいのは射程が届かないギリギリから確実にダメージを蓄積されることだ。故に実践する。

形が若干違えど「サンラク」の振るう武器の基本的な情報は俺の持つオリジナルと同一だ、射程とか能力とかな。つまり剣の届くギリギリのラインも分かる。


その上でこちらにだけある強みを活かす。

どういう理屈か奴は兇嵐帝痕(イデア=ガトレオ)(スペリオル)をコピーできない。つまりこの回転力だけが唯一上位互換たる奴と俺とを差別化できる蜘蛛の糸! 糸登りRTAだ、俺は最速のカンダタになる。


引いて防いで、進んで攻める。

ついに開眼したぞ兇嵐帝痕(イデア=ガトレオ)(スペリオル)を用いた攻防一体のバトルスタイル。互いに少なくない傷を負う真正面からの殴り合いだ、封雷の撃鉄(レビントリガー)(ハザード)はリスキーすぎて使えまい!!


(サンラク)をここまで仕上げたのは誰だと思ってやがる……!!」


一歩下がって袈裟斬りを避け、逆手で振られた刃を赤い夜の刀で受け止める。

ターン奪取、一歩前進して回転を確保、前進する回転によってスキルを使わない機動で奴の背後へと回り込んで突きを放つ。だが「サンラク」は器用に腕を後ろに回して突きの軌道をズラして……くっ、なにが腹立つってちょっと参考になる事だ。

すぐさま二歩後退、余裕の現れなのかゆっくりとこちらへと振り向いた「サンラク」と再び対面に相対する。


『…………』


「…………」


さて厄介だ。さっきより強い(・・・・・・・)……いや違うな、バトルスタイルが固まってる。さっきまではサイナというイレギュラーが入り込んだ事で初期のガンメタが崩れた中途半端なバトルスタイルだったが、今はガンメタこそしてこないがこちらの攻撃への対処が段違いだ。なんていうかな……やたら強いCPU、そうやたら強いCPUだ。学習するタイプのやつ。


「さて……………さて、」


強いんだよなぁ……いやマジで、追い詰めて「歌姫(エルマ)」の注意を削ぐって戦法の難易度が爆上がりしている。防御性能がアホほど高いんだよ、マジでどうする?大火力で防御ごと()く?

煌蠍の籠手は一発勝負だと使い所が限定されすぎる。

冥王の鏡盾はほぼ無意味、だって俺も「俺」も物理型だから。

となればやはり百足式、ほぼノーリスクでの強化を可能とするナイスガイ百足式8-0.5さんしかあるまい。でもハルバード系のスキル全く覚えてないんだよなぁ……火力が、ただでさえ足りない火力がさらに足りない。


何よりのネックは多分何時間もぶっ通しで戦うのは無理ってことだ。うだうだやってるとエルマに世界の主導権を奪取されるしこれが一番の理由だが………リアル方面がね。


「それに………」


まだオルケストラの秘密は明かされていない、オルケストラは少なくとも「神代以前人類」の意思が宿っているのは確かだがそうなるとエリーゼ・ジッタードールが説明できない、何故所有者ではない奴が記録されている? 音楽ファイルが残っていたからで片付けていいのか?


「いや、待て」


あるいは………いや、そういう事なのか? クソッ、キョージュ辺りに電話してぇ。エリーゼ・ジッタードールは出現しているのではなく、あれは………おっと、対刃剣を合体させた「サンラク」さんが一気に加速して……げ、帯電してる。


「つぉぉああっ!!?」


あ、危ねえーーーっ!! あれ触れたらアウトな奴だろ、よく避けた俺! よく避けた俺! そしてターン奪取! 細かい事は片手間以下で考えるしかねぇ!!

今こそライブラリから寄付されたへそくり(・・・・)を解放する時!! いや回復アイテムの方はすでに使いまくってるけど!!

先程までの戦闘で自分を不利にする事で世界の陣取り合戦を有利にしてくることを学習したので防御型になった

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― 新着の感想 ―
「作曲的にぶん投げていく決戦モードに移行する!!」・・・状況的に積極的を誤字ったのか 対オルケストラ戦だからあえてこうしたのか悩む~
めっちゃアニメや漫画でも見たい欲が高まる所だな相変わらず(褒め言葉)
これはコミックにせよアニメにせよ作画カロリーが高過ぎること間違い無し…!
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