経済規模が凋落しても、移民は増える
移民の動向については、先述したIMFの推計と同様に、国際連合による世界各国の二国間の移住データをもとに、二国間の経済格差、総人口、二国間の距離、国境の隣接の有無、言語の共通性、旧宗主国・植民地関係の有無を説明変数とするモデルを構築している。
その結果、移民の送り出し圧力全般は、一人当たりGDPが約2000米ドルになるまで上昇するものの、その後、低下する。これは先述したIMFの推計結果とほぼ同じである。また、所得水準と並んで最も大きな影響を及ぼすのが、二国間の国境の隣接、旧宗主国・植民地関係の有無であった。それに比して、目的国の経済水準は相対的に緩やかな影響しかもたないことも示された。
日本に関する結果を見ると、日本は急激な人口減少を経験するにもかかわらず、AIによる生産性の上昇と移民流入が続き、低水準ながらも経済成長を続けるとの結果を得ている。経済規模では、2000年には米国に次ぐ世界第2位の経済規模であったものの、2024年には米国、中国、ドイツについて4位となり、2050年には米国、中国、インド、ドイツ、英国に次いで第6位、そして2075年にはインドネシア(5位)、メキシコ(7位)、及びブラジル(8位)などにも抜かれ、第11位となると予測されている。一人当たりGDPではさらにその相対的な地位の低下は著しく、2000年に米国に次ぐ世界第2位であった順位が2075年には45位まで低下する。
しかしながら、日本の移民の動向については、これだけの経済的地位の低下とは裏腹に、日本は今後も24万人/年程度、世界で見ると第5位の規模の移民(外国人)の純流入が続くとされる。
外国人人口が2割弱になる未来も
その結果、在留外国人人口は2050年にはほぼ1000万人に達し、2075年には約1600万人に達する。日本の総人口は2060年代には1億人を割り込むと予測されているため、外国人人口割合で見ると2050年には10%を超え、2075年には約16%程度にまで達すると見込まれているのである。
このように、日本経済の先行きが急激な人口減少によって厳しいものになると予測される一方で、移民の流入はむしろ拡大することが見込まれるというのは非常に興味深い結果である。また、それにより経済成長が下支えされ、日本経済の縮小が避けられる効果もある。この24万人/年という結果は、JICA推計によって示された29万人/年とも極めて近いことも指摘しておきたい。つまり、日本が今後、人口減少により経済規模が縮小すれば、外国人に「目指されない国」になるという仮想シナリオは間違いなのである。