「ベトナム移民の9割が日本に向かう」推計も…経済が弱り、日本人が減る国が迎える"2040年の現実"
■日本への移民はますます増える こうした結果を踏まえ、来日する外国人労働者数の推計を行ったところ、新型コロナ禍前の2019年に42万人/年であった外国人労働者の年間受け入れ数は、今後、堅調に増加し続け、2040年には93万人/年にまで増加するとの結果が得られた。 また、この値は総受け入れ数であるため、そこから毎年の帰国者を除くと29万人/年の受け入れ数となる。なお、帰国者数は日本での滞在パターン、つまり定住化の傾向によっても変化することから、JICA推計では一人一人の滞在期間が推計時点での実績値よりも長期化した場合についても、別にシナリオを設定して推計したところ、42万人/年との結果であった。 さらにJICA同推計では、年間の流入数の推計をもとに「日本の将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所2017)に沿った形で、将来の外国人労働者のストック人口の推計を行っている。その結果、2020年時点で205万人であった外国人労働者数は2030年に342万人、2040年に591万人になるとの結果を得た。さらに滞在期間が長期化した場合、2030年には387万人、2040年には748万人に達する。 このようにIMFのモデルを参考にして、アジアから日本への労働移住についてより具体的な分析を行ったJICA推計においても、世界全体に対して分析を行ったIMFと同様の傾向が得られた。つまり、日本がもはや「選ばれない国」であり、今後、外国人労働者が来なくなるといった主張は単なる印象論に過ぎないことを示しているのである。 ■経済格差の縮小が与える影響 上記の通り、JICA推計はIMFのモデルを日本と日本に多くの労働者を送り出すアジア諸国を対象に精緻化したものであるが、日本経済の今後については極めてシンプルな仮定しかしていない。 「意欲-潜在能力モデル」においても、送り出し国と目的国の経済格差の縮小は移住圧力の低下に結びつくものではないことを前提とするものの、あくまでも受け入れ国の経済的優位性が保たれることを仮定した結論であった。そのため、これらの推計やモデルが日本に本当に妥当するかを検証するためには、急激な人口減少に見舞われる日本経済がどうなるのかを問う必要がある。 日本と世界経済の将来について見通したのが、日本経済研究センターが2025年3月に公表した「日本経済、及び世界経済に関する長期予測」である。日本経済研究センターは、学界、官界、産業界から幅広く出向者を受け入れ、内外の財政・金融・経済・産業・経営などの諸問題について調査・研究をしている。1970年代以降、数年おきに長期経済予測を実施しており、独自のマクロ計量モデルに基づいて日本と世界の50年後の経済を予測している。 2025年3月公表版では、日本を含む世界83カ国・地域を対象としており、GDPと人口を同時に予測している。とりわけ、この予測では経済に影響を与える要素として、出生率と移民の予測モデルを構築している他、現行技術の延長線上にある生成AIの普及が経済に与える影響も考慮している点が新しい。