『裁判官はなぜ葬られたか』で私が告発した弾劾裁判の内実 岡口基一[元裁判官]
●はじめに 2024年、「弾劾裁判」によって裁判官を罷免され、法曹資格も失った元裁判官・岡口基一さんにお会いしてインタビューした。2021年10月号に本誌は「岡口判事『弾劾裁判』は三権分立を危機に陥れる」という座談会を掲載した。鴨志田祐美弁護士らとともに岡口さん本人も座談会に出席しているのだが、それはオンラインで行われたので、お会いするのは今回が初めてだ。 岡口さんはこの10月、講談社から『裁判官はなぜ葬られたか』を出版した。帯に「各社から出版拒否された問題の書、ついに発売」とうたっている。複数の出版社で最終的に「やはりこの本は出せない」とされた経緯も興味深いのだが、それは岡口さんの一連の事態への評価にも関わるものだろう。 弾劾裁判によって罷免されるという岡口さんの異例の経緯をどう考えるかは、意見の分かれるところだろう。当初、出版を約束しながら最終的に出せないと判断した出版社が複数あることでも、それがいかに微妙な問題であるかがわかる。 その異例の弾劾裁判の経緯や問題点を、自身の体験としてわかりやすく書いたのが『裁判官はなぜ葬られたか』だ。弾劾裁判というのは、国会議員が裁判官を裁くもので、これが悪用されると、政治による司法権への介入という、憲法に関わる事態を招く。 そういう根本原理に関わる問題だけでなく、例えば今回の本でも暴露されているが、弾劾裁判の期日に国会議員がたびたび欠席したり、出席しても居眠りする議員が多かったりという現実もある。 そもそも一連の問題は、岡口さんが現役裁判官時代に、ツイッターに投稿して、事件の被害者遺族と対立したことから大きくなった。現役裁判官がSNSに投稿すること自体が少ないし、岡口さんの場合は、以前にツイッターにアップした白ブリーフ姿の写真が問題になるなど、本筋以外のところでも物議をかもした。従来の裁判官のイメージと異なることが反発を招いたのだろうが、裁判官の市民的自由をどう考えるかという問題も問われたのだった。 岡口さんが以前から主張し、今回の著書で提起した内容には大事な問題が含まれており、裁判官のあり方についても一石を投じたといえる。マスコミ報道のあり方にも岡口さんは激しい批判を展開している。今回はそうしたことも含めて話を聞いた。(篠田博之)