中国で結婚式当日に花嫁が飛び降り自殺 両親から結婚を強要され抵抗 SNSに「ご祝儀はお返しします」

中島恵
ジャーナリスト
写真:ロイター/アフロ

中国・河南省のある町で、結婚式当日に花嫁が飛び降り自殺し、中国のSNSで大きな話題になっている。花嫁は28歳の高校の歴史教師で、両親や親戚から長年にわたって結婚を強要され、苦しんでいたことが、死後に明らかになった。SNSでは「あまりに気の毒」「かわいそう」など同情の声が多い。

両親に抵抗しきれなかった

中国メディアの報道によると、事件が発生したのは12月10日午前、結婚後の新居となるマンションで、花嫁が「着替えをするから」といって全員を部屋の外に出して、内側から鍵をかけた。その後、ウィーチャットのモーメンツに「遺言」を残して、飛び降り自殺した。

「遺言」には、花嫁が大学時代から数えて11年間、両親や親戚から頻繁に結婚話を持ち出され、強要され、そのことに苦しんできた苦悩が綴られていた。

中国メディアによると、SNSには「(両親にとって娘である)私の最大の価値は『結婚』することだった。私は大学時代から合わせて11年、抵抗し続けた。でも、私は失敗してしまった。ケンカし、騒ぎ、狂い……でも抵抗しきれなかった。だから、仕方なく見合い結婚をした。私は人生最大の任務を遂行した」

「死をちらつかせて結婚を強要する両親、私を親不幸者だとののしる親戚たち。ひたすら私に我慢することを強いる両親は、本当にお似合いの夫婦だ」とその詳細が載っている。

花嫁は式の前日、ウィーチャットに「(いただいた)ご祝儀はできるだけ早く、お一人おひとりにお返しします」と書いていたが、両親が「もらった結納金を返したくない」とそれに同意しなかったため、式は予定通りに行われることになった。そして、ついに悲劇は起きた。

花嫁はSNSに自分の銀行口座と返金のための番号を記載、飛び降りるマンションの1階の住人に迷惑をかけることの謝罪や、死を目前にした恐怖も書き込んでいた。両親は「すでに嫁がせた娘だから遺体は引き取らない」と拒否している。

中国では伝統的に子どもの結婚や出産を強く望み、子どもの人生に干渉する両親が多く、とくに地方や農村では、その傾向が強い。しかし、高学歴な子どもや都市部に転居した子どもは、その価値観に抵抗することが増えており、若者の非婚化が進んでいる。

中国政府の統計によると、2024年の婚姻数は約610万6000組と、前年比2割減少、1985年以降、最少を記録した。結婚にかかる費用の増大や、若者の価値観、家族観の変化などが背景にあるといわれている。

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なかじまけい ジャーナリスト。著書は最新刊から順に「日本のなかの中国」「中国人が日本を買う理由」「いま中国人は中国をこう見る」(日経プレミア)、「中国人のお金の使い道」(PHP新書)、「中国人は見ている。」「日本の『中国人』社会」「なぜ中国人は財布を持たないのか」「中国人の誤解 日本人の誤解」「中国人エリートは日本人をこう見る」(以上、日経プレミア)、「なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?」「中国人エリートは日本をめざす」(以上、中央公論新社)、「『爆買い』後、彼らはどこに向かうのか」「中国人富裕層はなぜ『日本の老舗』が好きなのか」(以上、プレジデント社)など多数。主に中国を取材。

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