福島県南相馬市原町区信田沢の栃窪層(ジュラ紀後期、約1億6千万年前)で発見された植物化石が新属・新種であることが分かった。22日、日本古生物学会の英文誌で論文が発表された。茎に葉や生殖器官が付いた状態の極めて貴重な化石で、今まで不明だった絶滅植物の姿が正確に分かる標本として注目を集めている。
南相馬市博物館によると、中生代のみに存在したべネチテス類という裸子植物の仲間で、論文を執筆したミュージアムパーク茨城県自然博物館の滝本秀夫さんが「オーハニエラ・タイロフォリア」と名付けた。
市博物館収集展示委員を務めるアマチュア化石研究家の平宗雄さん(69)=南相馬市鹿島区=が、2010(平成22)年12月ごろに採集した。翌年の東日本大震災の津波で自宅が被災。保管していた化石も流され行方不明になったが、自宅から約300メートル離れた田んぼで平さんが見つけ出し、滝本さんに調査を依頼していた。その後、2023(令和5)年夏にも分類作業を補う化石を採集し、滝本さんに提供した。
これまで葉の部分のみ見つかった例はあったが、平さんが2010年に採集した化石は枝分かれした茎の先端に葉が付いた状態だった。長さ50センチほど。生殖器官である雌花も付いていた。葉が枝や茎にどのように付いているかが不明だったため、植物全体の姿が分かったとして滝本さんが新属・新種として発表した。
平さんは、2022年4月に発表されたべネチテス類の別の新属・新種「キムリエラ・デシンフォリア」の化石を、当時所属していた相馬中村層群研究会の仲間とともに栃窪層から発見している。平さんは「こんな完璧な形の化石は初めてだった。南相馬は日本を代表する化石の産地であることを、世界に発信できる」と喜んでいる。
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南相馬市博物館は26日から来年3月22日まで、「オーハニエラ・タイロフォリア」の標本化石2種類を特別公開する。問い合わせは同館へ。