講義No.15431
人間の駆け引きを解き明かす! ゲーム理論が導く経済学の新時代
駆け引きを数学で分析する
- 経済活動の根底には人と人との駆け引きがあります。例えば、「売り手は高く売りたく、買い手は安く買いたい」また「企業は従業員に安い給料で一生懸命働いてほしく、従業員は高い給料で楽に働きたい」と考えます。このような複雑な駆け引きを数学的に分析する分野が「ゲーム理論」です。従来の経済学は人間を利己的で合理的なロボットのように扱ってきましたが、実際の人間には感情があります。ゲーム理論は、こうした人間の感情を含めて社会現象を解明する新しい経済学の手法です。数学的手法により人間行動の予測・分析が可能になることが、この分野の特徴です。
実験で見えた人間の本当の姿
- ゲーム理論では、実際の人間行動を実験で検証しています。その一例が「独裁者ゲーム」で、1,000円をもらった人が見知らぬ相手にいくら分け与えるのか、というものです。経済理論では、人間は利己的なので全額自分のものにすると予測されます。ところが実際の実験では、平均して2割程度を相手に渡すのです。さらに注目すべきは、人に見られている状況ではより多く分け与えることです。これは利他的な気持ちなのでしょうか、良い人だと思われたい自己イメージのためなのでしょうか。実験条件を変えながら、人間の心理を解明しています。
より良い社会制度を設計する
- このような実験で得られた知見は、社会制度の設計にも応用されています。契約理論という分野では、企業が従業員をどう評価すべきかが分析されています。具体的な研究例として、絶対評価と相対評価のどちらが効果的かを実験すると、相対評価では足の引っ張り合いが起こり、理論通りには機能しないことが実証されました。こうした発見を理論に反映させて、企業と従業員の両方が満足できる報酬制度の設計に生かされることが期待されています。「ゲーム理論」と「行動経済学」を組み合わせた研究は、不当な労働条件を科学的に立証し、社会全体をより公正で効率的にする制度設計にもつながるのです。
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SDGs
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先生情報/大学情報

京都先端科学大学
経済経営学部 経済学科 准教授
難波 敏彦 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
- ミクロ経済学、ゲーム理論、契約理論
先生がめざすSDGs
メッセージ
- 日常生活で感じる「なぜ?」には、数学で解ける仕組みが隠れています。ゲーム理論という分野は、人の駆け引きも数学で分析します。実験で人にゲームをしてもらうと、理論とは違う意外な結果が出ることもありますが、複雑な問題も大きな目標から逆算して一歩ずつ手前に問題を持ってくれば解決できます。論理的思考と経済学の発見を組み合わせることで、より公平な社会制度を作ることができるのです。数学好きなら、きっと経済学の魅力を感じられるはずです。
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?先輩たちはどんな仕事に携わっているの?
先生の学問へのきっかけは?
きっかけは、大学4年生の頃に自分で勉強を始めた“ゲーム理論”です。ゲーム理論とは、駆け引きを理論的に分析するための数学ですが、数学で社会や人間関係を分析するということに興味をもちました。現在は、ゲーム理論を土台にしつつ、そこに実験やコンピュータシミュレーションを取り入れて研究を続けています。
先輩たちはどんな仕事に携わっているの?
製造会社・営業/IT・システムエンジニア/公務員
- 参考資料
大学情報
京都先端科学大学に関心を持ったあなたは
- 本学は世界で活躍する「人財」を育てる5学部10学科の総合大学です。経済経営学部、人文学部、バイオ環境学部、健康医療学部、工学部、それぞれの学部でグローバル化する現代社会を生き抜く「未来を生み出すチカラ」を身につける教育を展開。専門性に加えて、多くの留学生が学ぶ「国際性が日常のキャンパス」で実践的な英語力を磨くとともに、多様性に適応するコミュニケーション能力、デジタル化に対処できるデジタルリテラシーを高めて、激動する社会に向かって自らを築き、世界レベルで活躍できる人材の輩出を目指しています。











