【日本市況】金利上昇止まらず、口先介入でも強い円先安観-株式続伸

22日の日本市場は債券が大幅下落し、長期金利は一時2.1%と約27年ぶりの高水準を付けた。前週末の米国長期金利が上昇したことに加え、為替の円安進行で日本銀行の早期の追加利上げにつながるとの警戒感から売り圧力が強まった。

  新発10年債利回りは一時8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い2.1%と、1999年2月以来の高水準を更新した。

  三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「日銀利上げの遅れが意識され、『ビハインド・ザ・カーブ』を意識した動きが進んで売られた」と指摘。財政懸念も加わり、売り圧力がかかっている面もあると述べた。

  日銀の植田和男総裁は政策金利の引き上げを決めた19日の金融政策決定会合後の会見で、利上げ路線を継続する姿勢を明確にした一方、中立金利について踏み込んだ見解は示さなかった。

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国内債券・為替・株式相場の動き-午後3時30分現在
  • 長期国債先物3月物の終値は前週末比45銭安の132円40銭
    • 一時64銭安の132円21銭まで下げる
  • 新発10年債利回りは5.5bp高い2.075%
    • 一時2.1%まで上昇
  • 円は対ドルでニューヨーク終値比0.2%高の157円37銭
  • 東証株価指数(TOPIX)の終値は前週末比0.6%高の3405.17
  • 日経平均株価は1.8%高の5万0402円39銭
    • 日経平均は一時1083円(2.2%)高まで上げ拡大

債券

  債券相場は下落し、長期金利は1999年2月以来の高水準を記録。各年限で歴史的レベルの更新が相次ぎ、新発2年国債利回りは1.12%と1996年以来、新発5年債は1.535%と2008年以来、新発20年債利回りは一時3.025%と99年以来の高水準を付けた。

  岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「長期金利を中心に金利上昇のスピードが速いため、なかなか買いを入れられない」と言う。今週末には来年度予算案が出て、国債発行計画も公表される予定であり、「そこまで買いは入れづらく、金利上昇が止まらない可能性がある」との見方を示した。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「植田総裁の会見では強い利上げ示唆はなかったものの、為替市場で円安がかなり進んで利上げ時期を近づけるとの観測が高まっており、金利上昇要因になる」と指摘した。

新発国債利回り(午後3時時点)

2年債5年債10年債20年債30年債40年債
1.120%1.535%2.075%3.000%3.430%不成立
前週末比+3.0bp+5.0bp+5.5bp+3.0bp+1.5bp

為替

  外国為替市場の円相場は対ドルで157円台前半で推移。仲値を通過し、買い戻しの動きも見られたが、市場では前週末の日銀の金融政策決定会合を受け利上げ継続への期待が後退した一方、インフレ進行の中で高市政権の財政拡大に対する懸念もあり、円の先安観は根強い。

  あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、ドル・円は「投機筋の動きが主因で157円台後半まで上昇した後、上値が重くなっている」と指摘。「ここからさらに買っていく材料はない。介入警戒感も出ているので円売りがいったん収まった形だ」と話した。もっとも、円を買い進める材料もなく、ドル・円は高値圏もみ合いで推移しそうだと予想している。

  三村淳財務官は22日朝、財務省内で記者団に対し「足元市場の動きは一方向で急激な動き」と言及し、「行き過ぎた動きには適切に対応を取る」と市場をけん制した。ただし、円相場が大きく反発する展開には至っていない。

関連記事:三村財務官、足元の動きは一方的、行きすぎた動きには適切に対応-為替

  オーストラリア・ニュージーランド銀行で外国為替・コモディティー営業部ディレクターを務めるヨム・グルム氏は、当局の口先介入の分析がかなり進んでいるとし、「今回の三村氏の発言に切迫感はなく、円高を促す意図も感じられなかった」と見ていた。

株式

  株式は続伸し、日経平均の上げ幅は一時1000円を超えた。人工知能(AI)関連分野での過剰投資への懸念から軟調だった米ハイテク株が先週後半から反発したことで投資家心理が改善。為替の円安傾向も安心感につながり、ソフトバンクグループやキオクシアホールディングス、フジクラなど半導体・AI株中心に高い。

  インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは「円安方向の流れで、輸出関連株にはポジティブな動きが出ている」と指摘。AIについては「将来的に需要拡大が見込める分野。日本企業が共同で取り組む姿勢も示され、新たな好材料になった」との見方も示した。

  21日の読売新聞は、官民による総額3兆円規模の国産AI開発計画の全容が判明し、ソフトバンクなどの日本企業十数社が出資し、新会社を設立すると報じた。

  東証33業種は非鉄金属や電機、機械、輸送用機器など輸出セクターが上げ、金利高が収益にプラスになる銀行も堅調。半面、陸運や小売り、食料品など内需セクターは下げた。個別では、創業者の永守重信氏がグローバルグループ代表や代表取締役を辞任したニデック、モルガン・スタンレーMUFG証券が投資判断を上げたKOKUSAI ELECTRICが高い。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

    — 取材協力 Aya Wagatsuma