立憲民主党の岡田克也元外相は21日のNHK番組で、台湾有事に関する高市早苗首相の国会答弁を巡り、「国民感情をしっかりコントロールしていかないと」と述べた。番組には、与野党の安全保障政策担当者が出演した。
岡田氏は、非国会議員である日本保守党の有本香事務総長の発言に反応し、「国民感情のコントロール」に言及した。
有本氏は、首相の答弁を「問題ない」と評価した一方、中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事による「汚い首を斬ってやる」などとするSNSでの反応を「さらに問題だ」と指摘した。
岡田氏は日中友好議連副会長
続けて有本氏は、「政界の中では、いまだに日中が協力して友好ムードをつくっていけばいいのではないかという考えがあるようだ」として、岡田氏が副会長を務める日中友好議員連盟に触れた。「国際社会では、例えば米国では国防総省が、この議連は中国が日本の世論や政策を中国側に有利に動かすための機関だというふうに報告している」と説明し、「こうしたことも含め、中国に対する認識を大きく変える必要がある」と語った。
中国当局は1972年の日中国交樹立の直後から、日中友好議連を他の友好組織と合わせて「中日友好七団体」と呼び、特別に重視してきた。米ワシントンの研究機関「ジェームスタウン財団」が2019年6月に発表した「日本での中国共産党の影響力作戦の調査」と題する報告書は、それら友好団体が中国共産党の統一戦線工作部などの工作対象だ、としていた。
有本氏の意見に対し、岡田氏は「侮辱だと思う」と反発した。首相の答弁を巡り「一部の国民の中には『よく言った』と、中国に対して厳しく言ったということで評価している人たちもいる」と述べ、「そういう国民感情をしっかりとこうコントロールしていかないと」と訴えた。
小野寺氏「中国側が一方的に」
「日中双方そうだが、今のところ国民レベルで落ち着いていると思う。かつては大使館が取り囲まれてペットボトルが投げ込まれるとか、工場や店舗が焼き討ちに遭うということもあった。そういうことは今のところ起こっていない」とも話した。そのうえで、「日中双方に国民感情がコントロールできないような状態を作り出さないように、政治の責任でしっかりやっていかなきゃいけない。あおる、という行為は、絶対にしてはいけない」と強調した。
自民党の小野寺五典元防衛相は「私どもはあおっていない。首相は、岡田さんの国会の質問で具体的な事例を言われて、答えた。それが今回、こういう大きな問題になった」と岡田氏の質問に言及した。「日本側からすると、国会で普通のやりとりをしている中で、中国がああいう発言をし、国際社会に日本のことをかなり悪く触れ回り、レーダー照射の事案を起こした。私どもが何かをしているわけではなく、完全に中国側が一方的にやっていることに冷静に対応していると受け止めてほしい」と述べた。
岡田氏は「私は政府や自民党があおっているとは言っていない」と反論した。