内閣府は23日、太平洋戦争中の昭和19年8月に鹿児島県・悪石島沖で米軍に撃沈された学童疎開船「対馬丸」に関し、海底を調査した結果、船体を確認したと発表した。付近の木片や土砂も収集しており、今後分析を進める。学童を含め1500人近くが犠牲になっており、政府は遺品回収や戦争の記憶継承につなげたい考えだ。
調査は11月27日から12月18日に実施。カメラやロボットアームを搭載した無人探査機を調査母船から水中に降ろして観察した。水深約870メートルで船体を確認し、右舷船首近くには「対馬丸」と書かれた船名も残っていた。詳しい分析結果は改めて公表するとしている。
平成9年の調査でも船体を確認したが、技術的な理由で引き揚げを断念した。遺族や生存者の要望を受け、政府は令和6年に船体の撮影や遺品回収を目指して再調査を決めた。当初、撃沈から81年となる今年8月までの調査実施を目指したが、悪天候が続いたため先送りとなっていた。