いきなりテンションブチ上げてウナギを乱獲して爆破させると巨大な墓標を振り回して変なポーズの残像を出して銃を乱射し、素手スタンガンしてウナギを投げて高笑う鮭
ひでーサブタイだ……
百足式の超過機構「賦活醒」は至ってシンプルだ、MPをアホほど消費してアホほど強化する。純魔法職のステータスでも五分も保たない驚きの高燃費、だがその恩恵で得られる補正はただ起動するだけ、という超過機構でありながら超排撃や吸転換に匹敵する力を秘めている。
ジークヴルム戦では月光さえあればほぼ無尽蔵にMPを回復し続ける防具というバグ技じみたシナジーで長時間戦闘を実現させていたが今の俺ではどうあがいても刻傷のデメリットというリミットがある。
だがそこはどうでもよかったりする、俺の現在MPを全消費して恐らく3〜5秒稼げれば十分、そして賦活醒の機能停止から体内の「毒」が抜けるまで大体1秒ちょい。
つまり最低5秒は戦えるわけだ、むしろ俺の補正なしステータスで5秒も貰っていいのかと思わなくもない。
「っしゃあ! パズルゲーみたいに連鎖しやがれ魚類どもがぁ!!」
「いやツチノコさんも頭魚類じゃん」
「あれが噂の超兵器……」
「生産職が発狂したっていうアレか」
ビィラックもびっくりな性能らしいんでな、時間が押してるからちゃっちゃと片付ける!!
「いくぜ爆釣! 端から端まで刺身にしてやるよ!!」
魚類の感情は分からない、のでどういう心理でこいつらが突っ込んできているのかは分からないが悲喜交交にせよやることに変わりはないし、こいつらの運命も刺身一択だ。
「ふんっ!!」
展開した斧槍としての「鉤」を爆泳魚に引っかけ、そのまま引き裂くように振り回して後続の他個体達に叩きつける。
スキル起動、一匹でも多く巻き込むために離れた場所にいた個体も「槍」で突き刺し、「斧」で打ち据え、射程圏内へと叩き込んでいけば……はい一丁上がり。
「残り二秒!!」
端から端まで撫で斬りだぁっ!!
タイムオーバー、百足式8-0.5のギミックが閉じる事でハルバードとしての機能もまた消失。毒気の抜けた身体の感覚をすぐさま整えつつ……キルスコア20は超えてたな、悪くない。
「ウェイトこそがパワー」
聖杯の力でSTRが飛び抜けた数値になっているからこそ、このキル数でも振るうことが出来る!
別離なく死を想ふを担いでダッシュ、馬鹿でかい墓標の如き剣を担いでダッシュする俺の姿にギョッとした前衛達が開けたスペースを駆け抜けて……
「食らえ粉砕骨折斬り!!」
「痛そう」
メゴォッ!!! と肉にめり込む感触が剣から腕に伝わり、そしてベヒーモスに響く竹熊のケツが三つに割れる激痛による怒りとも悲しみとも違う絶叫。
だが奴とて捕食者、強き獣だ。すぐさま背後へと身体を向け、その動きのままに肩から飛び出した竹を射出する。
「対Mobだとこれがまぁ効くこと効くこと」
致命秘奥【ウツロウミカガミ】、確実に相手を引きつけるヘイト付きのデコイは敵のあらゆる行動がチャンスに繋がる始動へと変わる。
このスキル、起動した時点でのプレイヤーがしているポーズをそのままデコイとしてその場に残すため、非常口のピクトグラムあるいはエジプトの壁画みたいなポーズの薄ぼんやりとした幻影にブチ切れる竹熊の姿はどこか滑稽でもある。何せ幻影から少し離れたところでフルスイングの構えを取る俺がいるわけだからな。
普段はR.I.P.との併用で膂力への補正を高めまくっての運用だが、突貫工事で振り回している別離なく死を想ふは見た目通りの重量感が負荷として全身にのしかかってるが……まぁ別に大剣とか使えないわけじゃないしな俺、はい足腰踏ん張って上から下への斬り下ろし。
脇腹に突き刺さる重い一撃に竹熊が再び悶え苦しむ。ここで追加の攻撃をさらに叩き込めれば御の字なのだが、生憎今の別離なく死を想ふは連続で攻撃に繋げられるほど軽くない。ではどうすればいいのか? 手を離して装備欄を空ければいい。
取り出した大口径のリボルバーで狙う先は竹熊の頭部だ。
「食らえ目潰し」
俺はまだアグアカーテ君の性能を信じたい、せめて目潰しくらいにはなるんじゃないかと竹熊の顔面に数発叩き込んでみたが……まぁ、うん。砂利投げた方が効果的なんじゃないかという冷静な思考は考えなかったことにする。
「じゃあこっち」
晴天流「貫雷」、武器を装備している状態でも片手が「素手」で空いてさえいれば使用可能という中々にイかれた条件の格闘スキル。
最終到達があの魔法みたいなスキルなのでこれくらい当たり前なのかもしれないが、やはり晴天流はどこかおかしい……というより違うルールで生きている感じがある。
テキストを読む限り、増幅された生体電流を貫手で相手に流し込むことで貫通ダメージを与えるというやっぱり魔法みたいなスキルだが、貫手とは即ちイアイフィスト流の基本動作。ある意味これこそが最も俺に適合した晴天流かもしれない……ハイここで対モンスター用イアイフィスト流奥義「軟骨ブレイク」with 晴天流!!
熊型モンスターなんてナマモノからゾンビ、ロボまで対戦経験があり過ぎるので大体の関節位置は把握している。肩関節に抉り込むように貫手を叩き込み、着弾の瞬間に手から放たれた雷撃が竹熊の身体を貫いて向こう側へと飛んでいく。
不幸にも向かい側にいたプレイヤーが竹熊を貫通した雷撃に当たってしまったが……あ、よかったダメージ判定なかったらしい。じゃあ気を取り直して
「さらに追加だ、味覚じゃなくて触覚で味わえ!!」
晴天流「螺雲」、STRを参照して掴んだ相手を螺旋運動をつけて地面に叩きつける投げ技スキル……だが掴んだのは竹熊じゃない、こちらに飛び込んできた爆泳魚だ。
恐らく本体はヌメついているのだろうが、地中や地上をメインに活動するこいつらは体表を土や枯れ葉で覆っている……つまり投げる事に関しては支障がない!!
ぐみゅ、となんとも言えない弾力を毟り取らんばかりに握りしめてそのまま片手で竹熊の方へと投げ飛ばす。いくらウナギでトカゲな生物であっても……否、魚類で爬虫類な生物だからこそ頭蓋と脳へのダメージは有効打足り得る!!
電動ドライバーにセットされた螺子を思わせる動きで竹熊の背中にぶつかった爆泳魚が接触に反応してオートで生える竹槍に串刺しにされる。だが爆泳魚が死に瀕した時に行うモーションはただ一つ。
「かぎやー!! ハハハハハ、いいね盛り上がってきた!!!」
「サンラク君サンラク君」
「ん?」
なんですか磐斎氏。
「他のアタッカーが全員引いてる」
「えっ」
未知の情報と気持ち悪い動きと高すぎるテンション