「象牙」さんは飼育がお好き
「何その武器!?」
「リヴァイアサン五層でライセンス取って四層で作れるボス武器的なもの」
「え、強い……?」
「多分強い、ただし使い捨て弾倉は別料金」
「幾らくらいするの?」
「銃込みで六個しか買えなかったくらい、ただ金貯めて弾倉百個とか買っても無限に撃てるわけじゃない」
槍弾頭一発で10%、つまり弾倉五つ使い切ったらアレってことだ。チャージも考えたらそこそこ長時間の戦闘でしか使えなさそうだが……
さて、質問責めを受け流しつつやってきました第四階層。デンジャラス偉人達によって何人か下に取り残されたが、素材目当てで残留した者もいるので彼らと一緒に頑張ってほしいとしか言えない。まぁいざって時は二層に永住してる連中を肉盾にして頑張るという手段もあるか。
『この階層では貴方達の生存力について試験を行います』
「さっきの階層でまだ確かめ足りないと申すか」
「いやまぁ、どっちかというと生存力だし……」
「森ですね!!!」
「まぁ確かにそうだな秋津茜」
二、三層で結構な脱落者が出てしまったため、ここにいるのは……おお、ちょうど十五人。ひとつのパーティにおける上限数だ。しれっとキョージュや磐斎氏も生き延びている、まぁ彼ら後方支援だしそこらへんが全滅してたらマクスウェル君倒せてないか……磐斎氏、見た目詐欺だよなぁ。
「ん、回復いるかい?」
「いや、刻傷のせいで全身回復弾くんスよ。部位回復かポーションじゃないと回復しないんで大丈夫」
「じゃあこれあげるよ」
回復ポーションを貰った、勝てねえ……人としての器で勝てねえ……っ!!
『この階層の突破条件は一つ。徘徊する妨害用生物の警戒を掻い潜りながらフィールドに存在する「コレ」を私の元へ持ってくるのです』
そう言って「象牙」が表示したのは……なんだこれ、タケノコか?
『私はこれをカンムリタケノコと命名しました』
「あ、タケノコなんだ」
「いやどう見ても黒光りしてるけど」
「竹林を探せばいいのかな?」
「ふむ、「象牙」君、その画像をもらう事は可能かね?」
『構いませんよ』
とりあえず現存するプレイヤーが円陣を組むように集合。上限に収まるならと音頭をとっていたキョージュをホストにパーティを結成する。
「暫定的に方針を決めさせてもらう事になったキョージュだ。よろしく頼むよ」
よろしくお願いしまーす、と十四人分の声が響き、作戦会議が始まる。
まず議題として上がったのは「妨害用生物とやらがどれだけのものなのか」という点だ。ベヒーモスが生物を作るとろくな事にならないのは三層で確認済みだ。
こちらから喧嘩を売ったマクスウェルですら何人か脱落者が出たくらいには強敵だったのだ、あれクラスが積極的に妨害してくるなら個別行動はイコール死に直結する。
というわけでまずは十五人で固まって行動してみることに。ちょっとした山のようなフィールドを歩く事一分程したところで……
「ん?」
反射的に引き金を引く。先程の一撃貫通力に特化したモード「槍弾頭」ではなく弾速と連射力に特化したモード「針弾頭」がマシンガンよろしくタタタタタ! と小気味のいい音を立てて地面から近づいていたそれに突き刺さる。
「え、何!?」
「何か見つかった?」
「いや、なんか近づいてたから撃ったらこいつが」
「既に仕留めている……」
なんだろうこれ、懐かしさすら感じるが同時に忌々しさも感じる……っていうかあれだな、泥掘りの小型版みたいな。あれはサメとナマズとあと何か陸上生物をキメラ融合させたみたいな珍妙生物だったが、こっちはトカゲとナマズとウナギを混ぜたみたいな形をしている。1メートルあるかないかってところかな。
一見するとトカゲにしか見えないかもしれないが、ウナギ特有のぬめりを継承しているのか落ち葉や腐葉土を体表に貼り付けた天然のギリースーツで近づいてくるので気付いたのは偶然だ。
成る程確かにこいつが隠密で近づいてきたら厄介だな。踏みつけて動きを封じているウナギトカゲは現にフグみたいに膨れ始めて今にも破裂しそうな───
「ボレェシューッウ!!」
「いやボレーシュートは空中のボールをシュートする事であって……」
パァンッッ!!!!!
メキメキメキ……ズズゥン……!!!
「「「「…………」」」」
ああ、はい。一発で木をへし折る爆発力ですか、はい。
『泥掘りの品種改良種……爆泳魚と名付けました、柔らかい地質でないと潜行できないのが今後の課題でしょうか』
「パーティ編成はそのままに五人三チームでタケノコを探す! 散開!!」
ザザザ、と周囲で地面を揺らす「音」が全て爆泳魚だと気づいた俺達はキョージュの指示に従って咄嗟に五人チームを作ってそれぞれ別方向に走り出す!!
十五人が固まっているとその分寄ってくる爆泳魚の数が増えるし対応する際に流れ弾が来る可能性もある。
「ええと!? 俺とレイ氏と秋津茜と……炸裂グリンピース姉貴と磐斎氏!!」
「は、はいっ!」
「よろしくお願いしますっ!!」
「あ、これはご丁寧にどうも」
「あとプラスで一匹と一機!!」
「ちょ、来てる来てる! これ私が爆破してもいいの!?」
「何事もトライアンドエラーですよ炸裂グリンピースさん!!!」
というわけで炸裂グリンピース姉貴が何やらガラス瓶を背後にぶん投げる。それは俺達のチームを追ってきていた三匹の爆泳魚のうち、右側の個体にぶつかり……
Q.爆発物の近くで爆発すると何が起きますか?
A.誘爆。
「姉貴、爆発禁止」
「あれ見てもう一回やると思う?!」
ガラス瓶、恐らく爆発効果のある薬品か何かが入ったそれの爆発に命中した爆泳魚の爆発。そしてそれらに巻き込まれて誘爆した事で合計四回分の大爆風に背中を押された俺たちは半ば転がるようにして他2チームから離れた場所まで走って……なんとか周囲に土中を泳ぐ爆泳魚の気配がしない場所にまで逃げる事に成功した。
「さて……とりあえず皆よろしく。で、これからどうしよう?」
「んー……考察厨的には二層に降りて爆泳魚の情報とかを探したいところだけど……ファストトラベルが解禁されてないから現実的じゃないね。とりあえずタケノコを探そうか?」
「でもどうするのよ、タケノコを掘り返す前にあの爆弾魚を掘り起こすんじゃないの?」
「走って逃げるとか!」
「僕のAGIだと普通に追いつかれるかなぁ……どうだろう、ここは一旦腰を据えて作戦会議をしないかい?」
その言葉には抗い難い、というよりも抗う理由が無いと思わせるだけの謎の説得力があり……この瞬間、この五人組における毘猩々 磐斎氏の役割に「軍師」が追加されたのを残る四人は感じ取っていた……
・爆泳魚
サンラクの中で割と「強敵」にカテゴライズされている泥掘りを「象牙」が秘密裏に回収して品種改良した新種。
小型化し、柔らかな腐葉土限定ではあるものの泥掘り同様の地中潜行を可能としている。特定の条件下で自爆する習性を持っており、その一つとしては死ぬ瞬間。
自身を爆裂させる事で爆破耐性のある卵を周囲にぶち撒けている、これは自身が死によって停止する前に自ら爆散する事で種を保存する進化を辿ったのだろうと「象牙」は推測している。
そしてせっかく作ったので階層試験用に使う事にした。