表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
641/948

手入れして花開く

この手のキャラメイク可能なゲームは極論二つに分類できる。


───即ち後から整形できるかできないか、だ。


シャンフロはできない側だと以前は思っていたが、リヴァイアサンやベヒーモスを見れば「象牙」の提案にも躊躇いなく乗れるというものだ。

シャングリラ・フロンティアは後天的なアバターの変更が可能なゲームであるという事実、それはともすればどんな攻略情報よりもプレイヤー達にとっては嬉しい報せなのかもしれない。


「リアイベってもしかしてJGE?」


「そうそう、だから別口でこれを使う方法はあると思うが今使えないのはそれが理由だと思う」


まぁ現地通貨(リザルト)を消費するのが一番可能性の高そうな方法だが……うーん、しかしどうしたものか。


「ま、とりあえずエディット見ながら考えるか」


レイ氏は既に編集作業中だ、なにやら張り詰めた様子で試験管の中に入って行ったレイ氏であったが直後、もの凄い勢いで下に落ちて行った試験管の中でレイ氏がどんな顔をしていたのかは分からない……少なくとも怪物の顔そのまんまな兜は無表情だった。

さて、一応装備を外して置いて……


「じゃ、ちょっと行ってくるるるるるぁぁぁぁぁあ!!!」


しゅこーん! と従姉妹が好きそうな絶叫マシン的動きで落ちていく中で視界が馴染んで黒くなって………



……


…………




『───知覚できていますね? 現在、貴方の脳にダイレクトで情報を送信しています』


脳みそにケーブルとか刺さってそうで怖いんだが。


『人間一人を制御するのに有線設備など必要ありませんよサンラク』


いや線の有無を心配してるわけじゃなくてですね……まぁいいや、とりあえず目を瞑って水の中に沈んでるような状態なんですけどどうすれば?


『あまり()くものではありませんよサンラク、開拓者の時間は無限のように見えて有限……しかし余裕を持たねば文化(・・)とは育まれないものです』


生憎開拓者最速なもので。


『ふふふ、分かりますともサンラク。貴方は比肩なき速さに到達した者……前を見据え、艱難辛苦を踏み越えんとする姿は貴方を生み出した「象牙(ワタシ)」をして誇りに思いますもの』


………なるほど、ちょっとおしゃぶりが欲しくなる気持ちも分かったぜ。だが俺はこれでも二本の足で自立してるんでな、好意は受け取るが甘えない。


『親にとって子というものは、何歳であろうと子に変わりはないのですよ。良くも悪くも、変わらないものです』


さいですか……おお、我がボディが目の真赤に表示された。


『既に肉体錯覚の効果は適用されています、己の身体で己を作り替えてみましょうか』


肉体錯覚……ああ、キャラメイクの時と同じ感じか。

よし、じゃあ始めるとするか。とりあえず前々から思っていたがもう少しマッシブにする。


『おや、最速を誇る貴方が敢えて体躯を大きくするのですね?』


体幹が欲しいんだよ、今までのボディでも問題はないが、「良い」と「より良い」がイコールになることはない。

地獄独楽回転発生装置、もとい兇嵐帝痕(イデア= ガトレオ)(スペリオル)の制御を行うならある程度がっしりした体格の方が色々とやりやすいのだ。ボディビルダーか何かかってくらいガタイだけ立派なモルドほどの筋肉はいらないがライトヘビー級くらいの筋肉量は欲しい、イアイフィストとの兼ね合いもあるから腕の長さは……いや、数センチくらいなら伸ばしてもいいんじゃないか?


『変更情報を同期することで実際に動かした場合と同等の肉体錯覚を実行することはできますよ』


無論試す。うーん、やっぱ動かしてみると違和感があるな、変更前から体格が変わっているという以前にしっくりこない。キャラクターとしてあまりバランスが良くないってことだ、身長を伸ばす……違和感が酷くなった、やっぱ腕伸ばしすぎたかな。

足を伸ばして……うーん、体幹が足りない。じゃあ腰回りをもう少しがっちりさせて……あー、肩かなこれ。なで肩になってるから骨格から変えて……………うーむ、これは。


『身長2メートル60センチ、体重182キログラム。諸々の理由もありますがそもそも物理的問題により実行不可能ですね……詰まります』


くっ……いやこれはないなとは思ったけどさ、頭のサイズがそのままだから完全に筋肉が暴走してる系の成れ果てになっていたし。とはいえ体幹バランスや手足のバランスがこれまでで一番しっくりくるからこの比率を維持したまま身長180くらいにまでダウンサイジングすればいけるか?


『可能です、縮小するとこうなりますが?』


手のサイズを変更、指を若干長く、手のひらを大きくして……お、これ指の長さ個別で変えられるのか。手刀に適した形にしてっと。うーん、ちょっとでかすぎたかな、いや手首を太くすればいけるかな。


『……随分と緻密に手を加えるのですね、サンラク』


こういうのは妥協すると後々になって後悔するんだよ、最近アクセサリーで耐久力を上げられるって知ってなー……だったらある程度被弾確率が上がるとしてもフィジカルを上げた方がメリットの割合が大きい。これまでの体格でも武器の方で火力をまかなっていたし細身の身体が回避に役立つことも少なくはなかったが、最近はグラップルというか打撃系……超排撃ブッパだけしてた頃と違ってメインスタイルとして使うことも多くなってきたから基礎のフィジカルを上げる選択肢に踏み切ったってわけよ。


『スキルシステム参照……なるほど、殆ど機動力に特化していると言っていい偏った性質。特に使用回数の多い視覚系体幹時間延長スキル……成る程、では肉体改造に精を出す貴方にプランを提示しましょう』


プラン?


『サンラク、Q.E.D.はただ肉体を構築するだけではないのです。そう例えば……特定の部位を「強化」することもできるのですよ。「勇魚」に倣ってブーケ・パズルとでも呼称しましょうか、ブーケ・パズル第五段階(ランクファイブ)と必要量のリザルトを要求させていただきますが……例えばそう、眼球および視神経を強化することで』


スキル自体の出力も上がると?


『ええ、それがスキルですから。刹那理論が生み出した人智を超えた力を人智にて扱う術……限定的人体改変、当然改変前の肉体スペックが高ければ最終的出力も上昇します』


そういうことを聞くと俄然やる気が出てくるってもんよ、とりあえずアバター改造はこんなもんでいいだろう。

全体的にひと回り……いや0.5回りくらい大きくなったニューボディの調子を確かめつつ最終確認。

パンチよしキックよしジャンプ、ステップ、ちょっと関節の可動域を無視、バック転、宙返り……うん、よしこれでオッケー。


『では肉体の再構築を開始します………新たな肉体、()()く活かしてくださいね』


あたぼうよ。




…………


……





「まさしく究極のボディーを手に入れたと言っても過言ではない……」


「ちょっと視点が高くなってるですわ……」


「帽子は喋らない、いいな?」


もごもご動く頭装備を付け直して……おや、炸裂グリンピース姉貴がいない。まぁ別にパーティ組んでるわけでもないし残っててもらわないと困る理由もないか。さてレイ氏はどこだ? 試験官があるってことはもう既にキャラクターリビルドを終わらせてるんだろうが……と、どこにいるのかと探していると。


「あ、あの…………」


「ん? ああレイ氏そこに……ぃい?」


「…………うう」


何かの装置の陰から姿を現したのは、先程までとは随分と違う……具体的には俺の視点が高くなったことを差し引いても見下ろす(・・・・)程に低くなった身長。いや身長だけじゃない、あの重装甲を支えていただろう筋肉も見違えるほどに縮小した代わりにしなやかさが比較にならないほどに増したその姿は。


「性別変えたんだ」


「あと、えと、はい………」


双理の鎧、男キャラの時は全身を覆っていたそれが今はなんというか……腹とか太ももとか、タイツみたいな素材になっている肌色こそ少ないが露出が多い感じというか……………


「その、性別を変えたらこうなって、しまって……」


「え、あー、うん。まぁゲームだし! 肌が出てるわけじゃないし、うん……まぁ、うん」


露出度の高い女キャラなんてアホほど見かけるんだが………なんというかその、思いっきり恥じらってるのを見せられると俺もなんというか…………照れるなこれ。


ヒロインちゃんに足りなかった最後のピース、それは恥じらい……っ!!

そして恥じらいとは相応の見た目でこそ最大の効果を発揮する……っ!!

愚策……っ! これまでの全てが、愚策……っ!!

堅固な騎士鎧で恥じらったところで、くねくねする人型モンスターでしかない……っ!!

他の誰がどう感じようと「私は恥ずかしい」というポーズこそが肝要……っ!!

双理の鎧は女性が装備した時、タイツの上から鎧が生えているような見た目になる……っ!!


なおタイツ部分の防御力はクソ高いのでヒロインちゃんのステータスだと鋼より硬いタイツ(厳密には鎧の「皮膜」がタイツっぽく見えるだけ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
最後 Love so sweet 流れそう
絶対この女性版双理の鎧の見た目マッケンジー関わってるやろ。良いセンスだ…
すき
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ